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真夏の夜の夢

牧野信一

『真夏の夜の夢』は青空文庫で公開されている牧野信一の短編作品。3,905文字で、おおよそ10分以内で読むことができます。
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10分以内
3,905文字
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書出

上私は「喜劇考」と題して喜劇の発生に関する物語を、宇宙万物の流転の涯しもない煙りが人々の胸に炎えて怖ろしく佗しい道をたどつて行く原始人の底知れぬ落莫感に起因したといふ話を聞いて、自分達の住んだ村の風景を描写することで叙述したことがあるが、喜劇も悲劇も発生の混沌時代にあつては、断じて笑ひとか涙とかで分類出来ぬ――単に人間の、壮麗な宇宙と卑小な生命に戦く恐怖と憧憬の歌に源くのみであつた。

初出「時事新報 第一七三一二号、第一七三一四号、第一七三一五号」時事新報社、1931(昭和6)年8月20日、22日、23日
底本牧野信一全集第四巻
表記
新字旧仮名
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