30分以内で読める青空文庫の短編作品

女らしさというものについて女自身はどう感じてどんなに扱っているのだろうか。

何年ぶりかで珍しく上野の図書館へ行った。

よく、あの人は常識があるとか、常識がないとかいう。

数人の若い女のひとたちが円く座って喋っている。

幸福というものについて、おそらく人間は永久に考えるだろうと思う。

このごろの若い娘さんたちはどんな心持で、何を求めて暮しているだろう。

コフマンの「科学の学校」が、神近市子の翻訳で実業之日本社から出版された。

昔から女にもとめられている日常の美徳の一つに、ものわかりのよさ、ということがある。

来年という声は、今日の日本のみんなに独特の感じを与えながら迫ってきた。

この頃は、女のひと、という響につれて、すぐに人の心に何かの意味で、働いている女のひとという感じが浮ぶようになって来ていると思う。

私たちの日々の生活というものは、極めて現実なものであって、どんなひとでも、その人々の生きている時代とその人の生活の属している社会環境とから離れて生活を持つということはない。

婦人と科学「日本の科学」ということがこの頃世人の注目をひいている。

私たち日本の女性は、これまでの歴史の中で、はたしてどんな政治的な経験と呼ばれるものをうけついで来ているのだろうか。

異性との間の友情の可能やその美しさなどについてより多くさまざまに思い描くのが常に女性であるということについて、私たちはどう考えたらいいのだろうか。

ここに一枚のスケッチがある。

一九一四年の夏は、ピエール・キュリー街にラジウム研究所キュリー館ができ上ってキュリー夫人はそこの最後の仕上げの用事と、ソルボンヌ大学の学年末の用事とで、なかなか忙がしかった。

この頃は、結婚の問題がめだっている。

二日ばかり前のことです。

たとえばこの雑誌も「文化集団」という名をもっているように、われわれの見ききする範囲には非常に多く文化という言葉が使われ、卑近な一例をとれば、アンカにまで文化という名をつけてあやしまないようになっている。

よほど以前のことになるが田村俊子氏の小説で、二人とも小説をかくことを仕事としている夫婦の生活があつかわれているものがあった。

新年号の『文学評論』という雑誌に、平林英子さんの「一つの典型」という小説がのっていて時節柄私にいろいろの感想をいだかせた。

大阪の実業家で、もう十四五年も妻と別居し別の家庭を営んでいる増田というひとの娘富美子が大金をもって家出をして、西条エリとあっちこっち贅沢な旅行をした後、万平ホテルで富美子が睡眠薬で自殺しかけた事は、男装の麗人という見出しで各新聞に連日報道された。

シルビア・シドニーが一人二役を見せどころとして主演した「三日姫君」という映画があった。

私たちが、恋愛とか結婚とかの問題について話す場合、特別その上に新しいという形容詞をつけて持ち出す場合、それは多かれ少かれ、従来理解され、また経験されて来た恋愛や結婚より何かの意味で豊富な、新鮮な、我々の生きる歓喜となり得るものを求めようとする心持が働いていると思う。

きのう、用事があって出かけ、バスの停留場に立っていたら、向う側の酒屋の横の「英語、タイプライチング教授」とペンキ塗の看板のわきに、もう一つ今まで見当らなかった広告が出ているのに心付いた。

現代ヨーロッパ文学には、ラジオや飛行機が様々の形でとりいれられ、スピードや空間の征服やそれによる人間の心理の複雑化などが語られている。

知性というとき、私たちは漠然とではあるが、それが学識ともちがうし日常のやりくりなどの悧巧さといわれているものともちがった、もう少し人生の深いところと関係している或るものとして感じとっていると思う。

家庭で科学教育をどんな風にしてゆくかということや、科学についての知識を大衆の間にひろめ高めてゆくという文化上の大切なことがらも、現実の問題としては今日いろいろと複雑なものを含んでいるのではなかろうか。

このごろはどこへ行っても列がある。

高札いつも通る横丁があって、そこには朝鮮の人たちの食べる豆もやし棒鱈類をあきなう店だの、軒の上に猿がつながれている乾物屋だの、近頃になって何処かの工場の配給食のお惣菜を請負ったらしく、見るもおそろしいような烏賊を賑やかに家内じゅう総がかりで揚げものにしている蒲焼の看板をかけた店だのというものが、狭い道に溢れて並んでいる。

文化という二つの文字に変りはないようだけれども、歴史のそれぞれの時代で文化の示す様相は実に変化の激しいものがある。

私たちの日常生活のなかにある美しさというものも、今はなかなかきつい風に吹かれているのではないだろうかと思う。

物其のものはそれ自らに於てことごとく生命の一の象徴でなければならぬ。

小川芋銭先生は、もとは牛里と云ふ雅号で、子規居士時代から俳句を詠んで居られた。

窓というものが、これほどたのしいものとはまだ知らなかった。

「やい亀井、何しおる？何ぢや、懸賞小説ぢや――ふッふッ、」と宛も馬鹿にしたやうに冷笑つたはズングリと肥つた二十四五の鬚（ひげ）※（みは）々の書生で、垢染みて膩光りのする綿の喰出した褞袍（どてら）に纏（くる）まつてゴロリと肱枕をしつゝ、板のやうな掛蒲団を袷（あはせ）の上に被つて禿筆を噛みつゝ原稿紙に対ふ日に焼けて銅色をしたる頬の痩れて顴骨の高く現れた神経質らしい仝（おな）じ年輩の男を冷やかに見て、「汝（きさま）も懸賞小説なんぞと吝（けち）な所為をするない。

第一期僕は、僕の母の胎内にゐるとき、お臍（へそ）の穴から、僕の生れる家の中を、覗いてみて、「こいつは、いけねえ」と、思つた。

ヒマラヤ越えこのふしぎな物語は旅客機ヤヨイ号が、ヒマラヤ山脈中に不時着した（？）事件から、はしなくも、くりひろげられる。

上海四馬路の夜霧は濃い。

私が子供の時に見たり聞いたりしたことを雑然とお話しようが、秩序も何もありませんよ。

もとの邸町の、荒果てた土塀が今もそのままになっている。

私たちが日頃、一番求めているのは、何かといえば、それは幸福であるとおもうのです。

日本の民主化と云うことは実に無限の意味と展望を持っている。

四月の末だのに、初夏のようにむし暑い。

私たちが、或るひとつの言葉からうける感じは、実に微妙、複雑なものだと、びっくりする。

八月十五日に戦争が終って、はじめて日本じゅうの家々に明るく電燈がついた。

わたしたちの生活に平和が戻り新しい民主生活の扉が開かれて、二度目の春を迎えることになりました。

ともかく日本にも民主憲法ができた。

女性と服装のことについては今日まで、実に多くの話をされて来た。

わたしたち日本の人々は、いつもお正月になると、互に、おめでとう、と云いあって新年を祝う習慣をもっております。