哀歌

森川義信

『哀歌』は青空文庫で公開されている森川義信の短編作品。227文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。

文字数
5分以内227文字
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書き出し

枝を折るのは誰だらう あはただしく飛びたつ影は何であらう ふかい吃水のほとりから そこここの傷痕から ながれるものは流れつくし かつてあつたままに暮れていつた いちどゆけばもはや帰れない 歩みゆくものの遅速に 思ひをひそめ 想ひのかぎりをこめ いくたびこの頂に立つたことか しづかな推移に照り翳り 風影はどこまで暮れてゆくのか みづから哀しみを捉へて佇むと ふと こころの佗しい断面から わたしのな

初出
底本増補 森川義信詩集
表記
新字旧仮名