10分以内で読める牧野信一の短編作品

青空文庫で公開されている牧野信一の作品の中で、おおよその読了目安時間が「10分以内」の短編作品を、おすすめ人気順で表示しています。

1–50件 / 全55件

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作品名著者読了時間文字数人気書き出し
センチメンタル・ドライヴ牧野信一10分以内3,855

「弾け! 弾け! その手風琴で沢山だ。」 「南北戦争の兵隊でもが持つやうな手風琴だな、ハツハツハ! 横ツ腹が大分破れてゐるぢやないか!」 「お前の胸には打つてつけだらうG――」 「失敬な、弾かねえぞ!」 「弾け! 弾け! リング、リング・ド・バンジョウ! あんなものを弾くにはそれで沢山だよ、K! お前は一緒にハモニカを吹け!」 「オーライ!」 「ぢや、俺もオーライとしよう!」  Gの言葉だけが隣り

「弾け! 弾け! その手風琴で沢山だ。」 「南北戦争の兵隊でもが持つやうな手風琴だな、ハツハツハ! 横ツ腹が大分破れてゐるぢやないか!」 「お前の胸には打つてつけだらうG――」 「失敬な、弾かねえぞ!」 「弾け! 弾け! リング、リング・ド・バンジョウ! あんなものを弾くにはそれで沢山だよ、K! お前は一緒にハモニカを吹け!」 「オーライ!」 「ぢや、俺もオーライとしよう!」  Gの言葉だけが隣り

熱い砂の上牧野信一10分以内3,365

一  駆け出した、とても歩いたりしてはをられなかつたから――砂が猛々しく焦けてゐて誰にも到底素足では踏み堪へられなかつた。

一  駆け出した、とても歩いたりしてはをられなかつたから――砂が猛々しく焦けてゐて誰にも到底素足では踏み堪へられなかつた。

駆ける朝牧野信一10分以内3,822

「苦労」は後から後から、いくらでもおし寄せてくる。

「苦労」は後から後から、いくらでもおし寄せてくる。

交遊秘話牧野信一10分以内3,688

一  私が、G・L・マイアム氏から私の作品に寄せる最も好意ある手紙を貰つたのは昨年の冬の頃だつた。

一  私が、G・L・マイアム氏から私の作品に寄せる最も好意ある手紙を貰つたのは昨年の冬の頃だつた。

出発牧野信一10分以内3,778

(A) 「風よ風よ、吾を汝が立琴となせ、彼の森の如く――か、ハツハツハ……琴にならぬうちに、おさらばだよ、森よ森よ、さよなら――と!」 「真面目かと思へば冗談で、冗談かと思へば生真面目で、転がせ/\、この樽を――だ、ハツハツハツ……」 「泣いて呉れるなヨ、出船の邪魔だヨ……」 「今日は黒パン、明日は白パン、兵士の歌だよ、白い娘と黒いパン、黒い娘と白いパン、どんどん行け行け鉄砲かついで――」  私

(A) 「風よ風よ、吾を汝が立琴となせ、彼の森の如く――か、ハツハツハ……琴にならぬうちに、おさらばだよ、森よ森よ、さよなら――と!」 「真面目かと思へば冗談で、冗談かと思へば生真面目で、転がせ/\、この樽を――だ、ハツハツハツ……」 「泣いて呉れるなヨ、出船の邪魔だヨ……」 「今日は黒パン、明日は白パン、兵士の歌だよ、白い娘と黒いパン、黒い娘と白いパン、どんどん行け行け鉄砲かついで――」  私

黄昏の堤牧野信一10分以内3,851

一  小樽は、読みかけてゐるギリシヤ悲劇の中途で幾つかの語学に就いての知識を借りなければならないことになつて、急に支度を整へて出かけた。

一  小樽は、読みかけてゐるギリシヤ悲劇の中途で幾つかの語学に就いての知識を借りなければならないことになつて、急に支度を整へて出かけた。

断唱牧野信一10分以内3,456

*  父が若い時にあつめた“Cook book”の文庫のうちに“American's popular Cook book”といふ、表紙にブルクリン橋の写真のついた、大きい本で重くて気の毒だが、画布のやうな布で作られてゐる本があるから、此処に寄る時にそれを持つて来て呉れないかといふことを私は、弟に言伝てた。

*  父が若い時にあつめた“Cook book”の文庫のうちに“American's popular Cook book”といふ、表紙にブルクリン橋の写真のついた、大きい本で重くて気の毒だが、画布のやうな布で作られてゐる本があるから、此処に寄る時にそれを持つて来て呉れないかといふことを私は、弟に言伝てた。

東京駅にて感想牧野信一10分以内3,162

一  久しい間辺卑な田舎で暮した上句なので、斯うして東京に来て見ると僕は、何を見ても、何処を訪れても、面白く、刺戟が爽かで、愉快で/\、毎日々々天気さへ好ければピヨン/\と出歩いて寧日なき楽天家だ、金貨だつて? そいつはまあ無い日の方が多いけれど、無ければ無いで公園を散歩する、スポーツを見物する、友達のところからオートバイを借りて来て矢鱈に街中を駆け廻つて、気分を晴し、同時に見聞を広める……。

一  久しい間辺卑な田舎で暮した上句なので、斯うして東京に来て見ると僕は、何を見ても、何処を訪れても、面白く、刺戟が爽かで、愉快で/\、毎日々々天気さへ好ければピヨン/\と出歩いて寧日なき楽天家だ、金貨だつて? そいつはまあ無い日の方が多いけれど、無ければ無いで公園を散歩する、スポーツを見物する、友達のところからオートバイを借りて来て矢鱈に街中を駆け廻つて、気分を晴し、同時に見聞を広める……。

波の戯れ牧野信一10分以内2,654

春、二三日のこと  春だつた――といふだけのことである。

春、二三日のこと  春だつた――といふだけのことである。

馬上の春牧野信一10分以内2,056

上  私たちが、その村に住んでゐたころ――では、今年の正月は、いつものやうに朝から晩まで酒を飲んでは議論をしたり喧嘩をしたりしてゐても止め度がないから、 「今年はひとつ――」  と、私達の伊達好みの戯談好きの村長が提言しました。

上  私たちが、その村に住んでゐたころ――では、今年の正月は、いつものやうに朝から晩まで酒を飲んでは議論をしたり喧嘩をしたりしてゐても止め度がないから、 「今年はひとつ――」  と、私達の伊達好みの戯談好きの村長が提言しました。

寄生木と縄梯子牧野信一10分以内2,284

「ヤドリ木――知つてゐますか?」 「……知らんのう、実物を見たら、あゝ、これか――と思ふかも知んないが……ヤドリ木? 聞いたこともない。」  誰に訊ねても同じ返答ばかりであつた。

「ヤドリ木――知つてゐますか?」 「……知らんのう、実物を見たら、あゝ、これか――と思ふかも知んないが……ヤドリ木? 聞いたこともない。」  誰に訊ねても同じ返答ばかりであつた。

ビルヂングと月牧野信一10分以内2,702

酒が宴の途中で切れると、登山嚢を背にして、馬を借りだし、峠を越えて村の宿場まで赴かなければならない。

酒が宴の途中で切れると、登山嚢を背にして、馬を借りだし、峠を越えて村の宿場まで赴かなければならない。

ピエル・フオン訪問記牧野信一10分以内3,514

一  R村のピエル・フオンの城主を夏の間に訪問する約束だつたが、貧しい生活にのみ囚はれてゐる私は、決してそれだけの余暇を見出す事が出来ずにゐる間に、世は晩秋の薄ら寂しい候であつた。

一  R村のピエル・フオンの城主を夏の間に訪問する約束だつたが、貧しい生活にのみ囚はれてゐる私は、決してそれだけの余暇を見出す事が出来ずにゐる間に、世は晩秋の薄ら寂しい候であつた。

ファティアの花鬘牧野信一10分以内2,413

一  私は卓子の上に飛びあがると、コップを持つた腕を勢ひ好く振りあげた――酒は天井にはねあがつた。

一  私は卓子の上に飛びあがると、コップを持つた腕を勢ひ好く振りあげた――酒は天井にはねあがつた。

疑惑の城牧野信一10分以内3,195

――嘘をつくな、試みに君の手鏡を執りあげて見給へ、君の容色は日増に蒼ざめてゆくではないか、吾等は宇宙の真理のために、そしてまた君が若し芸術に志すならば、芸術のために蒼ざめるべきではないか――。

――嘘をつくな、試みに君の手鏡を執りあげて見給へ、君の容色は日増に蒼ざめてゆくではないか、吾等は宇宙の真理のために、そしてまた君が若し芸術に志すならば、芸術のために蒼ざめるべきではないか――。

馬車の歌牧野信一10分以内3,833

佗しい村住ひの僕等が、ある日、隣り町の食糧品店に急用が出来て、半日がかりで様々な切端詰つた用事を済せた後に、漸く村を指して引きあげることになつた夕暮時の途すがらであつた。

佗しい村住ひの僕等が、ある日、隣り町の食糧品店に急用が出来て、半日がかりで様々な切端詰つた用事を済せた後に、漸く村を指して引きあげることになつた夕暮時の途すがらであつた。

二日間のこと牧野信一10分以内3,281

八月×日  ――蜂雀の真実なる概念を単に言葉の絵具をもつて描かんと努むるも、それは恰も南アメリカの生ける日光を瓶詰となして、大西洋を越え、イギリスの空に輝く雨と降り灑がうとするが如き不可能事に他ならぬ――。

八月×日  ――蜂雀の真実なる概念を単に言葉の絵具をもつて描かんと努むるも、それは恰も南アメリカの生ける日光を瓶詰となして、大西洋を越え、イギリスの空に輝く雨と降り灑がうとするが如き不可能事に他ならぬ――。

老猾抄牧野信一10分以内3,463

「もう私は一切酒は飲まない。」  私の叔父にあたる岩城源造は余程神妙さうに繰返してゐた。

「もう私は一切酒は飲まない。」  私の叔父にあたる岩城源造は余程神妙さうに繰返してゐた。

鸚鵡の思ひ出牧野信一10分以内2,171

一 「いくら熱心になつたつて無駄だわよ。――シン。鸚鵡だからつて必ず言葉を覚えるときまつてはゐまいし。」  アメリカ娘のFは、さう朗らかに笑つて私の肩を叩いた。

一 「いくら熱心になつたつて無駄だわよ。――シン。鸚鵡だからつて必ず言葉を覚えるときまつてはゐまいし。」  アメリカ娘のFは、さう朗らかに笑つて私の肩を叩いた。

思ひ出した事(松竹座)牧野信一10分以内3,414

芝居を見るのは、何年振りのことだ。

芝居を見るのは、何年振りのことだ。

貧しき文学的経験(文壇へ出るまで)牧野信一10分以内3,610

(一)同人雑誌「十三人」  大正八年の秋頃、今実業之日本社に居る、たしか浅原六朗君から、今度、今年学校を出た連中のうちで、同人雑誌を発行することに決つたから、君も加はらないか、と誘はれた。

(一)同人雑誌「十三人」  大正八年の秋頃、今実業之日本社に居る、たしか浅原六朗君から、今度、今年学校を出た連中のうちで、同人雑誌を発行することに決つたから、君も加はらないか、と誘はれた。

吾家の随筆牧野信一10分以内2,475

私は、初歩英語読本が随分好きだつた。

私は、初歩英語読本が随分好きだつた。

あやふやなこと牧野信一10分以内2,520

記者。

記者。

趣味に関して牧野信一10分以内3,729

眼鏡  或日、趣味に関して人に問はれた。

眼鏡  或日、趣味に関して人に問はれた。

断想的に牧野信一10分以内2,108

葛西善蔵氏の――。

葛西善蔵氏の――。

娘とドリアン牧野信一10分以内2,279

一  すゝきの穂が白んで、山道で行きちがふ子供達から青い蜜柑の香気がかがれる。

一  すゝきの穂が白んで、山道で行きちがふ子供達から青い蜜柑の香気がかがれる。

朝居の話牧野信一10分以内2,294

去年の十二月のはぢめ頃だつた。

去年の十二月のはぢめ頃だつた。

途上日記牧野信一10分以内3,558

上  都合に出て来ると都合の空気を腹一杯に満喫したいのが念願である。

上  都合に出て来ると都合の空気を腹一杯に満喫したいのが念願である。

初夏通信牧野信一10分以内3,516

一 (封書――。宛名、神奈川県足柄上郡R――村字鬼塚タバン・アウエルバツハ気付、御常連殿)  僕は東京の生活が物珍らしく、愉快で愉快でマメイドのことなんて思ひ出す余裕もなかつたよ。

一 (封書――。宛名、神奈川県足柄上郡R――村字鬼塚タバン・アウエルバツハ気付、御常連殿)  僕は東京の生活が物珍らしく、愉快で愉快でマメイドのことなんて思ひ出す余裕もなかつたよ。

読書と生活牧野信一10分以内3,704

驢馬旅行  友達のAが私の部屋に現はれて云つた。

驢馬旅行  友達のAが私の部屋に現はれて云つた。

附「歌へる日まで」牧野信一10分以内2,442

R村々長殿  御手紙拝見いたしました。

R村々長殿  御手紙拝見いたしました。

舞踏学校見物牧野信一10分以内2,066

とても蒸暑い日でした。

とても蒸暑い日でした。

彼に就いての挿話牧野信一10分以内3,739

井伏鱒二の作と人。

井伏鱒二の作と人。

真夏の夜の夢牧野信一10分以内3,763

上  私は「喜劇考」と題して喜劇の発生に関する物語を、宇宙万物の流転の涯しもない煙りが人々の胸に炎えて怖ろしく佗しい道をたどつて行く原始人の底知れぬ落莫感に起因したといふ話を聞いて、自分達の住んだ村の風景を描写することで叙述したことがあるが、喜劇も悲劇も発生の混沌時代にあつては、断じて笑ひとか涙とかで分類出来ぬ――単に人間の、壮麗な宇宙と卑小な生命に戦く恐怖と憧憬の歌に源くのみであつた。

上  私は「喜劇考」と題して喜劇の発生に関する物語を、宇宙万物の流転の涯しもない煙りが人々の胸に炎えて怖ろしく佗しい道をたどつて行く原始人の底知れぬ落莫感に起因したといふ話を聞いて、自分達の住んだ村の風景を描写することで叙述したことがあるが、喜劇も悲劇も発生の混沌時代にあつては、断じて笑ひとか涙とかで分類出来ぬ――単に人間の、壮麗な宇宙と卑小な生命に戦く恐怖と憧憬の歌に源くのみであつた。

満里子のこと牧野信一10分以内2,136

苗字は省きますが満里子君は私の少数の女友達のうちで、数年以来変らぬ親愛と信頼とを惜みなく持ち続けてゐる可憐で快活な人です。

苗字は省きますが満里子君は私の少数の女友達のうちで、数年以来変らぬ親愛と信頼とを惜みなく持ち続けてゐる可憐で快活な人です。

三田に来て牧野信一10分以内3,963

一  結廬古城下  時登古城上  古城非疇昔  今人自来往  坂を登り、また坂を登り――そして、石垣の台上に居並ぶ家々のうちで、一番隅つこの、一番小さい家に居を移した。

一  結廬古城下  時登古城上  古城非疇昔  今人自来往  坂を登り、また坂を登り――そして、石垣の台上に居並ぶ家々のうちで、一番隅つこの、一番小さい家に居を移した。

文学とは何ぞや牧野信一10分以内2,999

上  その科目は、何であつたか今私は忘却してしまつたが、その科目の受持教授は、数年前に物故された片上伸先生であつた。

上  その科目は、何であつたか今私は忘却してしまつたが、その科目の受持教授は、数年前に物故された片上伸先生であつた。

ひとりごと牧野信一10分以内3,415

(十月十六日)           *  きのふ、おとゝひ、さきおとゝひ――と、あゝ、何といふ浅ましさであらう、嫌はれ、軽蔑され、憎がられて、ウマクもない酒をのんでの気違騒ぎ、あゝ、もう厭だ、断然、酒は御免だ。

(十月十六日)           *  きのふ、おとゝひ、さきおとゝひ――と、あゝ、何といふ浅ましさであらう、嫌はれ、軽蔑され、憎がられて、ウマクもない酒をのんでの気違騒ぎ、あゝ、もう厭だ、断然、酒は御免だ。

嘆きの谷で拾つた懐疑の花びら牧野信一10分以内2,283

日記といふものを、逆に時日を遡つて誌さうとしたら、映画のヒルムを逆に回転するやうな混乱に陥るだらうか――今朝、こんなことを考へながら、墓地に隣る生垣の傍らで書きかけの原稿を焼いてゐた。

日記といふものを、逆に時日を遡つて誌さうとしたら、映画のヒルムを逆に回転するやうな混乱に陥るだらうか――今朝、こんなことを考へながら、墓地に隣る生垣の傍らで書きかけの原稿を焼いてゐた。

「三田文学」と巌谷夫人牧野信一10分以内2,480

これに出てゐる「十二時」といふ小説は、姉のだよと十郎が僕の机の上にあつた「三田文学」を指さしたので、僕はおどろいてそれをとりあげ、早速その場でその小説を読みはぢめたときのことを僕は今でもはつきりと思ひ出せるのだ。

これに出てゐる「十二時」といふ小説は、姉のだよと十郎が僕の机の上にあつた「三田文学」を指さしたので、僕はおどろいてそれをとりあげ、早速その場でその小説を読みはぢめたときのことを僕は今でもはつきりと思ひ出せるのだ。

魚籃坂にて牧野信一10分以内2,562

魚籃坂に住んで二度目の夏を迎へるわけだが、割合にこのあたりは住み心地が佳いのだらうか、何時何処に移つても直ぐその翌日あたりから、さてこの次は何処に住まうかといふやうなことを考へはじめるのが癖なのに、そしてひとりでそつと上眼をつかひながら、放浪といふ言葉などを想ひ描いて切なく寂し気な夢を追ふのが癖なのに、珍らしくもあまり引越しのことなどは考へずに――また夏となつた。

魚籃坂に住んで二度目の夏を迎へるわけだが、割合にこのあたりは住み心地が佳いのだらうか、何時何処に移つても直ぐその翌日あたりから、さてこの次は何処に住まうかといふやうなことを考へはじめるのが癖なのに、そしてひとりでそつと上眼をつかひながら、放浪といふ言葉などを想ひ描いて切なく寂し気な夢を追ふのが癖なのに、珍らしくもあまり引越しのことなどは考へずに――また夏となつた。

水車小屋の日誌牧野信一10分以内2,634

一  今度東京へ戻つてからの住むべき部屋を頼む意味の手紙を八代龍太に書くつもりで、炉端で鉛筆を削つた。

一  今度東京へ戻つてからの住むべき部屋を頼む意味の手紙を八代龍太に書くつもりで、炉端で鉛筆を削つた。

「尾花」を読みて牧野信一10分以内2,168

途中で考へるから、ともかく銀座の方へ向つて走つて呉れたまへ――僕は、いつにもそんなことはないのだが、たつたひとりで寂しさうに外へ出ると、車に乗つて、そんな風に呟いた。

途中で考へるから、ともかく銀座の方へ向つて走つて呉れたまへ――僕は、いつにもそんなことはないのだが、たつたひとりで寂しさうに外へ出ると、車に乗つて、そんな風に呟いた。

サフランの花牧野信一10分以内2,291

これは私の父親(二十五才)の日記である。

これは私の父親(二十五才)の日記である。

交遊記牧野信一10分以内2,657

そのころも手帳に日記をつけてゐた。

そのころも手帳に日記をつけてゐた。

岬の春霞牧野信一10分以内3,914

いつまでつゞくか、仮寝の宿――わたしは、そのとき横須賀に置いた家族から離れて湘南電車で二駅離れた海ふちの宿にゐた。

いつまでつゞくか、仮寝の宿――わたしは、そのとき横須賀に置いた家族から離れて湘南電車で二駅離れた海ふちの宿にゐた。

好日の記牧野信一10分以内3,692

一  わたしは昨今横須賀に住んでゐるので、映画などを見たいときは湘南電車で、横浜へ出かけるのであつた。

一  わたしは昨今横須賀に住んでゐるので、映画などを見たいときは湘南電車で、横浜へ出かけるのであつた。

城ヶ島の春牧野信一10分以内3,996

城ヶ島といふと、たゞちに北原白秋さんを連想する――といふより白秋さんから、わたしは城ヶ島を知り、恰度酒を飲みはじめた十何年か前のころ、わたしたちは酔ひさへすれば、城ヶ島の雨を合唱したものである。

城ヶ島といふと、たゞちに北原白秋さんを連想する――といふより白秋さんから、わたしは城ヶ島を知り、恰度酒を飲みはじめた十何年か前のころ、わたしたちは酔ひさへすれば、城ヶ島の雨を合唱したものである。

痩身記牧野信一10分以内3,827

一  この間うち、東京へ行つてゐた時、不図途上で、坪田譲治氏に出遇つた。

一  この間うち、東京へ行つてゐた時、不図途上で、坪田譲治氏に出遇つた。

浅原六郎抄牧野信一10分以内2,124

先日銀座で保高さんに遇ひ、文芸首都に何か書くようにと命ぜられた折、わたしは浅原六朗を――と応へた。

先日銀座で保高さんに遇ひ、文芸首都に何か書くようにと命ぜられた折、わたしは浅原六朗を――と応へた。