青空文庫の全作品
青空文庫で公開されているすべての著者の全作品を、おすすめ人気順で表示しています。
| 作品名 | 著者 | 読了時間 | 人気 |
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| 作品名 | 著者 | 読了時間 | 人気 |
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| 大橋須磨子 | 長谷川時雨 | 30分以内 | |
霜月はじめの、朝の日影がほがらかにさしている。 | |||
| 朱絃舎浜子 | 長谷川時雨 | 1時間〜 | |
一 木橋の相生橋に潮がさしてくると、座敷ごと浮きあがって見えて、この家だけが、新佃島全体ででもあるような感じに、庭の芝草までが青んで生々してくる、大川口の水ぎわに近い家の初夏だった。 | |||
| 竹本綾之助 | 長谷川時雨 | 30分以内 | |
泰平三百年の徳川幕府の時代ほど、義理人情というものを道徳の第一においたことはない。 | |||
| 田沢稲船 | 長谷川時雨 | 1時間〜 | |
一 赤と黄と、緑青が、白を溶いた絵の具皿のなかで、流れあって、虹のように見えたり、彩雲のように混じたりするのを、 「あら、これ――」 絵の具皿を持っていた娘は呼んだ。 | |||
| 豊竹呂昇 | 長谷川時雨 | 30分以内 | |
私は今朝の目覚めに戸の透間からさす朝の光りを眺めて、早く鶯が夢をゆすりに訪れて来てくれるようになればよいと春暁の心地よさを思った。 | |||
| 平塚明子(らいてう) | 長谷川時雨 | 30分以内 | |
一 らいてうさま、 このほどお体は如何で御座いますか。 | |||
| 芳川鎌子 | 長谷川時雨 | 60分以内 | |
一 大正六年三月九日朝の都下の新聞紙は筆を揃えて、芳川鎌子事件と呼ばれたことの真相を、いち早く報道し、精細をきわめた記事が各新聞の社会面を埋めつくした。 | |||
| 海豹島 | 久生十蘭 | 1時間〜 | |
二日ほど前から近年にない強い北々風が吹き荒れ、今日もやまない。 | |||
| 顎十郎捕物帳 | 久生十蘭 | 60分以内 | |
馬の尻尾 「はて、いい天気だの」 紙魚くいだらけの古帳面を、部屋いっぱいにとりちらしたなかで、乾割れた、蠅のくそだらけの床柱に凭れ、ふところから手の先だけを出し、馬鹿長い顎の先をつまみながら、のんびりと空を見あげている。 | |||
| 顎十郎捕物帳 | 久生十蘭 | 30分以内 | |
魚釣談義 神田小川町『川崎』という釣道具屋。 | |||
| 顎十郎捕物帳 | 久生十蘭 | 30分以内 | |
藤波友衛 坊主畳を敷いた長二十畳で、部屋のまんなかに大きな囲炉裏が切ってある。 | |||
| 顎十郎捕物帳 | 久生十蘭 | 60分以内 | |
左きき 「こりゃ、ご書見のところを……」 「ふむ」 書見台から顔をあげると、蒼みわたった、鬢の毛のうすい、鋭い顔をゆっくりとそちらへ向け、 「おお、千太か。……そんなところで及び腰をしていねえで、こっちへ入って坐れ」 「お邪魔では……」 「なアに、暇ッつぶしの青表紙、どうせ、身につくはずがない。……ちょうど、相手ほしやのところだった」 「じゃア、ごめんこうむって……」 羽織の裾をはね、でっぷ | |||
| 顎十郎捕物帳 | 久生十蘭 | 60分以内 | |
新酒 「……先生、お茶が入りました」 「う、う、う」 「だいぶと、おひまのようですね。……鞴祭の蜜柑がございます、ひとつ召しあがれ」 「かたじけない。……季節はずれに、ひどくポカつくんで、うっとりしていた」 大きなあくびをひとつすると、盆のほうへ手をのばして蜜柑をとりあげる。 | |||
| 顎十郎捕物帳 | 久生十蘭 | 60分以内 | |
賜氷の節 「これ、押すな、押すな。……押すな、と申すに」 「どうか、お氷を……」 「あなただけが貰いたいのじゃない、みな、こうして待っている」 「……ほんの、ひとかけでも……」 「いま、順にくださる、お待ちなさい……」 「じつは……」 「おい、お武家さん、おれたちは、こうして炎天に照らされながら二刻も前から待っているんです。……つい、いま来て、先にせしめようというなあ、すこしばかり虫がいいでしょ | |||
| 顎十郎捕物帳 | 久生十蘭 | 60分以内 | |
二の字の傷 恒例の鶴御成は、いよいよ明日にせまったので、月番、北町奉行永井播磨守が、城内西の溜で南町奉行池田甲斐守と道中警備の打ちあわせをしているところへ、 「阿部さまが、至急のお召し」 と、お茶坊主が迎えに来た。 | |||
| 顎十郎捕物帳 | 久生十蘭 | 60分以内 | |
客の名札 勝色定紋つきの羽二重の小袖に、茶棒縞の仙台平の袴を折目高につけ、金無垢の縁頭に秋草を毛彫りした見事な脇差を手挾んでいる。 | |||
| 顎十郎捕物帳 | 久生十蘭 | 60分以内 | |
神隠し もう子刻に近い。 | |||
| 顎十郎捕物帳 | 久生十蘭 | 30分以内 | |
川風 「阿古十郎さん、まア、もうひとつ召しあがれ」 「ごうせいに、とりもつの」 「へへへ」 「陽気のせいじゃあるまいな」 「あいかわらず、悪い口だ。……いくらあっしが下戸でも、船遊びぐらいはいたします。……これがあたしの持病でね。……まア、いっぱい召しあがれ」 川面から映りかえす陽のひかりが屋根舟の障子にチラチラとうごく。 | |||
| 顎十郎捕物帳 | 久生十蘭 | 60分以内 | |
初鰹 「船でい」 「おお、船だ船だ」 「鰹をやれ、鰹をやれ」 「運のいい畜生だ」 「おうい、和次郎ぬし、船だぞい、おも舵だ」 文久二年四月十七日、伊豆国賀茂郡松崎村の鰹船が焼津の沖で初鰹を釣り、船梁もたわむほどになって相模灘を突っ走る。 | |||
| 顎十郎捕物帳 | 久生十蘭 | 60分以内 | |
夕立の客 「……向島は夕立の名所だというが、こりゃア、悪いときに降りだした」 「佐原屋は、さぞ難儀していることだろう。……長崎屋さん、ときに、いま何字でございますね」 「はい、ちょうど七字と十ミニュート……」 「ああ、そうですか。……六字に神田を出たとして、駕籠ならば小泉町、猪牙ならば厩橋あたり。……ずぶ濡れになって、さぞ、弱っているだろう」 「……佐原屋のことだから、如才なく船宿へでも駈けこん | |||
| 顎十郎捕物帳 | 久生十蘭 | 30分以内 | |
金の鱗 看月も、あと二三日。 | |||
| 顎十郎捕物帳 | 久生十蘭 | 60分以内 | |
恍けた手紙 「……手紙のおもむき、いかにも承知。……申し越されたように、この手紙の余白に、その旨を書きつけておいたから、これを御主人に差しあげてくれ」 「それで、御口上は?」 若いくせに、いやに皺の多い古生姜のようなひねこびた顔で、少々ウンテレガンらしく、口をあけてポカンと顎十郎の顔を見あげながら、返事を待っている。 | |||
| 顎十郎捕物帳 | 久生十蘭 | 60分以内 | |
あぶれ駕籠 「やけに吹きっつぁらしますね」 「うるるる、これはたまらん。睾丸が凍えるわ」 師走からこのかた湿りがなく、春とはほんの名ばかり、筑波から来る名代の空ッ風が、夕方になると艮へまわり、梢おろしに枯葉を巻き土煙をあげ、斬りつけるようにビュウと吹き通る。 | |||
| 顎十郎捕物帳 | 久生十蘭 | 60分以内 | |
角地争い 六月十五日の四ツ半(夜の十一時)ごろ、浅草柳橋二丁目の京屋吉兵衛の家から火が出、京屋を全焼して六ツ(十二時)過ぎにようやくおさまった。 | |||
| 顎十郎捕物帳 | 久生十蘭 | 60分以内 | |
二十六夜待 七月二十六日は二十六夜待で、芝高輪、品川、築地の海手、深川洲崎、湯島天神の境内などにはほとんど江戸じゅうの老若が日暮まえから押しだして月の出を待つ。 | |||
| 顎十郎捕物帳 | 久生十蘭 | 60分以内 | |
花婿 二十四日の亀戸天神様のお祭の夜からふりだした雨が、三十一日になっても降りやまない。 | |||
| 顎十郎捕物帳 | 久生十蘭 | 60分以内 | |
お姫様 「なんだ、なんだ、てめえら。……客か、物貰いか、無銭飲か。ただしは、景気をつけに来たのか。店構えがあまり豪勢なんで、びっくりしたような面をしていやがる。……やいやい、入るなら入れ、そんなところに突っ立ってると風通しが悪いや」 繩暖簾をくぐったところをズブ六になった中間体が無暗にポンポンいうのを、亭主がおさえておいて、取ってつけたような揉手。 | |||
| 顎十郎捕物帳 | 久生十蘭 | 60分以内 | |
はやり物 谷中、藪下の菊人形。 | |||
| 顎十郎捕物帳 | 久生十蘭 | 30分以内 | |
府中 「……すみませんねえ。これじゃ冥利につきるようで身体がちぢみます」 「やかましい、黙って乗っておれというのに」 駕籠に乗っているのは、ついこのあいだまで顎十郎の下まわりだった神田鍋町の御用聞、ひょろりの松五郎。 | |||
| 顎十郎捕物帳 | 久生十蘭 | 60分以内 | |
朝風呂 阿古十郎ことアコ長。 | |||
| 肌色の月 | 久生十蘭 | 1時間〜 | |
運送会社の集荷係が宅扱いの最後の梱包を運びだすと、この五年の間、宇野久美子の生活の砦だった二間つづきのアパートの部屋の中が、セットの組みあがらないテレビのスタジオのような空虚なようすになった。 | |||
| 犂氏の友情 | 久生十蘭 | 60分以内 | |
一 山川石亭先生が、蒼い顔をして入って来た。 | |||
| 『教室の記録』の編集を終えて | 村山俊太郎 | 5分以内 | |
この本は、国分君と、同君の片腕となり励まし合い批判し合って来た協同者である相沢さんが、ともに子どもを観察し、子どもとともに生きようとした教壇生活の記録である。 | |||
| 子どもの世界 | 村山俊太郎 | 10分以内 | |
一 ゆるやかな傾斜が、午後になると西南の陽をいっぱいに受けていた。 | |||
| 平泉紀行 | 村山俊太郎 | 30分以内 | |
一 郷土としてのわが東北、その文化の淵源地である平泉の研究旅行、これは私たちのもっとも意義深い憧れの旅であるのだ。 | |||
| 幕末維新懐古談 | 田村松魚 | 5分以内 | |
(この「光雲翁昔ばなし」は大正十一年十一月十九日(日曜日)の夜から始め出し、爾来毎日曜の夜ごとに続き、今日に及んでいる。先生のお話を聴いているものは高村光太郎氏と私との両人限りで静かな空気をこわすといけない故、絶対に他の人を立ち入らせなかった。最初の第一回は光太郎氏宅他は今日まで先生のお宅でされつつある。私たちはかねてから、先生の昔ばなしを聴きたく希望していたので、二、三年ほど前からこの事を先生に | |||
| 春鳥集 | 蒲原有明 | 60分以内 | |
櫻をばなど寢處にはせぬぞ、 花にねぬ春の鳥の心よ。 | |||
| スポーツの美的要素 | 中井正一 | 30分以内 | |
1 スポーツが人々によって研究され始めたのは、それを遊戯の一部としてであった。 | |||
| 名古屋スケッチ | 小酒井不木 | 30分以内 | |
はしがき 『名古屋、おきやあせ、すかたらん』 誰が言ひだしたか、金の鯱鉾に、先祖代々うらみを持つた人でもあるまいに、まんざら捨てたものでもない名古屋の方言から、『おきやあせ、すかたらん』を選んで、その代表的のものとするなど、まことにすかたらん御仁と申すべきである。 | |||
| 四月馬鹿 | 織田作之助 | 30分以内 | |
はしがき 武田さんのことを書く。 | |||
| 道 | 織田作之助 | 30分以内 | |
今もそのアパートはあるだろうか、濡雑巾のようにごちゃごちゃした場末の一角に、それはまるで古綿を千切って捨てたも同然の薄汚れた姿を無気力に曝していた。 | |||
| 勧善懲悪 | 織田作之助 | 1時間〜 | |
一 ざまあ見ろ。 | |||
| 浪 | 石川三四郎 | 1時間〜 | |
ルクリュ家へ 一九一三年の初夏のころであつた。 | |||
| 琵琶湖 | 横光利一 | 10分以内 | |
思ひ出といふものは、誰しも一番夏の思ひ出が多いであらうと思ふ。 | |||
| 諏訪湖畔冬の生活 | 島木赤彦 | 30分以内 | |
富士火山脈が信濃に入つて、八ヶ岳となり、蓼科山となり、霧ヶ峰となり、その末端が大小の丘陵となつて諏訪湖へ落ちる。 | |||
| 秋草の顆 | 佐左木俊郎 | 10分以内 | |
寡黙と消極的な態度とは私達一族の者の共通性格と言ってもいいのだ。 | |||
| 或る部落の五つの話 | 佐左木俊郎 | 30分以内 | |
一 禿頭の消防小頭 或る秋の日曜日だった。 | |||
| 馬 | 佐左木俊郎 | 30分以内 | |
伝平は子供の頃から馬が好きだった。 | |||
| 狂馬 | 佐左木俊郎 | 10分以内 | |
炭坑の坑は二つに区別されている。 | |||
| 山茶花 | 佐左木俊郎 | 30分以内 | |
平三爺は、病気で腰が痛むと言って、顔を顰めたり、自分で調合した薬を嚥んだりしていたのであったが、それでも、山の畠に、陸稲の落ち穂を拾いに行くのだと言って、嫁のおもんが制めたにもかかわらず、土間の片隅からふごを取って、曲がりかけた腰をたたいたりしながら、戸外へ出て行った。 | |||