山本周五郎の全作品

青空文庫で公開されている山本周五郎の全作品を、おすすめ人気順で表示しています。

201–250件 / 全251件

青空文庫の作品を人気順に表示
作品名著者読了時間文字数人気書き出し
狐山本周五郎30分以内8,580

一  いちばんはじめに、誰が云いだしたかわからなかった、また、はじめのうちは誰もほんとうだと思う者はなかった、「まさか、いまどきそんなばかなことがある筈はない」そう云って笑う者が多かった、「そんならためしてみるか」「いいとも」そんなことがいくたびとなくあった、そうして、だんだんと笑う者がなくなった。

一  いちばんはじめに、誰が云いだしたかわからなかった、また、はじめのうちは誰もほんとうだと思う者はなかった、「まさか、いまどきそんなばかなことがある筈はない」そう云って笑う者が多かった、「そんならためしてみるか」「いいとも」そんなことがいくたびとなくあった、そうして、だんだんと笑う者がなくなった。

三十二刻山本周五郎60分以内15,585

一 「到頭はじめました」 「そうか」 「長門どのでも疋田でも互いに一族を集めております。大手の木戸を打ちましたし、両家の付近では町人共が立退きを始めています」 「ではわしはすぐ登城しよう」 「いやただ今お触令がございまして、何分の知らせをするまで家から出ぬようにとのことです。騒動が拡がってはならぬという思召でしょう。しかし用意だけはいたしておきます」  父と兄とが口早に話している隣の部屋から、娘

一 「到頭はじめました」 「そうか」 「長門どのでも疋田でも互いに一族を集めております。大手の木戸を打ちましたし、両家の付近では町人共が立退きを始めています」 「ではわしはすぐ登城しよう」 「いやただ今お触令がございまして、何分の知らせをするまで家から出ぬようにとのことです。騒動が拡がってはならぬという思召でしょう。しかし用意だけはいたしておきます」  父と兄とが口早に話している隣の部屋から、娘

三年目山本周五郎30分以内11,496

一の一 「……どなたです」  そう云って覗いた顔を見て友吉はまごついた。

一の一 「……どなたです」  そう云って覗いた顔を見て友吉はまごついた。

秋風不帰山本周五郎60分以内14,006

一 「ねえお侍さん、乗っておくれよ」 「しようのない奴だな」  狩谷夏雄は苦笑しながら振返って、 「何度も云う通り拙者は城下まで行くのだ、ここはもう柳繩手の町外れではないか、ここから馬に乗ってどうするのだ」 「それでも、……ねえ乗って下さいよ、……じゃなければ草鞋を一足買っておくんなさい、お侍さんのは、もう緒が切れそうだよ」  年は十六か七であろう、まっ黒に日焼けのした顔に似合わず、頬冠りの下か

一 「ねえお侍さん、乗っておくれよ」 「しようのない奴だな」  狩谷夏雄は苦笑しながら振返って、 「何度も云う通り拙者は城下まで行くのだ、ここはもう柳繩手の町外れではないか、ここから馬に乗ってどうするのだ」 「それでも、……ねえ乗って下さいよ、……じゃなければ草鞋を一足買っておくんなさい、お侍さんのは、もう緒が切れそうだよ」  年は十六か七であろう、まっ黒に日焼けのした顔に似合わず、頬冠りの下か

粗忽評判記山本周五郎60分以内14,134

一  苅田久之進は粗忽者という評判である。

一  苅田久之進は粗忽者という評判である。

蕭々十三年山本周五郎30分以内8,203

一  明暦三年の火事は江戸開府いらいはじめての大災だった。

一  明暦三年の火事は江戸開府いらいはじめての大災だった。

殉死山本周五郎30分以内10,811

一 「どういうわけなんだ、いったいこれはどうしたというのだ」八島主馬はすこし腹立たしそうにまわりの人々を見まわした、「まるでめしゅうどを警護しているようではないか、五郎兵衛、きかせてくれ、これはどういうわけなんだ、みんな此処でなにをしているんだ」「まあ待て、仔細はいまに話す」久米五郎兵衛がなだめるように云った、「なにもそこもとを窮命しているわけではない、おれたちはまあいわばとのい詰めのようなもの

一 「どういうわけなんだ、いったいこれはどうしたというのだ」八島主馬はすこし腹立たしそうにまわりの人々を見まわした、「まるでめしゅうどを警護しているようではないか、五郎兵衛、きかせてくれ、これはどういうわけなんだ、みんな此処でなにをしているんだ」「まあ待て、仔細はいまに話す」久米五郎兵衛がなだめるように云った、「なにもそこもとを窮命しているわけではない、おれたちはまあいわばとのい詰めのようなもの

須磨寺附近山本周五郎30分以内10,598

一  清三は青木に迎えられて須磨に来た。

一  清三は青木に迎えられて須磨に来た。

だだら団兵衛山本周五郎60分以内12,637

一  雨もよいの生温い風が吹いている。

一  雨もよいの生温い風が吹いている。

楯輿山本周五郎30分以内8,403

一  神原与八郎は豪快な生きかたを好んだ。

一  神原与八郎は豪快な生きかたを好んだ。

討九郎馳走山本周五郎30分以内10,410

一 「しばらく、しばらくお待ち下さい」兼高討九郎はそわそわしながら急に面をあげて云った、「ただいまお達しの御意、いまいちど仰せ聞けられとうございます」 「その必要はない」老職水野主馬は、討九郎がそう云うだろうとかねて期していたようすで、あらぬ方へ眼をやりながら云った、「きたる六月より徒士組支配を免じ、馳走番仰せつけらる、それだけのことだ、わかったら退ってよろしい」 「それは、その、御上意でござい

一 「しばらく、しばらくお待ち下さい」兼高討九郎はそわそわしながら急に面をあげて云った、「ただいまお達しの御意、いまいちど仰せ聞けられとうございます」 「その必要はない」老職水野主馬は、討九郎がそう云うだろうとかねて期していたようすで、あらぬ方へ眼をやりながら云った、「きたる六月より徒士組支配を免じ、馳走番仰せつけらる、それだけのことだ、わかったら退ってよろしい」 「それは、その、御上意でござい

土佐の国柱山本周五郎60分以内17,847

一 「高閑さま、召されます」 「…………」 「高閑さま、高閑さま」  連日のお伽の疲れで、坐ったまま仮睡をしていた高閑斧兵衛は、二度めの呼声ではっと眼をさました。

一 「高閑さま、召されます」 「…………」 「高閑さま、高閑さま」  連日のお伽の疲れで、坐ったまま仮睡をしていた高閑斧兵衛は、二度めの呼声ではっと眼をさました。

壺山本周五郎60分以内16,320

一  寛永十二年十一月の或る日、紀伊のくに新宮の町の万字屋という宿に、木村外記となのる中年の武士が来て草鞋をぬいだ。

一  寛永十二年十一月の或る日、紀伊のくに新宮の町の万字屋という宿に、木村外記となのる中年の武士が来て草鞋をぬいだ。

夏草戦記山本周五郎60分以内21,274

一  慶長五年(一六〇〇)六月のある日の昏れがたに、岩代のくに白河郡の東をはしる山峡のけわしい道を越えてきた一隊百二十余人のみしらぬ武者たちが竹置という小さな谷あいの部落へはいって野営をした。

一  慶長五年(一六〇〇)六月のある日の昏れがたに、岩代のくに白河郡の東をはしる山峡のけわしい道を越えてきた一隊百二十余人のみしらぬ武者たちが竹置という小さな谷あいの部落へはいって野営をした。

抜打ち獅子兵衛山本周五郎60分以内12,244

一 賭け勝負(木剣真剣望み次第)  試合は一本  申込みは金一枚  うち勝つ者には金十枚呈上  中国浪人天下無敵  ぬきうち獅子兵衛  横二尺に縦五尺ほどの杉板へ、墨も黒々と筆太に書いた高札が立っている。

一 賭け勝負(木剣真剣望み次第)  試合は一本  申込みは金一枚  うち勝つ者には金十枚呈上  中国浪人天下無敵  ぬきうち獅子兵衛  横二尺に縦五尺ほどの杉板へ、墨も黒々と筆太に書いた高札が立っている。

花宵山本周五郎30分以内9,116

一  清之助のきよがき(お清書)をつくづくと見ていた母親のいねは、しずかに押し戻してやりながら、 「よくおできでした」  とやさしく云った。

一  清之助のきよがき(お清書)をつくづくと見ていた母親のいねは、しずかに押し戻してやりながら、 「よくおできでした」  とやさしく云った。

鉢の木山本周五郎60分以内13,256

一  そのような運命が一夜のうちにめぐって来ようとは思いも及ばぬことであった。

一  そのような運命が一夜のうちにめぐって来ようとは思いも及ばぬことであった。

武家草鞋山本周五郎60分以内18,009

一 「あの方はたいそう疲れていらっしゃるのですね、お祖父さま、きっとずいぶんお辛い旅が続いたのでしょう、わたくしあの方のお顔を拝見したときすぐにそう思いました」若いむすめの艶やかな声が、秋の午後のひっそりとした庭のほうから聞えてくる、「……並なみのご苦労ではないのですよ、あのお眼の色でしんそこ疲れきっていらっしゃるのがわかります、わたくし胸が痛くなりました、本当にここのところが痛くなりましたの、

一 「あの方はたいそう疲れていらっしゃるのですね、お祖父さま、きっとずいぶんお辛い旅が続いたのでしょう、わたくしあの方のお顔を拝見したときすぐにそう思いました」若いむすめの艶やかな声が、秋の午後のひっそりとした庭のほうから聞えてくる、「……並なみのご苦労ではないのですよ、あのお眼の色でしんそこ疲れきっていらっしゃるのがわかります、わたくし胸が痛くなりました、本当にここのところが痛くなりましたの、

夫婦の朝山本周五郎30分以内11,328

一  霜月のよく晴れた日であった。

一  霜月のよく晴れた日であった。

兵法者山本周五郎30分以内8,224

一  寛文という年代のなかごろ、或る年の冬の夜のことだった。

一  寛文という年代のなかごろ、或る年の冬の夜のことだった。

武道無門山本周五郎60分以内12,283

一  宮部小弥太は臆病者であった。

一  宮部小弥太は臆病者であった。

孫七とずんど山本周五郎60分以内15,276

一  烈風と豪雨の夜だった。

一  烈風と豪雨の夜だった。

水戸梅譜山本周五郎60分以内12,709

一  寛文五年の秋のある日、徳川光圀の水戸の館へ、貧しげなひとりの浪人ものが、仕官をたのむためにおとずれた。

一  寛文五年の秋のある日、徳川光圀の水戸の館へ、貧しげなひとりの浪人ものが、仕官をたのむためにおとずれた。

蜜柑山本周五郎60分以内12,528

一 「大夫がお呼びなさる?」  源四郎はいぶかしげに問いかえした。

一 「大夫がお呼びなさる?」  源四郎はいぶかしげに問いかえした。

水の下の石山本周五郎60分以内13,497

一 「おそろしく暗いな……如法闇夜とはこんな晩のことをいうのだろうな」列の五六人さきでそう云うこえがした、だがそれに答える者はなかった。

一 「おそろしく暗いな……如法闇夜とはこんな晩のことをいうのだろうな」列の五六人さきでそう云うこえがした、だがそれに答える者はなかった。

めおと鎧山本周五郎60分以内12,194

一  香田孫兵衛が飛竜を斬ったのは、「犬」といういきものが嫌いだったからではない。

一  香田孫兵衛が飛竜を斬ったのは、「犬」といういきものが嫌いだったからではない。

ゆだん大敵山本周五郎60分以内21,121

一  老田久之助が殿の御秘蔵人だということは、長岡藩で知らぬ者はなかった。

一  老田久之助が殿の御秘蔵人だということは、長岡藩で知らぬ者はなかった。

義経の女山本周五郎10分以内3,769

そのとき千珠は、屋形の廂にいて、京から来た文を読んでいた。

そのとき千珠は、屋形の廂にいて、京から来た文を読んでいた。

歔欷く仁王像山本周五郎60分以内14,313

一  ――まあ、なんて清吉は色が白いのだろう。

一  ――まあ、なんて清吉は色が白いのだろう。

美少女一番乗り山本周五郎30分以内10,697

一 「――えイッ」  叩きつけるような気合と共に、空を切って白刃がきらめき、人影が入り乱れた。

一 「――えイッ」  叩きつけるような気合と共に、空を切って白刃がきらめき、人影が入り乱れた。

朝めし山本周五郎5分以内390

幾たびか書いたことだが、私は朝めしは自分で作って喰べる。

幾たびか書いたことだが、私は朝めしは自分で作って喰べる。

お手洗山本周五郎5分以内1,528

芝居を観るのに客席に坐らず、監事室で観るのは本式ではない、と常々思っている。

芝居を観るのに客席に坐らず、監事室で観るのは本式ではない、と常々思っている。

思い違い山本周五郎10分以内2,497

老人がいる限り迷信はなくならないという。

老人がいる限り迷信はなくならないという。

北へ傾がった家山本周五郎5分以内1,584

何月ぶりかに来た若い客が、迷わずに来たといって自慢そうな顔をした。

何月ぶりかに来た若い客が、迷わずに来たといって自慢そうな顔をした。

好みの移り変り山本周五郎10分以内2,612

私は去年あたりから喰べ物の好みが変ってきた。

私は去年あたりから喰べ物の好みが変ってきた。

米と貧しさ山本周五郎10分以内2,091

仕事に必要なため、この四月中旬に十日あまり北国地方をまわって来た。

仕事に必要なため、この四月中旬に十日あまり北国地方をまわって来た。

酒屋の夜逃げ山本周五郎5分以内1,889

こういう題をみると、人びと――少なくとも酒呑みに属する人びとは膝を乗り出すだろうと思う。

こういう題をみると、人びと――少なくとも酒呑みに属する人びとは膝を乗り出すだろうと思う。

酒・杯・徳利山本周五郎30分以内4,095

荒廃した田舎家の中だ。

荒廃した田舎家の中だ。

酒みずく山本周五郎10分以内2,678

私はいま二週間以上も酒びたりになっている。

私はいま二週間以上も酒びたりになっている。

酒も食べ物も山本周五郎10分以内2,857

「どういう物が好きか」と訊かれるたびに、私は「うまい物が好きです」と答える。

「どういう物が好きか」と訊かれるたびに、私は「うまい物が好きです」と答える。

多忙山本周五郎5分以内1,193

どうもいそがしくてしようがない。

どうもいそがしくてしようがない。

年齢について山本周五郎5分以内370

ちかごろ、批評家やまわりの友人たちが、しきりに私の年齢のことをあげつらう。

ちかごろ、批評家やまわりの友人たちが、しきりに私の年齢のことをあげつらう。

某月某日山本周五郎5分以内650

仕事に明け仕事に昏れるという生活で、あまり人とも会わず、会うのは殆んどが仕事に関する人だけで、家族とも離れているから、特に「某月某日」というような変ったことはない。

仕事に明け仕事に昏れるという生活で、あまり人とも会わず、会うのは殆んどが仕事に関する人だけで、家族とも離れているから、特に「某月某日」というような変ったことはない。

某月某日山本周五郎5分以内400

午後十時すぎ。

午後十時すぎ。

八百長について山本周五郎5分以内1,598

このごろ「八百長」ということがしばしば問題になるが、「八百長」そのものよりも、それをとりあげていきりたつ側のほうが、私にはひどく興ざめに感じられる。

このごろ「八百長」ということがしばしば問題になるが、「八百長」そのものよりも、それをとりあげていきりたつ側のほうが、私にはひどく興ざめに感じられる。

旅館について山本周五郎30分以内7,965

私は国外旅行の経験はないし、これからもそんなことはしないつもりである。

私は国外旅行の経験はないし、これからもそんなことはしないつもりである。

ブドー酒・哲学・アイスクリーム山本周五郎10分以内3,622

書きながら飲むというようなことは、めったにしないが、酒とは親しいつきあいである。

書きながら飲むというようなことは、めったにしないが、酒とは親しいつきあいである。

武家の食生活山本周五郎5分以内1,101

「現在かくの如く切迫した決戦期にあり、国民の多くが一人で二人前も三人前も働いている時そしてその戦闘労力の要求が更に増大していくと信ぜられる時に、主食一割減という事実は各方面にかなり大きな問題を投げているようです」私がそういった。

「現在かくの如く切迫した決戦期にあり、国民の多くが一人で二人前も三人前も働いている時そしてその戦闘労力の要求が更に増大していくと信ぜられる時に、主食一割減という事実は各方面にかなり大きな問題を投げているようです」私がそういった。

堀口さんとメドック山本周五郎5分以内668

昭和二十年の五月だと思うが、ある人を介して堀口九萬一さんからお招きをうけた。

昭和二十年の五月だと思うが、ある人を介して堀口九萬一さんからお招きをうけた。

矢押の樋山本周五郎60分以内14,745

一 「あれはなんだ、衣類のようではないか」  外村重太夫は扇子で陽を除けながら、立停って顎をしゃくった。

一 「あれはなんだ、衣類のようではないか」  外村重太夫は扇子で陽を除けながら、立停って顎をしゃくった。