ブンゴウサーチ

母の叫び

中野鈴子

『母の叫び』は青空文庫で公開されている中野鈴子の短編作品。742文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。
文字数
5分以内
742文字
人気
552PV
書出

行ってしまった もう煙も見えない 息子を乗せた汽車は行ってしまった 剣を抜いて待ちかまえている 耳や 手足の指がくさって落ちるという そんな寒い 戦場の×煙の中へ 息子の汽車は走って行った 生きて帰るようなことはあるまい 汽車の窓のあの泣き笑いがお あれがあの子の見おさめなのか 親一人子一人の暮らしで あの子は毎晩 わたしの夜具の裾をたたいてくれた いつもやさしい笑顔で働いてくれた ああ わた

初出「赤い銃火〔詩・パンフレット第一輯〕」日本プロレタリア作家同盟出版部、1932(昭和7)年4月20日
底本中野鈴子全詩集
表記
※「人気」は青空文庫の過去10年分のアクセスランキングを集計した累計アクセス数から算出しています。