5分以内で読める青空文庫の短編作品
青空文庫で公開されているすべての著者の作品の中で、おおよその読了目安時間が「5分以内」の短編作品を、おすすめ人気順で表示しています。
| 作品名 | 著者 | 読了時間 | 人気 |
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青空文庫で公開されているすべての著者の作品の中で、おおよその読了目安時間が「5分以内」の短編作品を、おすすめ人気順で表示しています。
| 作品名 | 著者 | 読了時間 | 人気 |
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| 作品名 | 著者 | 読了時間 | 人気 |
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| レポーター | 長沢佑 | 5分以内 | |
夜の十一月 北国はもう冬の寒さだ 硝子屑のような鋭い空ッ風が 日本海を越えて吹いて来る 荒涼とした夜の越後平野に 点々とみえるにぶい灯 あれはみんな仲間の住家だ 革命記念日の闘争を前に ヨビ検の魔の手を逃れ 移動事務所を此処に持った二人の書記 今日で四日の穴居生活だ 沈黙の中に一切の準備は終り 武装された兵士は 現在―― 戦いの野に旅たたんとしている そとは夜更けだ 野末を渡る夜烏の声 全神経 | |||
| 新・平家物語 | 吉川英治 | 5分以内 | |
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響あり。 | |||
| 都の話 | 渡久山水鳴 | 5分以内 | |
浪笛兄のふるさとを読み同じ趣向を例の小曲にて試みたるが「都の話」一篇 母は問ふ都の話 馬車、電車、宮城門の 楠公の御像の雄姿 又問ひぬ、上野パノラマ、 動物園浅草菩薩。 | |||
| 室内 | 渡久山水鳴 | 5分以内 | |
垣間見ぬ君が室内 明日来むと云いし其の日に 待てど君姿は見ゑず 我心苛苛しさに 垣間見ぬ君が室内 | |||
| 馬車 | 渡久山水鳴 | 5分以内 | |
炭俵載せたる馬車は やや高き坂にかかりぬ、 そを馭する人は肝やみ くるしげにむちをば振ふ。 | |||
| 蠅 | 渡久山水鳴 | 5分以内 | |
真黒なす蠅の一とむれ あざれたる肉あさり 夜昼のけちめもわかず 己が身しかてをもとめぬ、 はづかなる命つがんと。 | |||
| 雨の出発 | 森川義信 | 5分以内 | |
背中の寒暖計に泪がたまる 影もないドアをすぎて 古びた時間はまだ叩いてゐる あれは樹液の言葉でもない 背中の川を声だけで帰つてゆくものたち | |||
| 断章 | 森川義信 | 5分以内 | |
おほくの予感に充ち おまへの皮膚にはとどかず はるかに高い所を わたつた あの鋭い動きさへ 速かに把へたのに 精神よ 季節は錆だ 新しい時へ 歩みを移すこともできず 灰は灰に 石は石に還つた しかし それらの冷やかさを 身をもつて感じてゐることは もつと不幸だつた | |||
| 春 | 森川義信 | 5分以内 | |
風船にひつぱられて 小鳥は中空たかくのぼつていつた 風船はくるめく日傘をまはし あたたかな銀の雨を降らした 小鳥はむしやうにうれしくなり 力いつぱいそのすずを鳴らした それにしても風船にのれない重たい心――ぼくは丘のクツサンの中でじたばたする あばらに生えた青麦の芽をむしりながら | |||
| 季節抄 | 森川義信 | 5分以内 | |
葩束を編みながら美しく羞むひとよ 夕べバルコンの影の跫音の言葉なら はるかな愛情も匂ふでせう ★ 梢に鴉の喪章はゐない*** 新しいアアチの青貝路にペンキの響き 自転車で春の帽子がかけてくる ★ 樹樹の梯子を登りをりして歌ふものたち*** 花に飾られた日射しの緑のブランコの 優しい肩にのりあなたは空まで駈けあがる ★ 雲がじぶんでドアをあける 光りにまじつて小鳥の声もおちて | |||
| 衢 | 森川義信 | 5分以内 | |
よりそふ暇もなく こみあげる約束はうばはれていつた 疲れのやうに 吃つてゐる炎よ くづれる愛をさらに踏みしめ 時間のかげに身をこがしても じぶんの力で倒れかかり 義足よ 記憶は埋れ 虚しい体温から すべての言葉はかへらない いまは とざされた扉も消え 匂ひににた沈黙もなく 夜の静脉がかなしく映えてゐる | |||
| 習作 | 森川義信 | 5分以内 | |
1 テラアスにちかい海の日は アメシストの鏡から水もながれる だから 頬をみがけぼくのアリサ 葉ざくらのかげでお前は青い花だ 2 ハアプがながれてゐる月夜 葡萄の木蔭はフオルマリンの匂ひがいつぱい 歌のやうにぬれたこころを こほろぎがくすぐりはじめる | |||
| 巽軒先生喜寿の祝辞 | 中島徳蔵 | 5分以内 | |
私はまだ郷の中學に居た頃に、始めて先生の「心理新説」を讀んだ。 | |||
| 霙の中 | 森川義信 | 5分以内 | |
妹よ あの跫音は何であらう 喪はれた美しい日々の歌声ではない 今日も夕暮近い霙の中を通つてよ 怖ろしい鴉の黒い群であらうか 散薬の重いしめりに病み呆けた わたしの胸にやつて来て わたしの肋骨をこつこつとたたく 何であらう 妹よ お前さへ居ない此の部屋を こつこつとたたくのは いつたい何であらう 霙のやうに冷たい死の掌か―― 霙のふる夕暮は 霙のふる夕暮に似て さびしい私の若さ・いのちであるのだ 妹 | |||
| 高館 | 森川義信 | 5分以内 | |
高館に登りて見れば 小糠雨烟りて寒く 朽ちかけし家のほとりの 高き木に鳴く蝉かなし 苔かほる古き木に倚り その昔の人をしのべど 木々に吹く風も寂しく 消えて行く思ひ儚し 遠山の淡くけむりて 北上は北の果より その昔の夢を語らず うね/\とうねりて流る 故郷を遠くはなれて 旅に見る夢跡かなし 生ひ繁る草木の緑 高館に吹く風寒し | |||
| さびし | 山口芳光 | 5分以内 | |
吾は思ふ 淋しさを 吾は思ふ 愛の淋しきを 吾は思ふなり 母の愛を 吾は思ふなり 友の愛を ああ いかなる縁あればぞ 母、吾を生み いかなる縁あればぞ 君又吾と知り 今吾が為に かくも真心もて看護の氷嚢など取り返へゐるぞ 吾は思ふなり 愛の淋しきを 吾は思ふなり 大空の寂寥を ああ 淋し淋し いかなればぞ 母、吾を愛し いかなればぞ 友、吾を愛す | |||
| 遠州地方の足洗 | 喜田貞吉 | 5分以内 | |
徳川時代の法制では、エタは非人の上に立って、これを支配監督する地位にいたのではあるが、非人には通例足を洗うて素人に成ることが出来るという道が開いていたのに反して、エタには殆どこれが認められてないのが普通であった。 | |||
| 笛と太鼓 | 室生犀星 | 5分以内 | |
子供ができてから半年ほど経つと、国の母から小包がとどき、ひらいてみると、小さい太鼓と笛とが入つてあつた。 | |||
| 蘭郁二郎氏の処女作 | 大倉燁子 | 5分以内 | |
「探偵文学」誌上で発表された時、非常な好評を博した蘭郁二郎氏の「夢鬼」がこの度上梓された。 | |||
| アンケート | 大倉燁子 | 5分以内 | |
ハガキ回答 ※☆読者、作家志望者に読ませたき本、一、二冊を御挙げ下さい。 | |||
| 素晴しい記念品 | 大倉燁子 | 5分以内 | |
フランスの片田舎に一人の科学者があった、年はもう五十に近いが独身で、兄弟もなく、友達もなく、淋しい孤独生活であった。 | |||
| 最初の印象 | 大倉燁子 | 5分以内 | |
江戸川先生に始めてお目にかかったのはもう二十年近くも前のことです。 | |||
| 今年の抱負 | 大倉燁子 | 5分以内 | |
元旦の朝はその一年というものが非常に長いように思われる。 | |||
| わが画 | 末吉安持 | 5分以内 | |
思はずも筆はしり 忽ちに画は成りぬ。 | |||
| この日 | 末吉安持 | 5分以内 | |
君うつくしく幸ありと、 おもへば魂はくづるゝに、 なまじい罪は負ひつゝも、 君は死にきと眼を閉ぢて、 痩せたる胸を撫づるなり。 | |||
| 寂寞 | 末吉安持 | 5分以内 | |
たとふれば戦ひ果てぬ、 日は暮れて二時を経ぬ なまぐさき荒野の中に 双の眼を弾丸に射られて なほ黒き呻吟をしのび、 よこたはる負傷の兵の 勇しきわかき心に、 秘めつゝむ苦痛遂に 鈍色の寂寞の気を 吸ふがごと嗚呼われこゝに。 | |||
| しやうりの歌 | 末吉安持 | 5分以内 | |
闇の幕危く垂れて 二十八宿星座揺ぎ 滅亡の香凄う乱るゝ 古寺の屋根に嬉しや 白鵠の夢は醒めたり、 あな嬉し霊の御告、 白鵠は夢より醒めぬ 頼しく威ある瞳に 喙の結びたゞしく みがまへて睨むか闇を、 平和の気温く密なる 巣の真隅、※を吐いて 金鱗の閃き寒う 蜿りたる地獄の私生児 うとましの怪物、鎌首 巣の雛の機を窺ひて 倚り打たむ危の刹那、 星明り白く乱れて 一叫び闇を裂きしか 虚空高く霊の羽 | |||
| 霜夜 | 末吉安持 | 5分以内 | |
夜はくだつ十一時、 霜さむく、圧しくる闇の気の凍に、 舞ひ疲れては黄塵も しくしくと泣き湿り、 侘寝すらし。 | |||
| 生る | 今野大力 | 5分以内 | |
父あり 母あり 病児生る 父あり 母あり 白痴生る 父あり 母あり 天才生る 父あり 母あり 盲児生る 父あり 母あり 死児生る | |||
| 三角の赤色旗 | 今野大力 | 5分以内 | |
赤色の三角旗 風びうびうと飜し 共産主義の一兵士 三角地型に佇立する | |||
| 所有 | 今野大力 | 5分以内 | |
あらゆる所有の王国に呪いあれ * 万民平等なる母体の胎児たりし時 卿等に所有の観念の兆せしや否や 我古代より現代に至る 社会の変遷による人々の苦悩は 個人があやまれる自由の曲訳により 所有の観念のあやまれる故なりと断ずるなり * 自由とは何ぞや * あらゆる個人の所有を許さざる万民平等の時 神人等が私慾の一点も加えられざる処 これあるのみ * 我ここに按ずるに 所有 | |||
| 土の上で | 今野大力 | 5分以内 | |
おまえはまだ立っているか 力強く立っていようとするか 風は吹いても地はゆらいでも おまえはまだ立っていようと願いるか * 久し振りで地に親しむ事の出来た 土へのおまえの愛は まことに美しいものだ けれども今はおまえの執着は おそろしいものだ * あくまで地に立っている事は あくまで反逆の意味がふくまれている、真実に地を愛し慕うならば おまえは立つ事を やめねばならない おとなしく大 | |||
| 拾った詩 | 今野大力 | 5分以内 | |
なぜか知ら そぞろ歩みに誘われて 私もお祭りに加わります 誰ひとり街はずれのお宮へなぞゆくものですか みんなはこうして 涼しい夏の夜の風を浴びながら 当どもなく華やかな灯の下を さまよいます。 | |||
| 友の死を懐ふ夜 | 漢那浪笛 | 5分以内 | |
弥生ついたち、はつ燕、 海のあなたの静けき国の 便りもて来ぬ、うれしき文を。 | |||
| 望郷 | 竹内浩三 | 5分以内 | |
東京がむしょうに恋しい。 | |||
| 鈍走記 | 竹内浩三 | 5分以内 | |
生まれてきたから、死ぬまで生きてやるのだ。 | |||
| 白い雲 | 竹内浩三 | 5分以内 | |
満州というと やっぱし遠いところ 乾いた砂が たいらかに どこまでもつづいていて 壁の家があったりする そのどこかの町の白い病院に 熱で干いた唇が 枯草のように 音もなく 山田のことばで いきをしていたのか ゆでたまごのように あつくなった眼と 天井の ちょうど中ごろに 活動写真のフィルムのように 山田の景色がながれていたのか あゝその眼に 黒いカーテンが下り その唇に うごかない花びらが | |||
| 行軍一 | 竹内浩三 | 5分以内 | |
白い小学校の運動場で おれたちはひるやすみした 枝のないポプラの列の影がながい ポプラの枝のきれたところに 肋木の奇妙なオブジェに 赤い帽子に黒い服の ガラスのような子供たちが 流れくずれて かちどきをあげて おれたちの眼をいたくさせる 日の丸が上っている 校舎からオルガンがシャボン玉みたいにはじけてくる おれのよごれた手は ヂストマみたいに 飯盒の底をはいまわり 飯粒をあさっている さあ この | |||
| 兵営の桜 | 竹内浩三 | 5分以内 | |
十月の兵営に 桜が咲いた ちっぽけな樹に ちっぽけな花だ しかも 五つか六つだ さむそうにしながら 咲いているのだ ばか桜だ おれは はらがたった | |||
| 十二ヶ月 | 竹内浩三 | 5分以内 | |
一月―― 凍てた空気に灯がついた 電線が口笛を吹いて 紙くずが舞上った 木の葉が鳴った スチュウがノドを流れた 二月―― 丸い大きな灰色の屋根 真白い平な地面 つけっぱなしのラムプが 低うく地に落ちて 白が灰色に変った 三月―― 灰色はコバルトに変り 白は茶色に変った 手を開けたら 汗のにおいが少しした 四月―― ごらん おたまじゃくしを 白い雲を そして若い緑を 五月―― 太陽がクルッと | |||
| 口業 | 竹内浩三 | 5分以内 | |
修利修利 摩訶修利 修修利 娑婆訶 己のうたいし ことのはのかずかずは 乾酪のごと 麦酒のごと 光うしないて よどみはてしは わがこころのさまも かくありなんとの 証なるべし うたうまじ かたるまじ ただ黙々として 星など読まん 風などきかん 口業のあさましきをおもいて われ 黙して 身をきり 臓をさいなまん ただ苦業こそよけれ ただに涅槃をおもい 顔色を和らげ 善きことせん 無声もて 善きこ | |||
| 南からの種子 | 竹内浩三 | 5分以内 | |
南から帰った兵隊が おれたちの班に入ってきた マラリヤがなおるまでいるのだそうな 大切にもってきたのであろう 小さい木綿袋に 見たこともない色んな木の種子 おれたちは暖炉に集って その種子を手にして説明をまった これがマンゴウの種子 樟のような大木に まっ赤な大きな実がなるという これがドリアンの種子 ああこのうまさといったら 気も狂わんばかりだ 手をふるわし 身もだえさえして 語る南の国の果実 | |||
| 三ツ星さん | 竹内浩三 | 5分以内 | |
私のすきな三ツ星さん 私はいつも元気です いつでも私を見て下さい 私は諸君に見られても はずかしくない生活を 力一ぱいやりまする 私のすきなカシオペヤ 私は諸君が大すきだ いつでも三人きっちりと ならんですゝむ星さんよ 生きることはたのしいね ほんとに私は生きている | |||
| 手紙 | 竹内浩三 | 5分以内 | |
午前三時の時計をきいた。 | |||
| 泥葬 | 竹内浩三 | 5分以内 | |
われ、山にむかいて、目をぞあぐる。 | |||
| 愚の旗 | 竹内浩三 | 5分以内 | |
人は、彼のことを神童とよんだ。 | |||
| 五月のように | 竹内浩三 | 5分以内 | |
なんのために ともかく 生きている ともかく どう生きるべきか それは どえらい問題だ それを一生考え 考えぬいてもはじまらん 考えれば 考えるほど理屈が多くなりこまる こまる前に 次のことばを知ると得だ 歓喜して生きよ ヴィヴェ・ジョアイユウ 理屈を言う前に ヴィヴェ・ジョアイユウ 信ずることは めでたい 真を知りたければ信ぜよ そこに真はいつでもある 弱い人よ ボクも人一倍弱い 信を忘 | |||
| 空をかける | 竹内浩三 | 5分以内 | |
蛍光を発して 夜の都の空をかける 風に指がちぎれ 鼻がとびさる 虹のように 蛍光が 夜の都の空に散る 風に首がもげ 脚がちぎれる 風にからだが溶けてしまう 蛾が一匹 死んでしまった | |||
| うたうたいは | 竹内浩三 | 5分以内 | |
うたうたいは うたうたえと きみ言えど 口おもく うたうたえず。 | |||
| 麦 | 竹内浩三 | 5分以内 | |
銭湯へゆく 麦畑をとおる オムレツ形の月 大きな暈をきて ひとりぼっち 熟れた麦 強くにおう かのおなごのにおい チイチイと胸に鳴く かのおなごは いってしまった あきらめておくれと いってしまった 麦の穂を噛み噛み チイチイと胸に鳴く | |||