60分以内で読める青空文庫の中編作品
青空文庫で公開されているすべての著者の作品の中で、おおよその読了目安時間が「60分以内」の中編作品を、おすすめ人気順で表示しています。
作品名 | 著者 | 読了時間 | 人気 |
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青空文庫で公開されているすべての著者の作品の中で、おおよその読了目安時間が「60分以内」の中編作品を、おすすめ人気順で表示しています。
作品名 | 著者 | 読了時間 | 人気 |
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作品名 | 著者 | 読了時間 | 人気 |
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三筋町界隈 | 斎藤茂吉 | 60分以内 | |
この追憶随筆は明治二十九年を起点とする四、五年に当るから、日清戦役が済んで遼東還附に関する問題が囂(かまびす)しく、また、東北三陸の大海嘯があり、足尾銅山鉱毒事件があり、文壇では、森鴎外の『めさまし草』、与謝野鉄幹の『東西南北』が出たころ、露伴の「雲の袖」、紅葉の「多情多恨」、柳浪の「今戸心中」あたりが書かれた頃に当るはずである。 | |||
競漕 | 久米正雄 | 60分以内 | |
毎年春季に開かれる大学の競漕会がもう一月と差し迫った時になって、文科の短艇部選手に急な欠員が生じた。 | |||
石塀幽霊 | 大阪圭吉 | 60分以内 | |
秋森家というのは、吉田雄太郎君のいるN町のアパートのすぐ西隣にある相当に宏(ひろ)い南向きの屋敷であるが、それは随分と古めかしいもので処まんだらにウメノキゴケの生えた灰色の甍(いらか)は、アパートのどの窓からも殆んど覗(うかが)う事の出来ない程に鬱蒼たる櫟(くぬぎ)や赤樫の雑木林にむっちりと包まれ、そしてその古屋敷の周囲は、ここばかりは今年の冬に新しく改修されたたっぷり一丈はあろうと思われる高い頑丈な石塀にケバケバしくとりまかれていた。 | |||
農民自治の理論と実際 | 石川三四郎 | 60分以内 | |
私の今から申し上げやうとすることは政談演説や労働運動の講演会といふ様なものではなくて、ごくじみな話であります。 | |||
花問答 | 岸田国士 | 60分以内 | |
父は旅行、母は買物、兄は散歩といふわけで、珍しく民子一人が、縁側で日向ぼつこをしてゐるところへ、取次も乞はず、義一がのつそり庭伝ひにはひつて来た。 | |||
この握りめし | 岸田国士 | 60分以内 | |
増田健次は復員すると間もなく警察官を志願し、今ではもう制服も身についた一人前の駐在さんになつていた。 | |||
緑の星 | 岸田国士 | 60分以内 | |
ヨーロッパ通ひの船が印度洋をすぎて、例の紅海にさしかかると、そこではもう、太古以来の沙漠の風が吹き、日が沈む頃には、駱駝の背越しに、モーヴ色の空がはてしなくつづくのが見える。 | |||
放浪者 | 岸田国士 | 60分以内 | |
二十年ぶりでヨーロッパから帰つて来た旧友のFは、相も変らず話好きで、訪ねて来るたびに、なにかしら突拍子もない話題をひつさげて来る。 | |||
秋の雲 | 岸田国士 | 60分以内 | |
熊川忠範の名前は、今や、全村はおろか、県下に知れ渡らうとしてゐる、といつても言ひ過ぎではない。 | |||
それができたら | 岸田国士 | 60分以内 | |
吾妻養狐場には、もう狐は牡牝二頭しか残つてゐない。 | |||
髪の毛と花びら | 岸田国士 | 60分以内 | |
「もつと早く読んでいゝよ」机の上におつかぶさるやうな姿勢で、夫は点字機を叩いてゐた。 | |||
おばあさん | ささきふさ | 60分以内 | |
「おばあさんがいよいよ來るんですとさ。 | |||
仏国現代の劇作家 | 岸田国士 | 60分以内 | |
聊か抽象的になる恐れはあるが、無趣味な数字的表記を避けて、略年代順に各作家の寸評を試みることにする。 | |||
仏国議会に於ける脚本検閲問題 | 岸田国士 | 60分以内 | |
一八九〇年十二月二十二日、仏国上院に於ける予算質問中、議員アルガン君は、政府が民間の一小劇場に対して、年額五百法の補助を与へ、同劇場を推奨する意図を表示したことを攻撃した。 | |||
日本史上の奥州 | 原勝郎 | 60分以内 | |
抑も奧州地方は、多くの場合に於て出羽と併稱し、奧羽と云ひならされて居るのであるけれど、しかし日本海を負ふ所の出羽と、太平洋に面して居る奧州とは、歴史上必ずしも一概に論じ難い點が多いのである。 | |||
芝居と僕 | 岸田国士 | 60分以内 | |
今更回顧談でもないが、今度「現代演劇論」といふ本を出したあとで、僕は、なんだかこれで一と役すましたといふ気がふとしたことは事実である。 | |||
純粋演劇の問題 | 岸田国士 | 60分以内 | |
あらゆる芸術の部門を通じて演劇の理論といふものは、特にこれを実際に「試み」る機会が少く、従つて、その理論に確乎たる根柢を築くのに容易でない事情にある。 | |||
「語られる言葉」の美 | 岸田国士 | 60分以内 | |
書かれた言葉と語られる言葉われわれ日本人は、子供の時分から、文字を眼で読むといふ努力をあまりに強ひられた結果、「口から耳へ」伝へられる言葉の効果に対しては、余程鈍感になつてゐるやうである。 | |||
日本演劇の特質 | 岸田国士 | 60分以内 | |
九月三日(土曜日)午前九時三十分開講今から「日本演劇の特質」といふ題でお話をしようと思ひます。 | |||
文学者の一人として見た現代日本語 | 岸田国士 | 60分以内 | |
私は国語問題について別段専門的な研究をしてゐる者でなく、従つてこの問題について適切な意見を述べる資格はないのであります。 | |||
一国民としての希望 | 岸田国士 | 60分以内 | |
国民の一人一人が今日ほど政治といふものに関心をもつてゐる時代は未だ嘗てないだらうと思ふ。 | |||
都市文化の危機 | 岸田国士 | 60分以内 | |
都市は元来、その規模の大小にかゝはらず、政治、経済の中央集権的な機構が作りだした、高度技術生活の凝結体である。 | |||
演劇と政治 | 岸田国士 | 60分以内 | |
二つの角度「演劇と政治」といふ題目を与へられたが、私は「演劇」について語り得るほど「政治」について語ることはできない。 | |||
妻の日記 | 岸田国士 | 60分以内 | |
かういふ場所で私事を語ることは、由来、私の最も好まぬところである。 | |||
文化とは | 岸田国士 | 60分以内 | |
「文化」といふ言葉の意味から説明していきませう。 | |||
日本文化の特質 | 岸田国士 | 60分以内 | |
「文化」は国土と歴史との所産であります。 | |||
青年の夢と憂欝 | 岸田国士 | 60分以内 | |
青春は夢多き時代です。 | |||
S夫人への手紙 | 岸田国士 | 60分以内 | |
これから毎月一回あなたに手紙を書こうと思いたちました。 | |||
ゼンマイの戯れ(映画脚本) | 岸田国士 | 60分以内 | |
主なる人物笠原平造四十六才妻たけ子四十二才長男政二十三才娘富子二十才次男圭次八才北野良作四十五才安田某二十六才此の「物語」は、特別の指定以外、どの部分を画面で表し、どの部分を字幕で、また、どの部分を「説明」で補はうとも、それは監督の自由である。 | |||
驟雨(一幕) | 岸田国士 | 60分以内 | |
人物朋子譲恒子家政婦時六月の午後所洋風の客間を兼ねた書斎[#改ページ]朋子が割烹着を脱ぎながら、慌ただしくはひつて来る。 | |||
温室の前 | 岸田国士 | 60分以内 | |
大里貢同牧子高尾より江西原敏夫東京近郊である。 | |||
遂に「知らん」文六(三場) | 岸田国士 | 60分以内 | |
河津文六妻おせい倅廉太娘おちか梶本京作お園其他亡者、鬼など大勢時――大正×××年一月三十二日処――大都会の場末[#改ページ]第一場舞台は麺麭屋の店に続いた茶の間であるが、正面は障子の心もちにて全体に白幕。 | |||
百三十二番地の貸家 | 岸田国士 | 60分以内 | |
人物宍戸第三毛谷啓同京子目羅冥同宮子甲斐加代子婦人[#改ページ]第一場東京近郊の住宅地――かの三間か四間ぐらゐの、棟の低い瓦家――「貸家」と肉太に書いた紙札が、形ばかりの門柱を隔てて、玄関の戸に麗々しく貼つてある。 | |||
可児君の面会日 | 岸田国士 | 60分以内 | |
可児君可児夫人女中織部木暮妙鳥居冬駒井毛利泊斎田[#改ページ]一月十二日午後――極めて平凡な客間兼書斎可児君今日こそゆつくり寝てゝもよかつたんだ。 | |||
女坑主 | 夢野久作 | 60分以内 | |
「ホホホ。 | |||
吊籠と月光と | 牧野信一 | 60分以内 | |
僕は、哲学と芸術の分岐点に衝突して自由を欠いた頭を持てあました。 | |||
役人の頭 | 末弘厳太郎 | 60分以内 | |
「法治主義」の研究は、現代の国家および法律を研究せんとする者にとって、きわめて大切である。 | |||
熱海線私語 | 牧野信一 | 60分以内 | |
一九三四年、秋――伊豆、丹那トンネルが開通して、それまでの「熱海線」といふ名称が抹殺された。 | |||
鱗雲 | 牧野信一 | 60分以内 | |
百足凧――これは私達の幼時には毎年見物させられた珍らしくもなかつた凧である。 | |||
創作生活にて | 牧野信一 | 60分以内 | |
窓下の溝川に蛙を釣に来る子供たちが、「今日は目マルは居ねえのか。 | |||
村のストア派 | 牧野信一 | 60分以内 | |
沢山な落葉が浮んでゐる泉水の傍で樽野は、籐椅子に凭つて日向ぼつこをしてゐた。 | |||
バラルダ物語 | 牧野信一 | 60分以内 | |
俺は見た痛手を負へる一頭の野鹿がオリオーンの槍に追はれて薄明の山頂を走れるを――あゝされど古人の嘆きのまゝに影の猟人なり影の野獣なり日照りつゞきで小川の水嵩が――その夕暮時に、この二三日来の水車の空回りを憂へたあまり、蝋燭のやうにめつきりと耄碌してしまつた私と此の水車小屋の主人であるところの雪太郎と、ふるへる腕を堪えて水底深く水深計を立てゝ見ると、朝に比べて更に五寸強の減水であつた。 | |||
文づかひ | 森鴎外 | 60分以内 | |
それがしの宮の催したまひし星が岡茶寮の独逸会に、洋行がへりの将校次を逐うて身の上ばなしせし時のことなりしが、こよひはおん身が物語聞くべきはずなり、殿下も待兼ねておはすればと促されて、まだ大尉になりてほどもあらじと見ゆる小林といふ少年士官、口に啣(くわ)へし巻烟草取りて火鉢の中へ灰振り落して語りは始めぬ。 | |||
文づかい | 森鴎外 | 60分以内 | |
それがしの宮の催したまいし星が岡茶寮のドイツ会に、洋行がえりの将校次をおうて身の上ばなしせしときのことなりしが、こよいはおん身が物語聞くべきはずなり、殿下も待ちかねておわすればとうながされて、まだ大尉になりてほどもあらじと見ゆる小林という少年士官、口にくわえし巻煙草取りて火鉢の中へ灰ふり落して語りははじめぬ。 | |||
心象風景 | 牧野信一 | 60分以内 | |
槌で打たなければ、切り崩せない堅さの土塊であつた。 | |||
素書 | 牧野信一 | 60分以内 | |
「マダムの御気嫌はどう?今日は?」山崎の顔を見るなり私は、部屋の入口に突立つたまゝ凝つと、訊ねた。 | |||
月あかり | 牧野信一 | 60分以内 | |
このごろ私は、ときどき音取かくからの手紙(代筆)を貰ふので、はぢめてその音取といふ苗字を知つた次第でありますが、それまではその人の姓名は怒山かく――かとばかりおもふて居りました。 | |||
病状 | 牧野信一 | 60分以内 | |
凍てついた寒い夜がつゞいてゐた。 | |||
茜蜻蛉 | 牧野信一 | 60分以内 | |
白いらつぱ草の花が、涌水の傍らに、薄闇に浮んで居り、水の音が静かであつた。 | |||
淡雪 | 牧野信一 | 60分以内 | |
病弱者、遊蕩児、その他でも行末に戦人としての望みが持てさうもない子息達は凡て離籍して近隣の漁家や農家へ養子とするのが、昔その城下町の風習だつた。 |