バラルダ物語
牧野信一
『バラルダ物語』は青空文庫で公開されている牧野信一の中編作品。21,388文字で、おおよそ60分以内で読むことができます。
文字数 | 60分以内 21,388文字 |
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書き出し書出 | 俺は見た痛手を負へる一頭の野鹿がオリオーンの槍に追はれて薄明の山頂を走れるを――あゝされど古人の嘆きのまゝに影の猟人なり影の野獣なり日照りつゞきで小川の水嵩が――その夕暮時に、この二三日来の水車の空回りを憂へたあまり、蝋燭のやうにめつきりと耄碌してしまつた私と此の水車小屋の主人であるところの雪太郎と、ふるへる腕を堪えて水底深く水深計を立てゝ見ると、朝に比べて更に五寸強の減水であつた。 |
初出 | 「中央公論」1931(昭和6)年12月 |
底本 | 牧野信一全集第四巻 |
表記 | 新字旧仮名 |
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