牧野信一の全作品
青空文庫で公開されている牧野信一の全作品を、おすすめ人気順で表示しています。
作品名 | 著者 | 読了時間 | 人気 |
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作品名 | 著者 | 読了時間 | 人気 |
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作品名 | 著者 | 読了時間 | 人気 |
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交遊記 | 牧野信一 | 10分以内 | |
そのころも手帳に日記をつけてゐた。 | |||
岬の春霞 | 牧野信一 | 30分以内 | |
いつまでつゞくか、仮寝の宿――わたしは、そのとき横須賀に置いた家族から離れて湘南電車で二駅離れた海ふちの宿にゐた。 | |||
浪曼的月評 | 牧野信一 | 60分以内 | |
今月、雑誌を手にとるがいなや、自分が評家の立場であるなしにかゝはらず、待ちかまへて読んだものが、三つもあつたことは大変に愉快でした。 | |||
好日の記 | 牧野信一 | 10分以内 | |
わたしは昨今横須賀に住んでゐるので、映画などを見たいときは湘南電車で、横浜へ出かけるのであつた。 | |||
城ヶ島の春 | 牧野信一 | 30分以内 | |
城ヶ島といふと、たゞちに北原白秋さんを連想する――といふより白秋さんから、わたしは城ヶ島を知り、恰度酒を飲みはじめた十何年か前のころ、わたしたちは酔ひさへすれば、城ヶ島の雨を合唱したものである。 | |||
喧嘩咄 | 牧野信一 | 30分以内 | |
ちかごろ或る日、十何年も他所にあづけ放してあるトランクをあけて見ると昔のエハガキブックや本や手帳にまぢって、二十歳前後の写真を二束見つけた。 | |||
痩身記 | 牧野信一 | 10分以内 | |
この間うち、東京へ行つてゐた時、不図途上で、坪田譲治氏に出遇つた。 | |||
春 | 牧野信一 | 5分以内 | |
日暮里の浅草一帯から、大川のはるか彼方の白い空がいつもほのぼのと見渡せる、その崖のふちの新しい二階家の――どうしたことか、その日は、にわかな荒模様、雨や雪ではなくつて、つむぢ風の大騒ぎだつた。 | |||
半島の果にて | 牧野信一 | 5分以内 | |
神妙な療養生活がどうやら利きめがあらはれて、陽気もおひおひと和んで来ると、酒の有りがたさが沁々と感ぜられるのである。 | |||
月評 | 牧野信一 | 30分以内 | |
読むのがのろいからと心配して――これで僕は四ヶ月もつゞけて(三ヶ月間は、「早稲田文学」のために――)早く出るものからぼつ/\と読みはじめ、さて、いよ/\書かうといふ段になると、十日も前に読んだものゝ記憶は大ぶんあやしくなり、また繰ひろげて、あれこれと戸惑ひ、結局時間に追はれて半分も読み損つてしまふ有様は、まるでアダムスン漫画のやうであつた。 | |||
〔無題〕 | 牧野信一 | 5分以内 | |
そのとき、たしか、永井龍男君と井伏鱒二君と堀辰雄君と小林秀雄君とに私は誘はれて、恰度うらうらとするこのごろのやうな長閑な日の夕暮時に銀座の方から、須田町の万惣にあつまつた。 | |||
書斎を棄てゝ | 牧野信一 | 30分以内 | |
もうわたしは、余程久しい以前から定つた自分の部屋といふものを忘れて、まるで吟遊詩人のやうな日をおくつてゐることだ。 | |||
湖の夢 | 牧野信一 | 30分以内 | |
友人である医学士のF君が、オースチンを購入したので、案内車を先に立てながら富士の五湖をまはつて来ようと、或る晩わたしの部屋を訪れた。 | |||
ユリイカ・独言 | 牧野信一 | 5分以内 | |
習慣と称ぶ暴虐なる先入主を打破せんと欲する者は、多くの事柄が、単にそれに伴ふ習慣の※と皺とに支へられて何等の疑念なく認容せられてゐるのを見るであらう。 | |||
心悸亢進が回復す | 牧野信一 | 5分以内 | |
今年の一月ごろから僕は持越の神経衰弱が、いよ/\あざやかになつて都会を離れなければならなかつた。 | |||
坂口安吾君の『黒谷村』を読む | 牧野信一 | 5分以内 | |
坂口安吾の作品集が出たことは近頃僕にとつての稀なる快心の一つだ。 | |||
文学的自叙伝 | 牧野信一 | 30分以内 | |
父親からの迎へが来次第、アメリカへ渡るといふ覚悟を持たせられてゐて、私は小学校へ入る前後からカトリツク教会のケラアといふ先生に日常会話を習ひはじめてゐた。 | |||
浅原六郎抄 | 牧野信一 | 10分以内 | |
先日銀座で保高さんに遇ひ、文芸首都に何か書くようにと命ぜられた折、わたしは浅原六朗を――と応へた。 | |||
緑の軍港 | 牧野信一 | 10分以内 | |
いつの間にかわたしの部屋の壁には、いろいろな軍艦の写真が額になつて、あちこちに並び、本棚の上には「比叡」と「那智」の模型が飾られ、水雷型の筆立には巡洋艦「鈴谷」進水式紀念の軍艦旗とZ旗があつた。 | |||
初めて逢つた文士と当時の思ひ出 | 牧野信一 | 5分以内 | |
島崎藤村先生二十四位の時初めて同人雑誌に掲載した短篇を偶々先生からお手紙をもらつて認められ、その後半年ばかり経つて友人の長谷川浩三が白石実三氏から紹介状を貰つて呉れ、単独で訪問した。 | |||
浪曼的時評 | 牧野信一 | 30分以内 | |
先月は殆んど一ト月、新緑の中の海辺や山の温泉につかつて文字といふ文字は何ひとつ目にもせず蝶々などを追ひかけて暮し、その間に何か際立つた作品が現れてゐたかも知れないが、それまでは今年になつてからといふものわたしは、その読後感を誌す目的で毎月つゞけて月々の多くの雑誌を読んで来た。 | |||
わが生活より | 牧野信一 | 5分以内 | |
今年になつて――。 | |||
附記(夜見の巻) | 牧野信一 | 5分以内 | |
本篇は昭和八年十一月ごろの作であり、作者にとつては寧ろ近作の部に属するものであるが、既にしてこの作を前後とする四・五年間の一連の作品は作者にとつての小時代を劃して歴然たる過去の夢である。 | |||
十年ひと昔 | 牧野信一 | 5分以内 | |
十年前は阿佐ヶ谷に住んで居り、やはり目下と同様吶々と小説ばかり書いて居りました。 | |||
気狂ひ師匠 | 牧野信一 | 10分以内 | |
わたしのうちには頭のやまひの血統があるといふことだが、なるほど云はれて見るとわたしの知る限りでも、父親の弟を知つてゐる。 | |||
断酒片 | 牧野信一 | 5分以内 | |
止める止めるとこぼしながらうまくゆかないのが多くの飲酒者の通例であるが、止めようと思つたら飲まなければ好いのにと僕は思ひそんなことは口にもせず飲みつゞけてゐたところ急に具合が悪くなつたので止めて見たところ、一向僕には未練もない、性根は余り酒好きでもなかつたのか知ら、他人の酔つてゐるのを見ても白々としたもので、自分も酔つてゐた時はあんな風だつたのか!と思つても別段羨しくもなければ、後悔もなく、まこと変哲のなさの至りである。 | |||
〔作者の言分〕 | 牧野信一 | 5分以内 | |
海野武二氏の批評に就いては、その観点の差異が全く対蹠的なものであり、不断抗議を述べるとならば寧ろ簡略に申しがたく、この場合は残念ながら黙つて通り過ぎるより他方法も見出せないのであります。 | |||
山峡の凧 | 牧野信一 | 30分以内 | |
百足凧と称する奇怪なかたちの凧は、殆ど人に知られてゐないらしい。 | |||
今年の文壇で | 牧野信一 | 5分以内 | |
一、最も印象に残つた作品二、最も活躍した人一、広津和郎「一時期」小島政二郎「眼中の人」室生犀星「弄獅子」以上五月までに読んだもの。 | |||
昭和十年度に於いて最も印象に残つたもの | 牧野信一 | 5分以内 | |
室生犀星の「弄獅子」と映画「朱金紹」が印象に残つて居ります。 | |||
処女作の新春 | 牧野信一 | 5分以内 | |
大正八年の春書いた「爪」といふのが処女作であり同年の十二月号に「十三人」といふ同人雑誌に載り、それが偶然にも島崎先生より讃辞を頂いたことに就いては先生も或る文章の中に誌したので省略するが、それが十二月のことであり、日本橋の或る商店に寄食してゐた折から、私は暮から春の休みへかけて、秘かに原稿紙などを鞄に入れてひとりで熱海へ赴いたことを憶ひ出す。 | |||
自烈亭 | 牧野信一 | 5分以内 | |
僕は近頃また東京に舞ひ戻つて息子と二人で、霞荘といふところに寄宿しながら全く慎ましい日夕をおくり迎へて別段不足も覚えないのであるが、こんな小さな部屋では酒をのむわけにもゆかず、いつも神妙な顔をして、こつこつと小説を書き、書いても書いても何といふこともなく家を建てるなんていふことはおろか着物一枚買へもせず、それどころかいつの間にか鞄に入れて来たものもなくなつてしまつたりして、これは一体何ういふものかなどゝ考へると、やはり余り小つぽけな暮しをしてゐるために、そんなつもりではなくつてもつい了見... | |||
ライス・ワッフルの友 | 牧野信一 | 5分以内 | |
こんなことを何も僕は決して誇り気に誌すわけではないのであるが、今不図考へて見て男の友達でも女の友達でも――それはいつも極く少人数であるが、一度交際した人と、自分から先に離れたといふ記憶を持たない、つい口の慎しみがなくて親しむに伴れては喧嘩などをすることは屡々であるが、その場限りで二三日経つと悪いことは皆な忘れてしまふ。 | |||
青春のころわが愛せし作品と主人公 | 牧野信一 | 5分以内 | |
「ファウスト」のファウスト。 | |||
或るハイカーの記 | 牧野信一 | 30分以内 | |
適量の日本酒を静かに吟味しながら愛用してゐれば、凡そ健康上の効用に此れ以上のものは無いといふことは古来から夙に云はれて居り、わたしなども身をもつてそれを明言出来る者であつたが、誰しも多くの飲酒者は稍ともすれば感情のほとばしるに任せては後悔の種を育てがちになるのも実にも通例の仕儀ながら、わたしも亦その伝で銀座通りなどをおし歩きながらウヰスキーをあをりつゞけたお蔭で、例に依つて例の如く、終ひに閑寂なる療養生活に没頭しなければならなくなつた。 | |||
ペルリ行 | 牧野信一 | 5分以内 | |
私は昨今横須賀に住んで、夙に病弱の療養に専念してゐる。 | |||
『ユリイカ』挿話 | 牧野信一 | 5分以内 | |
ポウの宇宙論『ユリイカ』のなかにはトレミイ・ヒィフェスチョンといふ学者の名が出て参ります。 | |||
爪 | 牧野信一 | 30分以内 | |
寒い晩だつた。 | |||
ランプの明滅 | 牧野信一 | 10分以内 | |
試験の前夜だつた。 | |||
I Am Not A Poet, But I Am A Poet. | 牧野信一 | 5分以内 | |
「今日は二人で、こうして海を眺めながら、歌を作り合ふじやありませんか。 | |||
朝 | 牧野信一 | 5分以内 | |
「あなたは何故酒を飲むだり煙草を喫つたりするのですか。 | |||
若い作家と蠅 | 牧野信一 | 30分以内 | |
ある時は――苔のない心うれしい心くもつた心――悲しい心。 | |||
凸面鏡 | 牧野信一 | 30分以内 | |
「君は一度も恋の悦びを経験した事がないのだね。 | |||
蚊 | 牧野信一 | 30分以内 | |
若しも貴方が妾に裏切るやうな事があれば、妾は屹度貴方を殺さずには置きませんよ、と常に云つてゐた女が、いざとなつたら他愛もなく此方を棄てゝ行つた。 | |||
闘戦勝仏 | 牧野信一 | 60分以内 | |
玄奘三蔵法師が或日、孫悟空に向つて、「汝の勇と智は天上天下に許されてゐる、天の魔も地の鬼も、汝の黒一毛にも及ばない。 | |||
失題 | 牧野信一 | 5分以内 | |
一刻も早く家へ帰り度い気持と、それとは反対に、どこかへ行つて見度いといふ気持――がその二つの心にのみ面接してゐたといふ程ではなく、ただその朧ろげな二つの気持を「空漠」とした白さが濡紙のやうにフワリと覆つて、つまり彼はその三つの心を蔵して歩いてゐた。 | |||
白明 | 牧野信一 | 60分以内 | |
医院を開いてゐた隆造の叔父が発狂して、それも他所目にはさうとも見られる程でもなかつたが職業柄もあつたし、家内の者達への狂暴は募るばかりで「酒癖が悪い」位ゐでは包み終せなくなつて、漸くのこと、三月ばかり前にS癲狂院へ入院させて以来――毎晩のやうに同じやうな叔母の愚痴話の相手になつて、隆造は夜を更さなければならなかつた。 | |||
愚かな朝の話 | 牧野信一 | 30分以内 | |
窓に限られた小さな空が紺碧に澄み渡つて、――何かかう今日の一日は愉快に暮せさうな、といふやうな爽々しい気持が、室の真中に上向けに寝転むだ儘、うつとりとその空を眺めあげた私の胸にふはふはと感ぜられました。 | |||
公園へ行く道 | 牧野信一 | 60分以内 | |
「散髪して来よう。 | |||
坂道の孤独参昧 | 牧野信一 | 60分以内 | |
何故俺は些う迄性のない愚図なんだらう、これツぱかりの事を何も思ひ惑ふにはあたらない、手取り早く仕度さへすれば二時間も掛らないで出来上る……が、純造は「明日こそは――」と叱るやうに決心した。 |