山本周五郎の全作品

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作品名著者読了時間文字数人気書き出し
樅ノ木は残った山本周五郎1時間〜151,867

序の章  万治三年七月十八日。

序の章  万治三年七月十八日。

青べか物語山本周五郎1時間〜162,519

はじめに  浦粕町は根戸川のもっとも下流にある漁師町で、貝と海苔と釣場とで知られていた。

はじめに  浦粕町は根戸川のもっとも下流にある漁師町で、貝と海苔と釣場とで知られていた。

赤ひげ診療譚山本周五郎60分以内20,680

一  その門の前に来たとき、保本登はしばらく立停って、番小屋のほうをぼんやりと眺めていた。

一  その門の前に来たとき、保本登はしばらく立停って、番小屋のほうをぼんやりと眺めていた。

泥棒と若殿山本周五郎60分以内20,938

一  その物音は初め広縁のあたりから聞えた。

一  その物音は初め広縁のあたりから聞えた。

雨あがる山本周五郎60分以内22,142

一  もういちど悲鳴のような声をあげて、それから女の喚きだすのが聞えた。

一  もういちど悲鳴のような声をあげて、それから女の喚きだすのが聞えた。

さぶ山本周五郎1時間〜213,365

一の一  小雨が靄のようにけぶる夕方、両国橋を西から東へ、さぶが泣きながら渡っていた。

一の一  小雨が靄のようにけぶる夕方、両国橋を西から東へ、さぶが泣きながら渡っていた。

五瓣の椿山本周五郎1時間〜152,002

序章  天保五年正月二日に、本所の亀戸天神に近い白河端というところで、中村仏庵という奇人が病死した。

序章  天保五年正月二日に、本所の亀戸天神に近い白河端というところで、中村仏庵という奇人が病死した。

季節のない街山本周五郎1時間〜203,696

街へゆく電車  その「街」へゆくのに一本の市電があった。

街へゆく電車  その「街」へゆくのに一本の市電があった。

赤ひげ診療譚山本周五郎1時間〜26,780

一  梅雨にはいる少しまえ、保本登は自分から医員用の上衣を着るようになった。

一  梅雨にはいる少しまえ、保本登は自分から医員用の上衣を着るようになった。

樅ノ木は残った山本周五郎1時間〜114,089

柿崎道場  新八の顔は血のけを失って蒼白く、汗止めをした額からこめかみへかけて膏汗がながれていた。

柿崎道場  新八の顔は血のけを失って蒼白く、汗止めをした額からこめかみへかけて膏汗がながれていた。

赤ひげ診療譚山本周五郎60分以内22,104

一  その日は事が多かった。

一  その日は事が多かった。

赤ひげ診療譚山本周五郎60分以内23,888

一  十二月にはいってまもない或る日の午後八時過ぎ、――新出去定は保本登と話しながら、伝通院のゆるい坂道を、養生所のほうへと歩いていた。

一  十二月にはいってまもない或る日の午後八時過ぎ、――新出去定は保本登と話しながら、伝通院のゆるい坂道を、養生所のほうへと歩いていた。

樅ノ木は残った山本周五郎1時間〜170,257

川の音  七月中旬の午後、――ひどく暑い日で、風もなく、白く乾いた奥州街道を、西にかたむいた陽が、じりじりと照らしていた。

川の音  七月中旬の午後、――ひどく暑い日で、風もなく、白く乾いた奥州街道を、西にかたむいた陽が、じりじりと照らしていた。

樅ノ木は残った山本周五郎1時間〜147,446

意地の座  甲斐が「席次争い」の騒ぎを知ったのは、矢崎舎人の裁きがあって、十日ほど経ったのちのことであった。

意地の座  甲斐が「席次争い」の騒ぎを知ったのは、矢崎舎人の裁きがあって、十日ほど経ったのちのことであった。

いさましい話山本周五郎1時間〜37,513

一  国許の人間は頑固でねじけている。

一  国許の人間は頑固でねじけている。

菊屋敷山本周五郎1時間〜36,825

一  志保は庭へおりて菊を剪っていた。

一  志保は庭へおりて菊を剪っていた。

赤ひげ診療譚山本周五郎60分以内18,358

一 「病人たちの不平は知っている」新出去定は歩きながら云った、「病室が板敷で、茣蓙の上に夜具をのべて寝ること、仕着が同じで、帯をしめず、付紐を結ぶことなど、――これは病室だけではなく医員の部屋も同じことだが、病人たちは牢舎に入れられたようだと云っているそうだ、病人ばかりではなく、医員の多くもそんなふうに思っているらしいが、保本はどうだ、おまえどう思う」 「べつになんとも思いません」そう云ってから

一 「病人たちの不平は知っている」新出去定は歩きながら云った、「病室が板敷で、茣蓙の上に夜具をのべて寝ること、仕着が同じで、帯をしめず、付紐を結ぶことなど、――これは病室だけではなく医員の部屋も同じことだが、病人たちは牢舎に入れられたようだと云っているそうだ、病人ばかりではなく、医員の多くもそんなふうに思っているらしいが、保本はどうだ、おまえどう思う」 「べつになんとも思いません」そう云ってから

赤ひげ診療譚山本周五郎60分以内21,700

一  梅雨があけて半月ほど経ったころ、狂女のおゆみが自殺をはかった。

一  梅雨があけて半月ほど経ったころ、狂女のおゆみが自殺をはかった。

はたし状山本周五郎60分以内19,722

一  今泉第二は藩主の参覲の供に加わって、初めて江戸へゆくことになったとき、和田軍兵衛の長女しのを嫁に欲しいと親たちに申し出た。

一  今泉第二は藩主の参覲の供に加わって、初めて江戸へゆくことになったとき、和田軍兵衛の長女しのを嫁に欲しいと親たちに申し出た。

赤ひげ診療譚山本周五郎60分以内20,433

一  十二月二十日に、黄鶴堂から薬の納入があったので、二十一日は朝からその仕分けにいそがしく、去定も外診を休んで指図に当った。

一  十二月二十日に、黄鶴堂から薬の納入があったので、二十一日は朝からその仕分けにいそがしく、去定も外診を休んで指図に当った。

おれの女房山本周五郎60分以内23,623

一 「またよけえなことをする、よしと呉れよ、そんなところでどうするのさ、そんなとこ男がいじるもんじゃないよ、だめだったら聞えないのかね、あたしがせっかく片づけたのにめちゃくちゃになっちまうじゃないか、よしと呉れよ、よけえなことしないで呉れってんだよ」  その長屋の朝は、こういう叫び声で始まる。

一 「またよけえなことをする、よしと呉れよ、そんなところでどうするのさ、そんなとこ男がいじるもんじゃないよ、だめだったら聞えないのかね、あたしがせっかく片づけたのにめちゃくちゃになっちまうじゃないか、よしと呉れよ、よけえなことしないで呉れってんだよ」  その長屋の朝は、こういう叫び声で始まる。

日本婦道記山本周五郎30分以内10,875

一  北向きの小窓のしたに机をすえて「松の花」という稿本に朱を入れていた佐野藤右衛門は、つかれをおぼえたとみえてふと朱筆をおき、めがねをはずして、両方の指でしずかに眼をさすりながら、庭のほうを見やった。

一  北向きの小窓のしたに机をすえて「松の花」という稿本に朱を入れていた佐野藤右衛門は、つかれをおぼえたとみえてふと朱筆をおき、めがねをはずして、両方の指でしずかに眼をさすりながら、庭のほうを見やった。

風流太平記山本周五郎1時間〜252,148

変事 一  九月中旬のある晴れた日の午後。

変事 一  九月中旬のある晴れた日の午後。

追いついた夢山本周五郎60分以内20,759

一  娘は風呂桶から出るところだった。

一  娘は風呂桶から出るところだった。

秋の駕籠山本周五郎60分以内17,610

一  魚金の店は北八丁堀の河岸にあった。

一  魚金の店は北八丁堀の河岸にあった。

赤ひげ診療譚山本周五郎60分以内22,881

一  俗に「伊豆さま裏」と呼ばれるその一帯の土地は、松平伊豆守の広い中屋敷と、寛永寺の塔頭に挾まれて、ほぼ南北に長く延びていた。

一  俗に「伊豆さま裏」と呼ばれるその一帯の土地は、松平伊豆守の広い中屋敷と、寛永寺の塔頭に挾まれて、ほぼ南北に長く延びていた。

青竹山本周五郎60分以内14,717

一  慶長六年の夏のはじめ、近畿地方の巡察を命ぜられた本多平八郎忠勝は任をはたした帰途、近江のくに佐和山城に井伊直政をたずねて数日滞在した。

一  慶長六年の夏のはじめ、近畿地方の巡察を命ぜられた本多平八郎忠勝は任をはたした帰途、近江のくに佐和山城に井伊直政をたずねて数日滞在した。

思い違い物語山本周五郎1時間〜45,437

一の一  典木泰助が来たときは誰もさほど気にしなかった。

一の一  典木泰助が来たときは誰もさほど気にしなかった。

薊山本周五郎60分以内16,055

加川銕太郎は机に向って坐り、ぼんやりと庭のほうを眺めていた。

加川銕太郎は机に向って坐り、ぼんやりと庭のほうを眺めていた。

ひとでなし山本周五郎60分以内18,285

一  本所石原町の大川端で、二人の男が話しこんでいた。

一  本所石原町の大川端で、二人の男が話しこんでいた。

いしが奢る山本周五郎60分以内22,705

一  六月中旬のある日、まだ降り惜しんでいる梅雨のなかを、本信保馬が江戸から到着した。

一  六月中旬のある日、まだ降り惜しんでいる梅雨のなかを、本信保馬が江戸から到着した。

日本婦道記山本周五郎60分以内12,341

一 「鰍やあ、鰍を買いなさらんか、鰍やあ」  うしろからそう呼んで来るのを聞いてお高はたちどまった。

一 「鰍やあ、鰍を買いなさらんか、鰍やあ」  うしろからそう呼んで来るのを聞いてお高はたちどまった。

ちいさこべ山本周五郎1時間〜33,974

一  茂次は川越へ出仕事にいっていたので、その火事のことを知ったのは翌日の夕方であった。

一  茂次は川越へ出仕事にいっていたので、その火事のことを知ったのは翌日の夕方であった。

嘘アつかねえ山本周五郎60分以内12,623

浅草の馬道を吉原土堤のほうへいって、つきあたる二丁ばかり手前の右に、山の宿へと続く狭い横丁があった。

浅草の馬道を吉原土堤のほうへいって、つきあたる二丁ばかり手前の右に、山の宿へと続く狭い横丁があった。

おもかげ抄山本周五郎30分以内11,286

一 「おい見ろ見ろ」 「――なんだ」 「あすこへ来る浪人を知ってるか」 「うちの店へ越して来た鎌田孫次郎てえ人だろう」 「本名はそうかも知れぬがの」  魚売り金八はにやりと笑って、「あれあおめえたいした飴ん棒だぜ」  遠州浜松の城下外れ、「猪之松」という問屋場の店先を一人の浪人が通りかかった。

一 「おい見ろ見ろ」 「――なんだ」 「あすこへ来る浪人を知ってるか」 「うちの店へ越して来た鎌田孫次郎てえ人だろう」 「本名はそうかも知れぬがの」  魚売り金八はにやりと笑って、「あれあおめえたいした飴ん棒だぜ」  遠州浜松の城下外れ、「猪之松」という問屋場の店先を一人の浪人が通りかかった。

おごそかな渇き山本周五郎1時間〜36,544

祝宴 「あのおたねの岩屋の泉は」と村長の島田幾造がいった、「千年か、もっとまえかに、弘法大師が錫杖でもって岩を突いて、水よ湧けといったそうだ、三度も錫杖を突いていったそうだが、水は一滴も湧き出なかった、――そのころこの村は水不足で、両方の村と水争いの絶え間がなかったそうだ、死人もずいぶん出たらしい、そこへ道元禅師が来て、数珠をひと揉みしたら、それだけで水が噴きだしたということだ」  十月七日、こ

祝宴 「あのおたねの岩屋の泉は」と村長の島田幾造がいった、「千年か、もっとまえかに、弘法大師が錫杖でもって岩を突いて、水よ湧けといったそうだ、三度も錫杖を突いていったそうだが、水は一滴も湧き出なかった、――そのころこの村は水不足で、両方の村と水争いの絶え間がなかったそうだ、死人もずいぶん出たらしい、そこへ道元禅師が来て、数珠をひと揉みしたら、それだけで水が噴きだしたということだ」  十月七日、こ

晩秋山本周五郎30分以内11,899

一  旦那さまがお呼びだからお居間へ伺うように、そう云われたとき都留はすぐ「これは並の御用ではないな」と思った。

一  旦那さまがお呼びだからお居間へ伺うように、そう云われたとき都留はすぐ「これは並の御用ではないな」と思った。

陽気な客山本周五郎60分以内23,332

一  ――仲井天青が死んだのを知ってるかい。

一  ――仲井天青が死んだのを知ってるかい。

花も刀も山本周五郎1時間〜91,328

みぞれの街 一  道場からあがり、汗みずくの稽古着をぬいでいると、秋田平八が来て「おめでとう」と云った。

みぞれの街 一  道場からあがり、汗みずくの稽古着をぬいでいると、秋田平八が来て「おめでとう」と云った。

足軽奉公山本周五郎60分以内14,226

一 「なんだあの腰つきは、卵でも産もうというのかね」 「向うの男は餌差が鳥を覘っているようだ、それ、よく見当をつけろ」 「ああ外してしまった」 「まるでへた競べだねこれは」  右田藤六は思わずにっと笑った。

一 「なんだあの腰つきは、卵でも産もうというのかね」 「向うの男は餌差が鳥を覘っているようだ、それ、よく見当をつけろ」 「ああ外してしまった」 「まるでへた競べだねこれは」  右田藤六は思わずにっと笑った。

若き日の摂津守山本周五郎60分以内23,780

一  摂津守光辰の伝記には二つの説がある。

一  摂津守光辰の伝記には二つの説がある。

落ち梅記山本周五郎1時間〜31,089

一 「すまない、そんなつもりじゃあなかったんだ、酔ってさえいなければよかったんだが、どうにもしようがない、本当にすまないと思ってるんだ」  半三郎はこう云って頭を垂れた。

一 「すまない、そんなつもりじゃあなかったんだ、酔ってさえいなければよかったんだが、どうにもしようがない、本当にすまないと思ってるんだ」  半三郎はこう云って頭を垂れた。

金五十両山本周五郎60分以内12,066

一  遠江のくに浜松の町はずれに、「柏屋」という宿があった。

一  遠江のくに浜松の町はずれに、「柏屋」という宿があった。

艶妖記山本周五郎60分以内18,969

一  読者諸君は「にんじゅつ」というものを御存じであろうか。

一  読者諸君は「にんじゅつ」というものを御存じであろうか。

あだこ山本周五郎60分以内23,102

一  曽我十兵衛はいきなり小林半三郎を殴りつけた。

一  曽我十兵衛はいきなり小林半三郎を殴りつけた。

一人ならじ山本周五郎30分以内10,463

一  栃木大助は「痛い」ということを云わない、またなにか具合の悪いことがあっても、「弱った」とか、「参った」とか、「困った」などということを決して云わない。

一  栃木大助は「痛い」ということを云わない、またなにか具合の悪いことがあっても、「弱った」とか、「参った」とか、「困った」などということを決して云わない。

夜の蝶山本周五郎30分以内10,504

一  本所亀沢町の掘割に面した百坪ばかりの空地に、毎晩「貝屋」という軒提灯をかかげた屋台店が出る。

一  本所亀沢町の掘割に面した百坪ばかりの空地に、毎晩「貝屋」という軒提灯をかかげた屋台店が出る。

新潮記山本周五郎1時間〜157,455

風雪の中 一  嘉永五年五月はじめの或る日、駿河のくに富士郡大宮村にある浅間神社の社前から、二人の旅装の青年が富士の登山口へと向っていった。

風雪の中 一  嘉永五年五月はじめの或る日、駿河のくに富士郡大宮村にある浅間神社の社前から、二人の旅装の青年が富士の登山口へと向っていった。

ゆうれい貸屋山本周五郎60分以内21,713

一 怠け者にも云えば理はあり  江戸京橋炭屋河岸の「やんぱち長屋」という裏店に、桶屋の弥六という者が住んでいた。

一 怠け者にも云えば理はあり  江戸京橋炭屋河岸の「やんぱち長屋」という裏店に、桶屋の弥六という者が住んでいた。

城を守る者山本周五郎30分以内9,486

一 「甲斐のはるのぶと槍を合せることすでに三たび、いちどはわが太刀をもって、晴信を死地に追いつめながら、いまひと打ちをし損じて惜しくものがした」  上杉輝虎は、けいけいたる双眸でいち座を見まわしながら、大きく組んだよろい直垂の膝を、はたと扇で打った。

一 「甲斐のはるのぶと槍を合せることすでに三たび、いちどはわが太刀をもって、晴信を死地に追いつめながら、いまひと打ちをし損じて惜しくものがした」  上杉輝虎は、けいけいたる双眸でいち座を見まわしながら、大きく組んだよろい直垂の膝を、はたと扇で打った。