国枝史郎の全作品

「大分世の中が静かになったな」こう秀吉が徳善院へ云った。

藪原長者「福島は今日から馬市で、さぞまあ賑（にぎ）わうことだろう」「福島の馬市も馬市だが、藪原の繁昌はまた格別じゃ。

茜茶屋での不思議な口説ここは両国広小路、隅田川に向いた茜茶屋、一人の武士と一人の女、何かヒソヒソ話している。

（これは駄目だ）と正成は思った。

「伊右衛門さん、久しぶりで」こう云ったのは直助であった。

二回目平林氏の作中、舟木新太郎と想像される人間が、貼紙をして立ち去った件は、どうにも解釈に苦しみました。

「高きに登って羅馬を俯瞰（みおろ）し、巨火に対して竪琴を弾じ、ホーマアを吟じた愛す可き暴王、ネロを日本へ招来し、思想界へ放火させようではないか。

船中で僕達夫妻が支那見物をするべく秩父丸で神戸を出帆したのは四月の十九日の正午だった。

本誌五月号の探偵創作の中、小舟勝二氏の作「昇降機」を面白く――というよりも夫れ以上に敬服して読みました。

印度独立運動が活溌になりガンジーの名が国際舞台へ大きくうつしだされてきた。

文学成長の道程の中に外国文学模倣時代という時期がある。

最近読んだ内外の作で、最も感銘の深かったのは、小酒井不木氏翻訳のチェスタアトンの「孔雀の樹」です。

探偵小説の人生は、日常茶碗の人生とは違う。

小酒井さんが長逝されました。

◇小酒井不木さんが逝去された。

風見章さんのこと前司法大臣風見章閣下、と、こう書くと、ずいぶん凄いことになって、僕など手がとどかないことになる。

新青年の五月号平林初之輔氏の「犠牲者」は、感銘の深い作でした。

「探偵趣味」へも御無沙汰致しました。

私が支那へ行ったのは満洲事変の始まった年の、まだ始まらない頃であった。

兄は「探偵趣味」第五集で、僕の言論のやり方を社会主義的と云ったが是は少々妥当を欠く。

十六堂会この面では理屈は云わない。

全体主義とか全体主義国家とかいうことが盛んに云われている。

小酒井不木さんが長逝された。

問「大衆文芸と純文芸、どこに相違点があるのでしょう？」答「純文芸は叱る文芸、大衆文芸は叱らない文芸。

中里介山氏の「大菩薩峠」は、実に素晴らしい作である。

マーテルリンクの諸作、わけても「群盲」や「侵入者」や「タンタジールの死」などには、運命的、象徴的、等々々の味があり、それが凝って、他界的の味となっている。

平林初之輔氏が探偵小説を書いた。

創作探偵小説は本年度に至って活気を呈し、読物文芸的大方の雑誌は競って夫れを載せたようです。

第一次世界戦争での戦敗国といえば、いうまでもなく独逸であるが、その独逸から表現主義文学という、破天荒の形式の文学が産れて、世界の芸術界を驚倒させた。

故小酒井不木氏は名古屋市に於ける寵児であった。

インドネジアン族、インドチャイニース族の集合であるところの熊襲が大和朝廷にしばしば叛（そむ）いたのは新羅が背後から使嗾するのであると観破され、「熊襲をお討ちあそばすより先に新羅を御征伐なさいますように」と神功皇后様が仲哀天皇様に御進言あそばされたのは非常な御見識と申上げなければならない。

二十八歳で博士号を得た、不木小酒井光次氏は、素晴らしい秀才といわざるを得ない。

岡本綺堂氏の「半七捕物帳」その主人公の半七に就いて些（いささか）私見を述べることにする。

上仏印問題、蘭印問題がわが国の関心事となり、近衛内閣はそれについて、満支、南洋をつつむ東亜新秩序を示唆する声明を発した。

小酒井さんの「肉腫」という作（新青年掲載）依然として結構な作品です。

日本の新興探偵小説界、宝石などは扱わないと云われる。

幽霊の中で好いものは、牡丹燈籠のお米である。

探偵小説が一時より衰えたことは争われない。

ヒトラーが、未来派の絵画を罵倒した記事を見て、ヒトラーらしいなと思った。

啓蒙的描写論、そういう物だって必要である。

△小酒井不木氏の作では新青年の「恋愛曲線」大衆文芸の「人工心臓」を挙げる。

惣太物をはじめとして甲賀氏は近来の作にユーモアを織り込もうとし然うして織り込んで居りますが、私見を以てすればこのユーモアまだまだ洗練されて居りません。

作者は大方「型」を持っています。

岡本綺堂氏推薦、デイピング原作といったような形式で訳されてあった五篇の翻訳は面白かった。

小酒井不木氏の「見得ぬ顔」は単なる探偵小説のための探偵小説で無い処が私には嬉しいと思われました。

久しぶりの大下宇陀児の発表「画家の娘」を読んだ。

新青年四月増大号一瞥。

「新青年」はすべからく「探偵小説新青年」と斯（こ）う改題する必要がある。

久しぶりで江戸川氏の力作を発表したので、しっかりした第一義の拙評をしたいと思って居りますがまだ準備が出来て居りませんので、他日にゆずる事にします。

帝国政府は今回ローマの法王庁へ原田健氏を初代公使として派遣することになったが時局がら洵（まこと）に機宜を得た外交手段だと思う。