ブンゴウサーチ

飢餓の中から

中野鈴子

『飢餓の中から』は青空文庫で公開されている中野鈴子の短編作品。710文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。
文字数
5分以内
710文字
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書出

腹は凹んで皮ばかりのようだ 口はほせからツバも出ない 目はかすんでものが見えぬ 三分作なのに地主はおしかけて来た 来年の年貢をよこせと そして 手をあわせて拝むわたしらを尻目にかけ 一粒のこらず かっさらって行った 毎日毎晩 わたしらは夢中で外へ這い出た キョロキョロになって吹雪の中をかけまわった 木の根をむしった 草の芽をかんだ 見つけ次第 犬猫を殺し奪い合って食った 腹がキリキリした ゲイ

初出「プロレタリア文学 第一巻第五号」日本プロレタリア作家同盟出版部、1932(昭和7)年4月25日
底本中野鈴子全詩集
表記
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