いちじくの葉
中原中也
『いちじくの葉』は青空文庫で公開されている中原中也の短編作品。269文字で、おおよそ5分以内で読むことができます。
文字数 | 5分以内 269文字 |
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書き出し書出 | 夏の午前よ、いちじくの葉よ、葉は、乾いてゐる、ねむげな色をして風が吹くと揺れてゐる、よわい枝をもつてゐる……僕は睡らうか……電線は空を走るその電線からのやうに遠く蝉は鳴いてゐる葉は乾いてゐる、風が吹いてくると揺れてゐる葉は葉で揺れ、枝としても揺れてゐる僕は睡らうか……空はしづかに音く、陽は雲の中に這入つてゐる、電線は打つづいてゐる蝉の声は遠くでしてゐる懐しきものみ... |
初出 | |
底本 | 中原中也詩集 |
表記 | 新字旧仮名 |
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