30分以内で読める青空文庫の短編作品

文化と云ふ語は、近頃流行し、何ものにでも此の二字が附せられると景氣好く見えるかのやうであるが、しかし、一般世人が文化其の物をどれだけ理解して居るか。

もう時間がありませぬので、私が御話申したいと考へました事の眞の骨組だけを、二十分ばかりにザツと御話してしまひたいと思ひます。

從來日本史の研究は、何れの時代を問はず、本國の側から觀察するが常であつた。

易に關する疑問は古くは宋の歐陽修に易童子問の著あり、我邦に於ても伊藤東涯などからして新らしく研究する學者があつて、最近には我が本田成之君が、本誌上に於て作易年代考を發表せられた。

十年振りの会飲に、友人と僕とは気持ちよく酔った。

上夏の初、月色街に満つる夜の十時ごろ、カラコロと鼻緒のゆるそうな吾妻下駄の音高く、芝琴平社の後のお濠ばたを十八ばかりの少女、赤坂の方から物案じそうに首をうなだれて来る。

四五日前に、善く人にじゃれつく可愛い犬ころを一匹くれて行った田町の吉兵衛と云う爺さんが、今夜もその犬の懐き具合を見に来たらしい。

上仙台の師団に居らしッた西田若子さんの御兄いさんが、今度戦地へ行らッしゃるので、新宿の停車場を御通過りなさるから、私も若子さんと御同伴に御見送に行って見ました。

今日、日本は全面的な再出発の時機に到達している。

最近、一つの示唆に富んだ経験をした。

情報局、出版会という役所が、どんどん良い本を追っぱらって、悪書を天下に氾濫させた時代があった。

日本には、治安維持法という題の小説があってよい。

今日、日本の民主化の課題に対して、日本のインテリゲンツィアが感じている最も大きい困難は、どういう性質のものだろうか。

第二次ヨーロッパ大戦は、私たち現世紀の人間にさまざまの深刻な教訓をあたえた。

こないだ久しぶりで第一回日本アンデパンダン展覧会を見て、断片的ですけれども、いくつかの印象が残りました。

一九四七年の文学の動向として大へん目立つことは大体三つあると思います。

文学に心をひかれる人は、いつも、自分がかきはじめるより先にかならず読みはじめている。

十一月一日から三日の間、新日本文学会の第三回大会がもたれた。

ロジェ・マルタン・デュガールの長篇小説「チボー家の人々」は太平洋戦争がはじまる前に、その第七巻までが訳された。

絶対主義と戦争熱で正気をうしなっていた日本の政府が無条件降伏して、ポツダム宣言を受諾したのはつい一昨昨年の夏のことであった。

私たちの日常生活でのものの考えかたの中には、随分現実よりおくれた型が、型としてはまりこんだまま残されていると思う。

去る六月二十八日、本部において二三の政治局員と文化部関係者および新日本文学会のグループの合同会議がもたれ、来る七月三・四日に行われる党員芸術家会議に対する準備的な討論が行われたことを知りました。

『近代文学』十月特輯号に平野謙氏の「労働者作家の問題」という講演筆記がのせられている。

去年おしつまってから肉体派小説、中間小説の作者と一部の作家・批評家との間に、ちょっとしたやりとりがあって注目をひいた。

東京新聞七月三十一日号に、火野葦平の「文芸放談」第二回がのっている。

こんにち、わたしたちがふたたび純潔ということについて語るとすれば、それは、どんな新しい人間精神の欲求からのことだろう。

いたるところで、現代文学の停滞が意識され、語られている。

日本の現代文学は、もっともっと、われわれの生きている現実の歴史の深さ、鋭さ、はげしさにふさわしい文学精神と方法との上に立て直されなければならない。

一九四九年の春ごろから、ジャーナリズムの上に秘史、実録、実記と銘をうたれた記録ものが登場しはじめた。

「道標」は、「伸子」から出発している「二つの庭」の続篇として、一九四七年の秋から『展望』誌上にかきはじめた。

忘れもしない、あれは大正五年十月なかばの或（あ）る夜のことであつた。

大阪の町人の學問については、豫て私の友人幸田成友君などが隨分精細な調べをされて、大阪市史にも載せられて居るから、私が茲に語らんとする所は、大阪の町人と學問との關係について、私一個の考察を申述べるに過ぎない。

いづれの世でも革命の際は必ず陰謀がこれに伴ふ。

私が未だ十九歳の頃であつた。

「お前は弟達をちつとも可愛がつてやらない。

最近自分の生活の上に起った重大な変動は、種々な点で自分の経験を深めて呉れたと同時に、心に触れる対象の範囲をも亦広めて呉れた。

最近、計らずも身辺近く見た或る婦人の境遇が、自分に種々の事を考えさせました。

結婚――妻としての生活を有する女性、又は母として家庭生活の必然を持つ女性と職業との関係は、理想に於て如何あるべきか。

去年の秋、日本プロレタリア作家同盟はその中央常任委員会に属する一つの文学的活動機能として婦人委員会を設けた。

まずわれらの『働く婦人』について日本プロレタリア文化連盟が一九三一年九月に結成されると同時に、出版所は機関誌『プロレタリア文化』のほか、三つの階級的啓蒙大衆雑誌と「グラフ」とを刊行して行く計画を発表した。

病母と弟を抱えてお手紙拝見しました。

先日はどうも失礼。

このかいわいは昼も夜もわりあいに静かなところである。

千人針の女のひとたちが街頭に立っている姿が、今秋の文展には新しい風俗画の分野にとり入れられて並べられている。

私たちのまわりには何と沢山の本があることだろう。

雨の往来から、くらい内部へ入って行ったら正面の銀幕に、一つ大きいシャンデリアが映し出されていた。

自分ひとりの生活をなんとかして一度やって見たいと思っている一方、それを反省し家庭にいるべきだと迷っている人が多いのですが――。

先頃、友情というものについてある人の書かれた文章があった。

世の中が急に動いてゆく。

私たちの毎日の生活の間では、文化という言葉と文明という言葉とがある時には同じ内容をもつ表現のようにつかわれている場合があり、そうかと思うと文化文明と二つの文字を重ねてその間におのずから異った意味がふくまれているものとして使われている場合がある。