5分以内で読める青空文庫の短編作品
青空文庫で公開されているすべての著者の作品の中で、おおよその読了目安時間が「5分以内」の短編作品を、おすすめ人気順で表示しています。
作品名 | 著者 | 読了時間 | 人気 |
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青空文庫で公開されているすべての著者の作品の中で、おおよその読了目安時間が「5分以内」の短編作品を、おすすめ人気順で表示しています。
作品名 | 著者 | 読了時間 | 人気 |
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作品名 | 著者 | 読了時間 | 人気 |
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(無題) | 森川義信 | 5分以内 | |
風だ恐りながら憎悪の波をわたるひとすじの突風だ翼や枝をたたき折りはるかな色彩をかき乱しあの断崖の一角からつき落された重量だ。 | |||
帰らぬ春 | 森川義信 | 5分以内 | |
雲のたゆたう丘の上にほろり散つたはべに椿呼べども逝つた春の日の悲しい私のゆめかしら柳の新芽もほの匂ひ燕も来たに口づけて水に流した木れんはどこへ流れて行つたやら。 | |||
旅人の唄 | 森川義信 | 5分以内 | |
旅は泪よ故里はまだかよその日その日の夢になく運命に弱い我は悲しい渡り鳥旅は夢かよ春も逝くかよ柳の雨に濡れて泣く燕でないが我も悲しい渡り鳥―10・5・4―。 | |||
高館 | 森川義信 | 5分以内 | |
高館に登りて見れば小糠雨烟りて寒く朽ちかけし家のほとりの高き木に鳴く蝉かなし苔かほる古き木に倚りその昔の人をしのべど木々に吹く風も寂しく消えて行く思ひ儚し遠山の淡くけむりて北上は北の果よりその昔の夢を語らずうね/\とうねりて流る故郷を遠くはなれて旅に見る夢跡かなし生ひ繁る草木の緑高館に吹く風寒し。 | |||
高館 | 森川義信 | 5分以内 | |
草深きなかに訪ねし夢跡の寒きかなしさ朽ち柵に倚れば仄かに胸にしむ旅のうれひよ緑濃きなかに見出でし人の世のさぶしさ夢を皆遠く流せし北上が瞳にしみる。 | |||
孤閨瞋火 | 山口芳光 | 5分以内 | |
瞑(めつぶ)る…………瞑ればまこと吾が病室墓原めけり薬瓶詩書軸蛇皮線経机皆物言はぬ男性なりさあれ昨夜つけ捨てし従妹の白粉紙にぞ女気を覚え吾一日緋桃の如くなまめけるなり。 | |||
街のシルヱット | 山口芳光 | 5分以内 | |
――吾等の琉球人に贈る遠い時と歴史が忘れて行つた一廓!こゝは無人島か骸骨島ででもあるか午顔の咲き乱れた白日と謂ふのに古い石垣通りには蝙蝠の魂が飛び交ひ奥入衡門には不思議な青蚊帳が吊られて昼の悪童の悲しき性交もあると謂ふ印陀羅の幻図そつくりの揺曳する妖しい影絵の国だああ何にかしら祈らねばゐられぬ福樹の森厳な黙示図絵には何んと謂ふ赤顔童子の祈雨の火遊びが点じられてあるかほら街衢の上の瞋火の干... | |||
寧日 | 山口芳光 | 5分以内 | |
母、吾が為に鼠の子虫籠に入れて与へぬ病間の徒然なる吾指もて小づき戯れ心明るう時を経にけり。 | |||
さびし | 山口芳光 | 5分以内 | |
吾は思ふ淋しさを吾は思ふ愛の淋しきを吾は思ふなり母の愛を吾は思ふなり友の愛をああいかなる縁あればぞ母、吾を生みいかなる縁あればぞ君又吾と知り今吾が為にかくも真心もて看護の氷嚢など取り返へゐるぞ吾は思ふなり愛の淋しきを吾は思ふなり大空の寂寥をああ淋し淋しいかなればぞ母、吾を愛しいかなればぞ友、吾を愛す。 | |||
春愁 | 山口芳光 | 5分以内 | |
理髪師を出張させたくる/\と髪を刈つたのである春愁の髯を剃つた青々と坊主頭になつたのである出家になつたのである。 | |||
愁思 | 山口芳光 | 5分以内 | |
秋晴は侘びしいねえ遠いとおおい水平線の彼方が見透かされはせぬか広いひろおおいお母さんの様な恋人の魂が感じられはせぬかああ秋晴は侘びしいね涙のたまつた眸に黒い喪服を着た恋人がチカ/\する。 | |||
傾ける殿堂 | 上里春生 | 5分以内 | |
――一切の世界進行を、「自己運動」に於て、自発的発展に於て、生ける実在に於てあるものとして把握する認識の条件は、それらの対立の認識これである。 | |||
サガニー耕地より | 上里春生 | 5分以内 | |
二月半ばのそら、酒室の呼吸を罩めて、風、あまし、温かし円ろかなるこの穹き懐ろに、音もなく彩雲ぞ、さすらふなる。 | |||
或る月夜に | 上里春生 | 5分以内 | |
おほぞらは、紫暗の海と澄み渡りて、真珠の群は、きらきらと、円けき海月光り流るゝ。 | |||
旅 | 森川義信 | 5分以内 | |
渡り鳥の様に旅をしてみたい時がある雲の様に旅をしてみたい時がある風のままに漂々と旅をした俳人芭蕉を憶ふ病の床にあれば一人旅を欲する――束縛された人生を思ふからである葬り去られた夢を思ひ出すに耐へられないからであるそして吾今いたつきに泣く明日のない人間だからである――旅を想ふ渡り鳥を思ふ雲を芭蕉を……。 | |||
アコウの木 | 泉芳朗 | 5分以内 | |
冬の光は冲天に流れて池面は数日来じめじめ淀んでゐるアカホの木は一つ古木ゆゑに杖のやうに気根をたよりその南の枝に烏は一羽未だ地上に達しない光を貪ってゐる烏はただ黙々と村人たちの悲しい迷信の上に不可思議な運命をまじなひ樹下にたじろぐ二人三人の村人は木梢にうそぶく彼の運命の声に胸をおさへてゐる※このアカホの木に烏がなけば、それは村中に起るべき死人かお産かの前兆であると村人は信じてゐます。 | |||
生地売り | 泉芳朗 | 5分以内 | |
ロシヤ人の生地売りは山間の一軒家に宿ってゐた「生地日本ウレナイヨカヨカ」無論誰にも面と向かって語ったのではないけれど私は只一語聞いた胸に幾回となく生地売りの言葉をくりかへしたあの一晩中山間のあばら家に耳をそばだてて××の鋭い眼光もて探照してゐた憲兵でも否恐らくこの狭隘な山間に住む人皆に生地売りの哀愁はわからなかった人々は異国人の珍奇を只むさぼり嗤った「... | |||
十二月の島だより | 泉芳朗 | 5分以内 | |
十二月ですねもうすっかり冬になったやうな而もまだ秋らしいやうなどちらかと言へば煮切らないお天気ですけれども矢張り島の生活はいいですよ昨日も鶯の声がピヨロピヨロやりましてねはにかみやでなきむしの僕にはぴったりふさわしい時季です机にだまりこくって「迷想」をかみしめるにとてもいい時です今日は小雨が哀しく飛んでゐますかぼちゃ畑が黄色にうるんですみっこのやぶかげからは何やら小鳥のおし... | |||
ねがひ | 仲村渠 | 5分以内 | |
あなたの白い手冷くならんだ五指の甲でこの頬が打たれたい落葉に敲かれるシルクハツトは悲しげである凛乎と美しい反りで悲しげである一座の花形美少女の平手に敲かれる道化役の頬より悲しげであるキヤフエの紳士白皮の手套に敲かれる酔漢の頬より悲しげであるねがひは降りしきる落葉素裸に立つ僕のからだは悲しげである。 | |||
日曜演奏後 | 仲村渠 | 5分以内 | |
音楽堂を繞つて空椅子の環状配列がいつしんに聴いてゐる落葉をはく園丁の箒の音をああよりそふ僕らの囁きを。 | |||
白い独楽 | 仲村渠 | 5分以内 | |
白昼だから秋だから原つぱは白かつた白昼だから秋だから空も白かつた原つぱのまんなかでひとり戸山学校の生徒が喇叭を吹いてゐた赤いズボンはいて喇叭を吹いてゐた白昼だから秋だから原つぱは廻つてゐた白昼だから秋だから空も廻つてゐた赤い心が澄んで廻つてゐた喇叭を吹いて廻つてゐた。 | |||
特殊部落と通婚問題 | 喜田貞吉 | 5分以内 | |
旧幕時代には、エタ非人と普通民との通婚は、国法の禁ずるところであった。 | |||
沙門と屠児 | 喜田貞吉 | 5分以内 | |
三善清行の「意見封事」に、延喜頃の人民が課役を避けんが為に出家して、天下の民三分の二は皆禿首というの状態となり、しかも彼らは貌も沙門の如く、心は屠児に似たりとある。 | |||
遠州地方の足洗 | 喜田貞吉 | 5分以内 | |
徳川時代の法制では、エタは非人の上に立って、これを支配監督する地位にいたのではあるが、非人には通例足を洗うて素人に成ることが出来るという道が開いていたのに反して、エタには殆どこれが認められてないのが普通であった。 | |||
『切支丹と旧エタ』について | 喜田貞吉 | 5分以内 | |
本誌第一巻六号に「切支丹と旧穢多」と題して、榊原君の長崎からの通信を掲げたところが、東京中野局消印で「浦部きよし」という方から、「浦上村民は穢多ではない」との投書があった。 | |||
交友録より | 室生犀星 | 5分以内 | |
萩原朔太郎二十年の友。 | |||
笛と太鼓 | 室生犀星 | 5分以内 | |
子供ができてから半年ほど経つと、国の母から小包がとどき、ひらいてみると、小さい太鼓と笛とが入つてあつた。 | |||
秋の暮 | 西東三鬼 | 5分以内 | |
私は今日、町はづれのお不動様の近くに、用事があつて出掛けたが、用事の済んだのは夕暮れで、道傍の草むらには、秋も終りに近い虫の声が散らばつていた。 | |||
女靴下の話 | 西東三鬼 | 5分以内 | |
人間五十年以上も生きていると、誰でも私の経験したような、奇々怪不可思議な出来事に一度や二度はあうものであろうか。 | |||
蘭郁二郎氏の処女作 | 大倉燁子 | 5分以内 | |
「探偵文学」誌上で発表された時、非常な好評を博した蘭郁二郎氏の「夢鬼」がこの度上梓された。 | |||
アンケート | 大倉燁子 | 5分以内 | |
ハガキ回答※☆読者、作家志望者に読ませたき本、一、二冊を御挙げ下さい。 | |||
素晴しい記念品 | 大倉燁子 | 5分以内 | |
フランスの片田舎に一人の科学者があった、年はもう五十に近いが独身で、兄弟もなく、友達もなく、淋しい孤独生活であった。 | |||
最初の印象 | 大倉燁子 | 5分以内 | |
江戸川先生に始めてお目にかかったのはもう二十年近くも前のことです。 | |||
今年の抱負 | 大倉燁子 | 5分以内 | |
元旦の朝はその一年というものが非常に長いように思われる。 | |||
上方者の啖呵 | 村上浪六 | 5分以内 | |
おツと大将、そこぢやて、江戸ツ子はンの間違ひ、いつも其処ぢや、いかにも上方もンは銭勘定が高い、高いがな、そりや日用の生活費か、但し商売上の算盤づくで、てンから帳面に上せて遊びと来たら、はゝゝゝ失礼ぢやが、迚(とて)も東京の人の真似の出来るこツちやない、全体この東京で気が大きいとか、金放れがどうとかいふのは、まづ五円ぐらゐから十円位までの事、お気の毒やが少し手荒いところで、精々二三十円から、六十円、もう百円となれば江戸ツ子はン、ちと困るなア、はゝゝゝよし一夜に二百円ぐらゐ使ふ人もあるやろ、... | |||
哀音 | 末吉安持 | 5分以内 | |
――汽車の窓にて夏の日の午さがり、我が汽車は物憂げに黒き煙を息吹きつゝ、炎天の東海道を西へ馳す。 | |||
秋の一夕 | 末吉安持 | 5分以内 | |
あゝ終の夕は来りぬ、天昏に地昏にさはなる不浄はもこゝに亡ぶか、洗礼女――河原の葦(あし)に法涙の露無量光、新らしき生命の慈相――十夜法会の跡さびしき、天台の寺院の堂に、いからしく波うつ霧や、仏龕の虫ばむ音は、悲しとも、これも自然が法の座へ辿る足音ぞ、きけ葦(あし)のさなす小琴に、霊のうた『血汐は白し血は白し、こや敬虔の古瓶の封を破らず時をまち考え伏して... | |||
悪夢 | 末吉安持 | 5分以内 | |
こは悪夢、あゝ神よ、夢はふたたび見せざれな、われには斯かる嫉み無し。 | |||
茴香 | 末吉安持 | 5分以内 | |
なが月下浣の日のゆふべ、山下岩根垂る水の玉のしづくに核ぐみて、かつ熟みこぼし斎ひつゝ、風に額づく茴香のあゝ姉妹の二人もとよ。 | |||
わが画 | 末吉安持 | 5分以内 | |
思はずも筆はしり忽ちに画は成りぬ。 | |||
夕 | 末吉安持 | 5分以内 | |
直らぬ病、身は痩せぬ。 | |||
おもひで | 末吉安持 | 5分以内 | |
父ぎみはしはぶき二つ、母ぎみはそよ一雫(しづく)、瀬戸の海、東をさしし三日まへに我を見ましぬ。 | |||
この日 | 末吉安持 | 5分以内 | |
君うつくしく幸ありと、おもへば魂はくづるゝに、なまじい罪は負ひつゝも、君は死にきと眼を閉ぢて、痩せたる胸を撫づるなり。 | |||
信姫 | 末吉安持 | 5分以内 | |
君が家はそもいづこか。 | |||
焔の后 | 末吉安持 | 5分以内 | |
気も遠く世も消え/\や丑三つの森の奥の白檀ほのにくゆり木薩地しづき頃ほひ。 | |||
かさぬ宿 | 末吉安持 | 5分以内 | |
五里の青野に行き暮れて、山下街の片門に、いかで一夜の宿乞ふと都のなまり、――うらわかき学生づれの七人は手にこそしたれ、百合の花。 | |||
文月のひと日 | 末吉安持 | 5分以内 | |
黒檀のみどり葉末に、そよ風ながう滑りて、自然の魂塊藍に薫りとぶ真夏の昼。 | |||
ねたみ | 末吉安持 | 5分以内 | |
つぶやきぬ。 | |||
如是 | 末吉安持 | 5分以内 | |
凶会日は凶会日と見て病めるもの衰へしもの、床の上にすなほに僵(たふ)れ、瓶の身は砕けてちりて、滅亡に入らむ。 | |||
夏の日 | 末吉安持 | 5分以内 | |
真夏の午の片日向、苔すこし泥ばみ青む捨石に、鳩酢草は呼吸細う雫(しずく)に湿ひ実を持ちぬ、かつ喘息ぎつゝ。 |