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本土の港を指して

今野大力

『本土の港を指して』は青空文庫で公開されている今野大力の短編作品。259文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。
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5分以内
259文字
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書出

津軽の海風は 暮れ行く夕日の彼方へと連絡船を冷たく吹き送る 桟橋に立ち去り兼ねて見送る人々とも別れて 身をマントに包み 頬をうずめて 物蔭甲板に佇めば 防波堤に点る明滅の灯火も見えずなり 巍然たる函館山の容姿も 次第に海をへだてて 水夫の投げこんだ速度計の速めらるるままに 闇の中に失われゆく かくて海峡の海は次第に荒く 空よりは白き贈り物音もなく 真闇の中に降り来り、海に消え マストに積る 船は船

初出「旭川新聞」1928(昭和3)年5月31日
底本今野大力作品集
表記
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