霙の中
森川義信
『霙の中』は青空文庫で公開されている森川義信の短編作品。201文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。
| 文字数 | 5分以内 201文字 |
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| 書き出し書出 | 妹よ あの跫音は何であらう 喪はれた美しい日々の歌声ではない 今日も夕暮近い霙の中を通つてよ 怖ろしい鴉の黒い群であらうか 散薬の重いしめりに病み呆けた わたしの胸にやつて来て わたしの肋骨をこつこつとたたく 何であらう 妹よ お前さへ居ない此の部屋を こつこつとたたくのは いつたい何であらう 霙のやうに冷たい死の掌か―― 霙のふる夕暮は 霙のふる夕暮に似て さびしい私の若さ・いのちであるのだ 妹 |
| 初出 | |
| 底本 | 増補 森川義信詩集 |
| 表記 |
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