ゆく春

萩原朔太郎

『ゆく春』は青空文庫で公開されている萩原朔太郎の短編作品。173文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。

文字数
5分以内173文字
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書き出し

おきつ邊かつ鳴る海青なぎ 今手に動ずる胸をおせば 哀愁ことごと浮び出でて たぎつ瀬涙の八千尋沼 ああ世は神祕の影にみちて 興ある歌もつ子等もあるに 何をか若きに眉根ひそめ 執着泣くべくえ堪へんや 例へば人あり花に醉ひて 秋雲流るる夕づつに 樂觀すぎしを思ふ如く 足ぶみせんなき煩ひかや   信なき一人に戀しさで   今年もさびしう春は行きぬ

初出
底本萩原朔太郎全集 第三卷
表記
旧字旧仮名