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森川義信の全作品

青空文庫で公開されている森川義信の全作品を、おすすめ人気順で表示しています。

1-50件 / 全51件
作品名著者読了時間人気
あるひとに森川義信
5分以内
もうとどかない花の日よりもさびしかつたつかれのやうに羞んで古い折返しの向ふへかくれたひとよもうとどかない花の日のやうにいつまでもぼくは考へてゐる。
森川義信
5分以内
貝がらのなかに五月の陽がたまつてゐる砂の枕がくづれるとぼくはもはや海の上へいたんだ心臓は波にさらはれ青絹の野原をきのふの玩具がうごいてゆく。
季節森川義信
5分以内
葉ざくらの蔭が青い硝子の花になりアメシストの鏡から水も流れてゐたな若い従妹たちの髪を歌のやうに洗つてゐたな。
漁村森川義信
5分以内
波がものを言ふやうになつてから誰も姿を見せない砂浜に抵抗する事を知らない貝殻のやうな女が私生児を抱いて立つてゐたそれは――生きる為には、生きる為には泥蟹をまで食べなければならぬ悲しい漁村の一つの姿である夢を見ることのゆるされない漁村の娘は今日泥蟹の殻ばかりを捨てに行くのだつた。
冬・断章森川義信
5分以内
鴉は――異教徒だ2誰だ――坂の上で笛を鳴らして逃げたのは母よ、もうラムプを消そう。
森川義信
5分以内
花の咲かない樹があつた樹の下には小鳥の死んでゐる鳥籠が鳥籠の揺れる窓はひらく日もなく硝子は曇つてゐた。
哀歌森川義信
5分以内
枝を折るのは誰だらうあはただしく飛びたつ影は何であらうふかい吃水のほとりからそこここの傷痕からながれるものは流れつくしかつてあつたままに暮れていつたいちどゆけばもはや帰れない歩みゆくものの遅速に思ひをひそめ想ひのかぎりをこめいくたびこの頂に立つたことかしづかな推移に照り翳り風影はどこまで暮れてゆくのかみづから哀しみを捉へて佇むとふとこころの佗しい断面からわたし...
森川義信
5分以内
どこかに妹がきてゐるtom・tomとゴムまりをついてゐるぼくの心のゴムまりを妹はtom・tomとだまつてついてゐる2もうとどかない花の日がぬれてゐる思ふことがみんな童話になつてはくづれてゆくふるいオルゴオルのふるい折返しからの歌よこはれた心のひびきよふるさとの声よ雨の音よ。
雨の日森川義信
5分以内
硝子窓から青猫がやつて来てぼくの膝にのるよろよろとまるで一枚の翳のやうなやつだ背をなでてゐるとぼうぼうと啼き出しぼくの腹の中までぼうぼうと啼き出しこいつこいつ…………だがお前の眼のうるんだ青白い幻燈よゆううつな向日葵のやうにくるりくるりと黒繻子の喪服の似合ふ貴婦人かお前は晩秋のやうにぼくの膝にやつてくる苦い散薬の重いしめりに色変へるまで青猫を思索するぼくの若さよ何年も座つてゐたやうに立ち上り窓に...
あるるかんの死森川義信
5分以内
眠れやはらかに青む化粧鏡のまへでもはやおまへのために鼓動する音はなくあの帽子の尖塔もしぼみ煌めく七色の床は消えた哀しく魂の溶けてゆくなかではとび歩く軽い足どりも不意に身をひるがへすこともあるまいにじんだ頬紅のほとりから血のいろが失せて疲れのやうに羞んだままおまへは何も語らないあるるかんよ空しい喝采を想ひださぬがいいいつまでも耳や肩にのこるものがあつただらうか眠るがいいや...
雨の出発森川義信
5分以内
背中の寒暖計に泪がたまる影もないドアをすぎて古びた時間はまだ叩いてゐるあれは樹液の言葉でもない背中の川を声だけで帰つてゆくものたち。
断章森川義信
5分以内
おほくの予感に充ちおまへの皮膚にはとどかずはるかに高い所をわたつたあの鋭い動きさへ速かに把へたのに精神よ季節は錆だ新しい時へ歩みを移すこともできず灰は灰に石は石に還つたしかしそれらの冷やかさを身をもつて感じてゐることはもつと不幸だつた。
冬の夜の歌森川義信
5分以内
私は墜ちて行くのだ破れた手風琴の挽歌におくられて古びた天鵞絨の匂ひに噎び黝い霧に深く包まれてゆふぐれの向ふへと私は墜ちて行くのだ今はこの掌に触れた蒼空もなく胸近く海のやうに揺れた歌声も――どうしたのだ私の愛した小さくて美しかつたものよ小鳥たちよ草花たちよ新月よ青い林檎よしきりに眩暈がおしよせる心には悔恨が一本の太い水脈となり――陰鬱な不協和音が青く戦き狂つたヴイオロンが駈け廻り...
衢路森川義信
5分以内
友よ覚えてゐるだらうか青いネクタイを軽く巻いた船乗りのやうにさんざめく街をさまよふた夜の事を――鳩羽色のペンキの香りが強かつたね二人はオレンジの波に揺られたねお前も少女のやうに胸が痛かつたんだろ?友よあの夜の街は新しい連絡船だつたよ窓といふ窓の灯がパリーより美しかつたのを昨日の虹のやうにぼくは思ひ出せるんだそれから又お前の掌と言葉と瞳とがブランデーのやうにあたたかく燃えた事も友よお前は知ら...
廃園森川義信
5分以内
骨を折る音その音のなかに流れる水は乾き菫色の空は落ちて石に濡れた額は傾くままに眠つたみえない推移の重さにみえない推移の重さに眼をとぢて凍える半身は崩れるもの影とともに忘却をまつた想ひ出せないのかゆくひとよかつては水の美しいこりんとの町にゐたことをいちどゆけばもはや帰れないことをいつからおまへは覚えたのか梢ちかく羽ばたく音はなく背中につつかかる微風は更になく...
廃園森川義信
5分以内
骨を折る音その音のなかに流れる水は乾き鳶色の風は落ちて石に濡れた額は傾くままに眠つたみえない推移の重さに骨を折る音その音のなかに佯りの眼を閉ぢて凍える半身は倒れるもの影とともにうつしく忘却をまつた骨を折る音その音のなかにおまへを鞭うつものはすでにない目かくしをする掌もなくいのちににじむ明りもない凭れかかる肩もなく壊れてゐる家具さへない...
森川義信
5分以内
春の帽子を振らう。
森川義信
5分以内
風船にひつぱられて小鳥は中空たかくのぼつていつた風船はくるめく日傘をまはしあたたかな銀の雨を降らした小鳥はむしやうにうれしくなり力いつぱいそのすずを鳴らしたそれにしても風船にのれない重たい心――ぼくは丘のクツサンの中でじたばたするあばらに生えた青麦の芽をむしりながら。
森川義信
5分以内
扉や窓を濡し支柱や車輪を濡し出ていつた音よ仄かな調和のどこにも響はすでに帰らない色彩はなく無表情の翳がうかびしづかな匂ひがひろがり脱落するシヤツのあとにはあやまちのごとく風が立つた柱廊はひきつり手すりはくづれ静止した平面は静止した曲面とともにいちぢるしく暮れたきびしく遅速をかぞへる時差のそとに屹立する実体もまたひとつの影像である壊れた通路を...
季節抄森川義信
5分以内
葩束を編みながら美しく羞むひとよ夕べバルコンの影の跫音の言葉ならはるかな愛情も匂ふでせう★梢に鴉の喪章はゐない***新しいアアチの青貝路にペンキの響き自転車で春の帽子がかけてくる★樹樹の梯子を登りをりして歌ふものたち***花に飾られた日射しの緑のブランコの優しい肩にのりあなたは空まで駈けあがる★雲がじぶんでドアをあける光りにまじつて小鳥の声もおちてくる...
季節抄森川義信
5分以内
※梢が空にとどいてゐる美しい樹々よ花の咲かない…………花はなくともああせめてものわが願い※樹々の編む光りのハンモツクに僕はつつましく腰をおろす風が静かにひかるときゆれないハンモツクで僕はそつと時間をみ失ふ※小さな口をあけてぽくぽくと駆けてくる波頭よさうして何も彼も洗ふがいい…………貝殻の中の小さな海にも冷い空が...
勾配森川義信
5分以内
非望のきはみ非望のいのちはげしく一つのものに向つて誰がこの階段をおりていつたか時空をこえて屹立する地平をのぞんでそこに立てばかきむしるやうに悲風はつんざき季節はすでに終りであつたたかだかと欲望の精神にはたして時は噴水や花を象眼し光彩の地平をもちあげたか清純なものばかりを打ちくだいてなにゆえにここまで来たのかだがみよきびしく勾配に根をささへふとした流れの凹みから雑草...
森川義信
5分以内
よりそふ暇もなくこみあげる約束はうばはれていつた疲れのやうに吃つてゐる炎よくづれる愛をさらに踏みしめ時間のかげに身をこがしてもじぶんの力で倒れかかり義足よ記憶は埋れ虚しい体温からすべての言葉はかへらないいまはとざされた扉も消え匂ひににた沈黙もなく夜の静脉がかなしく映えてゐる。
衢にて森川義信
5分以内
翳に埋れ翳に支へられその階段はどこへ果ててゐるのかはかなさに立ちあがりいくたび踏んでみたことだらうものいはず濡れた肩や失はれたいのちの群をこえけんめいにあふれる時間をたどりたかつたあてもない歩みの遅速のままにどぶどろの秩序をすぎもはや美しいままに欺かれうつくしいままに奪はれてゐたしかし最後の膝に耐えこみあげる背をふせはげしく若さをうちくだいて...
虚しい街森川義信
5分以内
白亜の立体もひたむきな断面もせつない暗さの底へ沈みつつ沈みつつ翳に埋れ影に支へられその階段はどこへ果ててゐるのかはかなさに立ちあがりいくたび踏んでみたことだらう煙のある窓ちかく自ら扉はひらきそこに立ち去る気配もなかつた忘れられた木の椅子のほとりから哀れな水の匂ひがひろがり脱落するしやつのあとにはあやまちのごとく風が立つたあのふしあはせな鳶色の時間には美...
眠り森川義信
5分以内
骨を折る音その音のなかに流れる水は乾き鳶色の風はおちて石に濡れた額は傾くままに眠つたみえない推移の重さに骨を折る音その音のなかに。
習作森川義信
5分以内
テラアスにちかい海の日はアメシストの鏡から水もながれるだから頬をみがけぼくのアリサ葉ざくらのかげでお前は青い花だ2ハアプがながれてゐる月夜葡萄の木蔭はフオルマリンの匂ひがいつぱい歌のやうにぬれたこころをこほろぎがくすぐりはじめる。
歌のない歌森川義信
5分以内
この傾斜ではお伽話はやめてこはれたオペラグラスでアラベスク風な雨をごらんひととき鳩が白い耳を洗ふとシガーのやうに雲が降りて来てぼくの影を踏みつけてゐる光のレエスのシヤボンの泡のやうに静かに古い楽器はなり止むそして…………隕石の描く半円形のあたりでそれはスパアクするカアブする匂ひの向ふに花がこぼれる優しい硝子罎の中ではひねくれた愛情のやうにぼくがなくした時刻をかみしめる...
あの人森川義信
5分以内
芹をつむ芹の沼べり今日もまためだかが浮いた肩あげの肩が細いとあの人はやさしく言つた名も知らぬ小鳥が鳴いた讃岐の山雲が通つたあの人は麦笛ふいた泪ぐみ昼月みて聴いた肩あげの肩も抱かずにあの人は黙つて去つた芹かごの芹のかほりがしんしんと胸に沈んだ。
青き蜜柑森川義信
5分以内
愁ひ来て丘にのぼりて酸の香る蜜柑もぐなり悲しみの青き蜜柑を栗林こえて見ゆるは背きにし君の町なるぞゆふぐれに深く沈みて掌にしみる青き蜜柑よそをかみて何を思はむ昔の日は皆空しきにああされど君も寂しとこの丘の青き蜜柑のその香りなぜか愛でたり自らの影をふみつつゆふぐれの丘を下りき掌に悲し青き蜜柑よ。
森川義信
5分以内
※遠い鈴銀の鈴何かきこえる※そつとお祈りすると金の糸が胸まで届くああ小さな幸福!※まだ見ぬ少女。
森川義信
5分以内
星は夢の様に美しくかなしい星は思ひ出の様になつかしくわびしい故里を遠くはなれた旅人は星を見れば故里を思ひ出すだらう――明り星の出てゐる故里の山を星の様にやさしく星の様にうるんだ父母の瞳を……妹よ!窓をしめてくれ星が流れる星が妹よ!窓をしめてくれ――又思ひ出してはならぬものを思ひ出すだらうから。
別れ森川義信
5分以内
ゆふぐれを君みおくりてばらの実の丘にのぼりつ鳩笛のおとに濡れゆくよは肩の君のほそさよこの赤きばらの木の実ををとめの日君はめでしにおそ秋の小径に消ゆるうしろ姿の君は悲しき暮れなやむ丘にたたずみばらの実をしみじみとみき。
別れ森川義信
5分以内
別れの馬車の鈴の音がつらい心をまたせめる日暮峠でみかへれば山が霞んで遠くなる寒い夜風に町の灯が悲しく遠くゆれてゐる馬車の窓から故山見れば空にほんのりおぼろ月(四・十二)。
森川義信
5分以内
義足のごとくつつ立つものの向ふに新月はかへれない緑の時差を示し地軸は若い意志のなかで折られた38.12.10。
幻燈森川義信
5分以内
せるろいどのやうにふるへるむかしむかしのお姫さまよ童話の向ふから童話のやうに掌をあげて黒びらうどの青い喪服がよく似合ふあれあれ木馬もお通りなさるがたがた首をゆさぶりはげ落ちた灰色の眼で何を見つめるのやらみんなみんな蒼白いせるろいどの向ふよみんなみんな幻燈の様に通りすぎた昔よ黒びらうどのお姫さまよはげ落ちて歩けない木馬よ幻燈の後に残されたわたしよ一枚の絵のないふいるむよ。
ジンタ森川義信
5分以内
ジンタは寂しい港町です朔風にうらぶれた潮騒です吐息のやうにとぎれては続きます濡れてゐるやうに泣いてゐるやうにラツパ・たいこ・クラリオ(ママ)ネツトジンタは冬がやつて来た港町です昨日の唄を昨日の生活を潮騒のやうに歌つて通ります。
森川義信
5分以内
意欲のやうに烈しく流れ何をまた恐るのだらう或る時は漂漂と過ぎるもの季節の上を季節のやうに※未完※。
樹樹森川義信
5分以内
つつましい文字のやうにその指を組みいまじぶんの脚で立つてゐた空にとどいた梢に天使のやうな雲がふとつつかかると花の咲かない樹樹はそのほそい指のあひだからおびただしいいのちを零した38.11.20。
帰村森川義信
5分以内
寒々と背姿の林は続き連峯は雪よれよれの路はまた坂になり鴉はあをあをと山蔭に群がりああ少年の日の悲歌が甦(よみが)へるゆふぐれよりも早くぱらぱら何時かのように村は花を灯し村はまた何かを悲しむであらうこんなにも林の多い路だつたかと少年の日のふるさとに――傷心のわたしであつた。
森川義信
5分以内
枯れ葉は足につつかかり街燈はぬれてまたたき霧さへ降つてゐたおそい街の夜だつたお前は人の歌をそつと歌ひお前は思い出したやうに歩いた僕たちの街と本当に言へただらうか美しい愛情の破片がそこに花咲いてゐただらうかあきらめたやうに枯れ葉をふみ街燈の下を深海魚のやうになぜ歌つて歩かねばならなかつたのだらうそんな僕たちの街ではなかつたか――。
霙の中森川義信
5分以内
妹よあの跫音は何であらう喪はれた美しい日々の歌声ではない今日も夕暮近い霙の中を通つてよ怖ろしい鴉の黒い群であらうか散薬の重いしめりに病み呆(ほほ)けたわたしの胸にやつて来てわたしの肋骨をこつこつとたたく何であらう妹よお前さへ居ない此の部屋をこつこつとたたくのはいつたい何であらう霙のやうに冷たい死の掌か――霙のふる夕暮は霙のふる夕暮に似てさびしい私の若さ・いのちであるのだ...
悒鬱な花森川義信
5分以内
はながさいてゐる目をつむつてぼくは見てゐるはなびらは色をうしなひあを白くうなだれて……はななればはなのやうになぜ笑はないのだらうはながさいてゐる目をそつとつむるといつでも黙つてさいてゐる背中をむけて向ふを向いて悒鬱な花よ匂ひのない――花ならば花のやうに……。
残像森川義信
5分以内
翳だけがささへてゐるあなたの重量からゆめの耳もみえない疲れのやうに羞んでよりそへば傷ついてゐる言葉たちどもつて吃つてわたしはじぶんの位置をかんがへる。
(上等兵安藤孝雄を憶ふ)森川義信
5分以内
友よお前は二十歳ひととき朔北の風よりも疾くお前の額を貫ぬいて行つたものについてはもう考へまいわたしは聞いた大きな秩序のなかにただはげしい意欲をお前の軍靴の音をわたしの力いつぱいの背のびではとどかない流れよ幅広い苦悩のうねりよ友よ二十歳の掌のなかで燃えたものよ。
(無題)森川義信
5分以内
風だ恐りながら憎悪の波をわたるひとすじの突風だ翼や枝をたたき折りはるかな色彩をかき乱しあの断崖の一角からつき落された重量だ。
帰らぬ春森川義信
5分以内
雲のたゆたう丘の上にほろり散つたはべに椿呼べども逝つた春の日の悲しい私のゆめかしら柳の新芽もほの匂ひ燕も来たに口づけて水に流した木れんはどこへ流れて行つたやら。
旅人の唄森川義信
5分以内
旅は泪よ故里はまだかよその日その日の夢になく運命に弱い我は悲しい渡り鳥旅は夢かよ春も逝くかよ柳の雨に濡れて泣く燕でないが我も悲しい渡り鳥―10・5・4―。
高館森川義信
5分以内
高館に登りて見れば小糠雨烟りて寒く朽ちかけし家のほとりの高き木に鳴く蝉かなし苔かほる古き木に倚りその昔の人をしのべど木々に吹く風も寂しく消えて行く思ひ儚し遠山の淡くけむりて北上は北の果よりその昔の夢を語らずうね/\とうねりて流る故郷を遠くはなれて旅に見る夢跡かなし生ひ繁る草木の緑高館に吹く風寒し。
高館森川義信
5分以内
草深きなかに訪ねし夢跡の寒きかなしさ朽ち柵に倚れば仄かに胸にしむ旅のうれひよ緑濃きなかに見出でし人の世のさぶしさ夢を皆遠く流せし北上が瞳にしみる。
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