5分以内で読める青空文庫の短編作品
青空文庫で公開されているすべての著者の作品の中で、おおよその読了目安時間が「5分以内」の短編作品を、おすすめ人気順で表示しています。
| 作品名 | 著者 | 読了時間 | 人気 |
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青空文庫で公開されているすべての著者の作品の中で、おおよその読了目安時間が「5分以内」の短編作品を、おすすめ人気順で表示しています。
| 作品名 | 著者 | 読了時間 | 人気 |
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| 作品名 | 著者 | 読了時間 | 人気 |
|---|---|---|---|
| 探偵小説作家の表現力 | 佐藤春夫 | 5分以内 | |
この間一人の客の話に、先日探偵小説家の年間作品集を通読して巻末に附録した井上靖氏の一作に及んで井上氏の表現力と他の探偵小説家のそれとの雲泥も啻ならぬ差違に唖然とした。 | |||
| 朝めし | 山本周五郎 | 5分以内 | |
幾たびか書いたことだが、私は朝めしは自分で作って喰べる。 | |||
| お手洗 | 山本周五郎 | 5分以内 | |
芝居を観るのに客席に坐らず、監事室で観るのは本式ではない、と常々思っている。 | |||
| 北へ傾がった家 | 山本周五郎 | 5分以内 | |
何月ぶりかに来た若い客が、迷わずに来たといって自慢そうな顔をした。 | |||
| 酒屋の夜逃げ | 山本周五郎 | 5分以内 | |
こういう題をみると、人びと――少なくとも酒呑みに属する人びとは膝を乗り出すだろうと思う。 | |||
| 多忙 | 山本周五郎 | 5分以内 | |
どうもいそがしくてしようがない。 | |||
| 年齢について | 山本周五郎 | 5分以内 | |
ちかごろ、批評家やまわりの友人たちが、しきりに私の年齢のことをあげつらう。 | |||
| 某月某日 | 山本周五郎 | 5分以内 | |
仕事に明け仕事に昏れるという生活で、あまり人とも会わず、会うのは殆んどが仕事に関する人だけで、家族とも離れているから、特に「某月某日」というような変ったことはない。 | |||
| 某月某日 | 山本周五郎 | 5分以内 | |
午後十時すぎ。 | |||
| 八百長について | 山本周五郎 | 5分以内 | |
このごろ「八百長」ということがしばしば問題になるが、「八百長」そのものよりも、それをとりあげていきりたつ側のほうが、私にはひどく興ざめに感じられる。 | |||
| 武家の食生活 | 山本周五郎 | 5分以内 | |
「現在かくの如く切迫した決戦期にあり、国民の多くが一人で二人前も三人前も働いている時そしてその戦闘労力の要求が更に増大していくと信ぜられる時に、主食一割減という事実は各方面にかなり大きな問題を投げているようです」私がそういった。 | |||
| 堀口さんとメドック | 山本周五郎 | 5分以内 | |
昭和二十年の五月だと思うが、ある人を介して堀口九萬一さんからお招きをうけた。 | |||
| オリンピック讃歌について | 野上彰 | 5分以内 | |
「健康な身体に健全な精神が宿る」というギリシヤの有名なことわざがある。 | |||
| オリンピック讃歌 | コスティス・パロマ | 5分以内 | |
大空と大地に 清気あふれて 不滅の栄光に輝く 高貴と真実と 美をば造りし 古代の神霊を崇めよ すべての競技に ふるいたてよ みどりの枝の栄冠を めざしてここに 闘う者に 鉄のごとき力と 新たなる精神とを あたえよ 野山も海原も いまこそきらめく 真紅と純白の神殿に 世界の国民 四方の国より 聖なる園に 集いきたるは 古き昔の 永遠なる精神の 御前にひれふすためぞ | |||
| 自慢山ほど | 横光利一 | 5分以内 | |
何月何日、忘れた。 | |||
| 屋根の上 | 原民喜 | 5分以内 | |
かちんと、羽子板にはねられると、羽子は、うんと高く飛び上ってみました。 | |||
| 「詩集 登高」跋 | 原民喜 | 5分以内 | |
一九四三年の秋であった。 | |||
| おくのほそ道 | 杉浦正一郎 | 5分以内 | |
一 本書は『おくのほそ道』および門人曾良の『隨行日記』(ただし元祿二年九月一〇日以降の分は省略)を飜刻し、脚註を加えたものである。 | |||
| 細雪妄評 | 永井荷風 | 5分以内 | |
小説の巧拙を論ずるには篇中の人物がよく躍如としているか否かを見て、これを言えば概して間違いはない。 | |||
| 現代語訳 平家物語 | 尾崎士郎 | 5分以内 | |
私は、子供の頃から薩摩琵琶が好きだったので、大きくなってから自分で弾奏をやりながら歌ったこともある。 | |||
| 緑色の透視 | 左川ちか | 5分以内 | |
一枚のアカシヤの葉の透視 五月 其処で衣服を捨てる天使ら 緑に汚された脚 私を追いかける微笑 思い出は白鳥の喉と なり[#「喉と なり」はママ]彼女の前で輝く いま 真実はどこへ行った 夜露でかたまった鳥らの音楽 空の壁に印刷した樹らの絵 緑の風が静かに払いおとす 歓楽は死のあちら 地球のあちらから呼んでいる 例えば重くなった太陽が青い空の方へ落ちてゆくのを見る 走れ! 私の心臓 球になっ | |||
| 眼 | 片山敏彦 | 5分以内 | |
寂寥の中で見開く眼がある おもむろな、必然な絶望の中で生きて来る眼がある。 | |||
| 死体置場への招待 | 森於菟 | 5分以内 | |
拝啓 お嬢さん、わたしは死体屋です。 | |||
| 象徴の烏賊 | 生田春月 | 5分以内 | |
或る肉体は、インキによつて充たされてゐる。 | |||
| 滅亡の喜び | 生田春月 | 5分以内 | |
一 我が肢は甘くたるみて 痛む頭もこゝろよし、 この頭くらく、めくるめくとき、 失ひし楽園は幻に見ゆ。 | |||
| 愛は終了され | 萩原恭次郎 | 5分以内 | |
母の胸には 無数の血さへにじむ爪の跡! あるひは赤き打撲の傷の跡! 投石された傷の跡! 歯に噛まれたる傷の跡! あゝそれら痛々しい赤き傷は みな愛児達の生存のための傷である! 忘れられぬ乳房はもはや吸ふべきものでない 転居の後の如く荒れすたれ あゝ 愛はすでに終了されたのだ! さるを今 ふたゝび母の胸を蹴る! 新らしき世紀の恋人のため! 新らしき世界に青年たるため! あゝ われ等は古き父の遺跡 | |||
| 装甲弾機 | 萩原恭次郎 | 5分以内 | |
近代的都市の飛躍雑踏中に 我は装甲の巨大なる弾機を見る 気まぐれなる煙りを吐き乍ら 鈍重なる無愛嬌者 彼は軍隊式に声を発し 都会の嗜好す 甘美や色彩や繊細を知らず 強い黄色の煙りを吐きちらし 都会をよごし気をわるくし 驚き易い心臓を圧迫さす 彼は弾丸や群集の心に従はない 最も真赤き野蛮な心臓をもつ 意のまゝ飽くまで 資本化した雑踏の世界に耐へ 混乱への強い強い出現! おゝ 過敏なる女性美文明 | |||
| 離れてゆく秋 | 萩原恭次郎 | 5分以内 | |
鴎はシグナルのやうに飛び交ふ! 海底に私は濡れた火薬として沈む! 赤いマストは折れてドテツ腹を突き通してゐる! 君の心臓には黒い無為の切手が刷つてある! 錨の上らない程の海の憂愁は 幾匹もの魚を胸に泳がせる! 寒流である――――――――● ● ● 鋏で切られてゐる空だ! 握手にのみ充満と爆発はひそむ! すでに秋は海底から熱情に錆びをあたへる! 「さようなら!」 | |||
| 日比谷のベンチで | 萩原恭次郎 | 5分以内 | |
日比谷のベンチで 雪と愛が悲しいSの字を描いてゐる 青い魚がどこともなく泳いで 空に寒い街並みが映つてゐる 頭の中に恋人の欧文字があつた 棄てゝある蜜柑の皮は自らを嘲笑ふ赤い舌である! | |||
| 「野菊の如き君なりき」を見て | 中野鈴子 | 5分以内 | |
湧く水のように 自然の素直さ 自然の親しさ 親しさの深まった 少女と少年の 永遠をねがう二人の 愛 親しみ 子供から大人へ 成長してゆく ありのままの 素直なねがい りんどうと野ぎくと 花にたとえて りんどうの花しか知らぬ 触れもせぬ 野菊の花の りんどうの花しか知らぬ 子供をみもごり 死んだ方がいいのです 死んだ手に りんどうの花と手紙とにぎられていた | |||
| 妹 | 中野鈴子 | 5分以内 | |
妹は出かけて行った 一か月に一回の面会を 三か月のばして やっと出かけて行った タンスの底の しめっぽくなっているきものを引っぱり出し 右と左のびっこの足袋をはいて―― 妹はモチ米を一斗さげて行った 米を代えて汽車賃をつくるためだった 停車場 汽車の中 歩く道にもヤミ米テキハツの警官が立っている 妹は 一斗の米をふた包みにし、軽い風呂しき包みにみせかけ奥さん風に停車場を降りた いま降りた乗客 | |||
| おとろえ 1 | 中野鈴子 | 5分以内 | |
人の作品をみてから その人のことが気になって仕方がない こういう気持ちの行く手には恋が立っていることにもなるのだろう そう思ったら涙が出てきた | |||
| おとろえ 2 | 中野鈴子 | 5分以内 | |
陽が かげってくるとほっとする 夜が来ると 過ぎた年月が闇の底に埋められるような気がする | |||
| 壁と重石と | 中野鈴子 | 5分以内 | |
山裾を走る電車の窓からみた 紋入りに染め上げたおおいをかけ ふたつの車に積みあげた嫁入り道具が いま村の端を出かかったところを 春はやいくもり日が暮れかけていた 荷物は運ばれるのだ うすぐらい物置き倉 古ぼけた姑の箪笥と並ぶために 生まれた家と親とが この荷物を背負わせ 娘を押し出す 娘は のろのろと家を出てゆく 荷物と娘と一束にして計量にかけ むすめのいのちに手づけが打たれてしまった 荷物 | |||
| 君すでに | 中野鈴子 | 5分以内 | |
君 すでに半身なり 君 すでに片足なり 二つの命 持ち寄りて 全き一つでありし 夫と君 君が夫 戦線に散りたり 君が命 割れたるなり 君なおも 家と裔を守るなり | |||
| 今日はよく晴れ上がって | 中野鈴子 | 5分以内 | |
今日はよく晴れ上がって 村じゅうの苗代に種がまかれた 鍬では切れない土のかたまり 切り株の切れ端を深く埋める 手で埋めて撫でてゆく きれいに水をはって消毒した種をまく 雨のふらない風の吹かない晴れた日にまく わたしは外へ立ちながら苗代の人だかりの方をながめていた いろりの場所ほども耕されたらと笑われながら田圃に入り 足りないところは田圃を売り 病気の母を放っておき 湯もわかさず 破れた傘もそのま | |||
| 五十の春に 1 | 中野鈴子 | 5分以内 | |
一 からだに合わぬ体 こころに合わぬ心 胃に腹に切開手術を受け 一つの手紙もない 二 きのうはすでに 去年の雪と思え 消えたと思え 来年は向こうからやってくる 明日もやってくる はじめての人も 新しい言葉も | |||
| 五十の春に 2 | 中野鈴子 | 5分以内 | |
いまようやくここまで歩いてきたところだ 誰かが呼んだと思うときもあったが それは空耳だった 振り返って返事をしているわたしに 呼び止めたと思った人は気のつかぬ如く とっとっと先の方を歩いて行った わたしは一人とぼとぼここまでたどりついた 花の咲く頃には却って身を細くして 自動車をよけるような恰好になったものだ ようやくここまでたどりつき 山道にさしかかったところだ この山道を入ってゆくと道が分から | |||
| 冬の歌 | 三富朽葉 | 5分以内 | |
古家を洩れて 蒼い夕をおとづれる 沈黙の煙の翅。 | |||
| 猫 | 斎藤茂吉 | 5分以内 | |
私の家の※りにはいつも猫が五つも六つも集つて來てゐる。 | |||
| 三拍子 | 中野鈴子 | 5分以内 | |
夜中の十二時頃、おくさんが寝室からのぞく もう寝ていいですよ 足も頭も出てしまう夜具 見たこともない短いふとんの中へ たおれるように 夜中に、二、三度はね起き はなれた部屋まで時計を見にゆき 広いエンガワ 広いタタミ 掃除 めしたき 赤ん坊を背中にくくり 破れたふとんを片っ端から解いて洗って綿を入れ 縫いはじめては手をはなし 買い物に走り 洗い物は朝と晩 五本のサオにいっぱい 光がななめに | |||
| 四月の夜 | 中野鈴子 | 5分以内 | |
油気を食べてはいけない アルコールはなめてもいけない つかれることはいけない あんまり話もつづけられない あんまり本もよみつづけられない 手紙を書くことは 返事を要求することになるので手紙も書けない それで 郵便もこない 役場の税金 村の盛金 寄附の金らは 一反の田圃から五俵の純益あるものとして割り出されている 田圃一反から 米七俵実る 雇人の賃金一反につき 米二俵半 肥料代一反につき 米 | |||
| 霜のように | 中野鈴子 | 5分以内 | |
若いときは やみくもに雲にのせられてしまう 年を重ねてからは何も彼も 霜のようにおりて来る | |||
| 心臓 | 中野鈴子 | 5分以内 | |
心臓の上に重い石が載っている 心臓は重い石の下でメートルグラスをつかまされている メートルグラスの中には何も入っていない そしてメートルグラスに革のムチが下がっている 革のムチに鮮やかに濃い字が記されている 正しく適切にと 心臓は破れて血を出しながらふるえている | |||
| 花束 | 中野鈴子 | 5分以内 | |
いくつもの花束をわたされ わたしはうっ伏してしまった 花束をあたまにかぶり 泪はふりあふるる 我が師 友どち 酒をくみ こと挙げて まずしき詩集を祝いいただく 何にたとえん わが生きの日の | |||
| 地震 | 中野鈴子 | 5分以内 | |
家はくずれていた 倉も納屋も 全部の屋根 門もくだけ ヘイもたおれ 石垣の石ひとつのこさず 家の中にあったもの 倉にいっぱい押し込められた 長持ち タンスども 美しい瀬戸物類 昔古来のガンジョウな遺物 ことごとく形をなくした 立ち木だけが突っ立って 何一つない 池にも水は絶え 古い柱 黒い板戸 大きな屋根 厚い壁 壁の土 机と太鼓 静かな音を出した門のあく音 湧き出た冷たい井戸 井戸水にあふれた | |||
| 竹の皮の飴包み | 中野鈴子 | 5分以内 | |
どのお菓子屋の店先もくじを当てる時のような人だかり 露店商人らは 飴市に限って軒を並べない 町の角 角に 雪があれば 雪の上 土が見えれば板を敷き 白木造りの大きな桶に 飴を山盛りにする 飴は大きな かたまり コハク色を帯びて 黒ゴマがふりかかっている 小さな城下町 小一里向こうに国境の山々がずっとつらなる 北陸の丸岡の町に 年に一度 飴市がたつ 二月はじめのこの日は 毎年吹雪く 一里四方の村 | |||
| 著者におくる | 中野鈴子 | 5分以内 | |
今ここに君を見る 昔の姿そのままに 若き日に志したる 君が望み 君が年輪に添い磨き輝く 立派なる結実よ はじめて 君を見し時 君は人の家に我ならぬ日を送りてありき 君あまりに若く こころ失わんとし 立ち出でんとし 路分かたず われ君を祈り 祈ることを与えられしに 黒き手 十八の我を阻みぬ われは狂い 狂いたれども 我は君を離れたるなり 十数年の歳月去り 今ここに君を見る 立派なる結実よ 手に | |||
| 突然に | 中野鈴子 | 5分以内 | |
突然に 真夜中の一時五十五分に呼吸を断たれた 五十一年を生きた人 あなたは生まれた 比類ないものを持って 満ちあふれた輝き あなたは出て立って行った じゅうたんを蹴って 素足のまま むき出した心臓を 荒風の中に 額を打つ嵐の中へ…… 一すじに 一すじに あなたの剣は 敵の胸板にキリキリと深く あなたの火の言葉は 目つぶしの灰となって彼等の上に…… あなたの選ばれた言葉は ひらめきのように し | |||
| 友よ 友だちよ | 中野鈴子 | 5分以内 | |
わたしは 三度目の開腹手術を受けるために 行ってきます 友よ 手術をしなければならぬということは 命があるということです いろいろの 心のキズを耐え 力あつめて立ちつづけてきた 体に三度目のメスを受けねばならぬ 黄色い目じりから泪がにじんで流れようとする 友よ 手術をしなければならぬということは 命があるということです 命がなければ 誰の顔も見えなくなるではないか 誰も わたしをもう見る | |||