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5分以内で読める萩原朔太郎の短編作品

青空文庫で公開されている萩原朔太郎の作品の中で、おおよその読了目安時間が「5分以内」の短編作品を、おすすめ人気順で表示しています。

1-50件 / 全132件
作品名著者読了時間人気
冬の情緒萩原朔太郎
5分以内
冬といふ季節は、蕭条とした自然の中にをののいてゐる、人間の果敢ない孤独さを思はせる。
喫茶店にて萩原朔太郎
5分以内
先日大阪の知人が訪ねて来たので、銀座の相当な喫茶店へ案内した。
家庭の痛恨萩原朔太郎
5分以内
西洋の風習では、その妻が良人と共に社交に出で、多くの異性と舞踏をし、宴会の席上で酒をすすめ、ピアノを弾き、唄をうたひ、文学を論じ、時に艶めかしき媚態を示して、人々の注意と愛情を惹かうと努める。
装幀の意義萩原朔太郎
5分以内
書物に於ける装幀の趣味は、絵画に於ける額縁や表装と同じく、一つの明白な芸術の「続き」ではないか。
秋と漫歩萩原朔太郎
5分以内
四季を通じて、私は秋という季節が一番好きである。
蒲原有明に帰れ萩原朔太郎
5分以内
僕、先月末出京しました。
易者の哲理萩原朔太郎
5分以内
すべての易者たちは、彼の神秘な筮竹を探りながら、威嚇するやうな調子で言ふ。
俳句萩原朔太郎
5分以内
○五月幟立つ家家の向うは海○暮鳥忌磯濱の煙わびしき年のくれ笹鳴笹鳴の日かげをくぐる庭の隅笹鳴や日脚のおそき縁の先○天城ごえ伊豆に入る日や遲櫻青梅に言葉すくなき別れ哉○青梅に言葉すくなき別れかな○冬日くれぬ思ひおこせや牡蠣の塚○我が心また新しく泣かんとす冬日暮れぬ...
断調萩原朔太郎
5分以内
△寒水春なれば小椿おちて山吹の黄をもつ流その流背戸を走れるいまやせたり、木がらしの行方もしらにさはさはと音する枯草のひびき寂寞の影をやどせば敗れ岩ところどころに冬を行くいささ小川の悲しげなりや。
感謝萩原朔太郎
5分以内
野のはて夕暮雲かへりてしだいに落ちくる夕雲雀の有心の調さへしづみゆけばかすかに頬(ほほ)うつ香ひありて夜の闇頒ちて幕くだる。
古盃萩原朔太郎
5分以内
小人若うて道に倦(う)んじ走りて隱者を得しが如く今われ山路の歸さ來つつ木蔭に形よき汝をえたり。
君が家萩原朔太郎
5分以内
ああ戀人の家なれば幾度そこを行ききずり空しくかへるたそがれの雲つれなきを恨みんや水は流れて南するゆかしき庭にそそげどもたが放ちたる花中の艶なる戀もしらでやは垣間み見ゆるほほづきの赤きを人の脣に情なくふくむ日もあらば悲しき子等はいかにせん例へば森に烏(からす)なき朝ざむ告ぐる冬の日もさびしき興に言よせて行く子ありとは知るやしらずやああ空しくて往來ずり...
煤掃萩原朔太郎
5分以内
井桁古びた天井に鼠の夢を驚かして今朝年越しの煤拂ひ、主人七兵衞いそいそと店の小者を引具して事に堪ふべく見えにけり。
ゆく春萩原朔太郎
5分以内
おきつ邊かつ鳴る海青なぎ今手に動ずる胸をおせば哀愁ことごと浮び出でてたぎつ瀬涙の八千尋沼ああ世は神祕の影にみちて興ある歌もつ子等もあるに何をか若きに眉根ひそめ執着泣くべくえ堪へんや例へば人あり花に醉ひて秋雲流るる夕づつに樂觀すぎしを思ふ如く足ぶみせんなき煩ひかや信なき一人に戀しさで今年もさびしう春は行きぬ。
蛇苺萩原朔太郎
5分以内
實は成りぬ草葉かげ小やかに赤うして名も知らぬ實は成りぬ大空みれば日は遠しや輝輝たる夏の午さがり野路に隱(かく)れて唱ふもの魔よ名を蛇と呼ばれて拗者の呪ひ歌節なれぬ野に生ひて光なき身の運命悲しや世を逆に感じてはのろはれし夏の日を妖艷の蠱物と接吻交す蛇苺。
絶句四章萩原朔太郎
5分以内
色白の姉に具されて。
秋の日萩原朔太郎
5分以内
眼を惱(なや)む山雀の愁を分けて、秋の日乳母の里、梨寺に稚日想をなやみぬ花びら地に落つる音芥子ちるか秋なるにはた山なるにいと淋しや宵、また籠をいだいて憂ひぬ、鳥の病にああ疑ふ死せざらんや、いかでさて風ふかば、いかで聞かざらんや豆の葉の鳴る日を野面、雪に埋れし木枯あらばいかに淋しとて泣くこころ、鳥にかあらまし人...
宿酔萩原朔太郎
5分以内
堪へがたき惡寒おぼえてふとめざむれば室内の壁わたる鈍き光や障子を照らす光線のやや色づきて言ひ知らずものうきけしき物の香のただよふ宿醉の胸苦し腦は鉛の重たさにえたへず喉はひしひしとかわき迫り口内のねばり酒の香くるめくにがき嘔(ゑ)づく思そぞろにもけだもののかつゑし心獰惡のふるまひを思ひでて怖れわななく下卑たる女の物言ひざまはた酌人の低き鼻...
なにか知らねど萩原朔太郎
5分以内
なにか知らねど泣きたさにわれはゆくゆく汽車の窓はるばるときやべつ畑に日は光り風見ぐるまきりやきりりとめぐる日にわれはゆくゆく汽車の窓なにか知らねど泣きたさに。
萩原朔太郎
5分以内
白雲のゆききもしげき山の端に旅びとの群はせはしなくその脚もとの流水もしんしんめんめんと流れたりひそかに草に手をあててすぎ去るものをうれひいづわがつむ花は時無草の白きなれども花びらに光なく見よや空には銀いろのつめたさひろごれりあはれはるかなる湖うみのこころもて燕雀のうたごゑも消えゆくころほひわが身を草木の影によこたへしにさやかなる野分吹き來りてやさしくも、かの高きよりくすぐれり(大...
ものごころ萩原朔太郎
5分以内
ものごころ覺えそめたるわが性のうすらあかりは春の夜の雪のごとくにしめやかにしてふきあげのほとりに咲けるなでしこの花にも似たりああこのうるほひをもておん身の髮を濡らすべきかしからずはその手をこそふくらかなる白きお指にくちをあてやみがたき情愁の海にひたりつくさむおん身よなになればかくもわが肩によりすがりいつもいつもくさばなの吐息もてささやき給ふやこのごろは涙しげく流れ出でてひるもゆふべもやむことなし...
ふぶき萩原朔太郎
5分以内
くち惜しきふるまひをしたる朝あららんらんと降りしきる雪を冒して一目散にひたばしるこのとき雨もそひきたりすべてはくやしきそら涙あの顏にちらりと落ちたそら涙けんめいになりて走れよひたばしるきちがひの涙にぬれてあららんらんと吹きつけるなんのふぶきぞ青き雨ぞや。
萩原朔太郎
5分以内
夕ぐれてほの痒くなる指のさき坂をくだれば一群の鳥は高きをすぎ行けり。
小曲集萩原朔太郎
5分以内
×ほほづきよひとつ思ひに泣けよかし女のくちにふくまれて男ごころのさびしさをさも忍び音に泣けよかし×ほんのふとした一言から人が憎うてならぬぞえほんのその日の出來ごころつい張りつめた男氣がしんぞ可愛ゆてならぬぞえ。
小曲集萩原朔太郎
5分以内
×千鳥あしやつこらさと來て見ればにくい伯母御にしめ出され泣くに泣かれずちんちろり柳の下でひとくさり×隣きんじよのお根ん性に打たれ抓められくすぐられじつと涙をかみしめる青い毛糸の指ざはり。
放蕩の虫萩原朔太郎
5分以内
放蕩の蟲は玉蟲そつと來て心の底で泣く蟲夜としなればすずろにもリキユールグラスの端を這ふ蟲放蕩の蟲はいとほしや放蕩の蟲は玉蟲青いこころでひんやりと色街の薄らあかりに鳴く蟲三味線の撥(ばち)にきて光る蟲放蕩の蟲はせんなや。
暮春詠嘆調萩原朔太郎
5分以内
×年ひさしくなりぬればすべてのことを忘れはてたりむざんなる哉かばかりのもよほしにさへ涙も今はみなもとをば忘れたり×人目を忍びて何處に行かん感ずれば我が身も老いたりさんさんと柳の葉は落ち來る駒下駄の鼻緒の上に落日は白くつめたし。
ありや二曲萩原朔太郎
5分以内
×えこそ忘れめやそのくちづけのあとやさき流るる水をせき止めしわかれの際の青き月の出×雨落し來らんとして沖につばなの花咲き海月は渚にきて青く光れり砂丘に登りて遠きを望むいま我が身の上に好しと思ふことのありけり。
ふるさと萩原朔太郎
5分以内
赤城山の雪流れ出でかなづる如くこの古き町に走り出づひとびとはその四つ辻に集まり哀しげに犬のつるむを眺め居たりひるさがり床屋の庭に石竹の花咲きて我はいつもの如く本町裏の河岸を行くうなだれて歩むわが背後にかすかなる市人のささやききこえ人なき電車はがたこんと狹き街を走り行けり我が故郷の前橋。
秋日行語萩原朔太郎
5分以内
ちまた、ちまたを歩むともちまた、ちまたに散らばへる秋の光をいかにせむたそがれどきのさしぐめる我が愁をばいかにせむ捨身に思ふ我が身こそびいどろ造りと成りてましうすき女の移り香も今朝の野分に吹き散りて水は涼しく流れたり薄荷に似たるうす涙。
萩原朔太郎
5分以内
いとしやいとしやこの身の影に鳴く蟲のねんねんころりと鳴きにけりたれに抱かれて寢る[#「寢る」は底本では「寝る」]身ぞや眞實我身は獨りもの三十になるといふその事の寂しさよ勘平さんにはあらねどもせつぷくしても果つべきかても因業なくつわ蟲。
便なき幼児のうたへる歌萩原朔太郎
5分以内
うすらさびしき我が身こそ利根の河原の石ひろひひとり岸邊をさまよひて今日も小石をひろふほど七つ八つとなりにけり。
くさばな萩原朔太郎
5分以内
君はそれとも知らざれど我が手に持てる草ばなの薄くにじめる涙にも男ごころのやるせなき愁の節はこもりたり。
うすやみ萩原朔太郎
5分以内
うすやみに光れる皿あり皿の底に蟲かくれ居て啜り鳴く晝はさびしく居間にひそみて鉛筆の心をけづるに疲れ夜は酒場の椅子にもたれて想ひにひたせる我が身の上こそ悲しけれ。
神に捧ぐる歌萩原朔太郎
5分以内
あしきおこなひをする勿れわれはやさしきひとなればよるも楊柳の木影にうち伏しひとり居てダビテの詩をうたひなむわれは巡禮悲しき旅路にあるともわが身にそへる星をたのみてよこしまの道をな歩みそたとしへなく寂しけれどもよきひとはみなかくある者ぞかしわれはいとし子み神よ、めぐみをたれさせ給へ。
萩原朔太郎
5分以内
青くしなへる我が指のリキユールグラスにふるるとき生れつきとは思へども侘しく見ゆる爪形をさしも憎しと思ふなり。
歓魚夜曲萩原朔太郎
5分以内
光り蟲しげく跳びかへる夜の海の青き面をや眺むらむあてなき瞳遠く放たれ息らひたまふ君が側へに寄りそへるに浪はやさしくさしきたりまたひき去る浪遠き渚に海月のひもはうちふるへ月しらみわたる夜なれや言葉なくふたりさしより涙ぐましき露臺の椅子にうち向ふこのにほふ潮風にしばなく鴎鱗光の青きに水流れ散りてやまずせかれぬ戀魚の身ともなりぬれば今こそわが手ひらかれ手はかたくあふるるものを押へたり。
秋日行語萩原朔太郎
5分以内
菊もうららに咲きいでたれど我身は砂丘に寄りて悲しめりさびしや海邊のおくつきに路傍の草を手向くることこのわびしきたはむれにひとり樹木にすがりつきたましひも消えよとむせびなく。
郊外萩原朔太郎
5分以内
かしこに煙の流るる空はつめたくして草はあたたかに萌えたり手はくみて歩めどもよそゆきの着物のにほひ侘しきに秋はうららに落ち來り日向に幹木の愁ちらばふ晝餉どき停車場のほとりに出でわづかなる水をたうべしに工人の居て遠き麥畑を指させり(一九一三、九、二四)。
萩原朔太郎
5分以内
麥はさ青に延び行けり遠き畑の田作りの白き襦袢にえんえんと眞晝の光ふりそそぐ九月はじめの旅立ちに汽車の窓より眺むれば麥の青きに驚きて疲れし心が泣き出せり。
雨の降る日萩原朔太郎
5分以内
雨の降る日の縁端にわが弟はめんこ打つめんこの繪具うす青くいつもにじめる指のさき兄も哀しくなりにけり雨の降る日のつれづれに客間の隅でひそひそとわが妹のひとり言なにが悲しく羽根ぶとん力いつぱい抱きしめる兄も泣きたくなりにけり。
晩秋哀語萩原朔太郎
5分以内
ああ秋も暮れゆくこのままに故郷にて朽つる我にてはよもあらじ草の根を噛みつつゆくものどの渇きをこらへんためぞ畠より疲れて歸り停車場の裏手なる便所のほとりにたたずめり日はシグナルにうす赤く今日の晝餉に何をたうべむ(故郷前橋にて)。
からたちの垣根萩原朔太郎
5分以内
からたちの垣根の中に女のはしやぐ聲のする夕餉の葱のにほひする灯ともしごろからたちの垣根を過ぐる侘しさよ。
街道萩原朔太郎
5分以内
俥にゆられつつ夕ぐれ時の街道を新町街道を急ぐ女よ眞赤な夕日は山の上白粉のゑりがさむしかろ今宵おん身の上に幸あれかし(一九一三・一〇・二〇)。
春の来る頃萩原朔太郎
5分以内
なじかは春の歩み遲くわが故郷は消え殘る雪の光れるわが眼になじむ遠き山山その山脈もれんめんと煙の見えざる淺間は哀し今朝より家を逃れいで木ぬれに石をかくして遊べるをみな來りて問ふにあらずばなんとて家路を教ふべきはやも晝餉になりぬれどひとり木立にかくれつつ母もにくしや父もにくしやとこそ唄ふなる。
早春萩原朔太郎
5分以内
なたねなの花は川邊にさけど遠望の雪午後の日に消えやらず寂しく麥の芽をふみて高き煉瓦の下を行くひとり路上に坐りつつ怒りに燃えこの故郷をのがれいでむと土に小石を投げあつる監獄署裏の林より鶫ひねもす鳴き鳴けり(滯郷哀語篇より)。
鉄橋橋下萩原朔太郎
5分以内
人のにくしといふことばわれの哀しといふことばきのふ始めておぼえけりこの市の人なになればわれを指さしあざけるか生れしものはてんねんにそのさびしさを守るのみ母のいかりの烈しき日あやしくさけび哀しみて鐵橋の下を歩むなり夕日にそむきわれひとり(滯郷哀語篇より)。
春日萩原朔太郎
5分以内
戀魚の身こそ哀しけれ、いちにちいよすにもたれつつ、ひくくかなづるまんどりん、夕ぐれどきにかみいづる、柴草の根はうす甘く、せんなや出窓の菫さへ、光り光りてたへがたし。
黎明と樹木萩原朔太郎
5分以内
この青くしなへる指をくみ合せ、夜あけぬ前に祈るなる、いのちの寂しさきはまりなく、あたりにむらがる友を求む。
遠望萩原朔太郎
5分以内
さばかり悲しみたまふとや、わが長く叫べること、煉瓦の門に入りしこと、路上に草をかみしこと、なべてその日を忘れえず、いはむや君が來し方を指さし、かの遠望をしたたむる、あはれ、あはれ、わが古き街の午後の風見よ。
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