5分以内で読める萩原朔太郎の短編作品
青空文庫で公開されている萩原朔太郎の作品の中で、おおよその読了目安時間が「5分以内」の短編作品を、おすすめ人気順で表示しています。
101-139件 / 全139件
| 作品名 | 著者 | 読了時間 | 人気 |
|---|---|---|---|
| 蛍狩 | 萩原朔太郎 | 5分以内 | |
愛妹のえりくびから一疋、 瘋癲病院の窓から一疋、 血えんのつかあなから一疋、 いえすの素足から一疋、 魚の背筋から一疋、 殺人者の心臟から一疋、 おれの磨いた手から一疋、 遠い夜の世界で螢を一疋。 | |||
| 孝子実伝 | 萩原朔太郎 | 5分以内 | |
ちちのみの父を負ふもの、 ひとのみの肉と骨とを負ふもの、 ああ、なんぢの精氣をもて、 この師走中旬を超え、 ゆくゆく靈魚を獲んとはするか、 みよ水底にひそめるものら、 その瞳はひらかれ、 そのいろこは凍り、 しきりに靈徳の孝子を待てるにより、 きみはゆくゆく涙をながし、 そのあつき氷を蹈み、 そのあつき氷を喰み、 そのあつき氷をやぶらんとして、 いたみ切齒なし、 ゆくゆくちちのみの骨を負へるもの、 | |||
| 玩具箱 | 萩原朔太郎 | 5分以内 | |
朝 青い服をきた獵人が、 釣竿のやうなてつぽうをかついで、 わん、つう、わん、つう、 このへんにそつくりかへつた主人のうしろから、 木製のしなびきつた犬が、 尻尾のさきをひよこつかせ、 わん、つう、わん、つう。 | |||
| 冬を待つひと | 萩原朔太郎 | 5分以内 | |
こほれる利根のみなかみに、 ひねもす銀の針を垂れ、 しづかに水に針を垂れ、 さしぐみきたる冬を待つ。 | |||
| 疾患光路 | 萩原朔太郎 | 5分以内 | |
我れのゆく路、 菊を捧げてあゆむ路、 いつしん供養、 にくしんに血をしたたらすの路、 肉さかな、きやべつの路、 邪淫の路、 電車軌道のみちもせに、 犬、畜生をして純銀たらしむる、 疾患せんちめんたる夕ぐれの路、 ああ、素つぱだかの聖者の路。 | |||
| 合唱 | 萩原朔太郎 | 5分以内 | |
にくしん、 にくしん、 たれか肉身をおとろへしむ、 既にうぐひす落ちてやぶれ、 石やぶれ、 地はするどき白金なるに、 にくしん、 にくしん、 にくしんは蒼天にいぢらしき涙をながす、 ああ、なんぢの肉身。 | |||
| 岩清水 | 萩原朔太郎 | 5分以内 | |
いろ青ざめて谷間をはしり、 夕ぐれかけてただひとり、 岩をよぢのぼれるの手は鋼鐵なり、 ときすべて液體空氣の觸覺に、 山山は茜さし、 遠樹に光る、 わが偏狂の銀の魚、 したたるいたみ、 谷間を走りひたばしる、 わが哀傷の岩清水、 そのうすやみのつめたさに、 やぶるるごとく齒をぬらす、 やぶるるごとく齒をぬらす。 | |||
| 山頂 | 萩原朔太郎 | 5分以内 | |
かなしければぞ、 眺め一時にひらかれ、 あがつまの山なみ青く、 いただきは額に光る。 | |||
| 南の海へ行きます | 萩原朔太郎 | 5分以内 | |
ながい疾患のいたみも消えさり、 淺間の山の雪も消え、 みんなお客さまたちは都におかへり、 酒はせんすゐにふきあげ、 ちらちら緋鯉もおよぎそめしが、 私はひとりぽつちとなり、 なにか知らねど泣きたくなり、 せんちめんたるの夕ぐれとなり、 しくしくとものをおもへば、 仲よしの友だちうちつれきたり、 卵のごときもの、 菓子のごときもの、 林檎のごときものを捧げてまくらべにもたらせり、 ああ、けれども私は | |||
| 竹 | 萩原朔太郎 | 5分以内 | |
竹は直角、 人のくびより根が生え、 根がうすくひろごり、 ほのかにけぶる。 | |||
| 竹の根の先を掘るひと | 萩原朔太郎 | 5分以内 | |
病氣はげしくなり いよいよ哀しくなり 三日月空にくもり 病人の患部に竹が生え 肩にも生え 手にも生え 腰からしたにもそれが生え ゆびのさきから根がけぶり 根には纖毛がもえいで 血管の巣は身體いちめんなり ああ巣がしめやかにかすみかけ しぜんに哀しみふかくなりて憔悴れさせ 絹糸のごとく毛が光り ますます鋭どくして耐へられず つひにすつぱだかとなつてしまひ 竹の根にすがりつき、すがりつき かなしみ心頭 | |||
| 夜景 | 萩原朔太郎 | 5分以内 | |
高い家根の上で猫が寢てゐる 猫の尻尾から月が顏を出し 月が青白い眼鏡をかけて見てゐる だが泥棒はそれを知らないから 近所の家根へひよつこりとび出し なにかまつくろの衣裝をきこんで 煙突の窓から忍びこまうとするところ。 | |||
| たびよりかへれる巡礼のうた | 萩原朔太郎 | 5分以内 | |
いすらへるよりかへり われはゆきのうへにたちぬ | |||
| 祈祷 | 萩原朔太郎 | 5分以内 | |
あなたのめぐみをもて雪をふらしてください、 あなたのふしぎをもて牢獄の窓をあけてください、 あなたのおほみこころのみまへに、 わたくしの懺悔をささげまつる。 | |||
| 小春 | 萩原朔太郎 | 5分以内 | |
やはらかい、土壤の上に、 じつと私が坐つて居る、 涙ぐましい日だまりに、 白い羽蟲のちらちらもえ、 遠い春日のちらちらもえ。 | |||
| 芽 | 萩原朔太郎 | 5分以内 | |
いたましき芽は伸びゆけり、 春まだあさき土壤より、 いとけなき草の芽生はうまれいで、 そのこゑごゑはかしましく、 はるる日中の、 大空ふかくかがやけり。 | |||
| 三人目の患者 | 萩原朔太郎 | 5分以内 | |
三人目の患者は、 いかにもつかれきつた風をして、 べろりと舌をたらした、 お醫者が小鼻をとんがらして、 『氣分はどうです』 『よろしい』 『食物は』 『おいしい』 『それから……』 『それからすべてよろしい』 そして患者は椅子からとびあがつた、 みろ、歪んだ脊髓のへんから、 ひものやうにぶらさがつた、 なめくじの神經だの、くさつたくらげの手くびだの……。 | |||
| 敍情小曲 | 萩原朔太郎 | 5分以内 | |
きみがやへばのうす情け ほのかににほふたそがれに 遠見の松を光らしめ 遠見の櫻を光らしめ 浪は浪浪きみがかたへと。 | |||
| もみぢ | 萩原朔太郎 | 5分以内 | |
霜つききたり 木ぬれをそむると おもひしものを 庭にあづまやの 遠見をそめ うすべにさせる 魚をそめ わかるるきみの くちをそめ | |||
| 春日詠嘆調 | 萩原朔太郎 | 5分以内 | |
ああいかなればこそ、 きのふにかはるわが身の上とはなりもはてしぞ、 けふしもさくら芽をつのぐみ、 利根川のながれぼうぼうたれども、 あすは逢はれず、 あすのあすとてもいかであはれむ、 あなあはれむかしの春の、 みちゆきの夢もありやなし、 おとろへすぎし白雀の、 わがゆびさきにきてしみじみとついばむものを。 | |||
| 吹雪 | 萩原朔太郎 | 5分以内 | |
わが故郷前橋の町は赤城山の麓にあり、その家竝は低くして甚だ暗し。 | |||
| 諷詩 | 萩原朔太郎 | 5分以内 | |
友だちはひどく歪んだ顏をしながら、 虱に向つて話をした。 | |||
| 絶望の足 | 萩原朔太郎 | 5分以内 | |
魚のやうに空氣をもとめて、 よつぱらつて町をあるいてゐる私の足です、 東京市中の掘割から浮びあがるところの足です、 さびしき足、 さびしき足、 よろよろと道に倒れる人足の足、 それよりももつと甚だしくよごれた絶望の足、 あらゆるものをうしなひ、 あらゆる幸福のまぼろしをたづねて、 東京市中を徘徊するよひどれの足、 よごれはてたる病氣の足、 さびしい人格の足、 ひとりものの異性に飢ゑたる足、 よつぱ | |||
| 都会と田舎 | 萩原朔太郎 | 5分以内 | |
ひとり私のかんがへてゐることは、 もえあがるやうな大東京の夜景です、 かかるすばらしい都會に住んでゐる人たちは、 さかんなもりあがる群集をして、 いつも磨かれたる大街道で押しあひ、 入りこみたる建築と建築との家竝のあひだにすべりこむ、 そこにはさびしい裏町の通りがあり、 ゆがんだ酒場の軒がごたごたと混みあつてゐる、 だぶだぶとながれる不潔な掘割、 煤煙ですすぼけたその附近の悲しい空氣、 そしてせま | |||
| 酒場にあつまる | 萩原朔太郎 | 5分以内 | |
酒をのんでゐるのはたのしいことだ、 すべての善良な心をもつひとびとのために、 酒場の卓はみがかれてゐる、 酒場の女たちの愛らしく見えることは、 どんなに君たちの心を正直にし、 君たちの良心をはつきりさせるか、 すでにさくらの咲くころとなり、 わがよき心の友等は、多く街頭の酒場にあつまる。 | |||
| よき祖母上に | 萩原朔太郎 | 5分以内 | |
かの家の庭にさく柘榴の花、 あかるい日光の中にふるへる空氣のさびしみ、 年老いたる祖母上よ。 | |||
| 紫色の感情にて | 萩原朔太郎 | 5分以内 | |
ああその燃えあがる熱を感じてゐる この熱の皮膚を しばしば貴女にささげる憂鬱の情熱を ただ可愛ゆきひとつの菫の花を 貴女の白く柔らかな肌に押しあてたまへ ここにはまた物言はぬ憂愁の浪 紫をもて染めぬいた夢の草原 ああ耐へがたい病熱の戀びとよ 戀びとよ 今日の日もはや暮れるとき 私は貴女の家を音づれその黒い扉の影に接吻しよう しほしほと泣く心の奧深く 貴女はその惠をたれ 慈愛をもて久遠の道を聽かせ | |||
| 我れ何所へ行かん | 萩原朔太郎 | 5分以内 | |
情緒よ ながい憂鬱のながれを視てゐると あまりに私の眺望もさびしくなる この日もすでにくれがた 人生の影ながき厭生哲學の書物をひらけば ああはや いみじくも芽ぐみきたる感情の昂進よ さばかり情愁のみどりをふくめば さびしき思想の倉庫をひらき 重たき黒の冥想の頭巾をとりて歩まん いざや歩み行かな。 | |||
| 眺望する | 萩原朔太郎 | 5分以内 | |
すべては黒く凍つてゐる さびしくかたまる岩の上に みじめに歪んだ松の幹に 景色は凍え、飢ゑ、まづしく光つて叫ぶばかり。 | |||
| 別れ | 萩原朔太郎 | 5分以内 | |
友よ 安らかに眠れ。 | |||
| 春昼 | 萩原朔太郎 | 5分以内 | |
うぐひすは 金屬をもてつくられし そは畔の暗きに鳴き 菫は病鬱の醫者のやうに 野に遠く手に劇藥の 鞄をさげて訪づれくる。 | |||
| 祈祷 | 萩原朔太郎 | 5分以内 | |
黄菊はすでに散つてしまつた 漕手よ 船路を遠くかへつてくる時 さびしい海鳥はますとに飛びかひ 日は憂鬱の浪にただよふ。 | |||
| 記憶 | 萩原朔太郎 | 5分以内 | |
記憶をたとへてみれば 記憶は雪のふるやうなもので しづかに生活の過去につもるうれしさ。 | |||
| 敵 | 萩原朔太郎 | 5分以内 | |
鶉や鷓鴣の飛びゆくかなたに ふたたび白堊の城は現はれ 風のやうに消えてしまつた。 | |||
| 南京陥落の日に | 萩原朔太郎 | 5分以内 | |
歳まさに暮れんとして 兵士の銃劍は白く光れり。 | |||
| 広瀬河畔を逍遥しつつ | 萩原朔太郎 | 5分以内 | |
物みなは歳日と共に亡び行く。 | |||
| 父の墓に詣でて | 萩原朔太郎 | 5分以内 | |
わが草木とならん日に たれかは知らむ敗亡の 歴史を墓に刻むべき。 | |||
| 昔の小出新道にて | 萩原朔太郎 | 5分以内 | |
兵士の行軍の後に捨てられ 破れたる軍靴のごとくに 汝は路傍に渇けるかな。 | |||
| 抒情小曲集 | 萩原朔太郎 | 5分以内 | |
私にとつて限りなくなつかしく思はれるは、この集にをさめられた室生の抒情小曲である。 | |||
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