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漁村

森川義信

『漁村』は青空文庫で公開されている森川義信の短編作品。156文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。
文字数
5分以内
156文字
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書出

波がものを言ふやうになつてから 誰も姿を見せない砂浜に 抵抗する事を知らない貝殻のやうな女が 私生児を抱いて立つてゐた それは――生きる為には、生きる為には      泥蟹をまで食べなければならぬ      悲しい漁村の一つの姿である 夢を見ることのゆるされない漁村の娘は 今日泥蟹の殻ばかりを捨てに行くのだつた

初出「若草」1935(昭和10)年3月
底本増補 森川義信詩集
表記
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