ブンゴウサーチ

夜通し風がふいていた

竹内浩三

『夜通し風がふいていた』は青空文庫で公開されている竹内浩三の短編作品。231文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。
文字数
5分以内
231文字
人気
280PV
書出

上衣のボタンもかけずに 厠へつっ走って行った 厠のまん中に くさったリンゴみたいな電灯が一つ まっ黒な兵舎の中では 兵隊たちが あたまから毛布をかむって 夢もみずにねむっているのだ くらやみの中で まじめくさった目をみひらいている やつもいるのだ 東の方が白んできて 細い月がのぼっていた 風に夜どおしみがかれた星は だんだん小さくなって 光をうしなってゆく たちどまって空をあおいで 空からな

初出
底本竹内浩三全作品集 日本が見えない 全1巻
表記
※「人気」は青空文庫の過去10年分のアクセスランキングを集計した累計アクセス数から算出しています。