5分以内で読める青空文庫の短編作品
青空文庫で公開されているすべての著者の作品の中で、おおよその読了目安時間が「5分以内」の短編作品を、おすすめ人気順で表示しています。
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作品名 | 著者 | 読了時間 | 人気 |
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酔へ! | シャルル・ピエール・ボードレール | 5分以内 | |
常に酔つてゐなければならない。 | |||
COLLOQUE MOQUEUR | 富永太郎 | 5分以内 | |
立ち去つた私のマリアの記念にと友と二人アプサントを飲んだ帰るさ星空の下をよろめいて、互の肩につかまりあつた。 | |||
PANTOMIME | 富永太郎 | 5分以内 | |
うす暗い椽側の端で、琥珀色した女の瞳が光つた――夫に叛いた。 | |||
AU RIMBAUD | 富永太郎 | 5分以内 | |
Kiosque au Rimbaud“Marila” ※ la main,Le ciel est beau,Eh ! tout le sang est Pain.2Ne voici le po※te,Mille familles dans le m※me toitRevoici le po※te :On ne fait que le droit.3Que Dieu le luise... | |||
秋の悲歎 | 富永太郎 | 5分以内 | |
私は透明な秋の薄暮の中に墜ちる。 | |||
遺産分配書 | 富永太郎 | 5分以内 | |
わが女王へ。 | |||
美しき敵 | 富永太郎 | 5分以内 | |
私はその頃不眠症に悩んで居た。 | |||
横臥合掌 | 富永太郎 | 5分以内 | |
病みさらぼへたこの肉身を湿りたるわくら葉に横たへようわがまはりにはすくすくと節の間長き竹が生え冬の夜の黒い疾い風ゆゑに茎は戛々の音を立てる節の間長き竹の茎は我が頭上に黒々と天蓋を捧げ網目なすそのひと葉ひと葉は夜半の白い霜を帯びいとも鋭い葉先をさし延べわが力ない心臓の方をゆびさす。 | |||
影絵 | 富永太郎 | 5分以内 | |
半缺けの日本の月の下を、一寸法師の夫婦が急ぐ。 | |||
画家の午後 | 富永太郎 | 5分以内 | |
雪解けの午後は淋し砂利を噛む荷車の轍の音遠くきこえ疲れ心地にふくみたるパイプの煙をのゝく室ぬちは冬の日うすれ描きさしのセント・セバスチアンは低くためいきす。 | |||
警戒 | 富永太郎 | 5分以内 | |
酔ひ痴れて、母君の知り給はぬ女の胸にあるとき、「*ここにわが働かざりし双手あり」の句を君の耳もとにさゝやき、卒然と君の眼の中に、母君の白き髪と額の皺とを呼び入れるものは何であるか。 | |||
原始林の縁辺に於ける探険者 | 富永太郎 | 5分以内 | |
※陽の眼を知らぬ原始林の幾日幾夜の旅の間わたくし熟練な未知境の探険者はたゞふかぶかと頭上に生ひ伏した闊葉の思ひつめた吐息を聴いたのみだ。 | |||
頌歌 | 富永太郎 | 5分以内 | |
鋼の波にアベラール沈み鉛の艫(とも)にエロイーズ浮む骸炭は澪(みを)に乗り直立する彼岸花を捧げて走り『死』は半ば脣(くち)を開いて水を恋ひまた燠(おき)を霊床とするすべては緑礬のみづ底に息をつく象牙球の腹部の内側に。 | |||
焦燥 | 富永太郎 | 5分以内 | |
母親は煎薬を煎じに行つた枯れた葦の葉が短かいので。 | |||
深夜の道士 | 富永太郎 | 5分以内 | |
人語なく、月なき今宵色ねびし窓帷(ぎぬ)の吐息する此の古城なる図書室の中央の遠き異国の材もて組める残忍の相ある堅き牀机にありし日よりの凝固せる大気の重圧に生得の歪(ひづみ)悉皆消散せる一片の此の肉体を枯坐せしめ勇猛なく效(かひ)なき修道なれどなほそが為に日頃捨離せる真夜中の休息を貪りて、また貪らうとはする。 | |||
熱情的なフーガ | 富永太郎 | 5分以内 | |
七月の日光の多彩なるアラベスク。 | |||
即興 | 富永太郎 | 5分以内 | |
古池の上にぬつと突き出たマドロスパイプ。 | |||
煙草の歌 | 富永太郎 | 5分以内 | |
阪を上りつめてみたら、盆のやうな月と並んで、黒い松の木の影一本……私は、子供らが手をつないで歌ふ「籠の鳥」の歌を歌はうと思つた。 | |||
大脳は厨房である | 富永太郎 | 5分以内 | |
眼球は日光を厭ふ故に瞼(まぶた)の鎧戸をひたとおろし頭蓋の中へ引き退く。 | |||
断片 | 富永太郎 | 5分以内 | |
私には群集が絶対に必要であつた。 | |||
忠告 | 富永太郎 | 5分以内 | |
思想の重圧のために眠りがたい躰(からだ)には、起つてロココ風の肘掛椅子に腰を下ろすことが必要である。 | |||
手 | 富永太郎 | 5分以内 | |
おまへの手はもの悲しい酒びたしのテーブルの上に。 | |||
癲狂院外景 | 富永太郎 | 5分以内 | |
夕暮の癲狂院は寂寞として苔ばんだ石塀を囲らしてゐます。 | |||
橋の上の自画像 | 富永太郎 | 5分以内 | |
今宵私のパイプは橋の上で狂暴に煙を上昇させる。 | |||
恥の歌 | 富永太郎 | 5分以内 | |
Honte(オント) ! honte(オント) !眼玉の蜻蛉(とんぼ)わが身を攫(さら)へわが身を啖(くら)へHonte(オント) ! honte(オント) !燃えたつ焜爐(こんろ)わが身を焦がせわが身を鎔かせHonte(オント) ! honte(オント) !干割れた咽喉わが身を涸らせわが身を曝らせHonte(オント) ! honte(オント) !... | |||
晩春小曲 | 富永太郎 | 5分以内 | |
五月のほのかなる葉桜の下を遠き自動車は走り去る。 | |||
俯瞰景 | 富永太郎 | 5分以内 | |
溝ぷちの水たまりをへらへらと泳ぐ高貴な魂がある。 | |||
無題 | 富永太郎 | 5分以内 | |
ありがたい静かなこの夕べ、何とて我が心は波うつ。 | |||
無題 | 富永太郎 | 5分以内 | |
月青く人影なきこの深夜家々の閨をかいま見つゝ白き巷を疾くよぎる侏儒の影あり愚かなる状して黒々と立てる屋根の下に臥所ありて人はいぎたなく眠れり家々はかく遠く連なりたれど眠の罪たるを知るもの絶えてあらず月も今宵その青き光を恥ぢず快楽を欲する人間の流すいつはりの涙に媚ぶと見えたりかゝる安逸の領ずる夜なればあらんかぎりの男女の肌を見んとて魔性の侏儒は心たのしみおもはゆげもなく軒より軒... | |||
無題 | 富永太郎 | 5分以内 | |
たゞひとり黎明の森を行く。 | |||
無題 | 富永太郎 | 5分以内 | |
幾日幾夜の熱病の後なる濠端のあさあけを讃ふ。 | |||
無題 京都 | 富永太郎 | 5分以内 | |
おまへの歯はよく切れるさうな山々の皮膚があんなに赤く夕陽で爛らされた鐃鉢を焦々して摺り合せてゐるおまへはもう暗い部屋へ帰つておくれおまへの顎が、薄明を食べてゐる橋の下で友禅染を晒すのだとかいふ黝(くろ)い水が産卵を終へた蜉蝣(かげろふ)の羽根を滲ませるおまへはもう暗い部屋へ帰つておくれ色褪せた造りもののおまへの四肢の花々で貧血の柳らを飾つてやることはないコンクリートの護岸堤は思... | |||
ゆふべみた夢(Etude) | 富永太郎 | 5分以内 | |
花の散つてゐる街中の桜並木を通つてゐた。 | |||
夜の讃歌 | 富永太郎 | 5分以内 | |
地は定形なく曠空くして黒暗淵(わだ)の面にあり神の霊水の面を覆ひたりき――創世記黒暗の潮今満ちて晦冥の夜ともなれば仮構の万象そが※[#「門<亥」、U+95A1、19-上-9]性を失し解体の喜びに酔ひ痴れて心をのゝき渾沌の母の胸へと帰入する。 | |||
四行詩 | 富永太郎 | 5分以内 | |
琺瑯の野外の空に明けの鳥一つ阿爾加里性水溶液にてこの身を洗へ蟷螂は眼光らせ露しげき叢を出づわが手は緑玉製 Isis(イジス) の御膝の上に。 | |||
四行詩 | 富永太郎 | 5分以内 | |
青鈍たおまへの声の森に銅を浴びたこの額を沈めたい柔く柔く毛細管よりも貞順にオーボアよ胸を踏め睫毛に縋れ。 | |||
ランボオへ | 富永太郎 | 5分以内 | |
※キオスクにランボオ手にはマニラ空は美しいえゝ血はみなパンだ※詩人が御不在になると千家族が一家で軋めくまたおいでになると掟(おきて)に適つたことしかしない※神様があいつを光らして、横にして下さるやうに!それからあれが青や薔薇色のパラソルを見ないやうに!波の中は殉教者でうようよですよ。 | |||
百鬼園讃 | 百田宗治 | 5分以内 | |
以前田舎へ旅行すると、昔「出家とその弟子」を書いた倉田百三氏とよく間違へられたことがある。 | |||
「鶴」と百間先生 | 室生犀星 | 5分以内 | |
このごろ私の随筆集が出たので出版元から是非内田百間さんに批評風な紹介を書いて貰ひたいと頼むと、内田さんは以前室生さんがあまり褒めて呉れたので、改めて褒め返すことが変だといふ理由で控へられたさうである。 | |||
人生・文章習練の書 | 恩地孝四郎 | 5分以内 | |
百間の随筆を褒めるといふことは現今の常識だ。 | |||
ある時 | 今野大力 | 5分以内 | |
「未曾有のキキン」「大水害」「餓死の年」遠いほんとうに遠い父と息子の住んで居る土地は時代をとりちがえて生きて居るようにほんとうに遠い手紙の封筒はほご紙を飯粒のりでこさえておくる切手はどこかのすみからさがして来たようにすすけてしわくちゃだ父と息子のたよりは三銭の切手もめったに送らない父は「死んでしまおうか」と訴えてくる白髪のお母よ丈夫で居てくれ小さい弟妹よ、丈夫に育ってくれ。 | |||
農奴の要求 | 今野大力 | 5分以内 | |
雪に埋れ吹雪に殴られ山脈の此方に俺達の部落がある俺達は侯爵農場の小作人俺達は真実の水呑百姓俺達の生活は農奴だ!俺達はその日隊伍を組んで堅雪を渡り氷橋を蹴って農場事務所を取巻いた俺達はその日の出来事を知っているその日俺達の歩哨は喇叭(らっぱ)を吹いた喇叭の合図で俺達はみんな見分の家につんばり棒をおっかって家を出た俺達の申し合せは不在同盟!... | |||
街の乞食 | 今野大力 | 5分以内 | |
銀座の通りに畑が出来て緑青々とした麦畑が出来ようと空想していた友よ一きれのパンをむしって乞食の子に与え慈善をしたつもりの青年があった。 | |||
夢と幻を見る家 | 今野大力 | 5分以内 | |
寝室とも書斎とも名附け難い私の室ここで私は私の好きな事をする私の家は小さな家である北国のヌタプカムシペ山脈の畔である上川平野の隅であるチュウベツを言うアイヌ人種が五十年の昔鹿を追い熊を追い狐を追った処である今まだ太古の伝説鮮やかなる殖民地の一小邑である私はここに住んでいるそして小さな安らかな新しい材木の香のする家に父母があたえた、ささやかな幸福をひたぶるに恋してゆっくりと味わ... | |||
我等の春 | 今野大力 | 5分以内 | |
春の丘を超えて歩んで来た息子の母は慈愛にみち春の大地のようにふくふくとめぐみにみちていた。 | |||
娘 | 今野大力 | 5分以内 | |
お前は俺の子供おれはお前の父親おれはお前の親となって六月だお前は生れた時この頭がおれの握り拳位だったずい分と大きくなったなお前の顔がおれに似て居るようだし今添寝して居る母にも似て居る誰彼がそう云ったそれはほんとうだろうかねむったお前お前は今ずい分よくねて居るさっきはあんなにおれに困らせたんだが母の乳房に乳がなくなりゃお前にとっては全く一大事だから泣いて泣いて... | |||
麦やきの日 | 今野大力 | 5分以内 | |
人手なき独り者治兵衛の麦はせに飛火して燃えうつり泡を喰った治兵衛は麦束もて火を叩く風つのり火はさかり麦はせは凡て燃え治兵衛は大火傷やけどした六十男治兵衛はわめきつつこげのこる麦の穂をかき集めかき集めかなしさと痛さとに大声で泣きわめく一九三四・六。 | |||
碇泊船 | 今野大力 | 5分以内 | |
船腹の色のはげ落ちた惨さは遠く波濤とたたかって来た今は疲労になやんでぐったりと体を伸べたようないたわりの心を感ずる廃船のようではないか英蘭の旗を船尾に立てて見れば船員が二三人甲板に出て立っているあの船員の眼は碧く頭髪は褐色に染み彼ら異邦を航海する人々雪降り暮るる港にあり。 | |||
本土の港を指して | 今野大力 | 5分以内 | |
津軽の海風は暮れ行く夕日の彼方へと連絡船を冷たく吹き送る桟橋に立ち去り兼ねて見送る人々とも別れて身をマントに包み頬をうずめて物蔭甲板に佇めば防波堤に点る明滅の灯火も見えずなり巍然たる函館山の容姿も次第に海をへだてて水夫の投げこんだ速度計の速めらるるままに闇の中に失われゆくかくて海峡の海は次第に荒く空よりは白き贈り物音もなく真闇の中に降り来り、海に消えマストに積る船は船底にひびくエンジ... | |||
兵士の綱 | 今野大力 | 5分以内 | |
「引け!」イチニ、イチニ、イチニ雨が降る秋に降る冷たい雨、落葉を叩く頬を打つ流してはならぬ涙の様イチニ、イチニ、イチニ中途でぐうんと引かかる、よろ、よろ、よろ、重たいゆるがぬ万億の重量「止まれ!」班長、ちっとあおそすぎないか六人の肩に絨衣を通して肩に割り込む兵士の綱グレンの代りに使われる架橋工事の兵士達雨の中、川をこいで綱を引く「初め!」イチニ、イチニ、イチニする... |
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