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5分以内で読める青空文庫の短編作品

青空文庫で公開されているすべての著者の作品の中で、おおよその読了目安時間が「5分以内」の短編作品を、おすすめ人気順で表示しています。

3,351-3,400件 / 全4,139件
作品名著者読了時間人気
友に末吉安持
5分以内
友よ恨まじ今日よりはねたまじ、君は濃藍の底見えわかぬわたづみの珊瑚(さんご)の宮に恋を得て幸くあり、とに思ひ止まむ。
寂寞末吉安持
5分以内
たとふれば戦ひ果てぬ、日は暮れて二時を経ぬなまぐさき荒野の中に双の眼を弾丸に射られてなほ黒き呻吟をしのび、よこたはる負傷の兵の勇しきわかき心に、秘めつゝむ苦痛遂に鈍色の寂寞の気を吸ふがごと嗚呼われこゝに。
騎士と姫末吉安持
5分以内
春の弥生の夜は仄(ほの)に天地ひくゝ垂れあひて、情のにほひいちめんにおぼろおぼろの花ぐもり、精舎の壁の地獄絵も温き霞(かすみ)を纏(まと)ふらむ。
しやうりの歌末吉安持
5分以内
闇の幕危く垂れて二十八宿星座揺ぎ滅亡の香凄う乱るゝ古寺の屋根に嬉(うれ)しや白鵠の夢は醒めたり、あな嬉し霊の御告、白鵠は夢より醒めぬ頼しく威ある瞳に喙(くちばし)の結びたゞしくみがまへて睨(にら)むか闇を、平和の気温く密なる巣の真隅、※を吐いて金鱗の閃(ひらめ)き寒う蜿(うね)りたる地獄の私生児うとましの怪物、鎌首巣の雛(ひな)の機を窺(うかが)ひて倚...
末吉安持
5分以内
神無月、日は淡々と夕ぐれの雲ににほへば、眼路ひくき彼方に薄れあはれなる遠樹ぞ見ゆる。
霜夜末吉安持
5分以内
夜はくだつ十一時、霜さむく、圧しくる闇の気の凍に、舞ひ疲れては黄塵もしくしくと泣き湿り、侘寝すらし。
亜米利加今野大力
5分以内
アメリカは正義人道を看板にして非道な国際を売ってしまった排日は夢の日本に対するしくみだ、あなどりだ夢も幻ももたないトラウベル、ホイットマンを理想の詩人に祭りあげたアメリカ人資産の外にはのぞみもない彼等は貧しい夢の日本なぞ用もないあたり前の成行きだああ、ただ悲しい事実があるそれは偽られた同胞のクリスチャンだアメリカが偉そうにするもんだからそうかしらと思って信じたそれが一枚看板をはいで終えば...
ある歴史に就て今野大力
5分以内
星が一つ森林の中の忘れられた静かな湖水へ降りて来て暫く思案にくれていた(それを知っていたものは誰もいない天空にいる星達さえも存じなかった)星にも厭世があるのかしら?星は湖水へ沈んで行った。
童話今野大力
5分以内
ある魂は玩具を抱きて眠ると言うしかも玩具とは、せるろいど。
生る今野大力
5分以内
父あり母あり病児生る父あり母あり白痴生る父あり母あり天才生る父あり母あり盲児生る父あり母あり死児生る。
馬を愛す今野大力
5分以内
馬を愛す地表を走らせて競馬という桜のすぐる頃葉桜の蔭に人々金を懸て馬をひょろひょろと走らす競馬というそして人間『馬を愛す』という。
丘陵風景今野大力
5分以内
傾斜の丘に菜の花黄ろく咲けば軍団兵士の頭二個ばかり丘陵の蔭に並び出で銃先を見せすぐる。
楔を打つ男今野大力
5分以内
久しくして土を見ざる男なり男、地に楔を打ちよろこべり歌うたう。
三角の赤色旗今野大力
5分以内
赤色の三角旗風びうびうと飜し共産主義の一兵士三角地型に佇立する。
所有今野大力
5分以内
あらゆる所有の王国に呪いあれ*万民平等なる母体の胎児たりし時卿等に所有の観念の兆せしや否や我古代より現代に至る社会の変遷による人々の苦悩は個人があやまれる自由の曲訳により所有の観念のあやまれる故なりと断ずるなり*自由とは何ぞや*あらゆる個人の所有を許さざる万民平等の時神人等が私慾の一点も加えられざる処これあるのみ*我ここに按ずるに所...
土の上で今野大力
5分以内
おまえはまだ立っているか力強く立っていようとするか風は吹いても地はゆらいでもおまえはまだ立っていようと願い((ママ))るか*久し振りで地に親しむ事の出来た土へのおまえの愛はまことに美しいものだけれども今はおまえの執着はおそろしいものだ*あくまで地に立っている事はあくまで反逆の意味がふくまれている、真実に地を愛し慕うならばおまえは立つ事をやめねばならないおと...
拾った詩今野大力
5分以内
なぜか知らそぞろ歩みに誘われて私もお祭りに加わります誰ひとり街はずれのお宮へなぞゆくものですかみんなはこうして涼しい夏の夜の風を浴びながら当どもなく華やかな灯の下をさまよいます。
星と過去今野大力
5分以内
星はある夜緑の灯を輝やかし仲よく円座で評議する星はある夜右手を長くさし伸べて神秘な事件を信号する星はある夜さやさやさや清水の流れにたわむれる星はある夜森林の小枝に小さな首を吊していた。
鱒の話今野大力
5分以内
濃緑のあかだもの木の下にて三十を越えた四十あまりの人の話をきく二十余年北国の地に流浪して絶えず山水に親しみながら生活を続けて来た人の話である面は陽に赫(や)けているひげはおとなしくあご一面にぼうぼうと生えているアイヌとも妥協して或は独木舟に乗り激流をさか上った事もあると言う熊狩りに魚捕りに野に山に宿した事もあると言う長い半生にありし物語のさも面白そうな話ぶりち...
未婚婦人今野大力
5分以内
未婚婦人の魅惑に対して私は今日本の未婚婦人へ散文を書送る。
玉盃の曲漢那浪笛
5分以内
ふくよかの顔面あげて紅潮の浜にさすごと華やかの笑みひろごりてまなざしの光すゞしくわが胸の奥には深くよろこびの影こそ跳れわが耳に絃(かな)づる歌は鶯の啼く音をこめねあたたかき玉の腕に瑠璃色の酒瓶たたけば白百合の花よりすべる露のごと湧くや甘酒玉盃の縁にあふれて白銀や黄金の花のそこゐには咲きそむものと口ごもる若き恋人手をのべて盃をうくればわが心天...
恋しき最後の丘漢那浪笛
5分以内
そのうら若かき頃の、悲しきあこがれ………草葉の息ふきかへす甘き香り、艶はしき花の笑ひもながめて過ぎぬ、木の間にさへずる、鳥の歌をきゝ、悲しみは眼を閉ぢて、暫時やすらひもせし、されど、とく新らしき悲しみに転りぬ、何をもて、この闇を照さむ、空を仰げば恐ろし………いざさらば、独り琉球節の一曲を、口笛にふるわせ、うらやすき墓場のほとりにさ迷はむ、そは音なき響きを(聞)かんとや………その...
秋の小曲漢那浪笛
5分以内
※秋の木の葉がふるひ出す、ものにおびへた眼の色は、たゞ白びかり――何を見る。
砂上の低唱漢那浪笛
5分以内
満つと見しこの天地は足ずありぬ心をいづちやるも空虚のみ海の香しめる暁を今日片時の浜下り磯の霞に酔ひしれて哀れ吾が世の夢に泣く浪路逢かた見渡たして満潮時を恨み泣く千鳥の声に胸冷えて哀れ吾が世の夢に泣く花葉かざれる海の底そや湧きかへる黒潮は憂しや吾が身の宿世にて哀れ吾が世の夢に泣く足跡しげき砂の上深かき想ひに眼を閉ちて世の運命を思へば哀れ吾が世の夢...
わなゝき末吉安持
5分以内
瞬時の夢の装飾も、しかすがに彩映ゆれば、紫の絹の帳、永遠の生命ありと、平和を守りいつきて、心ある春の雨は、軟らに音なく濺(そゝ)いで、しのびに葉末を流れぬるか。
哀詩数篇漢那浪笛
5分以内
くらがりなすによしなき哀れさよ、早や日数経て、今日の日も暗がりわたる物おもひ。
村へ行く鶴彬
5分以内
晴れわたる秋の遠山は、らんじゅくした、女のらたい、ふっくらとした、山肌は、女の、いんこうのごとき、谷をきざむ。
日本が見えない竹内浩三
5分以内
この空気この音オレは日本に帰ってきた帰ってきたオレの日本に帰ってきたでもオレには日本が見えない空気がサクレツしていた軍靴がテントウしていたその時オレの目の前で大地がわれたまっ黒なオレの眼漿が空間にとびちったオレは光素(エーテル)を失ってテントウした日本よオレの国よオレにはお前がみえない一体オレは本当に日本に帰ってきているのかなんにも...
ある夜竹内浩三
5分以内
月が変圧器にひっかかっているし風は止んだしいやにあつくるしい夜だ人通りもとだえて犬の遠吠えだけが聞こえるいやにおもくるしい夜だエーテルは一時蒸発を止め詩人は居眠りをするようないやにものうい夜だ障子から蛾の死がいが落ちた。
ぼくもいくさに征くのだけれど竹内浩三
5分以内
街はいくさがたりであふれどこへいっても征くはなし勝ったはなし三ヶ月もたてばぼくも征くのだけれどだけどこうしてぼんやりしているぼくがいくさに征ったなら一体ぼくはなにするだろうてがらたてるかなだれもかれもおとこならみんな征くぼくも征くのだけれど征くのだけれどなんにもできず蝶をとったり子供とあそんだりうっかりしていて戦死するかしらそんなまぬけなぼくなのでどうか人なみにいくさが...
望郷竹内浩三
5分以内
東京がむしょうに恋しい。
鈍走記竹内浩三
5分以内
生まれてきたから、死ぬまで生きてやるのだ。
あきらめろと云うが竹内浩三
5分以内
かの女を人はあきらめろと云うがおんなを人はかの女だけでないと云うがおれには遠くの田螺の鳴声までかの女の歌声にきこえ遠くの汽車の汽笛までかの女の溜息にきこえるそれでもかの女を人はあきらめろと云う。
色のない旗竹内浩三
5分以内
詩を作り、人に示し、笑って、自ら驕(たかぶ)る――ああ、此れ以外の何を己れは覚えたであろう?この世で、これまで……城左門できるだけ、知らない顔を試るのだけれど、気にしないわけにはゆかない。
白い雲竹内浩三
5分以内
満州というとやっぱし遠いところ乾いた砂がたいらかにどこまでもつづいていて壁の家があったりするそのどこかの町の白い病院に熱で干いた唇が枯草のように音もなく山田のことばでいきをしていたのかゆでたまごのようにあつくなった眼と天井のちょうど中ごろに活動写真のフィルムのように山田の景色がながれていたのかあゝその眼に黒いカーテンが下りその...
行軍一竹内浩三
5分以内
白い小学校の運動場でおれたちはひるやすみした枝のないポプラの列の影がながいポプラの枝のきれたところに肋木の奇妙なオブジェに赤い帽子に黒い服のガラスのような子供たちが流れくずれてかちどきをあげておれたちの眼をいたくさせる日の丸が上っている校舎からオルガンがシャボン玉みたいにはじけてくるおれのよごれた手はヂストマみたいに飯盒の底をはいまわり飯粒をあさっているさあこの手でもって「ほまれ」をはさ...
兵営の桜竹内浩三
5分以内
十月の兵営に桜が咲いたちっぽけな樹にちっぽけな花だしかも五つか六つださむそうにしながら咲いているのだばか桜だおれははらがたった。
夜通し風がふいていた竹内浩三
5分以内
上衣のボタンもかけずに厠(かわや)へつっ走って行った厠のまん中にくさったリンゴみたいな電灯が一つまっ黒な兵舎の中では兵隊たちがあたまから毛布をかむって夢もみずにねむっているのだくらやみの中でまじめくさった目をみひらいているやつもいるのだ東の方が白んできて細い月がのぼっていた風に夜どおしみがかれた星はだんだん小さくなって光をうしなってゆくたちどまって空を...
十二ヶ月竹内浩三
5分以内
一月――凍てた空気に灯がついた電線が口笛を吹いて紙くずが舞上った木の葉が鳴ったスチュウがノドを流れた二月――丸い大きな灰色の屋根真白い平な地面つけっぱなしのラムプが低うく地に落ちて白が灰色に変った三月――灰色はコバルトに変り白は茶色に変った手を開けたら汗のにおいが少しした四月――ごらんおたまじゃくしを白い雲をそし...
しかられて竹内浩三
5分以内
しかられて外へは出たが我家から夕餉の烟と灯火の黄色い光に混ぜられたたのしい飯の音がする強情はってわるかったおなかがすいた風も吹く三日月さんも出て来たよあやまりに行くのもはずかしいさらさら木の葉の音がした。
口業竹内浩三
5分以内
修利修利摩訶修利修修利娑婆訶己のうたいしことのはのかずかずは乾酪のごと麦酒のごと光うしないてよどみはてしはわがこころのさまもかくありなんとの証なるべしうたうまじかたるまじただ黙々として星など読まん風などきかん口業のあさましきをおもいてわれ黙して身をきり臓をさいなまんただ苦業こそよけれただに涅槃(ねはん)をおもい顔色を和らげ善きことせん無声もて善きことせん。
南からの種子竹内浩三
5分以内
南から帰った兵隊がおれたちの班に入ってきたマラリヤがなおるまでいるのだそうな大切にもってきたのであろう小さい木綿袋に見たこともない色んな木の種子おれたちは暖炉に集ってその種子を手にして説明をまったこれがマンゴウの種子樟(くすのき)のような大木にまっ赤な大きな実がなるというこれがドリアンの種子ああこのうまさといったら気も狂わんばかりだ手をふるわし身もだえさえして語る南...
三ツ星さん竹内浩三
5分以内
私のすきな三ツ星さん私はいつも元気ですいつでも私を見て下さい私は諸君に見られてもはずかしくない生活を力一ぱいやりまする私のすきなカシオペヤ私は諸君が大すきだいつでも三人きっちりとならんですゝむ星さんよ生きることはたのしいねほんとに私は生きている。
横町の食堂で竹内浩三
5分以内
はらをへらした人のむれに、ぼくは食堂横町へながされていった。
おもちゃの汽車竹内浩三
5分以内
ゴットンゴットン汽車が行くケムリをはいて汽車が行くアレアレアレアレ脱線だお人形さんの首が飛びキューピイさんの手が飛んだ死傷者優に三十個オモチャの国の大椿事。
こん畜生竹内浩三
5分以内
こん畜生!おれはみぶるいしたおれは菊一文字の短刀を買ってふたたびその女のところへきたさァ死ねさァ死ねお前のような不実な奴を生かしておくことはおれの神経がゆるさん女は逃げようとしたまて死ねなけゃおれが殺して――ひとの真実をうらぎるやつはそれよりもおれに大恥をかかしたやつはココ殺してやるきったついた血が吹いたこん畜生!おれはふたたびみぶる...
大正文化概論竹内浩三
5分以内
序論G線の下でアリアをうたっていたてるてる坊主が雨にぬれていた本論交通が便利になって文化はランジュクした戦争に勝ってリキュウルをのんだはだかおどりの女のパンツは日章旗であったタケヒサ・ユメジがみみかくしの詩をかいた人は死ぬことを考えて女とあそんだ女とあそんで昇天した震災が起っていく人もやけ死んだやけ死ななかったものは...
手紙竹内浩三
5分以内
午前三時の時計をきいた。
金がきたら竹内浩三
5分以内
金がきたらゲタを買おうそう人のゲタばかりかりてはいられまい金がきたら花ビンを買おう部屋のソウジもして気持よくしよう金がきたらヤカンを買おういくらお茶があっても水茶はこまる金がきたらパスを買おうすこし高いが買わぬわけにもいくまい金がきたらレコード入れを買おういつ踏んでわってしまうかわらかない金がきたら金がきたらボクは借金をはらわ...
泥葬竹内浩三
5分以内
われ、山にむかいて、目をぞあぐる。
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