廃園

森川義信

『廃園』は青空文庫で公開されている森川義信の短編作品。386文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。

文字数
5分以内386文字
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書き出し

骨を折る音 その音のなかに 流れる水は乾き 菫色の空は落ちて 石に濡れた額は傾くままに眠つた みえない推移の重さに みえない推移の重さに 眼をとぢて凍える半身は 崩れるもの影とともに忘却をまつた 想ひ出せないのか ゆくひとよ かつては水の美しい こりんとの町にゐたことを いちどゆけばもはや帰れないことを いつからおまへは覚えたのか 梢ちかく羽ばたく音はなく 背中につつかかる微風は更になく 花の根も

初出
底本増補 森川義信詩集
表記
新字旧仮名