冬の夜の歌
森川義信
『冬の夜の歌』は青空文庫で公開されている森川義信の短編作品。324文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。
文字数 | 5分以内 324文字 |
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書き出し書出 | 私は墜ちて行くのだ破れた手風琴の挽歌におくられて古びた天鵞絨の匂ひに噎び黝い霧に深く包まれてゆふぐれの向ふへと私は墜ちて行くのだ今はこの掌に触れた蒼空もなく胸近く海のやうに揺れた歌声も――どうしたのだ私の愛した小さくて美しかつたものよ小鳥たちよ草花たちよ新月よ青い林檎よしきりに眩暈がおしよせる心には悔恨が一本の太い水脈となり――陰鬱な不協和音が青く戦き狂つたヴイオロンが駈け廻り... |
初出 | 「早稲田派」 |
底本 | 増補 森川義信詩集 |
表記 | 新字旧仮名 |
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