雨の日

森川義信

『雨の日』は青空文庫で公開されている森川義信の短編作品。313文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。

文字数
5分以内313文字
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書き出し

硝子窓から青猫がやつて来てぼくの膝にのる よろよろとまるで一枚の翳のやうなやつだ 背をなでてゐるとぼうぼうと啼き出し ぼくの腹の中までぼうぼうと啼き出し こいつ こいつ ………… だがお前の眼のうるんだ青白い幻燈よ ゆううつな向日葵のやうにくるりくるりと 黒繻子の喪服の似合ふ貴婦人か お前は晩秋のやうにぼくの膝にやつてくる 苦い散薬の重いしめりに 色変へるまで青猫を思索するぼくの若さよ 何年も座

初出「裸群」
底本増補 森川義信詩集
表記
新字旧仮名