5分以内で読める青空文庫の短編作品

「何しろ項羽と云う男は、英雄の器じゃないですな。

「その作家の日常の生活が、そのまま作品にもあらわれて居ります。

十五夜の事で御座います、殿「近侍のもの。

どこかの公園のベンチである。

真理は万人によって求められることを自ら欲し、芸術は万人によって愛されることを自ら望む。

亞は僕にとつては毎月の清楚な食卓だつた。

織田君は死ぬ気でいたのである。

一、今日の地位に至れる径路政略と云うようなものがあるかどうだか知らない。

『惡少年を誇稱す糜爛せる文明の子』諸君試みに次に抄録する一節を讀んで見たまへ。

私は嘗つて巡歴中に制服を着た少年に出遭つたので、その制服は何の服であるかと尋ねた。

最近私の友人がたまたま休暇を得て戦地から帰って来た。

主「定吉や。

「も」の字につきて質問に御答申候。

外国にも怪談は非常に多い。

少年時代の信長は天下のタワケモノとよばれた。

東京の三鷹の家にいた頃は、毎日のように近所に爆弾が落ちて、私は死んだってかまわないが、しかしこの子の頭上に爆弾が落ちたら、この子はとうとう、海というものを一度も見ずに死んでしまうのだと思うと、つらい気がした。

誰も知つた信州姨捨山の話の外に伊豆にも棄老傳説があると云ふのは（郷土研究三の二四三）棄てられた老人には氣の毒だが、史乘に見えぬ古俗を研究する人々には有益だ。

エー若春の事で、却つて可笑みの落話の方が宜いと心得まして一席伺ひますが、私は誠に開化の事に疎く、旧弊の事ばかり演つて居りますと、或（あ）る学校の教員さんがお出でで、お前はどうも不開化の事ばかり云（い）つて居るが、どうか然うなく開化の話をしたら宜からう、西洋の話をした事があるかと仰しやいました、左様でございます、マア続いた事は西洋のお話もいたしましたが、まだ落話はいたしませんと申したら、落話で極面白い事があるから一席教へて上げようといふので、教はり立のお話しでございます、拙い処は幾重にもお...

彼は若い社会主義者だつた。

学生時代の僕は第三次並びに第四次「新思潮」の同人と最も親密に往来してゐた。

極吝嗇（しわ）い仁が御座いまして、旦「小僧や。

現代かなづかひがきまつたのはともかくめでたいことと思ふ。

是は当今では出来ませぬが、昔時は行倒を商売にして居た者があります。

○長い長い話をつづめていうと、昔天竺に閼伽衛奴国という国があって、そこの王を和奴和奴王というた、この王もこの国の民も非常に犬を愛する風であったがその国に一人の男があって王の愛犬を殺すという騒ぎが起った、その罪でもってこの者は死刑に処せられたばかりでなく、次の世には粟散辺土の日本という島の信州という寒い国の犬と生れ変った、ところが信州は山国で肴（さかな）などという者はないので、この犬は姨捨山へ往て、山に捨てられたのを喰うて生きて居るというような浅ましい境涯であった、しかるに八十八人目の姨を喰...

殺された娘、美人、すくなくとも新聞の上では。

五十ちかい年になってはじめて子ができるというのは戸惑うものである。

ほつそりと、だが骨組はしつかりしてゐた、その躯幹の上に、小さな頭が載つかつてゐた。

三年生になった途端に、道子は近視になった。

「晩年」も品切になったようだし「女生徒」も同様、売り切れたようである。

「世界情勢吟」と題して川柳一句をお取次ぎする。

新年の東京を見わたして、著るしく寂しいように感じられるのは、回礼者の減少である。

遺書大輝よ、此の経典は汝の知る如く父の刑死する迄、読誦せるものなり。

上州、信濃、越後、丁度三国の国境のあたりに客の希な温泉がある。

今度は短篇をいくつか書いて見たいと思ひます、その一つ一つには違つた名をつけて行く積ですが予告の必要上全体の題が御入用かとも存じます故それを「心」と致して置きます。

○我ながらなが／＼しき病に飽きはてゝ、つれ／″＼のやるかたなさに書読み物書くを人は我を善く勉めたりといふ。

謹奏田中正造※［＃丸印、U+329E、5-4］草莽ノ微臣田中正造誠恐誠惶頓首頓首謹テ奏ス。

抑われは寄辺ない浮浪学生、御主の御名によりて、森に大路に、日々の糧を乞ひ歩く難渋の学徒である。

序文長谷川時雨は、生粋の江戸ッ子ということが出来なければ、生抜きの東京女だとは言えるであろう。

頭の禿（は）げた善良そうな記者君が何度も来て、書け書け、と頭の汗を拭きながらおっしゃるので、書きます。

そらのふちは沈んで行き、松の並木のはてばかり黝んだ琥珀をさびしくくゆらし、その町のはづれのたそがれに、大きなひのきが風に乱れてゆれてゐる。

或旅宿の亭主が欝（ふさ）ぎ込んで、主「何うも宿泊人がなくつては仕やうがない、何とか旨い工夫は無いものか知ら……ウム、日外お説教で聞いた事が有る釈迦如来のお弟子に槃特と云（い）ふがあつて、至つて愚鈍にして忘れつぽい……托鉢に出て人にお前さんの名はと聞かれても、自分の名さへ忘れると云（い）ふのだから、釈迦如来が槃特の名を木札に書き、之（これ）を首に懸けて托鉢に出したと云（い）ふ、其（そ）の槃特が相果てゝから之（これ）を葬ると、其墓場へ生えたのが茗荷だと云（い）ふ事だ、されば「名を荷ふ」と書い...

初めて「半七捕物帳」を書こうと思い付いたのは、大正五年の四月頃とおぼえています。

鷄の親鳥、ひなどり、合せて、六十羽ばかり飼ひけるが、一匹の、のら猫來りて、ひよつこを奪ひ去ること、前後、十五六羽に及べり。

私は方言の専門的研究家ではないが、人一倍その魅力に惹きつけられる。

鬼才小出楢重が逝いてから早くも五年になろうとする。

私は中原が訳すまで、ラムボオに『学校時代の詩』といふもののあることを知らなかつた。

普通の時間に家を出て登庁せずに三越へ行って開店するまでに無理な自動車散歩までして開店に間に合ったということは、誰かと会見するような何か重大な約束があったのではなかろうかと考えられる。

のぼる○空はうらゝかに風はあたゝかで、今日は天上に神様だちの舞踏会のあるといふ日の昼過、白い蝶と黄な蝶との二つが余念無く野辺に隠れんぼをして遊んで居る。

言文一致に就いての意見、と、そんな大した研究はまだしてないから、寧ろ一つ懺悔話をしよう。

余が友徳富猪一郎君さきに『将来の日本』と称する一冊子を編著し、これを余に贈り、あわせて余の一言を求めらる。