魚籃坂にて
牧野信一
『魚籃坂にて』は青空文庫で公開されている牧野信一の短編作品。2,631文字で、おおよそ10分以内で読むことができます。
文字数 | 10分以内 2,631文字 |
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書き出し書出 | 魚籃坂に住んで二度目の夏を迎へるわけだが、割合にこのあたりは住み心地が佳いのだらうか、何時何処に移つても直ぐその翌日あたりから、さてこの次は何処に住まうかといふやうなことを考へはじめるのが癖なのに、そしてひとりでそつと上眼をつかひながら、放浪といふ言葉などを想ひ描いて切なく寂し気な夢を追ふのが癖なのに、珍らしくもあまり引越しのことなどは考へずに――また夏となつた。 |
初出 | 「文藝春秋 第十一巻第八号(八月号)」文藝春秋社、1933(昭和8)年8月1日 |
底本 | 牧野信一全集第五巻 |
表記 | 新字旧仮名 |
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