歌のない歌《夕暮に》

森川義信

『歌のない歌』は青空文庫で公開されている森川義信の短編作品。214文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。

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5分以内214文字
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書き出し

この傾斜では お伽話はやめて こはれたオペラグラスで アラベスク風な雨をごらん ひととき鳩が白い耳を洗ふと シガーのやうに雲が降りて来て ぼくの影を踏みつけてゐる 光のレエスのシヤボンの泡のやうに 静かに古い楽器はなり止む そして………… 隕石の描く半円形のあたりで それはスパアクするカアブする 匂ひの向ふに花がこぼれる 優しい硝子罎の中では ひねくれた愛情のやうに ぼくがなくした時刻をかみしめる

初出「ル・バル 18輯」1938(昭和13)年11月30日
底本増補 森川義信詩集
表記
新字旧仮名