中原中也の全作品
青空文庫で公開されている中原中也の全作品を、おすすめ人気順で表示しています。
1-50件 / 全143件
作品名 | 著者 | 読了時間 | 人気 |
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在りし日の歌 | 中原中也 | 60分以内 | |
[#ページの左右中央]在りし日の歌[#改ページ]含羞――在りし日の歌――なにゆゑにこゝろかくは羞ぢらふ秋風白き日の山かげなりき椎の枯葉の落窪に幹々はいやにおとなび彳(た)ちゐたり枝々の拱(く)みあはすあたりかなしげの空は死児等の亡霊にみちまばたきぬをりしもかなた野のうへはあすとらかんのあはひ縫ふ古代の象の夢なりき... | |||
山羊の歌 | 中原中也 | 60分以内 | |
[#ページの左右中央]初期詩篇[#改ページ]春の日の夕暮トタンがセンベイ食べて春の日の夕暮は穏かですアンダースローされた灰が蒼ざめて春の日の夕暮は静かです吁(ああ)!案山子はないか――あるまい馬嘶(いなな)くか――嘶きもしまいただただ月の光のヌメランとするまゝに従順なのは春の日の夕暮かポトホトと野の中に伽藍は紅く荷馬車の車輪油を失ひ... | |||
散歩生活 | 中原中也 | 10分以内 | |
「女房でも貰つて、はやくシヤツキリしろよ、シヤツキリ」と、従兄みたいな奴が従弟みたいな奴に、浅草のと或るカフエーで言つてゐた。 | |||
我が生活 | 中原中也 | 30分以内 | |
私はほんとに馬鹿だつたのかもしれない。 | |||
生と歌 | 中原中也 | 30分以内 | |
古へにあつて、人が先づ最初に表現したかつたものは自分自身の叫びであつたに相違ない。 | |||
亡弟 | 中原中也 | 30分以内 | |
ああ、もう、死んでしまはうか……自分の正直さが、といふよりも歌ひたい欲望が、といふよりも酔つてゐたい性情が、強ければ強いだけ、〈頭を上げれば叩かれる〉此の世の中では、損を来たすこととなり、損も今では積り積つて、此の先生活のあてもなくなりさうになつてゐることを思ふと、死んでしまはうかと思ふより、ほかに仕方もないことであつた。 | |||
詩に関する話 | 中原中也 | 30分以内 | |
一、近頃芸術は世界全般に亙つて衰へ、その帰趨を知らない。 | |||
夭折した富永太郎 | 中原中也 | 5分以内 | |
ほつそりと、だが骨組はしつかりしてゐた、その躯幹の上に、小さな頭が載つかつてゐた。 | |||
詩と其の伝統 | 中原中也 | 30分以内 | |
何時誰から聞いたのだつたか覚えないが、かういふことを聞いたことがある。 | |||
良子 | 中原中也 | 10分以内 | |
「お嬢ちやん大きくなつたらお嫁に行くんでせう?……」良子の家に毎日やつてくる真つ赤な顔や手の魚屋の小僧は、いまお祖母ちやんが鉢を出しに奥へ行つたと思ふとそんなことを云つた。 | |||
医者と赤ン坊 | 中原中也 | 10分以内 | |
午前からの来診患者が一先づ絶えたので、先刻から庭木に鋏を入れてゐた医者が、今居間に帰つて来た所だ。 | |||
芸術論覚え書 | 中原中也 | 30分以内 | |
一、「これが手だ」と、「手」といふ名辞を口にする前に感じてゐる手、その手が深く感じられてゐればよい。 | |||
校長 | 中原中也 | 30分以内 | |
田舎の県立中学で歴史の教師をしてゐた彼が、今度京都の或私立中学の校長を勉めることになつた。 | |||
我が詩観 | 中原中也 | 30分以内 | |
詩観とはいへ、書かんとするのは要するに私の文学観であり、世界観の概略でもあるから、それに今日や昨日に考へ付いたことではないことを書くのであるから、多くの人に読んで貰ひたいものである。 | |||
金沢の思ひ出 | 中原中也 | 10分以内 | |
私が金沢にゐたのは大正元年の末から大正三年の春迄である。 | |||
耕二のこと | 中原中也 | 30分以内 | |
主家で先刻から、父と母との小言らしい声がしてゐた。 | |||
小林秀雄小論 | 中原中也 | 5分以内 | |
機敏な晩熟児といふべき此の男が、現に存するのだから僕は機敏な晩熟児が如何にして存るかその様を語らうと思ふ。 | |||
小詩論 | 中原中也 | 10分以内 | |
此処に家がある。 | |||
その頃の生活 | 中原中也 | 60分以内 | |
暑中休暇が、もう終りに近かつた。 | |||
高橋新吉論 | 中原中也 | 10分以内 | |
こんなやさしい無辜な心はまたとないのだ。 | |||
地上組織 | 中原中也 | 5分以内 | |
私は全ての有機体の上に、無数に溢れる無機的現象を見る。 | |||
蜻蛉 | 中原中也 | 30分以内 | |
会社の帰りに社長の宅を訪問した竹山は何時もになく遅く帰つて来た。 | |||
分らないもの | 中原中也 | 30分以内 | |
「福岡から、お客様がみえました」――さういふ下女の取次ぎの言葉を聞いた時から、彼は脅えてゐなくちやならなかつた。 | |||
Me Voilà | 中原中也 | 5分以内 | |
人がいかにもてなしてくれようとも、それがたゞ暖い色をした影に見え、自分が自分で疑はれるほど、淋しさの中に這入つた時、人よ憶ひ出さないか?かの、君が幼な時汽車で通りかゝつた小山の裾の、春雨に打たれてゐたどす黒い草の葉などを、また窓の下で打返してゐた海の波などを……※実生活は論理的にやるべきだ!実生活にあつて、意味のほか見ない人があつたら、その人は実生活以外にも世界を知つてゐる人だ。 | |||
河上に呈する詩論 | 中原中也 | 5分以内 | |
子供の時に、深く感じてゐたもの、――それを現はさうとして、あまりに散文的になるのを悲しむでゐたものが、今日、歌となつて実現する。 | |||
よもやまの話 | 中原中也 | 30分以内 | |
ジイド全集ももうあと三冊で完了する。 | |||
アンドレ・ジイド管見 | 中原中也 | 5分以内 | |
ジイドの芸術活動の始つたのは、凡そかのデカダン一派の淋れる頃からだと云ふことが出来る。 | |||
ヂェラルド・ド・ネルヴァル | 中原中也 | 10分以内 | |
今から百年ばかり前のことだ、仏蘭西はエルメンノンヴィユに近い一小村モンタニーの、或るお祭の日の黄昏時、アドリンもその辺の娘達と草の上で踊るために出て来た。 | |||
秋の日曜 | 中原中也 | 5分以内 | |
私の部屋の、窓越しにみえるのは、エヤ・サイン軽くあがつた二つの気球青い空は金色に澄み、そこから茸(きのこ)の薫りは生れ、娘は生れ夢も生れる。 | |||
いちじくの葉 | 中原中也 | 5分以内 | |
夏の午前よ、いちじくの葉よ、葉は、乾いてゐる、ねむげな色をして風が吹くと揺れてゐる、よわい枝をもつてゐる……僕は睡らうか……電線は空を走るその電線からのやうに遠く蝉は鳴いてゐる葉は乾いてゐる、風が吹いてくると揺れてゐる葉は葉で揺れ、枝としても揺れてゐる僕は睡らうか……空はしづかに音く、陽は雲の中に這入つてゐる、電線は打つづいてゐる蝉の声は遠くでしてゐる懐しきものみ... | |||
曇つた秋 | 中原中也 | 5分以内 | |
或る日君は僕を見て嗤(わら)ふだらう、あんまり蒼(あを)い顔してゐるとて、十一月の風に吹かれてゐる、無花果の葉かなんかのやうだ、棄てられた犬のやうだとて。 | |||
玩具の賦 | 中原中也 | 5分以内 | |
どうともなれだ俺には何がどうでも構はないどうせスキだらけぢやないかスキの方を減さうなんてチヤンチヤラ可笑しい俺はスキの方なぞ減らさうとは思はぬスキでない所をいつそ放りつぱなしにしてゐるそれで何がわるからう俺にはおもちやが要るんだおもちやで遊ばなくちやならないんだ利得と幸福とは大体は混るだが究極では混りはしない俺は混らないとこばつかり感じてゐなけあならなくなつてるんだ月給が増えるからといつてお... | |||
雲 | 中原中也 | 5分以内 | |
山の上には雲が流れてゐたあの山の上で、お弁当を食つたこともある……女の子なぞといふものは由来桜の花弁のやうに、欣(よろこ)んで散りゆくものだ近い過去も遠いい過去もおんなじこつた近い過去はあんまりまざまざ顕現するし遠いい過去はあんまりもう手が届かない山の上に寝て、空をみるのも此処にゐて、あの山をみるのも所詮は同じ、動くな動くなあゝ、枯草を背に敷いてやんわりぬ... | |||
暗い天候 | 中原中也 | 5分以内 | |
二こんなにフケが落ちる、秋の夜に、雨の音はトタン屋根の上でしてゐる……お道化てゐるな――しかしあんまり哀しすぎる。 | |||
桑名の駅 | 中原中也 | 5分以内 | |
桑名の夜は暗かつた蛙がコロコロ鳴いてゐた夜更の駅には駅長が綺麗な砂利を敷き詰めたプラットホームに只(ただ)独りランプを持つて立つてゐた桑名の夜は暗かつた蛙がコロコロ泣いてゐた焼蛤貝の桑名とは此処のことかと思つたから駅長さんに訊(たづ)ねたらさうだと云つて笑つてた桑名の夜は暗かつた蛙がコロコロ鳴いてゐた大雨の、霽(あが)つたばかりのその夜は風もなければ暗かつた... | |||
酒場にて | 中原中也 | 5分以内 | |
今晩あゝして元気に語り合つてゐる人々も、実は、元気ではないのです。 | |||
古代土器の印象 | 中原中也 | 5分以内 | |
認識以前に書かれた詩――沙漠のたゞ中で私は土人に訊(たづ)ねました「クリストの降誕した前日までにカラカネの歌を歌つて旅人が何人こゝを通りましたか」土人は何にも答へないで遠い沙丘の上の足跡をみてゐました泣くも笑ふも此の時ぞ此の時ぞ泣くも笑ふも。 | |||
寒い夜の自我像 | 中原中也 | 5分以内 | |
2恋人よ、その哀しげな歌をやめてよ、おまへの魂がいらいらするので、そんな歌をうたひだすのだ。 | |||
詩人は辛い | 中原中也 | 5分以内 | |
私はもう歌なぞ歌はない誰が歌なぞ歌ふものかみんな歌なぞ聴いてはゐない聴いてるやうなふりだけはするみんなたゞ冷たい心を持つてゐて歌なぞどうだつてかまはないのだそれなのに聴いてるやうなふりはするそして盛んに拍手を送る拍手を送るからもう一つ歌はうとするともう沢山といつた顔私はもう歌なぞ歌はないこんな御都合な世の中に歌なぞ歌はない(一九三五・九・一九)。 | |||
死別の翌日 | 中原中也 | 5分以内 | |
生きのこるものはづうづうしく、死にゆくものはその清純さを漂はせ物云ひたげな瞳を床にさまよはすだけで、親を離れ、兄弟を離れ、最初から独りであつたもののやうに死んでゆく。 | |||
地極の天使 | 中原中也 | 5分以内 | |
われ星に甘え、われ太陽に傲岸ならん時、人々自らを死物と観念してあらんことを!われは御身等を呪ふ。 | |||
蝉 | 中原中也 | 5分以内 | |
蝉が鳴いてゐる、蝉が鳴いてゐる蝉が鳴いてゐるほかになんにもない!うつらうつらと僕はする……風もある……松林を透いて空が見えるうつらうつらと僕はする。 | |||
早春散歩 | 中原中也 | 5分以内 | |
空は晴れてても、建物には蔭があるよ、春、早春は心なびかせ、それがまるで薄絹ででもあるやうにハンケチででもあるやうに我等の心を引千切りきれぎれにして風に散らせる私はもう、まるで過去がなかつたかのやうに少くとも通つてゐる人達の手前さうであるかの如くに感じ、風の中を吹き過ぎる異国人のやうな眼眸をして、確固たるものの如く、また隙間風にも消え去るものの如くさうしてこの淋しい心を抱いて、今年... | |||
ダダ音楽の歌詞 | 中原中也 | 5分以内 | |
ウハキはハミガキウハバミはウロコ太陽が落ちて太陽の世界が始つた[#「始つた」は底本では「始まつた」]テツポーは戸袋ヒヨータンはキンチヤク太陽が上つて夜の世界が始つたオハグロは妖怪下痢はトブクロレイメイと日暮が直径を描いてダダの世界が始つた(それを釈迦が眺めてそれをキリストが感心する)。 | |||
疲れやつれた美しい顔 | 中原中也 | 5分以内 | |
疲れやつれた美しい顔よ、私はおまへを愛す。 | |||
夏と悲運 | 中原中也 | 5分以内 | |
とど、俺としたことが、笑ひ出さずにやゐられない。 | |||
夏と私 | 中原中也 | 5分以内 | |
真ツ白い嘆かひのうちに、海を見たり。 | |||
夏の夜の博覧会は、かなしからずや | 中原中也 | 5分以内 | |
夏の夜の博覧会は、哀しからずや雨ちよと降りて、やがてもあがりぬ夏の夜の、博覧会は、哀しからずや女房買物をなす間、象の前に僕と坊やとはゐぬ、二人蹲(しやが)んでゐぬ、かなしからずや、やがて女房きぬ三人博覧会を出でぬかなしからずや不忍ノ池の前に立ちぬ、坊や眺めてありぬそは坊やの見し、水の中にて最も大なるものなりき、かなしからずや、髪毛風に吹かれつ見てありぬ、見てありぬ、かなしからずや... | |||
夏は青い空に…… | 中原中也 | 5分以内 | |
夏は青い空に、白い雲を浮ばせ、わが嘆きをうたふ。 | |||
干物 | 中原中也 | 5分以内 | |
秋の日は、干物の匂ひがするよ外苑の鋪道しろじろ、うちつづき、千駄ヶ谷森の梢のちろちろと空を透かせて、われわれを視守る如し。 |
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