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宮沢賢治の全作品

青空文庫で公開されている宮沢賢治の全作品を、おすすめ人気順で表示しています。

101-150件 / 全172件
作品名著者読了時間人気
〔りんごのみきのはひのひかり〕宮沢賢治
5分以内
りんごのみきのはひのひかり腐植のしめりのつちに立てり根ぎはの朽ちの褐なればどう枯病をうたがへり天のつかれの一方にその果朱金をくすぼらす。
会計課宮沢賢治
5分以内
九時六分のかけ時計その青じろき盤面ににはかに雪の反射来てパンのかけらは床に落ちインクの雫かわきたり。
〔昤々としてひかれるは〕宮沢賢治
5分以内
※々としてひかれるは硫黄ヶ岳の尾根の雪雲灰白に亙せるは鳥ヶ森また駒頭山焼き枕木を負ひ行きて水路に橋をなさんとや雪の荒野のたゞなかを小刻みに行く人のあり。
職員室宮沢賢治
5分以内
歪むガラスのかなたにて藤をまとへるさいかちや西は雪ぐも亙せるに一ひらひかる天の青ひるげせはしく事終へてなにかそぐはぬひとびとの暖炉を囲みあるものはその石墨をこそげたり業を了へたるわかものの官にあるは卑しくて一たび村に帰りしはその音づれも聞えざりたまさかゆれしひばの間を茶羅紗の肩をくすぼらし校長門を出で行けばいよよにゆがむガラスなり。
〔つめたき朝の真鍮に〕宮沢賢治
5分以内
つめたき朝の真鍮に胸をくるしと盛りまつりこゝろさびしくをろがめばおん舎利ゆゑにあをじろく燐光をこそはなちたまへり。
烏百態宮沢賢治
5分以内
雪のたんぼのあぜみちをぞろぞろあるく烏なり雪のたんぼに身を折りて二声鳴けるからすなり雪のたんぼに首を垂れ雪をついばむ烏なり雪のたんぼに首をあげあたり見まはす烏なり雪のたんぼの雪の上よちよちあるくからすなり雪のたんぼを行きつくし雪をついばむからすなりたんぼの雪の高みにて口をひらきしからすなりたんぼの雪にくちばしをじつとうづめしからすなり...
訓導宮沢賢治
5分以内
早くもひとり雪をけりはるかの吹雪をはせ行くは木鼠捕りの悦治なり三人ひとしくはせたちて多吉ぞわらひ軋るとき寅は溜りに倒れゐし赤き毛布にくるまりて風くるごとに足小刻むは十にたらざる児らなれや吹雪きたればあとなる児急ぎて前にすがりつゝ一列遠くうすれ行く。
月天讃歌(擬古調)宮沢賢治
5分以内
兜の尾根のうしろより月天ちらとのぞきたまへり月天子ほのかにのぞみたまへども野の雪いまだ暮れやらずしばし山はにたゆたひおはす決然として月天子山をいでたち給ひつゝその横雲の黒雲のさだめの席に入りませりけり月天子まことはいまだ出でまさずそはみひかりの異りて赤きといとど歪みませると月天子み丈のなかば黒雲にうづもれまして笑み給ひけりなめげにも人々高くもの云ひつゝ...
〔雲を濾し〕宮沢賢治
5分以内
雲を濾しまことあかるくなりし空かな子ら歓呼してことごとく走り出でしも宜なれや風のひのきはみだるるみだるゝ。
〔ま青きそらの風をふるはし〕宮沢賢治
5分以内
ま青きそらの風をふるはしひとりはたらく脱穀機R-R-r-r-r-r-r-r-r脱穀小屋の庇の下に首を垂れたる二疋の馬R-R-r-r-r-r-r-r-r粉雪おぼろにひかりたちはるかにりりと鐘なればうなじをあぐる二疋の馬華やかなりしそのかみのよきギャロップをうちふみてうまやにこそは帰り行くなれ。
〔最も親しき友らにさへこれを秘して〕宮沢賢治
5分以内
最も親しき友らにさへこれを秘してふたゝびひとりわがあへぎ悩めるに不純の想を包みて病を問ふと名をかりてあるべきならぬなが夢の(まことにあらぬ夢なれやわれに属する財はなくわが身は病と戦ひつ辛く業をばなしけるを)あらゆる詐術の成らざりしより我を呪ひて殺さんとするか然らば記せよ女と思ひて今日までは許しても来つれ今や生くるも死するもなんぢが曲意非礼を忘れじもしなほなれ...
〔月光の鉛のなかに〕宮沢賢治
5分以内
月光の鉛のなかにみどりなる犀は落ち臥し松の影これを覆へり。
宮沢賢治
5分以内
森の上のこの神楽殿いそがしくのぼりて立てばくわくこうはめぐりてどよみ松の風頬を吹くなり野をはるに北をのぞめば紫波の城の二本の杉かゞやきて黄ばめるものはそが上に麦熟すらしさらにまた夏雲の下青々と山なみははせ従ひて野は澱めどもかのまちはつひに見えざりうらゝかに野を過ぎり行くかの雲の影ともなりてきみがべにありなんものをさもわれののがれてあればうすくらき古...
宮沢賢治
5分以内
草穂のかなた雲ひくきポプラの群にかこまれて鐘塔白き秋の館かしこにひとの四年居てあるとき清くわらひけるそのこといとゞくるほしき。
病中幻想宮沢賢治
5分以内
罪はいま疾にかはりたよりなくわれは騰りて野のそらにひとりまどろむ太虚ひかりてはてしなく身は水素より軽ければまた耕さんすべもなしせめてはかしこ黒と白立ち並びたる積雲を雨と崩して堕ちなんを。
〔馬行き人行き自転車行きて〕宮沢賢治
5分以内
馬行き人行き自転車行きてしばし粉雪の風吹けり絣合羽につまごはき物噛むごとくたゝずみて大売り出しのビラ読む翁まなこをめぐる輻状の皺楽隊の音からおもてを見れば雲は傷れて眼痛む西洋料理支那料理の三色文字は赤より暮るゝ馬が一疋東へ行く古びた荷繩をぶらさげて雪みちをふむ引いて行くのはまだ頬の円いこども兵隊外套が長過ぎるので繩でしばつてたごめてゐる政友会の親分...
雪峡宮沢賢治
5分以内
塵のごと小鳥なきすぎほこ杉の峡の奥よりあやしくも鳴るやみ神楽いみじくも鳴るやみ神楽たゞ深し天の青原雲が燃す白金環と白金の黒の窟を日天子奔せ出でたまふ。
機会宮沢賢治
5分以内
恋のはじめのおとなひはかの青春に来りけりおなじき第二神来は蒼き上着にありにけりその第三は諸人の栄誉のなかに来りけりいまおゝその四愛憐は何たるぼろの中に来しぞも。
〔われらひとしく丘に立ち〕宮沢賢治
5分以内
われらひとしく丘に立ち青ぐろくしてぶちうてるあやしきもののひろがりを東はてなくのぞみけりそは巨いなる塩の水海とはおのもさとれども伝へてきゝしそのものとあまりにたがふこゝちしてたゞうつゝなるうすれ日にそのわだつみの潮騒のうろこの国の波がしらきほひ寄するをのぞみゐたりき。
四八 黄泉路宮沢賢治
5分以内
アリイルスチュアール一九二七(房中寒くむなしくて灯は消え月は出でざるに大なる恐怖の声なしていま起ちたるはそも何ぞ!……わが知るものの霊よ何とてなれは来りしや?)(君は云へりきわが待たば君も必ず来らんと……)(愛しきされど愚かしき遙けくなれの死しけるを亡きと生けるはもろ共に行き交ふことの許されねいざはやなれはくらやみにわれは愛にぞ行くべかり)...
〔たゞかたくなのみをわぶる〕宮沢賢治
5分以内
……たゞかたくなのみをわぶるなにをかひとにうらむべき……ましろきそらにはゞたきてましろきそらにたゆたひて百舌はいこひをおもふらし。
宅地宮沢賢治
5分以内
白日雲の角に入り害条桐を辞し堕ちぬ黒き豚は巣を出でてキャベヂの茎を穿ちたり。
〔そのかたち収得に似て〕宮沢賢治
5分以内
そのかたち収得に似て面赤く鼻たくましきその云ふや声肝にありその行くや犠を索むる。
〔青びかる天弧のはてに〕宮沢賢治
5分以内
青びかる天弧のはてにきらゝかに町はうかびて六月のたつきのみちはいまやはた尽きはてにけりいさゝかの書籍とセロを思ふまゝ〔以下空白〕。
〔いざ渡せかし おいぼれめ〕宮沢賢治
5分以内
「いざ渡せかしおいぼれめいつもこゝにて日を暮らす」すぱとたばこを吸ひやめて何を云ふともこの飯の煮たたぬうちに立つべしや芋の子頭白髪しておきなは榾を加へたり。
校庭宮沢賢治
5分以内
さ霧する白き木柵幹彫れる桐のいくもと剥げそめし白きペンキの木柵に人人は倚りそのペンキあるいは剥げあるものは庭をのぞめり一鐘のラッパが鳴りて急ぎ行く港先生白堊城秋のガラスはひらごとにうつろなりけり。
開墾宮沢賢治
5分以内
落ちしのばらの芽はひかり樹液はしづにかはたれぬあゝこの夕つゝましくきみと祈らばよからんをきみきたらずばわが成さんこの園つひにむなしけん西天黄ばみにごれるに雲の黒闇の見もあへず。
〔館は台地のはななれば〕宮沢賢治
5分以内
館は台地のはななれば鳥は岬の火とも見つ香魚釣る人は藪と瀬を低くすかしてわきまへぬ鳥をまがへる赤き蛾は鱗粉きらとうちながし緑の蝦を僭しつゝ浮塵子あかりをめぐりけり。
〔二川こゝにて会したり〕宮沢賢治
5分以内
(二川こゝにて会したり)(いな、和賀の川水雪代ふ夏油のそれの十なればその川ここに入ると云へ)藍と雪とのうすけぶりつらなる尾根のかなたより夏油の川は巌截りてましろき波をながしきぬ。
百合を掘る宮沢賢治
5分以内
百合掘ると唐鍬をかたぎつひと恋ひて林に行けば濁り田に白き日輪くるほしくうつりゆれたる友らみな大都のなかに入学の試験するらんわれはしも身はうち疾みてこゝろはも恋に疲れぬ森のはていづくにかあれ子ら云へる声ほのかにてはるかなる地平のあたり汽車の音行きわぶごとしこのまひる鳩のまねして松森のうす日のなかにい...
国柱会宮沢賢治
5分以内
外の面には春日うららにありとあるひびきなせるを灰いろのこの館には百の人けはひだになし台の上桜はなさき行楽の士女さゞめかんこの館はひえびえとして泉石をうち繞りたり大居士は眼をいたみはや三月の人の見るなく智応氏はのどをいたづき巾巻きて廊に按ぜり崖下にまた笛鳴りて東へととゞろき行くは北国の春の光を百里経て汽車の着きけん。
〔なべてはしけく よそほひて〕宮沢賢治
5分以内
なべてはしけくよそほひて暁惑ふ改札をならび出づるとふりかへる人なきホーム陸の橋歳に一夜の旅了へしをとめうなゐのひとむれに黒きけむりをそら高く職場は待てり春の雨。
〔雲ふかく 山裳を曳けば〕宮沢賢治
5分以内
雲ふかく山裳を曳けばきみ遠く去るにかも似ん丘群に日射し萌ゆればきみ来り訪ふにも似たり。
僧園宮沢賢治
5分以内
星のけむりの下にして石組黒くひそめるをさもあしざまに鳴き棄てつくわくこう一羽北に過ぎたり夜のもみぢの木もそびえ御堂の屋根も沈めるをさらに一羽の鳥ありて寒天質の闇に溶けたり。
釜石よりの帰り宮沢賢治
5分以内
かぎりなく鳥はすだけどこゝろこそいとそゞろなれ竹行李小きをになひ雲しろき飯場を出でぬみちのべにしやが花さけばかうもりの柄こそわびしきかすかなる霧雨ふりて丘はたゞいちめんの青谷あひの細き棚田に積まれつゝ廐肥もぬれたり。
祭日〔二〕宮沢賢治
5分以内
アナロナビクナビ睡たく桐咲きて峡に瘧のやまひつたはるナビクナビアリナリ赤き幡もちて草の峠を越ゆる母たちナリトナリアナロ御堂のうすあかり毘沙門像に味噌たてまつるアナロナビクナビ踏まるゝ天の邪鬼四方につゝどり鳴きどよむなり。
看痾宮沢賢治
5分以内
七月はさやに来れど故しらに人はなほ疾み日過ぎ来し白雲の野はさびしくも掃き浄めらる。
宗谷〔一〕宮沢賢治
5分以内
まくろなる流れの岸に根株燃すゆふべのけむりこらつどひかたみに舞ひてたんぽゝの白き毛をふく丘の上のスリッパ小屋に媼ゐてむすめらに云ふかくてしも畑みな成りてあらたなる艱苦ひらくと。
製炭小屋宮沢賢治
5分以内
もろの崖よりたゆみなく朽ち石まろぶ黒夜谷鳴きどよもせば慈悲心鳥のわれにはつらき睡りかな榾組み直しものおもひものうちおもひ榾組みてはやくも東谷のはて雲にも朱の色立ちぬ。
宗谷〔二〕宮沢賢治
5分以内
そらの微光にそゝがれていま明け渡る甲板は綱具やしろきライフブイあやしく黄ばむ排気筒はだれに暗く緑する宗谷岬のたゝずみと北はま蒼にうち睡るサガレン島の東尾や黒き葡萄の色なして雲いとひくく垂れたるに鉛の水のはてははや朱金一すぢかゞやきぬ髪を正しくくしけづりセルの袴のひだ垂れて古き国士のおもかげに日の出を待てる紳士あり船はまくろき砒素鏡をその来し...
〔棕梠の葉やゝに痙攣し〕宮沢賢治
5分以内
棕梠の葉やゝに痙攣し陽光横目に過ぐるころ湯屋には声のほのかにて溝水ほとと落ちたるに放蕩無頼の息子の大工このとき古きスコットランドの貴族風して戻り来れり。
〔このみちの醸すがごとく〕宮沢賢治
5分以内
このみちの醸すがごとく粟葉などひかりいでしはひがしなる山彙の上に黄なる月いざよへるなり夏の草山とになひてやうやくに人ら帰るをなにをかもわがかなしまんすゝきの葉露をおとせり。
駅長宮沢賢治
5分以内
ことことと行く汽車のはて温石いしの萱山の上にひとつの松ありてあるいは雷にうたれしや三角標にまがへりと大上段に真鍮の棒をかざしてさまよへりごみのごとくにあきつとぶ高圧線のま下にて秋をさびしき白服の酒くせあしき土木技手いましも汽車を避け了へてこなたへ来るといまははた急ぎガラスを入りにけり。
〔こはドロミット洞窟の〕宮沢賢治
5分以内
こはドロミット洞窟のけ寒く硬き床なるを幾箇の環を嵌められし巨人の白き隻脚ぞかくて十二の十年は事なきさまに燃え過ぐる。
秘境宮沢賢治
5分以内
漢子称して秘処といふその崖上にたどりしに樺柏に囲まれてはうきだけこそうち群れぬ漢子首巾をきと結ひて黄ばめるものは熟したりなはそを集へわれはたゞ白きを得んと気おひ云ふ漢子が黒き双の脚大コムパスのさまなして草地の黄金をみだるれば峯の火口に風鳴りぬ漢子は蕈を山と負ひ首巾をやゝにめぐらしつ東に青き野をのぞみにと笑みにつゝ先立ちぬ。
〔霜枯れのトマトの気根〕宮沢賢治
5分以内
霜枯れのトマトの気根その熟れぬ青き実をとり手に裂かばさびしきにほひほのぼのとそらにのぼりて翔け行くは二価アルコホール落ちくるは黒雲のひら。
〔雪とひのきの坂上に〕宮沢賢治
5分以内
雪とひのきの坂上に粗き板もてゴシックを辛く畳みて写真師の聖のねぐらを営みぬぼたと名づくる雪ふりていましめさけぶ橇のこらよきデュイエットうちふるひひかりて暮るゝガラス屋根。
〔鉛のいろの冬海の〕宮沢賢治
5分以内
鉛のいろの冬海の荒き渚のあけがたを家長は白きもんぱしてこらをはげまし急ぎくるひとりのうなゐ黄の巾をうちかづけるが足いたみやゝにおくるゝそのさまををとめは立ちて迎へゐる南はるかに亙りつゝ氷霧にけぶる丘丘はこぞはひでりのうちつゞきたえて稔りのなかりしを日はなほ東海ばらや黒棚雲の下にして褐砂に凍てし船の列いまだに夜をゆめむらし...
小祠宮沢賢治
5分以内
赤き鳥居はあせたれど杉のうれ行く冬の雲野は殿堂の続きかなよくすかれたる日本紙は一年風に完けきと雪の反射に知りぬべしかしこは一の篩にてひとまづそこに香を浄み入り来るなりと云ひ伝ふ雪の堆のなかにしてりゝと軋れる井戸車野は楽の音に充つるかな。
対酌宮沢賢治
5分以内
嘆きあひ酌みかふひまに灯はとぼり雑木は昏れて滝やまた稜立つ巌や雪あめのひたに降りきぬ「ただかしこ淀むそらのみかくてわがふるさとにこそ」そのひとりかこちて哭けば狸とも眼はよぼみぬ「すだけるは孔雀ならずやああなんぞ南の鳥をここにして悲しましむる」酒ふくみひとりも泣きぬいくたびか鷹はすだきて手拭は雫をおとし...
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