ブンゴウサーチ

雨の日

森川義信

『雨の日』は青空文庫で公開されている森川義信の短編作品。368文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。
文字数
5分以内
368文字
人気
0PV
書出

硝子窓から青猫がやつて来てぼくの膝にのるよろよろとまるで一枚の翳のやうなやつだ背をなでてゐるとぼうぼうと啼き出しぼくの腹の中までぼうぼうと啼き出しこいつこいつ…………だがお前の眼のうるんだ青白い幻燈よゆううつな向日葵のやうにくるりくるりと黒繻子の喪服の似合ふ貴婦人かお前は晩秋のやうにぼくの膝にやつてくる苦い散薬の重いしめりに色変へるまで青猫を思索するぼくの若さよ何年も座つてゐたやうに立ち上り窓に...

初出「裸群」
底本増補 森川義信詩集
表記
新字旧仮名
※「人気」は青空文庫の過去10年分のアクセスランキングを集計した累計アクセス数から算出しています。