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岩魚――哀しきわがエレナにささぐ――

萩原朔太郎

『岩魚』は青空文庫で公開されている萩原朔太郎の短編作品。202文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。
文字数
5分以内
202文字
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書出

瀬川ながれを早み、 しんしんと魚らくだる、 ああ岩魚ぞはしる、 谷あひふかに、秋の風光り、 紫苑はなしぼみ、 木末にうれひをかく、 えれなよ、 信仰は空に影さす、 かならずみよ、おんみが靜けき額にあり、 よしやここは遠くとも、 わが巡禮は鈴ならしつつ君にいたらむ、 いまうれひは瀧をとどめず、 かなしみ山路をくだり、 せちにせちにおんみをしたひ、 ひさしく手を岩魚のうへにおく。

初出
底本萩原朔太郎全集 第三卷
表記
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