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無題 京都富倉次郎に

富永太郎

『無題 京都』は青空文庫で公開されている富永太郎の短編作品。250文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。
文字数
5分以内
250文字
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書出

おまへの歯は よく切れるさうな 山々の皮膚が あんなに赤く 夕陽で爛らされた鐃鉢を 焦々して 摺り合せてゐる おまへはもう 暗い部屋へ帰つておくれ おまへの顎が、薄明を食べてゐる橋の下で 友禅染を晒すのだとかいふ黝い水が 産卵を終へた蜉蝣の羽根を滲ませる おまへはもう 暗い部屋へ帰つておくれ 色褪せた造りものの おまへの四肢の花々で 貧血の柳らを飾つてやることはない コンクリートの護岸堤は 

初出「山繭 第四号」1925(大正14)年3月
底本富永太郎詩集
表記
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