秋風不帰

山本周五郎

『秋風不帰』は青空文庫で公開されている山本周五郎の中編作品。14,006文字で、おおよそ60分以内で読むことができます。

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60分以内14,006文字
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書き出し

一 「ねえお侍さん、乗っておくれよ」 「しようのない奴だな」  狩谷夏雄は苦笑しながら振返って、 「何度も云う通り拙者は城下まで行くのだ、ここはもう柳繩手の町外れではないか、ここから馬に乗ってどうするのだ」 「それでも、……ねえ乗って下さいよ、……じゃなければ草鞋を一足買っておくんなさい、お侍さんのは、もう緒が切れそうだよ」  年は十六か七であろう、まっ黒に日焼けのした顔に似合わず、頬冠りの下か

初出「講談雑誌」博文館、1939(昭和14)年11月号
底本山本周五郎全集第十八巻 須磨寺附近・城中の霜
表記
新字新仮名