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5分以内で読める萩原朔太郎の短編作品

青空文庫で公開されている萩原朔太郎の作品の中で、おおよその読了目安時間が「5分以内」の短編作品を、おすすめ人気順で表示しています。

51-100件 / 全139件
作品名著者読了時間人気
萩原朔太郎
5分以内
青くしなへる我が指の リキユールグラスにふるるとき 生れつきとは思へども 侘しく見ゆる爪形を さしも憎しと思ふなり
歓魚夜曲萩原朔太郎
5分以内
光り蟲しげく跳びかへる 夜の海の青き面をや眺むらむ あてなき瞳遠く放たれ 息らひたまふ君が側へに寄りそへるに 浪はやさしくさしきたり またひき去る浪 遠き渚に海月のひもはうちふるへ 月しらみわたる夜なれや 言葉なくふたりさしより 涙ぐましき露臺の椅子にうち向ふ このにほふ潮風にしばなく鴎 鱗光の青きに水流れ散りて やまずせかれぬ戀魚の身ともなりぬれば 今こそわが手ひらかれ 手はかたくあふるるものを
秋日行語萩原朔太郎
5分以内
菊もうららに咲きいでたれど 我身は砂丘に寄りて悲しめり さびしや海邊のおくつきに 路傍の草を手向くること このわびしきたはむれに ひとり樹木にすがりつき たましひも消えよとむせびなく。
郊外萩原朔太郎
5分以内
かしこに煙の流るる 空はつめたくして 草はあたたかに萌えたり 手はくみて歩めども よそゆきの着物のにほひ侘しきに 秋はうららに落ち來り 日向に幹木の愁ちらばふ 晝餉どき 停車場のほとりに出で わづかなる水をたうべしに 工人の居て 遠き麥畑を指させり (一九一三、九、二四)
萩原朔太郎
5分以内
麥はさ青に延び行けり 遠き畑の田作りの 白き襦袢にえんえんと 眞晝の光ふりそそぐ 九月はじめの旅立ちに 汽車の窓より眺むれば 麥の青きに驚きて 疲れし心が泣き出せり
雨の降る日萩原朔太郎
5分以内
雨の降る日の縁端に わが弟はめんこ打つ めんこの繪具うす青く いつもにじめる指のさき 兄も哀しくなりにけり 雨の降る日のつれづれに 客間の隅でひそひそと わが妹のひとり言 なにが悲しく羽根ぶとん 力いつぱい抱きしめる 兄も泣きたくなりにけり
晩秋哀語萩原朔太郎
5分以内
ああ秋も暮れゆく このままに 故郷にて朽つる我にてはよもあらじ 草の根を噛みつつゆくも のどの渇きをこらへんためぞ 畠より疲れて歸り 停車場の裏手なる 便所のほとりにたたずめり 日はシグナルにうす赤く 今日の晝餉に何をたうべむ (故郷前橋にて)
からたちの垣根萩原朔太郎
5分以内
からたちの垣根の中に 女のはしやぐ聲のする 夕餉の葱のにほひする 灯ともしごろ からたちの垣根を過ぐる侘しさよ。
街道萩原朔太郎
5分以内
俥にゆられつつ 夕ぐれ時の街道を 新町街道を急ぐ女よ 眞赤な夕日は山の上 白粉のゑりがさむしかろ 今宵 おん身の上に幸あれかし (一九一三・一〇・二〇)
春の来る頃萩原朔太郎
5分以内
なじかは春の歩み遲く わが故郷は消え殘る雪の光れる わが眼になじむ遠き山山 その山脈もれんめんと 煙の見えざる淺間は哀し 今朝より家を逃れいで 木ぬれに石をかくして遊べる をみな來りて問ふにあらずば なんとて家路を教ふべき はやも晝餉になりぬれど ひとり木立にかくれつつ 母もにくしや 父もにくしやとこそ唄ふなる。
早春萩原朔太郎
5分以内
なたねなの花は川邊にさけど 遠望の雪 午後の日に消えやらず 寂しく麥の芽をふみて 高き煉瓦の下を行く ひとり路上に坐りつつ 怒りに燃え この故郷をのがれいでむと 土に小石を投げあつる 監獄署裏の林より 鶫ひねもす鳴き鳴けり (滯郷哀語篇より)
鉄橋橋下萩原朔太郎
5分以内
人のにくしといふことば われの哀しといふことば きのふ始めておぼえけり この市の人なになれば われを指さしあざけるか 生れしものはてんねんに そのさびしさを守るのみ 母のいかりの烈しき日 あやしくさけび哀しみて 鐵橋の下を歩むなり 夕日にそむきわれひとり (滯郷哀語篇より)
春日萩原朔太郎
5分以内
戀魚の身こそ哀しけれ、 いちにちいよすにもたれつつ、 ひくくかなづるまんどりん、 夕ぐれどきにかみいづる、 柴草の根はうす甘く、 せんなや出窓の菫さへ、 光り光りてたへがたし。
黎明と樹木萩原朔太郎
5分以内
この青くしなへる指をくみ合せ、 夜あけぬ前に祈るなる、 いのちの寂しさきはまりなく、 あたりにむらがる友を求む。
遠望萩原朔太郎
5分以内
さばかり悲しみたまふとや、 わが長く叫べること、 煉瓦の門に入りしこと、 路上に草をかみしこと、 なべてその日を忘れえず、 いはむや君が來し方を指さし、 かの遠望をしたたむる、 あはれ、あはれ、 わが古き街の午後の風見よ。
浮名萩原朔太郎
5分以内
浮名をいとはば舟にのれ、 舟はながれゆく、 いま櫓櫂の音を絶え、 風も雨も晴れしあけぼのに、 よしあしぐさのみだるる渚をすぎ、 舟はすいすいと流れゆくなり。
利根川の岸辺より萩原朔太郎
5分以内
こころにひまなく詠嘆は流れいづ、 その流れいづる日のせきがたく、 やよひも櫻の芽をふくみ、 土によめなはさけびたり。
幼き妹に萩原朔太郎
5分以内
いもうとよ、 そのいぢらしき顏をあげ。
初夏の祈祷萩原朔太郎
5分以内
主よ、 いんよくの聖なる神よ。
交歓記誌萩原朔太郎
5分以内
みどりに深き手を泳がせ 涼しきところに齒をかくせ いま風ながれ 風景は白き帆をはらむ きみはふんすゐのほとりに家畜を先導し きみは舞妓たちを配列し きみはあづまやに銀のタクトをとれ 夫人よ、おんみらはまた とく水色の籐椅子に酒をそそぎてよ みよ、ひとびときたる 遠方より魚を光らし 淫樂の戲奴は靴先に鈴を鳴らせり。
供養萩原朔太郎
5分以内
女は光る魚介のたぐひ みなそこ深くひそめる聖像 われ手を伸ぶれど浮ばせ給はず しきりにみどりの血を流し われはおんまへに禮拜す 遠くよりしも歩ませ給へば たちまち路上に震動し 息絶ゆるまでも合掌す にちにち都に巡禮し もの喰まざればみじめに青ざめ おん前にかたく瞳をとづる。
受難日萩原朔太郎
5分以内
受難の日はいたる 主は遠き水上にありて 氷のうへよりあまた光る十字すべらせ 女はみな街路に裸形となり その素肌は黄金の林立する柱と化せり。
萩原朔太郎
5分以内
みどりをつらぬきはしる蛇、 瀬川ながれをはやみゆき、 ゆめと流れて瀧はおつ、 たうたうたる瀧の水音、 音なみさえ、 主も遠きより視たまへば、 銀の十字をかけまつる、 我しもひとり瀧水の、 若葉に靴を泳がして、 念願せちに涙たる、 念願せちに涙たる。
立秋萩原朔太郎
5分以内
遠く行く君が手に、 胡弓の箱はおもからむ。
偏狂萩原朔太郎
5分以内
あさましき性のおとろへ、 あなうらに薫風ながれ、 額に緑金の蛇住めり、 ああ我のみのものまにや、 夏ふかみ山路をこゆる。
若き尼たちの歩む路萩原朔太郎
5分以内
この列をなす少女らのため、 うるはしき都會の窓ぞひらかるる、 みよいまし遠望の海は鳴りいで、 なめいしを皿はすべりて、 さかづきは歩道にこぼれふんすゐす。
萩原朔太郎
5分以内
ああきみは情慾のにほふ月ぐさ、 われははた憂愁の瀬川の螢、 いきづかふ舟ばたの光をみれば、 ゆふぐれのおめがの瞳にて、 たれかまたあるはをしらむ、 さざなみさやぎ、 くちびるはそらをながるる。
立秋萩原朔太郎
5分以内
洞窟の壁にふんすゐあり、 さかづきをあぐる一聯のひと、 秋ちかければ玻璃ながれ、 空氣は谷間をくだる。
岩魚萩原朔太郎
5分以内
瀬川ながれを早み、 しんしんと魚らくだる、 ああ岩魚ぞはしる、 谷あひふかに、秋の風光り、 紫苑はなしぼみ、 木末にうれひをかく、 えれなよ、 信仰は空に影さす、 かならずみよ、おんみが靜けき額にあり、 よしやここは遠くとも、 わが巡禮は鈴ならしつつ君にいたらむ、 いまうれひは瀧をとどめず、 かなしみ山路をくだり、 せちにせちにおんみをしたひ、 ひさしく手を岩魚のうへにおく。
旅上萩原朔太郎
5分以内
けぶれる空に麥ながれ、 麥ながれ、 うれひをのせて汽車は行く。
萩原朔太郎
5分以内
しよんぼり立つた麥畑、 われのせつなさやるせなき、 みぎむきや穗が光る、 ひだりむきや穗が光る、 しんじつわが身をどうせうぞ。
決闘萩原朔太郎
5分以内
空と地とに緑はうまる、 緑をふみてわが行くところ、 靴は光る魚ともなり、 よろこび樹蔭におよぎ、 手に輕き薄刃はさげられたり。
感傷の塔萩原朔太郎
5分以内
塔は額にきづかる、 螢をもつて窓をあかるくし、 塔はするどく青らみ空に立つ、 ああ我が塔をきづくの額は血みどろ、 肉やぶれいたみふんすゐすれども、 なやましき感傷の塔は光に向ひて伸長す、 いやさらに伸長し、 その愁も青空にとがりたり。
光る風景萩原朔太郎
5分以内
青ざめしわれの淫樂われの肉、 感傷の指の銀のするどさよ、 それ、ひるも偏狂の谷に涙をながし、 よるは裸形に螢を點じ、 しきりに哀しみいたみて、 をみなをさいなみきずつくのわれ、 ああ、われの肉われをして、 かくもかくも炎天にいぢらしく泳がしむるの日。
純銀の賽萩原朔太郎
5分以内
みよわが賽は空にあり、 空は透青、 白鳥はこてえぢのまどべに泳ぎ、 卓は一列、 同志の瞳は愛にもゆ。
鉱夫の歌萩原朔太郎
5分以内
めざめよ、 み空の金鑛、 かなしくうたうたひ、 なみだたれ、 われのみ土地を掘らんとす、 土地は黥青、 なやましきしやべるぞ光る。
萩原朔太郎
5分以内
高原の空に風光り、 秋はやふかみて、 鑛脈のしづくのごとく、 ひねもす銀針の落つるをおぼえ、 ゆびにとげいたみ、 せちにひそかに、 いまわれの瞳の閉づるを欲す。
感傷品萩原朔太郎
5分以内
ほつねんなれば 魚にとへ しんじつなれば 耶蘇にとへ
真如萩原朔太郎
5分以内
金のみ佛 金の足 一列流涕なしたまふ 光る白日のうなべりに とをのおゆびを血はながれ いたみてほそき瀧ながれ したたるものは血のしづく われの戀魚の血のしづく 光る眞如のうなべりに 金のみ佛 金の足 一列流涕なしたまふ
和讃類纂萩原朔太郎
5分以内
一詠 ゆきはふる まなつまひるのやまみちに 光るこなゆき さんらんたりや わが道心のたなごころ うすら侘しきたなごころ 二詠 ひじりのみあし つめたきみあし おんかたへやるせなく かけまつるさうぞくの しののめのこゆむらさき いろのあさがほ 三詠 なみぢのうへを とほくよりあゆませたまふ わが主いえすよ ふなべりになみだをながし いちねん祈願したてまつる ひとの子のわれの身のうへ おぼる
月蝕皆既萩原朔太郎
5分以内
みなそこに魚の哀傷、 われに涙のいちじるく、 きみはきみとて、 ましろき乳房をぬらさむとする。
情慾萩原朔太郎
5分以内
手に釘うて、 足に釘うて、 十字にはりつけ、 邪淫のいましめ、 齒がみをなして我こたふ。
磨かれたる金属の手萩原朔太郎
5分以内
手はえれき、 手はぷらちな、 手はらうまちずむのいたみ、 手は樹心に光り、 魚に光り、 墓石に光り、 手はあきらかに光る、 ゆくところ、 すでに肢體をはなれ、 炎炎灼熱し狂氣し、 指ひらき啓示さるるところの、 手は宙宇にありて光る、 光る金屬の我れの手くび、 するどく磨かれ、 われの瞳をめしひ、 われの肉をやぶり、 われの骨をきずつくにより、 恐るべし恐るべし、 手は白き疾患のらぢうむ、 ゆびいた
青いゆき萩原朔太郎
5分以内
青いぞ、 ゆきはまつさを、 もも、さくらぎに花咲かず、 青いこなゆき、 光る山路に泣きくらす。
蒼天萩原朔太郎
5分以内
いつしんなれば、 あふむけに屍體ともなる、 つめたく合掌し、 いんよくいちねん、 きりぎりす青らみ、もはら、 雀みそらに殺さる。
霊智萩原朔太郎
5分以内
ふるへる、 微光のよるに、 いつぱつ、 ぴすとるを撃つ、 遠方に、 金の山脈、 かすかな、 黒曜石の發光。
秘仏萩原朔太郎
5分以内
つゆしものうれひはきえず、 わづかなるつちをふむとて、 あなうらをやぶらせたまふ。
永日和讃萩原朔太郎
5分以内
ひとのいのりはみなみをむき、 むぎはいつしん、 うをはいつしん、 われはしんじつ、 そらにうかびて、 ゆびとゆびと哀しみつれ、 たましひは ねもごろにほとけをしたふ。
ぎたる弾くひと萩原朔太郎
5分以内
ぎたる彈く、 ぎたる彈く、 ひとりしおもへば、 たそがれは音なくあゆみ、 石造の都會、 またその上を走る汽車、電車のたぐひ、 それら音なくして過ぎゆくごとし、 わが愛のごときも永遠の歩行をやめず、 ゆくもかへるも、 やさしくなみだにうるみ、 ひとびとの瞳は街路にとぢらる。
巡礼紀行萩原朔太郎
5分以内
きびしく凍りて、 指ちぎれむとすれども、 杖は絶頂にするどく光る、 七重の氷雪、 山路ふかみ、 わがともがらは一列に、 いためる心山峽たどる。
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