方向
中野鈴子
『方向』は青空文庫で公開されている中野鈴子の短編作品。659文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。
文字数 | 5分以内 659文字 |
人気 | 0PV |
書き出し書出 | わたしはこの頃しきりに考える自分というものについてわたしは下宿の二階に兄のくれる金で暮らしているそれはわずかな金だけれども兄の彼が夜ヒル書きつづける血のしたたりなのだわたしはそれで米や炭をととのえ腹を満たしているわたしの仕事は詩を書くこと、文学の途をゆくことになっているわたしは机に向かって本を読むあるいは書こうとするけれども書けないわたしはうっ伏して足りない才能をかなしむ心はたぎっても現わせないわ... |
初出 | 「詩人 第三巻第六号」文学案内社、1936(昭和10)年6月1日 |
底本 | 中野鈴子全詩集 |
表記 | 新字新仮名 |
※「人気」は青空文庫の過去10年分のアクセスランキングを集計した累計アクセス数から算出しています。