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5分以内で読める青空文庫の短編作品

青空文庫で公開されているすべての著者の作品の中で、おおよその読了目安時間が「5分以内」の短編作品を、おすすめ人気順で表示しています。

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作品名著者読了時間人気
『春の岬』序詩三好達治
5分以内
わが古きまづしきうたのたぐひここにとり集へてひと卷のふみをばなしつ、名づけて春の岬といふ、ふみのはじめに感をしるして序を添へよとは人の命ずるところなり、あな蛇足をしひたまふものかな、よしやつたなかるともわがうたのかずかずうちかへしわが感をのべたるものを、とてその夜わびしらに率然とおのれつぶやけるつぶやきわが若き十とせあまりのとしつきのいつしかにはやすぎゆきてあとこそなけれそこばくのうたはのこりつそのなかばいまここにあり...
日本その日その日石川欣一
5分以内
先ず第一に現在の私がこの著述の訳者として適当なものであるかどうかを、私自身が疑っていることを申し上げます。
合唱について金鍾漢
5分以内
きみは半島から来たんぢやないですかだうりですこし変つた顔をしてゐると思つたでもそんな心細い思ひをすることはないですよほら松花江の上流からもはろばろ南京の街はづれからも来てゐるではないかスマトラからもボルネオからもいまには重慶の防空壕からもやつてくるでせうではみんな並んで下さいおお砲口のやうだ整列されてゐる口の横隊それは待つてゐる待ちあぐんでゐるタクトの指さす方向へ未来へやが...
空山明月金鍾漢
5分以内
むらはよるのなかにしづみよるはかへるのなきごゑのなかにしづみひがともるふたつひとつかへるのなきごゑのなかにさてよつぱらひのつきがでてきてしろがねのむらをはきだすのです。
古井戸のある風景金鍾漢
5分以内
しだれ柳はおいぼれてゐて井戸のそこにはくつきりと碧空のかけらが落ちてゐて閏(うるふ)四月おねえさまことしも郭公が鳴いてゐますねつつましいあなたは答へないで夕顔のやうにほほゑみながらつるべをあふれる碧空をくみあげるつるべをあふれる伝説をくみあげる径は麦畑のなかを折れて庭さきに杏も咲いてゐるあれはぼくらの家まどろみながら牛が雲を反芻してゐるほら水甕にもおねえさま...
一枝について金鍾漢
5分以内
年おいた山梨の木に年おいた園丁は林檎の嫩枝を接木した研ぎすまされたナイフををいてうそさむい瑠璃色の空に紫煙を流したそんなことが出来るのでせうかやをら園丁の妻は首をかしげたやがて躑躅が売笑したやがて柳が淫蕩した年おいた山梨の木にも申訳のやうに二輪半の林檎が咲いたそんなことも出来るのですね園丁の妻もはじめて笑つたそして柳は失恋したそして躑躅は老いぼれた私...
幼年金鍾漢
5分以内
ひるさがりとある大門のそとでひとりの坊やがグライダアを飛ばしてゐたそれが五月の八日でありこの半島に徴兵のきまつた日であることを知らないらしかつたひたすらエルロンの糸をまいてゐたやがて十ねんが流れるだらうするとかれは戦闘機に乗組むにちがひない空のきざはしを坊やはゆんべの夢のなかで昇つていつた絵本で見たよりも美しかつたのであんまり高く飛びすぎたので青空のなかでお寝小便し...
待機金鍾漢
5分以内
雪がちらついてゐるしんみりしづかに雪がちらついてゐるそのなかをききとしてきみたちはいもうとよまたいとこよおとうとよまなびやへと急いでゐるながいながい昌慶苑の石垣づたひ雪がちらついてゐるしんみりしづかに雪がちらついてゐるちらついてゐるおとうとよまたいとこよいもうとよそれはふりかかるきみたちのかたにたわわな髪の毛にひひとしてやぶれ帽子のうへに十ねんわかくなつてわたくしも...
善夫孤独金鍾漢
5分以内
下関でうつた電報からひねもす朝鮮漬のにほひがしてならないそして貴公はやつてきたムカヘニコナイトマヒゴニナルゾそして貴公はやつてきた天下大将軍のやうな顔をしてそして貴公はやつてきたぶあつい手をにゆつとつき出したそして私は案内した天神の鳩に豆をやつたふたりの背に陽ざしがあたたかく幼年の日がそこにあつたそして私は案内したとんかつやのふるぼけた暖簾をくぐると...
首里城世礼国男
5分以内
清ら若水にみそぎ美々しく袖ひきつらね首里天加那志美御機拝むと人々は開暁鐘とつれて石畳九重の城に登つたで(あ)らう歌と蛇及皮線に城内の夜は明けはなれ御祝ごと続く御代の福らしや都大路にあけず羽美衣も晴れやかに飛び交ひ御冠船踊の華々しさよ浮上とて見ゆる凪(とり)の伊平屋嶽の如くに玉黄金若人たちは娘たちの前に踊り栄えたであらう花の昔よ走川のごとに(流)れゆく年波を漕ぎ戻すよすがもなく唐破風の屋根は苔蒸し...
夕の賦末吉安持
5分以内
仰げばみ空青く澄み、金星遙に霑ひて、神秘の御幕長く垂れ、闇の香襲々屋根に戸に、夕となりぬ月出ぬ。
診断 0:1李箱
5分以内
或る患者の容態に関する問題。
三百年後小倉金之助
5分以内
老境にはいると、若い時分のような楽みが、だんだんと無くなって来る。
噴水のほとりで――堀辰雄
5分以内
私達は水族館を出ると、観音堂の裏をすこしばかり歩いた。
古江高浜虚子
5分以内
一人の女が鍋を洗つて居る。
『愛国心』私はこう思う知里真志保
5分以内
知里真志保アイヌ語もろくにわからぬ連中がマスコミの波に乗ってアイヌ研究を随筆化し、そのでたらめさにたえかねて私などがたまに真実をあばくと、やれ偏狭だの思い上がっているのだと袋だたきの目にあうのが現状だ。
金成マツとユーカラ知里真志保
5分以内
叔母とは2年近く会ってなかった。
洞爺湖の伝説知里真志保
5分以内
虻田の村の酋長の妻が或る時突然病んで、どんなに加持祈祷しても験がなく、病は重くなるばかりだった。
図書館通い知里真志保
5分以内
私が当時の室蘭中学校に入学したのは関東大震災の年、つまり大正12年のこと。
アイヌ族の俚謡知里真志保
5分以内
【小引】アイヌの俚謡等にて代表的なるものとの御註文である。
ホッキ巻知里真志保
5分以内
北海道名産の一つに北寄貝がある。
〔女は ライラツクのにほひを好むと〕桜間中庸
5分以内
女はライラツクのにほひを好むとストローはメロンソーダ水を吸ひあげる私は女のにほひを吸ひあげる。
〔鏡に顎をつき出して〕桜間中庸
5分以内
鏡に顎をつき出してぱんぱんぱんぱん浴槽にひとり浸つて女湯からひゞいてくる脊流の音を聞いてゐる。
〔金魚は青空を食べてふくらみ〕桜間中庸
5分以内
金魚は青空を食べてふくらみ鉢の中で動かなくなる鳩だか鉢のガラスにうすい影を走らせる來たのは花辨か白い雲の斷片。
〔花園から月かげが〕桜間中庸
5分以内
花園から月かげが帷をほのかな紫にけぶらせてマダムの室を訪れるとき絢爛な裝釘を衣た私の詩集はその腕の中で指輪の役をするだらう詩集から私は生れ出る花園を月影にくたくたにぬれながらタキシードの詩人はマダムの幻想にそつと近づく詩集は私が生んだもの私は詩集から生れる。
〔ペーブメントからアスフアルトへ〕桜間中庸
5分以内
ペーブメントからアスフアルトへアスフアルトからペーブメントへ風が新聞紙を運ぶのか新聞紙が風を運ぶのか風と新聞紙はほいと柳の若い葉の下をぬけてお堀にすべりこんだ。
散髪屋の夜桜間中庸
5分以内
さんぱつやの窓の月はくさい髮のにほひがするみゝずが細々と泪の音をたてゝゐるそんなに月がかなしいのかい痩せきつた俺のからだに夏が夏がしんみりと重たい。
石碑桜間中庸
5分以内
あをい木あをい草思ひ出をひめて石碑は靜もりて立てりかなしみもよろこびもみなながらふくめて石碑はさびれて立てりたそがるれば思ひ出はわがむねにかへり石碑は夕日に更生れり。
天体現象桜間中庸
5分以内
月に迫る金星――月に迫る金星――瞬間――雲はカーテンをおろす――あゝ――雲はカーテンをひく――金星は月をはなれてゐる――金星は月をはなれてゐる――。
抒情小曲集萩原朔太郎
5分以内
私にとつて限りなくなつかしく思はれるは、この集にをさめられた室生の抒情小曲である。
抒情小曲集田辺孝次
5分以内
君の第三の著作『抒情小曲集』が、上梓されるに就て、子供の時からの友達としての僕は、奈何なる言葉でこの喜びを表したらよいか、実にその術をしらない。
組織された力今野大力
5分以内
どこからか捲き起された風渦になり、平になり、縦になり吹きまくってゆく、突風!疾風!屋根柾が矢のように走ってゆく塗炭板がぐうおうと引ぺがされて空をうなりながら飛んでゆくぐう、おう、ひゅうひゅう、おう、ぐう物凄い力となって粉々と雪を掻(か)っ飛ばして平原を十数丈の高さでぐんぐんと押よせる風陣!街の中も、原っぱも、村の街道も猛火のような怒りと憎しみに燃え立って前面に押し出し流され...
愚かなるものよ徳永保之助
5分以内
愚かなる。
洪水のように徳永保之助
5分以内
ふいご、初めの日は面白くてたまらぬ、ぶうぶうと、少年の細腕にありたけの力をしぼって、押したり引いたりした。
赤穂御崎詠草集桜間中庸
5分以内
――カムバスを立つ――岳の上はひたに靜もり妹は合歡の木の下にカムバスを立つ妹は默して立てりひたすらに海を描かむ心一つに帆の形面白しなど語らひつ雜草の丘にデツサンをする――貨物船――やゝ沖に貨物船はとまりたりデツキを動く人の氣配す貨物船の投錨の音たかだかと朝の海にひろごりわたる蟲にたかる蟻の如くに船をめぐり塩運ぶ船集りてきぬ凪なれど海に寫らず貨物船の朱の船腹はなかばあせたり――潮光園な...
城山城趾にて桜間中庸
5分以内
頬にしぶく氷雨忘れて一時を敗軍の士の心しのびぬかなしさは落城のあと冬たけて御所ヶ丸山さびしくそびゆ武士の魂とむらふや音たてゝ枯草山にひたしぶくあめとけ殘る雪まだらなる谷あひに炭燒く煙低く流れぬ。
冬の逗子桜間中庸
5分以内
わびしさのつもれば獨り訪ね來て悲しき海の冬を聞くなり水面擦り飛ぶおほ鳥の眞白なる翼に疲れ見えて哀しもうら枯れし濱晝顏のながながと此處別莊の裏につゞけり半島の岩に碎くる波見えて浪子不動に日は暮れなずむ不動堂の折鶴の色あせゆきて冬に入るなりこゝ逗子の濱手向けたる菊も懷かし不動堂やさしき主の住まひ給へば折鶴の吊られたるまゝ色あせし不動の冬の夕べは哀しマリやマリ汝(なれ)知るやこの不動尊汝の瞳清らかなるよ...
桜間中庸
5分以内
賣店の女の顏の明るさはアスフアルト敷くこの街の顏行ずりに見し外人の瞳かも土曜の夕のそゞろ歩きに客を呼ぶ馬車屋の笛のあわれさや逗子驛頭の冬のたそがれたたき賣るバナナ屋の聲寒寒と宵のしゞまを破りて流る。
わがあけくれのうた桜間中庸
5分以内
寢がへりを打てばかなしもザラザラと腦のくづるゝうつろなる音日毎夜毎吾が悲しみの多くなる如く思ひて今日も亦寢る思へども思へども心まとまらず濱に出て來て身を横ふる葉山ゆく馬車高々と過ぎゆきしアスフアルトの上に秋日やわらか濱に出て砂にまろべば砂もまた吾をいたむかじつと默せり棄てられし子犬の聲の細まるを聞きてゐたりきかなしき心砂にねて海を聞きつゝ封切りぬ亂れし文字は友も惱むかあまた蟹穴あけたるを一つ一つ埋めて行きぬ...
アカシヤと桑桜間中庸
5分以内
かそかなる音して落つるアカシヤの花の香をひとりたのしむ幼子が拾ひあつめて手に持てるアカシヤの花に夕日させるも集ひきて桑の實とると見上げ居る子等の面わに夕日照りそふ。
山東へやった手紙三好十郎
5分以内
甚太郎オジサンコノ袋ノ中ニワ仁丹トウカイ散ト手ヌグイガ入ットルソレカラ、ノンキーガ入ットル昨日、裏ノ、オ染サント二人デ町カラ買ッテ来タモノデス。
敗れて帰る俺達三好十郎
5分以内
涙は頬っぺたで乾いた怒りは胃の底によどんだにがいにがい空っぽの胃の底に。
雪と血と煙草の進軍三好十郎
5分以内
風だ!ラ、ラ、ラあられ!雪と涙と汗!ツラ、ラ、ラあらしだ!ラ、ラ、ラ俺!俺は苦しい君!君苦しいわれら!われらは楽しい!皆だ!吹雪の中を進む黒い黒い群集涙と汗の中にカッチリとつなげ!われらの善と悪われらのパンと剣それらをつなげ!ラ、ラ、ラああ眼もかすむ雪あられ額には汗と血の旗!川、野原、...
或る淫売婦におくる詩山村暮鳥
5分以内
女よおんみは此の世のはてに立っているおんみの道はつきているおんみはそれをしっているいまこそおんみはその美しかった肉体を大地にかえす時だ静かにその目をとじて一切を忘れねばならぬおんみはいま何を考えているかおんみの無智の尊とさよおんみのくるしみそれが世界の苦みであると知れああそのくるしみによって人間は赦されるおんみは人間を救ったおんみもそれですくわれたどんなことでもおんみをおもえばなんでもな...
窓にて山村暮鳥
5分以内
うらの窓から見るとすぐ窓下の庭にあるひねくれ曲った一本の木すっかり葉っぱの落ちつくしたそれは大きないちじくの木だそこに槇の生垣があるその外は一めんの野菜畠で菜っぱや大根が葱もいっしょに青々としているその上をわたってくる松風や浪の音朝々のきっぱりした汽船の汽笛みよ雪のようなけさの大霜を河向うの篠やぶでは鵙(もず)がひきさかれるような声をして鳴いているふたたび裏庭のいちじくの木をみるといまま...
先駆者中山啓
5分以内
この瞬間世界は尊い持物の一つを失おうとしているのだ革命をバイロンの熱で叫び出しホーマの調で勝鬨をあげようとした君があわれ囚われとなって虐政者の鉞の下に坐っている君の晴れた瞳も華かな笑声ももう再び俺達の手に帰って来ないのだ地を離れて――遥かに遥かにあの蒼穹(そうきゅう)の彼方へ距りゆくのだ歎いても泣いても魂は再び帰って来ないのだ!昔から幾千の思想家が磔(はりつけ)に...
争議の翌日賀川豊彦
5分以内
雨ふる日、さみだれの、小溝の流、渦巻きし、濁れる水に、小笹おち、吸われるように、流され行くを、じっと眺めいる自分の心。
DILEMMA.佐藤緑葉
5分以内
いらだたしき一夜、群集と巡査とは睨みあい、街燈の瓦斯の灯も常より青し。
作業機械細井和喜蔵
5分以内
材料は金属と木と革――有抵抗の物体――構造は胴と軸と車と槓杆と発条こいつには脳味噌がないんだ!こいつには性慾がないんだ!だが月と日が惚れ合って互に近づいて遂に性交したとき流れ出た汚物の凝固したもの石炭!石炭は思い出から燃え上る天然勢力!機械は動く調革…………調車軸歯車偏心輪槓杆(レーバ)……発条回転衝程弧動―...
泥沼呪文細井和喜蔵
5分以内
人生凡そ金の無い程つらい事はない人間凡そ米の無い程なさけない事はない。
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