30分以内で読める山本周五郎の短編作品

青空文庫で公開されている山本周五郎の作品の中で、おおよその読了目安時間が「30分以内」の短編作品を、おすすめ人気順で表示しています。

1–50件 / 全65件

青空文庫の作品を人気順に表示
作品名著者読了時間文字数人気書き出し
日本婦道記山本周五郎30分以内10,875

一  北向きの小窓のしたに机をすえて「松の花」という稿本に朱を入れていた佐野藤右衛門は、つかれをおぼえたとみえてふと朱筆をおき、めがねをはずして、両方の指でしずかに眼をさすりながら、庭のほうを見やった。

一  北向きの小窓のしたに机をすえて「松の花」という稿本に朱を入れていた佐野藤右衛門は、つかれをおぼえたとみえてふと朱筆をおき、めがねをはずして、両方の指でしずかに眼をさすりながら、庭のほうを見やった。

おもかげ抄山本周五郎30分以内11,286

一 「おい見ろ見ろ」 「――なんだ」 「あすこへ来る浪人を知ってるか」 「うちの店へ越して来た鎌田孫次郎てえ人だろう」 「本名はそうかも知れぬがの」  魚売り金八はにやりと笑って、「あれあおめえたいした飴ん棒だぜ」  遠州浜松の城下外れ、「猪之松」という問屋場の店先を一人の浪人が通りかかった。

一 「おい見ろ見ろ」 「――なんだ」 「あすこへ来る浪人を知ってるか」 「うちの店へ越して来た鎌田孫次郎てえ人だろう」 「本名はそうかも知れぬがの」  魚売り金八はにやりと笑って、「あれあおめえたいした飴ん棒だぜ」  遠州浜松の城下外れ、「猪之松」という問屋場の店先を一人の浪人が通りかかった。

晩秋山本周五郎30分以内11,899

一  旦那さまがお呼びだからお居間へ伺うように、そう云われたとき都留はすぐ「これは並の御用ではないな」と思った。

一  旦那さまがお呼びだからお居間へ伺うように、そう云われたとき都留はすぐ「これは並の御用ではないな」と思った。

一人ならじ山本周五郎30分以内10,463

一  栃木大助は「痛い」ということを云わない、またなにか具合の悪いことがあっても、「弱った」とか、「参った」とか、「困った」などということを決して云わない。

一  栃木大助は「痛い」ということを云わない、またなにか具合の悪いことがあっても、「弱った」とか、「参った」とか、「困った」などということを決して云わない。

夜の蝶山本周五郎30分以内10,504

一  本所亀沢町の掘割に面した百坪ばかりの空地に、毎晩「貝屋」という軒提灯をかかげた屋台店が出る。

一  本所亀沢町の掘割に面した百坪ばかりの空地に、毎晩「貝屋」という軒提灯をかかげた屋台店が出る。

城を守る者山本周五郎30分以内9,486

一 「甲斐のはるのぶと槍を合せることすでに三たび、いちどはわが太刀をもって、晴信を死地に追いつめながら、いまひと打ちをし損じて惜しくものがした」  上杉輝虎は、けいけいたる双眸でいち座を見まわしながら、大きく組んだよろい直垂の膝を、はたと扇で打った。

一 「甲斐のはるのぶと槍を合せることすでに三たび、いちどはわが太刀をもって、晴信を死地に追いつめながら、いまひと打ちをし損じて惜しくものがした」  上杉輝虎は、けいけいたる双眸でいち座を見まわしながら、大きく組んだよろい直垂の膝を、はたと扇で打った。

石ころ山本周五郎30分以内11,534

一  ああ高坂の権之丞さまがお通りなさる、また裏打の大口を召しておいでですね、あの方のは大紋うつしでいつも伊達にお拵えなさるけれど、お色が白くてお身細ですから華奢にみえますこと。

一  ああ高坂の権之丞さまがお通りなさる、また裏打の大口を召しておいでですね、あの方のは大紋うつしでいつも伊達にお拵えなさるけれど、お色が白くてお身細ですから華奢にみえますこと。

其角と山賊と殿様山本周五郎30分以内5,089

その頃榎本其角は、俳友小川破笠と共に江戸茅場町の裏店に棲んでいた。

その頃榎本其角は、俳友小川破笠と共に江戸茅場町の裏店に棲んでいた。

亡霊ホテル山本周五郎30分以内9,901

惨劇の部屋  伊藤豊治青年が洗面を済まして着換えをしているところへ、制服を着た給仕が朝の珈琲を運んで来た。

惨劇の部屋  伊藤豊治青年が洗面を済まして着換えをしているところへ、制服を着た給仕が朝の珈琲を運んで来た。

日本婦道記山本周五郎30分以内8,420

一 「どうかしたのか、顔色がすこしわるいように思うが」  直輝の気づかわしげなまなざしに加代はそっと頬をおさえながら微笑した。

一 「どうかしたのか、顔色がすこしわるいように思うが」  直輝の気づかわしげなまなざしに加代はそっと頬をおさえながら微笑した。

死処山本周五郎30分以内7,123

一  夏目吉信(次郎左衛門)が駈けつけたとき、大ひろ間ではすでにいくさ評定がはじまって、人びとのあいだに意見の応酬がはげしくとり交わされていた。

一  夏目吉信(次郎左衛門)が駈けつけたとき、大ひろ間ではすでにいくさ評定がはじまって、人びとのあいだに意見の応酬がはげしくとり交わされていた。

入婿十万両山本周五郎30分以内10,943

一 「――浅二郎」 「はい」 「今日もまた家中の若い奴等が何か悪さをしたそうではないか」  矢走源兵衛は茶を啜りながら柔和な眼をあげて婿を見た。

一 「――浅二郎」 「はい」 「今日もまた家中の若い奴等が何か悪さをしたそうではないか」  矢走源兵衛は茶を啜りながら柔和な眼をあげて婿を見た。

蘭山本周五郎30分以内10,363

一  秋の日はすでに落ちていた。

一  秋の日はすでに落ちていた。

留さんとその女山本周五郎30分以内6,918

留さんは通船会社の万年水夫である。

留さんは通船会社の万年水夫である。

殺生谷の鬼火山本周五郎30分以内9,686

凶報到る  東京理科大学生の椙原敦夫は、北海道の奥地に在る故郷の妹から、 (母死ス父危篤至急帰レ、至急ヲ要ス)  という意味の電報を受取った。

凶報到る  東京理科大学生の椙原敦夫は、北海道の奥地に在る故郷の妹から、 (母死ス父危篤至急帰レ、至急ヲ要ス)  という意味の電報を受取った。

無頼は討たず山本周五郎30分以内11,739

一  浅黄色にくっきり晴れた空だ。

一  浅黄色にくっきり晴れた空だ。

お繁山本周五郎30分以内6,973

一  曇日であった。

一  曇日であった。

正体山本周五郎30分以内7,450

龍助危篤という電報を手にしたとき、津川は電文の意味を知るよりも佐知子に会えるなと思うほうがさきだった。

龍助危篤という電報を手にしたとき、津川は電文の意味を知るよりも佐知子に会えるなと思うほうがさきだった。

日本婦道記山本周五郎30分以内8,782

一 「そういう高価なものは困りますよ、そちらの鮒を貰っておきましょう」  書庫へ本を取りにいった戻りにふとそういう妻の声をきいて、太宰は廊下の端にたちどまった。

一 「そういう高価なものは困りますよ、そちらの鮒を貰っておきましょう」  書庫へ本を取りにいった戻りにふとそういう妻の声をきいて、太宰は廊下の端にたちどまった。

夕靄の中山本周五郎30分以内9,647

一  彼は立停って、跼み、草履の緒のぐあいを直す恰好で、すばやくそっちへ眼をはしらせた。

一  彼は立停って、跼み、草履の緒のぐあいを直す恰好で、すばやくそっちへ眼をはしらせた。

蛮人山本周五郎30分以内6,824

貝殻を焼いて石灰をつくる工場が中堀から荒地へ出はずれたところにあった。

貝殻を焼いて石灰をつくる工場が中堀から荒地へ出はずれたところにあった。

鼓くらべ山本周五郎30分以内8,721

一  庭さきに暖い小春日の光が溢れていた。

一  庭さきに暖い小春日の光が溢れていた。

天狗岩の殺人魔山本周五郎30分以内8,947

いよいよこの村へも殺人鬼 「伯父さん大変だ、凄い記事ですぜ」  扉を蹴放すような勢でとび込んで来た祐吉は、新聞を片手に振廻しながら、 「殺人鬼権六! 当地へ潜入せり、銀行家宮橋多平氏脅迫さる、脅迫状には五千円を要求しあり、当地住民は恐怖動揺を来し、警察当局もまた非常警戒に任じたり」 「うるさい、うるさい!」  平野大造氏は手を振って制した。

いよいよこの村へも殺人鬼 「伯父さん大変だ、凄い記事ですぜ」  扉を蹴放すような勢でとび込んで来た祐吉は、新聞を片手に振廻しながら、 「殺人鬼権六! 当地へ潜入せり、銀行家宮橋多平氏脅迫さる、脅迫状には五千円を要求しあり、当地住民は恐怖動揺を来し、警察当局もまた非常警戒に任じたり」 「うるさい、うるさい!」  平野大造氏は手を振って制した。

幽霊屋敷の殺人山本周五郎30分以内9,326

謎の白堊館 「どうだね龍介!」  晩餐のあとの珈琲を啜っていた春田博士は、龍介少年を見ながら、読んでいた新聞紙を投げだして話しかけた。

謎の白堊館 「どうだね龍介!」  晩餐のあとの珈琲を啜っていた春田博士は、龍介少年を見ながら、読んでいた新聞紙を投げだして話しかけた。

豹山本周五郎30分以内6,775

月見山で電車を下りると、いつもひっそりしている道の上に、ざわざわと人の動くのが見えた。

月見山で電車を下りると、いつもひっそりしている道の上に、ざわざわと人の動くのが見えた。

海浜荘の殺人山本周五郎30分以内8,875

四人の客 「エル、まだかい」  ベランダから無遠慮に覗きながら、高野千之が声をかけた。

四人の客 「エル、まだかい」  ベランダから無遠慮に覗きながら、高野千之が声をかけた。

だんまり伝九山本周五郎30分以内9,039

一 「どうだい、赤松さまは、いつ見ても恐ろしいなあ、あのかっこうを見てくれ」 「じつにどうも人間とは思えねえ」 「や、や、今日はじまんの樫棒だぜ」  ここは土佐の国浦戸の城中。

一 「どうだい、赤松さまは、いつ見ても恐ろしいなあ、あのかっこうを見てくれ」 「じつにどうも人間とは思えねえ」 「や、や、今日はじまんの樫棒だぜ」  ここは土佐の国浦戸の城中。

劇団「笑う妖魔」山本周五郎30分以内8,809

妙な電話 「五郎さん、お電話です」  書生の中野が扉をあけて云った。

妙な電話 「五郎さん、お電話です」  書生の中野が扉をあけて云った。

麦藁帽子山本周五郎30分以内6,993

斧田はそう訊きたがり屋のほうではない、どちらかといえば日頃から口数も少く、自分の身の廻りのこと以外にはあまり物事に興味をもたぬ男であったが、その老人には初めから奇妙に注意を惹かれた。

斧田はそう訊きたがり屋のほうではない、どちらかといえば日頃から口数も少く、自分の身の廻りのこと以外にはあまり物事に興味をもたぬ男であったが、その老人には初めから奇妙に注意を惹かれた。

藪落し山本周五郎30分以内7,212

今でも藪落しへ近寄る者はない。

今でも藪落しへ近寄る者はない。

日本婦道記山本周五郎30分以内11,528

一  さかまき靱負之助は息をはずませていた、顔には血のけがなかった、おそらくは櫛をいれるいとまもなかったのであろう、乱れかかる鬢の白毛は燭台の光をうけて、銀色にきらきらとふるえていた。

一  さかまき靱負之助は息をはずませていた、顔には血のけがなかった、おそらくは櫛をいれるいとまもなかったのであろう、乱れかかる鬢の白毛は燭台の光をうけて、銀色にきらきらとふるえていた。

日本婦道記山本周五郎30分以内11,181

一 「今日は、そんなものを着てゆくのか」 「はい」小間使の八重は、熨斗目麻裃を取り出していた。

一 「今日は、そんなものを着てゆくのか」 「はい」小間使の八重は、熨斗目麻裃を取り出していた。

日本婦道記山本周五郎30分以内9,734

一  はたはたと舞いよって来たちいさな蛾が、しばらく燭台のまわりで飛び迷っていたと思うと、眼にみえぬ手ではたかれでもしたようにふいと硯海に湛えた墨の上へおち、白い粉をちらしながらむざんにくるくると身もだえをした。

一  はたはたと舞いよって来たちいさな蛾が、しばらく燭台のまわりで飛び迷っていたと思うと、眼にみえぬ手ではたかれでもしたようにふいと硯海に湛えた墨の上へおち、白い粉をちらしながらむざんにくるくると身もだえをした。

伝四郎兄妹山本周五郎30分以内11,130

一  若菜はせっせと矢竹をけずっていた。

一  若菜はせっせと矢竹をけずっていた。

蕗問答山本周五郎30分以内7,062

一  寒森新九郎は秋田藩士である。

一  寒森新九郎は秋田藩士である。

日本婦道記山本周五郎30分以内10,898

一 「ちょうど豆腐をかためるようにです」  良人の声でそう云うのが聞えた。

一 「ちょうど豆腐をかためるようにです」  良人の声でそう云うのが聞えた。

春いくたび山本周五郎30分以内9,078

一  霧のふかい早春のある朝、旅支度をした一人の少年が、高原の道をいそぎ足で里の方へと下って来た。

一  霧のふかい早春のある朝、旅支度をした一人の少年が、高原の道をいそぎ足で里の方へと下って来た。

溜息の部屋山本周五郎30分以内7,389

今でもその室の壁には『溜息の部屋』と彫りつけた文字が遺っている。

今でもその室の壁には『溜息の部屋』と彫りつけた文字が遺っている。

流血船西へ行く山本周五郎30分以内9,152

人影なき血塗れ船 「船長、至急無電報が入りました」  太平洋沿海の救護船、太平丸の船長室へ、元気に無電係の伊藤次郎青年が入って来た。

人影なき血塗れ船 「船長、至急無電報が入りました」  太平洋沿海の救護船、太平丸の船長室へ、元気に無電係の伊藤次郎青年が入って来た。

廃灯台の怪鳥山本周五郎30分以内8,732

見よその頸には怪鳥の爪痕が! 「きゃーッ」  遠くの方から、幾つかの反響を呼び起しつつ、微かに長く人の叫び声が聞えて来た。

見よその頸には怪鳥の爪痕が! 「きゃーッ」  遠くの方から、幾つかの反響を呼び起しつつ、微かに長く人の叫び声が聞えて来た。

水中の怪人山本周五郎30分以内9,137

人間か河童か? 海底を歩く怪物  いまどき河童がいるなどと云っても、おそらく本当と思う者はないだろう。

人間か河童か? 海底を歩く怪物  いまどき河童がいるなどと云っても、おそらく本当と思う者はないだろう。

初午試合討ち山本周五郎30分以内9,277

一 「大変だあ大変だあ、頭いるか」  表からやみくもに跳込んできた安吉、お天気安という綽名のある若い者だ、――ちょうどいま上りっ端で、愛用の鳶口を磨いていたは組の火消し頭佐兵衛、 「ええ騒々しいや、頭アいるかって眼の前にいるおいらが見えねえのか」 「ほ、まったくそうだ」 「呆けてやがる、なにが大変だ」 「なにがって落着いてちゃあいけねえ、は組の若い者が全滅だ」 「この野郎、云うにこと欠いては組の

一 「大変だあ大変だあ、頭いるか」  表からやみくもに跳込んできた安吉、お天気安という綽名のある若い者だ、――ちょうどいま上りっ端で、愛用の鳶口を磨いていたは組の火消し頭佐兵衛、 「ええ騒々しいや、頭アいるかって眼の前にいるおいらが見えねえのか」 「ほ、まったくそうだ」 「呆けてやがる、なにが大変だ」 「なにがって落着いてちゃあいけねえ、は組の若い者が全滅だ」 「この野郎、云うにこと欠いては組の

日本婦道記山本周五郎30分以内11,239

一 「いやそうではない」新沼靱負はしずかに首を振った、「……おかやに過失があったとか、役に立たぬなどというわけでは決してない、事情さえ許せばいて貰いたいのだ。隠さずに云えばいま出てゆかれてはこちらで困るくらいなのだから」 「それでお暇が出るというのはどういうわけでございましょうか」律義に坐った膝をいっそう固くしながら多助はこう云った、「……あちらで今よく話してみたのですが妹はただ泣くばかりで、悪

一 「いやそうではない」新沼靱負はしずかに首を振った、「……おかやに過失があったとか、役に立たぬなどというわけでは決してない、事情さえ許せばいて貰いたいのだ。隠さずに云えばいま出てゆかれてはこちらで困るくらいなのだから」 「それでお暇が出るというのはどういうわけでございましょうか」律義に坐った膝をいっそう固くしながら多助はこう云った、「……あちらで今よく話してみたのですが妹はただ泣くばかりで、悪

謎の頸飾事件山本周五郎30分以内7,029

新年宴会  正月七日の宵。

新年宴会  正月七日の宵。

日本婦道記山本周五郎30分以内11,632

一  矢はまっすぐに飛んだ、晩秋のよく晴れた日の午後で、空気は結晶体のようにきびしく澄みとおっている、矢はそのなかを、まるで光の糸を張ったように飛び、※のあたりで小さな点になったとみると、こころよい音をたてて的につき立った。

一  矢はまっすぐに飛んだ、晩秋のよく晴れた日の午後で、空気は結晶体のようにきびしく澄みとおっている、矢はそのなかを、まるで光の糸を張ったように飛び、※のあたりで小さな点になったとみると、こころよい音をたてて的につき立った。

蒲生鶴千代山本周五郎30分以内6,111

一  美濃の国岐阜の城下に瑞龍寺という寺がある。

一  美濃の国岐阜の城下に瑞龍寺という寺がある。

武道宵節句山本周五郎30分以内8,673

一  ――飢えて窮死するとも、金一両はかならず肌に着けおくべし。

一  ――飢えて窮死するとも、金一両はかならず肌に着けおくべし。

半化け又平山本周五郎30分以内10,683

一  がちゃん! 「おや、またやっちゃった」  下女のお松が恨めしそうに、洗い桶の中から縁の欠けた茶碗を取出した。

一  がちゃん! 「おや、またやっちゃった」  下女のお松が恨めしそうに、洗い桶の中から縁の欠けた茶碗を取出した。

おもかげ山本周五郎30分以内10,349

一  はやり病をやんで、母の亡くなったのは、正之助が七歳のとしの夏の末だった。

一  はやり病をやんで、母の亡くなったのは、正之助が七歳のとしの夏の末だった。

落武者日記山本周五郎30分以内11,781

一の一 「もういけない、祐八郎、下ろしてくれ」 「なにを云う」  大畑祐八郎は、叱りつけるように叫んだ。

一の一 「もういけない、祐八郎、下ろしてくれ」 「なにを云う」  大畑祐八郎は、叱りつけるように叫んだ。