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5分以内で読める萩原朔太郎の短編作品

青空文庫で公開されている萩原朔太郎の作品の中で、おおよその読了目安時間が「5分以内」の短編作品を、おすすめ人気順で表示しています。

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作品名著者読了時間人気
蛍狩萩原朔太郎
5分以内
愛妹のえりくびから一疋、 瘋癲病院の窓から一疋、 血えんのつかあなから一疋、 いえすの素足から一疋、 魚の背筋から一疋、 殺人者の心臟から一疋、 おれの磨いた手から一疋、 遠い夜の世界で螢を一疋。
孝子実伝萩原朔太郎
5分以内
ちちのみの父を負ふもの、 ひとのみの肉と骨とを負ふもの、 ああ、なんぢの精氣をもて、 この師走中旬を超え、 ゆくゆく靈魚を獲んとはするか、 みよ水底にひそめるものら、 その瞳はひらかれ、 そのいろこは凍り、 しきりに靈徳の孝子を待てるにより、 きみはゆくゆく涙をながし、 そのあつき氷を蹈み、 そのあつき氷を喰み、 そのあつき氷をやぶらんとして、 いたみ切齒なし、 ゆくゆくちちのみの骨を負へるもの、
玩具箱萩原朔太郎
5分以内
朝 青い服をきた獵人が、 釣竿のやうなてつぽうをかついで、 わん、つう、わん、つう、 このへんにそつくりかへつた主人のうしろから、 木製のしなびきつた犬が、 尻尾のさきをひよこつかせ、 わん、つう、わん、つう。
冬を待つひと萩原朔太郎
5分以内
こほれる利根のみなかみに、 ひねもす銀の針を垂れ、 しづかに水に針を垂れ、 さしぐみきたる冬を待つ。
疾患光路萩原朔太郎
5分以内
我れのゆく路、 菊を捧げてあゆむ路、 いつしん供養、 にくしんに血をしたたらすの路、 肉さかな、きやべつの路、 邪淫の路、 電車軌道のみちもせに、 犬、畜生をして純銀たらしむる、 疾患せんちめんたる夕ぐれの路、 ああ、素つぱだかの聖者の路。
合唱萩原朔太郎
5分以内
にくしん、 にくしん、 たれか肉身をおとろへしむ、 既にうぐひす落ちてやぶれ、 石やぶれ、 地はするどき白金なるに、 にくしん、 にくしん、 にくしんは蒼天にいぢらしき涙をながす、 ああ、なんぢの肉身。
岩清水萩原朔太郎
5分以内
いろ青ざめて谷間をはしり、 夕ぐれかけてただひとり、 岩をよぢのぼれるの手は鋼鐵なり、 ときすべて液體空氣の觸覺に、 山山は茜さし、 遠樹に光る、 わが偏狂の銀の魚、 したたるいたみ、 谷間を走りひたばしる、 わが哀傷の岩清水、 そのうすやみのつめたさに、 やぶるるごとく齒をぬらす、 やぶるるごとく齒をぬらす。
山頂萩原朔太郎
5分以内
かなしければぞ、 眺め一時にひらかれ、 あがつまの山なみ青く、 いただきは額に光る。
南の海へ行きます萩原朔太郎
5分以内
ながい疾患のいたみも消えさり、 淺間の山の雪も消え、 みんなお客さまたちは都におかへり、 酒はせんすゐにふきあげ、 ちらちら緋鯉もおよぎそめしが、 私はひとりぽつちとなり、 なにか知らねど泣きたくなり、 せんちめんたるの夕ぐれとなり、 しくしくとものをおもへば、 仲よしの友だちうちつれきたり、 卵のごときもの、 菓子のごときもの、 林檎のごときものを捧げてまくらべにもたらせり、 ああ、けれども私は
萩原朔太郎
5分以内
竹は直角、 人のくびより根が生え、 根がうすくひろごり、 ほのかにけぶる。
竹の根の先を掘るひと萩原朔太郎
5分以内
病氣はげしくなり いよいよ哀しくなり 三日月空にくもり 病人の患部に竹が生え 肩にも生え 手にも生え 腰からしたにもそれが生え ゆびのさきから根がけぶり 根には纖毛がもえいで 血管の巣は身體いちめんなり ああ巣がしめやかにかすみかけ しぜんに哀しみふかくなりて憔悴れさせ 絹糸のごとく毛が光り ますます鋭どくして耐へられず つひにすつぱだかとなつてしまひ 竹の根にすがりつき、すがりつき かなしみ心頭
夜景萩原朔太郎
5分以内
高い家根の上で猫が寢てゐる 猫の尻尾から月が顏を出し 月が青白い眼鏡をかけて見てゐる だが泥棒はそれを知らないから 近所の家根へひよつこりとび出し なにかまつくろの衣裝をきこんで 煙突の窓から忍びこまうとするところ。
たびよりかへれる巡礼のうた萩原朔太郎
5分以内
いすらへるよりかへり われはゆきのうへにたちぬ
祈祷萩原朔太郎
5分以内
あなたのめぐみをもて雪をふらしてください、 あなたのふしぎをもて牢獄の窓をあけてください、 あなたのおほみこころのみまへに、 わたくしの懺悔をささげまつる。
小春萩原朔太郎
5分以内
やはらかい、土壤の上に、 じつと私が坐つて居る、 涙ぐましい日だまりに、 白い羽蟲のちらちらもえ、 遠い春日のちらちらもえ。
萩原朔太郎
5分以内
いたましき芽は伸びゆけり、 春まだあさき土壤より、 いとけなき草の芽生はうまれいで、 そのこゑごゑはかしましく、 はるる日中の、 大空ふかくかがやけり。
三人目の患者萩原朔太郎
5分以内
三人目の患者は、 いかにもつかれきつた風をして、 べろりと舌をたらした、 お醫者が小鼻をとんがらして、 『氣分はどうです』 『よろしい』 『食物は』 『おいしい』 『それから……』 『それからすべてよろしい』 そして患者は椅子からとびあがつた、 みろ、歪んだ脊髓のへんから、 ひものやうにぶらさがつた、 なめくじの神經だの、くさつたくらげの手くびだの……。
敍情小曲萩原朔太郎
5分以内
きみがやへばのうす情け ほのかににほふたそがれに 遠見の松を光らしめ 遠見の櫻を光らしめ 浪は浪浪きみがかたへと。
もみぢ萩原朔太郎
5分以内
霜つききたり 木ぬれをそむると おもひしものを 庭にあづまやの 遠見をそめ うすべにさせる 魚をそめ わかるるきみの くちをそめ
春日詠嘆調萩原朔太郎
5分以内
ああいかなればこそ、 きのふにかはるわが身の上とはなりもはてしぞ、 けふしもさくら芽をつのぐみ、 利根川のながれぼうぼうたれども、 あすは逢はれず、 あすのあすとてもいかであはれむ、 あなあはれむかしの春の、 みちゆきの夢もありやなし、 おとろへすぎし白雀の、 わがゆびさきにきてしみじみとついばむものを。
吹雪萩原朔太郎
5分以内
わが故郷前橋の町は赤城山の麓にあり、その家竝は低くして甚だ暗し。
諷詩萩原朔太郎
5分以内
友だちはひどく歪んだ顏をしながら、 虱に向つて話をした。
絶望の足萩原朔太郎
5分以内
魚のやうに空氣をもとめて、 よつぱらつて町をあるいてゐる私の足です、 東京市中の掘割から浮びあがるところの足です、 さびしき足、 さびしき足、 よろよろと道に倒れる人足の足、 それよりももつと甚だしくよごれた絶望の足、 あらゆるものをうしなひ、 あらゆる幸福のまぼろしをたづねて、 東京市中を徘徊するよひどれの足、 よごれはてたる病氣の足、 さびしい人格の足、 ひとりものの異性に飢ゑたる足、 よつぱ
都会と田舎萩原朔太郎
5分以内
ひとり私のかんがへてゐることは、 もえあがるやうな大東京の夜景です、 かかるすばらしい都會に住んでゐる人たちは、 さかんなもりあがる群集をして、 いつも磨かれたる大街道で押しあひ、 入りこみたる建築と建築との家竝のあひだにすべりこむ、 そこにはさびしい裏町の通りがあり、 ゆがんだ酒場の軒がごたごたと混みあつてゐる、 だぶだぶとながれる不潔な掘割、 煤煙ですすぼけたその附近の悲しい空氣、 そしてせま
酒場にあつまる萩原朔太郎
5分以内
酒をのんでゐるのはたのしいことだ、 すべての善良な心をもつひとびとのために、 酒場の卓はみがかれてゐる、 酒場の女たちの愛らしく見えることは、 どんなに君たちの心を正直にし、 君たちの良心をはつきりさせるか、 すでにさくらの咲くころとなり、 わがよき心の友等は、多く街頭の酒場にあつまる。
よき祖母上に萩原朔太郎
5分以内
かの家の庭にさく柘榴の花、 あかるい日光の中にふるへる空氣のさびしみ、 年老いたる祖母上よ。
紫色の感情にて萩原朔太郎
5分以内
ああその燃えあがる熱を感じてゐる この熱の皮膚を しばしば貴女にささげる憂鬱の情熱を ただ可愛ゆきひとつの菫の花を 貴女の白く柔らかな肌に押しあてたまへ ここにはまた物言はぬ憂愁の浪 紫をもて染めぬいた夢の草原 ああ耐へがたい病熱の戀びとよ 戀びとよ 今日の日もはや暮れるとき 私は貴女の家を音づれその黒い扉の影に接吻しよう しほしほと泣く心の奧深く 貴女はその惠をたれ 慈愛をもて久遠の道を聽かせ
我れ何所へ行かん萩原朔太郎
5分以内
情緒よ ながい憂鬱のながれを視てゐると あまりに私の眺望もさびしくなる この日もすでにくれがた 人生の影ながき厭生哲學の書物をひらけば ああはや いみじくも芽ぐみきたる感情の昂進よ さばかり情愁のみどりをふくめば さびしき思想の倉庫をひらき 重たき黒の冥想の頭巾をとりて歩まん いざや歩み行かな。
眺望する萩原朔太郎
5分以内
すべては黒く凍つてゐる さびしくかたまる岩の上に みじめに歪んだ松の幹に 景色は凍え、飢ゑ、まづしく光つて叫ぶばかり。
別れ萩原朔太郎
5分以内
友よ 安らかに眠れ。
春昼萩原朔太郎
5分以内
うぐひすは 金屬をもてつくられし そは畔の暗きに鳴き 菫は病鬱の醫者のやうに 野に遠く手に劇藥の 鞄をさげて訪づれくる。
祈祷萩原朔太郎
5分以内
黄菊はすでに散つてしまつた 漕手よ 船路を遠くかへつてくる時 さびしい海鳥はますとに飛びかひ 日は憂鬱の浪にただよふ。
記憶萩原朔太郎
5分以内
記憶をたとへてみれば 記憶は雪のふるやうなもので しづかに生活の過去につもるうれしさ。
萩原朔太郎
5分以内
鶉や鷓鴣の飛びゆくかなたに ふたたび白堊の城は現はれ 風のやうに消えてしまつた。
南京陥落の日に萩原朔太郎
5分以内
歳まさに暮れんとして 兵士の銃劍は白く光れり。
広瀬河畔を逍遥しつつ萩原朔太郎
5分以内
物みなは歳日と共に亡び行く。
父の墓に詣でて萩原朔太郎
5分以内
わが草木とならん日に たれかは知らむ敗亡の 歴史を墓に刻むべき。
昔の小出新道にて萩原朔太郎
5分以内
兵士の行軍の後に捨てられ 破れたる軍靴のごとくに 汝は路傍に渇けるかな。
抒情小曲集萩原朔太郎
5分以内
私にとつて限りなくなつかしく思はれるは、この集にをさめられた室生の抒情小曲である。
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