ブンゴウサーチ

孝子実伝―室生犀星に―

萩原朔太郎

『孝子実伝』は青空文庫で公開されている萩原朔太郎の短編作品。252文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。
文字数
5分以内
252文字
人気
0PV
書出

ちちのみの父を負ふもの、 ひとのみの肉と骨とを負ふもの、 ああ、なんぢの精氣をもて、 この師走中旬を超え、 ゆくゆく靈魚を獲んとはするか、 みよ水底にひそめるものら、 その瞳はひらかれ、 そのいろこは凍り、 しきりに靈徳の孝子を待てるにより、 きみはゆくゆく涙をながし、 そのあつき氷を蹈み、 そのあつき氷を喰み、 そのあつき氷をやぶらんとして、 いたみ切齒なし、 ゆくゆくちちのみの骨を負へるもの、

初出
底本萩原朔太郎全集 第三卷
表記
※「人気」は青空文庫の過去10年分のアクセスランキングを集計した累計アクセス数から算出しています。