5分以内で読める青空文庫の短編作品
青空文庫で公開されているすべての著者の作品の中で、おおよその読了目安時間が「5分以内」の短編作品を、おすすめ人気順で表示しています。
作品名 | 著者 | 読了時間 | 人気 |
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青空文庫で公開されているすべての著者の作品の中で、おおよその読了目安時間が「5分以内」の短編作品を、おすすめ人気順で表示しています。
作品名 | 著者 | 読了時間 | 人気 |
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作品名 | 著者 | 読了時間 | 人気 |
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文学の本筋をゆく | 佐藤春夫 | 5分以内 | |
坂口安吾の文学はいささか奇矯で反俗的なところはあつても、文学としては少しも病的なものではなく、高邁な精神をひそめたすぐれたものと思ふ。 | |||
鴎外記念館のこと | 永井荷風 | 5分以内 | |
森鴎外先生の記念館が先生の健在中その居邸の立つてゐた駒込千駄木町十九番地に建てられると云ふことで、わたくしは文京區※長井形卓三氏[#「井形卓三氏」は底本では「井形卓二氏」]、また建設委員會事務長代理中出忠勝氏の訪問を受けた。 | |||
鴎外全集を読む | 永井荷風 | 5分以内 | |
一文學美術の理論に關して疑問の起つた時にはまづ審美綱領と審美新説の二書を讀む。 | |||
雪 | 三好達治 | 5分以内 | |
十一月の夜をこめて雪はふる雪はふる黄色なランプの灯の洩れる私の窗にたづね寄る雪の子供ら小さな手が玻璃戸を敲く玻璃戸を敲く敲くさうしてそこに息絶える私は聽く彼らの歌の靜謐靜謐靜謐。 | |||
兎 | 三好達治 | 5分以内 | |
拔足差足忍び寄つた野兎は蓆圍ひの隙間から野菜畑に跳びこんだとたんに係蹄に引かかる南無三とんぼがへりを二つ三つ力まかせに空を蹴る月を蹴る月は山の端に入いるやがて兎は寢てしまふ白菜たちが眼を醒す。 | |||
鷲 | 三好達治 | 5分以内 | |
鷲が二羽降りようとして舞つてゐる巖のあらはな巓を私は仰ぎ私はたちどまるその山の肩のあたり林の盡きた笹原に私は籠手を翳し私は逡巡するさてまづ晝餉をしたためる。 | |||
憩ひ | 三好達治 | 5分以内 | |
ふつくらとした雪の面の疎林の影の美しさここに私は彳ちどまる聖なる正午この丘のほとりにあつて歩み去る時を感ずる旅人の年老いて疲れた心の沈默の憩ひ。 | |||
黄昏 | 三好達治 | 5分以内 | |
どこかで鳥の聲がする雪の山の黄昏時私は一つの尾根に彳つ谿間の宿のランプの灯私の部屋の小さな窗窗に映つた帽子の影あはれあはれそれは思出のやうに見える微かな谿の水の聲。 | |||
空林 | 三好達治 | 5分以内 | |
山毛欅の林楢の林白樺の林ひと年私は山に住ひ彼らの春の粧ひと彼らの秋の凋落を見たけれども彼らの裸の姿雪の上のたたずまひこそわけても私の心にしみる何故だらうそのことわけを問ひながら今日もまた林に憩ふやうやく私のものとなつたこの手足この老年が珍らしく。 | |||
かいつぶり | 三好達治 | 5分以内 | |
かいつぶりかいつぶりそうれ頭に火がついた私たちの歌に應へてかいつぶりは水に沈むそれは旱魃の夏だつたただそれだけのことだつたかいつぶりかいつぶりかいつぶりのゐない日もあつた。 | |||
檸檬忌 | 三好達治 | 5分以内 | |
友よ友よ四年も君に會はずにゐる……さうしてやつと君がこの世を去つたのだとこの頃私は納得したもはや私は悲しみもなく愕きもなく(それが少しもの足りない)君の手紙を讀みかへす――昔のレコードをかけてみる。 | |||
鴨 一 | 三好達治 | 5分以内 | |
二羽三羽霧のかかつた水際に黒い小鴨が游いでゐる私は林の小徑を出る――それとなし彼らはくるりと向きをかへるやがて一羽は空に揚る一羽は水の面を飛ぶ一羽はあとに殘される彼は周章てて水を打つ水を打つやつとからだが宙に浮く仲間と違つた方角へ。 | |||
鴨 二 | 三好達治 | 5分以内 | |
夕暮の池に鴨が點々風が彼らを片寄せる林の方へ岡の方へ風がやむ彼らは呼んでゐる應へてゐる風の聲よりひそやかに。 | |||
鴨 三 | 三好達治 | 5分以内 | |
その顏が重くなる睡くなる鴨はそれを翼の下にしまひこむその上に雪がふる夢の國への小包。 | |||
雪夜 一 | 三好達治 | 5分以内 | |
雪はふる雪はふる聲もなくふる雪は私の窗の半ばを埋める私の胸を波だてたそれらの希望はどこへ行つたか――また今宵それらの思出もとび去りゆく夜空のかぎり雪はふる雪はふる雪は思出のやうにふる雪は思出のやうにふるまた忘却のやうにもふる。 | |||
雪夜 二 | 三好達治 | 5分以内 | |
思出思出いつまでも心に住むと誓ひをたてた思出その思出も年をふれば塵となる煙となるああそのかの裏切りの片見なら捉へがたない思出の性も是非ない行くがいい行くがいい私を殘して歸る日もなく行くがいい思出よ。 | |||
雪夜 三 | 三好達治 | 5分以内 | |
夜更けて油の盡きた暗いランプ低い焔煤けた笠既に私の生涯も剩すところはもうわづかああ今しばしものを思はう今しばし私の仕事に精を出さうやがて睡りの時がくる悲しみもなく私の眠る時がくる。 | |||
旅人 | 三好達治 | 5分以内 | |
雪どけの峽の小徑を行く行く照らしいだすわが手の燈火黄色なる火影のうちを疲れて歩むあはれわが脚の影重い靴濡れた帽子冷めたい耳空腹――旅人と身をなして思ふことさへうつつないああこのひととき。 | |||
山果集に寄す | 三好達治 | 5分以内 | |
行くがいい既に門出の時である行け太陽のもと喧噪のさなかに行け風塵霜露の衢々に行つてお前の運命を試みるべき時である行け片意地な兜蟲か弱い仔雀跛この驢馬憐れなるわが詩の一卷。 | |||
詩四章 | 三好達治 | 5分以内 | |
春の計畫粉雪の中で四十雀が啼いてゐる春が眞近にせまつてきた谿間で風が鳴つてゐる楢山毛欅櫟それらの枯葉が雪の上を走つてゐる山山よ裸の木木よ樂しい冬も間もなく冬も終るだらう懷かしい私の友垣風よ雲よ山山よ私達の友情のさて春の計畫を考へようその昔その昔その山のその旅籠へは米も野菜も新聞も煙草も手紙も電報も牛の背中で運んできた谿に臨んだ細路にのつと牝牛が顏を出す午後二時三時山で... | |||
扁舟 | 三好達治 | 5分以内 | |
扁舟を湖心に泛べ手艪を放ち箕坐してしばしもの思ふ――願くばかくてあれかしわが詩の境。 | |||
宇野浩二君を思う | 佐藤春夫 | 5分以内 | |
二十一日午後十一時ごろ、すでに床について、まさに眠りが訪れようとしていたわたくしは二つの新聞社から起こされて、宇野君の訃に驚かされた。 | |||
管見芭蕉翁 | 佐藤春夫 | 5分以内 | |
すぐれた詩人といふものを見るに、同時に鋭い批評家であり、俊敏なジャーナリスト(時務を知る人)を兼ねてゐる。 | |||
歓喜 | 中野鈴子 | 5分以内 | |
思っただけでも胸がおどる裸一貫のわたしらが堂々と乗りこんでゆきおおこのわたしらわたしらのタコだらけの手真黒に焼けたおでこただ一つの心臓二本の足二本の腕にあらゆる権力と最上の美しさを打ちたてる日働いて笑える働いて肥えるおおその日、その世界よ思っただけでも胸がおどる。 | |||
飢餓の中から | 中野鈴子 | 5分以内 | |
腹は凹んで皮ばかりのようだ口はほせからツバも出ない目はかすんでものが見えぬ三分作なのに地主はおしかけて来た来年の年貢をよこせとそして手をあわせて拝むわたしらを尻目にかけ一粒のこらずかっさらって行った毎日毎晩わたしらは夢中で外へ這い出たキョロキョロになって吹雪の中をかけまわった木の根をむしった草の芽をかんだ見つけ次第犬猫を殺し奪い合って食った腹がキリキリしたゲイ... | |||
月は中天に | 中野鈴子 | 5分以内 | |
土も凍る夜友と二人炭のない部屋にねむろうとしているわれらの「戦旗」がいま二三の女の手にカギが渡され必死のこぶしを彼らの靴先が踏みくだこうとしている友の夫わたしの兄たちいく百の前衛は牢やいく千の兵士は満洲の戦場に狩り出され友と二人破れた雨戸の部屋にねむろうとしているガラスの窓に月が冴えて光る月は中天に輝々として。 | |||
途中で | 中野鈴子 | 5分以内 | |
わたしは途中で一人の女とすれちがった女のかおは白粉と紅で白く赤く美しかった背が高くふっくら円かった年は二十三四そして藤色チリメンの長袖厚いフェルト草履の大股でトットッと歩いて行ったそれは大変に自慢そうでからだ全体が得意で一ぱいのようだったわたしは洗いざらしの浴衣を着て青じけた顔をうつむけて通りすぎたわたしは顔をうつむけて通りすぎたそうしてわたしは振りかえった振りかえった時わたしの... | |||
母の叫び | 中野鈴子 | 5分以内 | |
行ってしまったもう煙も見えない息子を乗せた汽車は行ってしまった剣を抜いて待ちかまえている耳や手足の指がくさって落ちるというそんな寒い戦場の×煙の中へ息子の汽車は走って行った生きて帰るようなことはあるまい汽車の窓のあの泣き笑いがおあれがあの子の見おさめなのか親一人子一人の暮らしであの子は毎晩わたしの夜具の裾をたたいてくれたいつもやさしい笑顔で働いてくれたああわた... | |||
方向 | 中野鈴子 | 5分以内 | |
わたしはこの頃しきりに考える自分というものについてわたしは下宿の二階に兄のくれる金で暮らしているそれはわずかな金だけれども兄の彼が夜ヒル書きつづける血のしたたりなのだわたしはそれで米や炭をととのえ腹を満たしているわたしの仕事は詩を書くこと、文学の途をゆくことになっているわたしは机に向かって本を読むあるいは書こうとするけれども書けないわたしはうっ伏して足りない才能をかなしむ心はたぎっても現わせないわ... | |||
わたしの正月 | 中野鈴子 | 5分以内 | |
今日は一月一日今日は正月だ明けましておめでとうってたとえのようにいうけれどわたしらはそんなどころではないわ年がら年じゅう米つくるが商売なのに一片の雑煮もない毎年ただ一本きていた他国からの年賀状も今年は来ない来るものは町の掛取りや残りの年ぐ米を取りに来る地主の番頭だ台所はポチャンポチャンと雨がもる炭は買えずもみがらをぶすぶす燃やすくすぶり火が家一ぱいにひろがる七十五の婆は... | |||
針金細工の詩 | 佐藤春夫 | 5分以内 | |
「針金細工で詩をつくれ」――といふのは、わが畏友堀口大学の一般詩人に対する忠告であつて、亦、実に彼が近代詩の創作に赴かんとするに当つての宣言であつたやうに思はれる。 | |||
晶子さんの煙草正月 | 佐藤春夫 | 5分以内 | |
わたくしは直接には奥様とお呼びしてかげでは晶子さんと呼び慣はした。 | |||
思い出 | 佐藤春夫 | 5分以内 | |
二十代の時鴎外先生には五、六回お目にかかった。 | |||
新宮 | 佐藤春夫 | 5分以内 | |
わがふるさとは熊野の首邑(ゆう)新宮(シングウと読んで下さい)古来の名邑である。 | |||
井伏鱒二は悪人なるの説 | 佐藤春夫 | 5分以内 | |
太宰治は井伏鱒二は悪人なりの一句を言ひ遺して死んだと聞く。 | |||
望ましい音楽 | 信時潔 | 5分以内 | |
先頃テレビでセロの達人カザルスの対話をきいた。 | |||
川端茅舎句集 | 高浜虚子 | 5分以内 | |
茅舎句集が出るといふ話をきいた時分に、私は非常に嬉しく思つた。 | |||
絶望を与へたる者 | 横光利一 | 5分以内 | |
文学論と云ふものがある。 | |||
新憲法の解説 | 吉田茂 | 5分以内 | |
新日本建設の基礎となる新憲法は、國民の眞摯なる※[#「執/れんが」、U+24360、1-2]意と自由なる意思により、第九十議會を通じて成立した。 | |||
新憲法の解説 | 金森徳次郎 | 5分以内 | |
私は世にも珍らしい幸運者であつた。 | |||
新憲法の解説 | 林譲治 | 5分以内 | |
第九十議會で、再建日本の在り方を規律する憲法の改正が行はれ、ここに民主的、平和的、文化的日本建設への指標が示されたのである。 | |||
ひとの不幸をともにかなしむ | 吉野秀雄 | 5分以内 | |
いまわたしの胸の奥にあることばは、ひとの幸福をともによろこびひとの不幸をともにかなしむといふものだ。 | |||
北のはての地に | 風巻景次郎 | 5分以内 | |
雪がふると巷の音がしずかになる。 | |||
長谷川等伯の「松林図屏風」 | 吉野秀雄 | 5分以内 | |
水墨の絵から何か一つ選ばうと思案する間もなく、長谷川等伯の松林図屏風がはうふつと目の前に現はれた。 | |||
骨董品化した古珍書 | 宮武外骨 | 5分以内 | |
大阪の書肆中に於ける第一の人格者と認められて居た故荒木伊兵衛氏、其性格の温厚、篤実は実に算盤玉をはじく人に不似合と思はれるほどであつた、それで予は在阪十余年間、絶えず伊兵衛氏の厄介になつて居たので、東京に帰つて後も其ナツカシ味が失せず、時々の音信を嬉しく思つて居たが、突然の訃に接して愕き悲んだことは尋常でなかつた、それがハヤ壱周忌の記念として血嗣の旧幸太郎氏が、「古本屋」といふ雑誌を創刊するとの報、何を捨置いても故人の追善供養として一稿を寄せずばならぬと、忙中筆を呵して思出のまゝを草したの... | |||
山岳美観 | 藤原咲平 | 5分以内 | |
今度協和書院から吉江、武井兩氏の山岳美觀が出る事になつたと云ふ。 | |||
再びこの人を見よ | 菱山修三 | 5分以内 | |
梶井基次郎氏が死んだ。 | |||
『辞林』緒言 | 金沢庄三郎 | 5分以内 | |
あつめおく辭の林ちりもせでちとせかはらじ和歌のうら松(續千載和歌集)國語は思想の代表者にして、辭書は國語の寶庫たり。 | |||
新しくもならぬ人生 | 正宗白鳥 | 5分以内 | |
暦の上で何度新しき年を迎へても、心が新たになるのではない。 | |||
回想 | 正宗白鳥 | 5分以内 | |
私は日露開戰の前年、讀賣新聞社に入社して、滿七年間の勤務を續けたのであつたが受け持ちは、主として美術、文學方面の消息を傳へることと、作品の批評をすることで、演劇の批評もしてゐた。 |