60分以内で読める山本周五郎の中編作品
青空文庫で公開されている山本周五郎の作品の中で、おおよその読了目安時間が「60分以内」の中編作品を、おすすめ人気順で表示しています。
51–100件 / 全117件
| 作品名 | 著者 | 読了時間 | 文字数 | 人気 | 書き出し |
|---|---|---|---|---|---|
| 柘榴 | 山本周五郎 | 60分以内 | 12,411 | 一 真沙は初めから良人が嫌いだったのではない。 | |
一 真沙は初めから良人が嫌いだったのではない。 | |||||
| 葦 | 山本周五郎 | 60分以内 | 12,530 | 一 その葦たちは一日じゅう巨きな椎の樹のうっとうしい陰で風に揺られていた。 | |
一 その葦たちは一日じゅう巨きな椎の樹のうっとうしい陰で風に揺られていた。 | |||||
| 日本婦道記 | 山本周五郎 | 60分以内 | 12,947 | 一 「今夜は籾摺りをかたづけてしまおう、伊緒も手をかして呉れ」 夕食のあとだった、良人からなにげなくそう云われると、伊緒はなぜかしらにわかに胸騒ぎのするのを覚え、思わず良人の眼を見かえした。 | |
一 「今夜は籾摺りをかたづけてしまおう、伊緒も手をかして呉れ」 夕食のあとだった、良人からなにげなくそう云われると、伊緒はなぜかしらにわかに胸騒ぎのするのを覚え、思わず良人の眼を見かえした。 | |||||
| 女は同じ物語 | 山本周五郎 | 60分以内 | 21,693 | 一 「まあ諦めるんだな、しょうがない、安永の娘をもらうんだ」と竜右衛門がその息子に云った、「どんな娘でも、結婚してしまえば同じようなものだ、娘のうちはいろいろ違うようにみえる、或る意味では慥かに違うところもある、が、或る意味では、女はすべて同じようなものだ、おまえのお母さんと、枝島の叔母さんを比べてみろ、――私は初めはお母さんよりも、枝島の、……いや、まあいい」と竜右衛門は云った、「とにかく、私 | |
一 「まあ諦めるんだな、しょうがない、安永の娘をもらうんだ」と竜右衛門がその息子に云った、「どんな娘でも、結婚してしまえば同じようなものだ、娘のうちはいろいろ違うようにみえる、或る意味では慥かに違うところもある、が、或る意味では、女はすべて同じようなものだ、おまえのお母さんと、枝島の叔母さんを比べてみろ、――私は初めはお母さんよりも、枝島の、……いや、まあいい」と竜右衛門は云った、「とにかく、私 | |||||
| 明暗嫁問答 | 山本周五郎 | 60分以内 | 20,819 | 養子 備後のくに福山藩、阿部伊予守十万石の国家老に高滝勘太夫という老人がいた。 | |
養子 備後のくに福山藩、阿部伊予守十万石の国家老に高滝勘太夫という老人がいた。 | |||||
| 醜聞 | 山本周五郎 | 60分以内 | 23,155 | 一 苅田壮平はなめらかに話した。 | |
一 苅田壮平はなめらかに話した。 | |||||
| 半之助祝言 | 山本周五郎 | 60分以内 | 22,471 | 一 折岩半之助が江戸から着任した。 | |
一 折岩半之助が江戸から着任した。 | |||||
| 評釈勘忍記 | 山本周五郎 | 60分以内 | 17,906 | 一 駒田紋太夫は癇癖の強い理屈好きな老人であるが、酒がはいってるときはものわかりのよい人情家になる。 | |
一 駒田紋太夫は癇癖の強い理屈好きな老人であるが、酒がはいってるときはものわかりのよい人情家になる。 | |||||
| 柿 | 山本周五郎 | 60分以内 | 12,973 | 一 「おい牧野、起きないか」 「勘弁して呉れ、本当にもう駄目だ」 「……仕様がないな」 起しあぐねて兵馬は振返った。 | |
一 「おい牧野、起きないか」 「勘弁して呉れ、本当にもう駄目だ」 「……仕様がないな」 起しあぐねて兵馬は振返った。 | |||||
| 花咲かぬリラ | 山本周五郎 | 60分以内 | 18,589 | 一 軍服を着た肩のたくましい背丈の眼だって高い青年が、大股のひどく特徴のある歩きつきで麻布片町坂を下りて来た。 | |
一 軍服を着た肩のたくましい背丈の眼だって高い青年が、大股のひどく特徴のある歩きつきで麻布片町坂を下りて来た。 | |||||
| 合歓木の蔭 | 山本周五郎 | 60分以内 | 13,883 | 一 誰かが自分を見ている。 | |
一 誰かが自分を見ている。 | |||||
| ちゃん | 山本周五郎 | 60分以内 | 22,746 | 一 その長屋の人たちは、毎月の十四日と晦日の晩に、きまって重さんのいさましいくだを聞くことができた。 | |
一 その長屋の人たちは、毎月の十四日と晦日の晩に、きまって重さんのいさましいくだを聞くことができた。 | |||||
| 松風の門 | 山本周五郎 | 60分以内 | 12,951 | 一 その洞窟は谿谷にのぞむ断崖の上にあった。 | |
一 その洞窟は谿谷にのぞむ断崖の上にあった。 | |||||
| 内蔵允留守 | 山本周五郎 | 60分以内 | 12,256 | 一 岡田虎之助は道が二岐になっているところまで来て立ちどまり、じっとりと汗の滲み出ている白い額を、手の甲で押し拭いながら、笠をあげて当惑そうに左右を眺めやった。 | |
一 岡田虎之助は道が二岐になっているところまで来て立ちどまり、じっとりと汗の滲み出ている白い額を、手の甲で押し拭いながら、笠をあげて当惑そうに左右を眺めやった。 | |||||
| 古今集巻之五 | 山本周五郎 | 60分以内 | 21,761 | 一 岡本五郎太の手記 寛延二年三月八日の夕方五時から、石浜の「ふくべ」で永井主計のために送別の宴を催した。 | |
一 岡本五郎太の手記 寛延二年三月八日の夕方五時から、石浜の「ふくべ」で永井主計のために送別の宴を催した。 | |||||
| 屏風はたたまれた | 山本周五郎 | 60分以内 | 12,077 | 一 吉村弥十郎はその手紙を三度もらって、三度とも読むとすぐに捨てた。 | |
一 吉村弥十郎はその手紙を三度もらって、三度とも読むとすぐに捨てた。 | |||||
| その木戸を通って | 山本周五郎 | 60分以内 | 22,765 | 一 平松正四郎が事務をとっていると、老職部屋の若い付番が来て、平松さん田原さまがお呼びですと云った。 | |
一 平松正四郎が事務をとっていると、老職部屋の若い付番が来て、平松さん田原さまがお呼びですと云った。 | |||||
| 彩虹 | 山本周五郎 | 60分以内 | 14,335 | 一 「……ひと夜も逢わぬものならば、二た重の帯をなぜ解いた、それがゆかりの竜田山、顔の紅葉で知れたとや……」 さびのあるというのだろう、しめやかにおちついた佳い声である。 | |
一 「……ひと夜も逢わぬものならば、二た重の帯をなぜ解いた、それがゆかりの竜田山、顔の紅葉で知れたとや……」 さびのあるというのだろう、しめやかにおちついた佳い声である。 | |||||
| 山だち問答 | 山本周五郎 | 60分以内 | 16,360 | 一 追手門を出ると、遠い空でかみなりが鳴りだした。 | |
一 追手門を出ると、遠い空でかみなりが鳴りだした。 | |||||
| 霜柱 | 山本周五郎 | 60分以内 | 14,545 | 一 「繁野という老職を知っているか」 「繁野、――」石沢金之助は筆を止めて、次永喜兵衛を見あげた、「老職には二人いるが、どうかしたのか」 「としよりの家老のほうだ」 「御家老なら兵庫どのだろう、むろん知っているが、それがどうした」 「おれはつくづく」と云いかけて、喜兵衛は石沢の机へ手を振った、「もう片づくんじゃないのか」 「そう思っていたところだ」 「じゃあ下城してから話そう」と喜兵衛は云った、 | |
一 「繁野という老職を知っているか」 「繁野、――」石沢金之助は筆を止めて、次永喜兵衛を見あげた、「老職には二人いるが、どうかしたのか」 「としよりの家老のほうだ」 「御家老なら兵庫どのだろう、むろん知っているが、それがどうした」 「おれはつくづく」と云いかけて、喜兵衛は石沢の机へ手を振った、「もう片づくんじゃないのか」 「そう思っていたところだ」 「じゃあ下城してから話そう」と喜兵衛は云った、 | |||||
| 松林蝙也 | 山本周五郎 | 60分以内 | 12,405 | 一 松林蝙也、通称を左馬助という。 | |
一 松林蝙也、通称を左馬助という。 | |||||
| 超過勤務 | 山本周五郎 | 60分以内 | 15,396 | 「だめ、だめ」と若い女が云った、「いやよ、そんなことするんならあたし帰るわ」 「ばかだなあ、なんでもないじゃないか」と青年が云った、「こうしたって、こうしたって平気なのに、どうしてそれだけいけないんだ」 「知らないふりしないで」と女が云った、「あたしまだ嫁入りまえなんですからね」 「古臭いよそんなこと、きみの躯はきみのもんじゃないか」と青年が云った、「握手をする手だってキスをする唇だってきみのもん | |
「だめ、だめ」と若い女が云った、「いやよ、そんなことするんならあたし帰るわ」 「ばかだなあ、なんでもないじゃないか」と青年が云った、「こうしたって、こうしたって平気なのに、どうしてそれだけいけないんだ」 「知らないふりしないで」と女が云った、「あたしまだ嫁入りまえなんですからね」 「古臭いよそんなこと、きみの躯はきみのもんじゃないか」と青年が云った、「握手をする手だってキスをする唇だってきみのもん | |||||
| 寒橋 | 山本周五郎 | 60分以内 | 18,685 | 一 お孝はときどき自分が恥ずかしくなる。 | |
一 お孝はときどき自分が恥ずかしくなる。 | |||||
| 峠の手毬唄 | 山本周五郎 | 60分以内 | 12,076 | 一の一 やぐら峠は七曲り 谷間七つは底知れず 峰の茶屋まで霧がまく……。 | |
一の一 やぐら峠は七曲り 谷間七つは底知れず 峰の茶屋まで霧がまく……。 | |||||
| 十八条乙 | 山本周五郎 | 60分以内 | 13,274 | 一 その事のおこる五日まえ、西条庄兵衛は妻のあやに火傷をさせた。 | |
一 その事のおこる五日まえ、西条庄兵衛は妻のあやに火傷をさせた。 | |||||
| 源蔵ヶ原 | 山本周五郎 | 60分以内 | 13,758 | 市三がはいってゆくと、その小座敷にはもう三人来ていた。 | |
市三がはいってゆくと、その小座敷にはもう三人来ていた。 | |||||
| 日本婦道記 | 山本周五郎 | 60分以内 | 12,500 | 一 二年あまり病んでいた母がついに世を去ったのは弁之助が七歳の年の夏のことであった。 | |
一 二年あまり病んでいた母がついに世を去ったのは弁之助が七歳の年の夏のことであった。 | |||||
| 鵜 | 山本周五郎 | 60分以内 | 19,111 | 一 布施半三郎はその淵をみつけるのに二十日あまりかかった。 | |
一 布施半三郎はその淵をみつけるのに二十日あまりかかった。 | |||||
| 城中の霜 | 山本周五郎 | 60分以内 | 12,990 | 一 安政六年十月七日の朝、掃部頭井伊直弼は例になく早く登城をして、八時には既に御用部屋へ出ていた。 | |
一 安政六年十月七日の朝、掃部頭井伊直弼は例になく早く登城をして、八時には既に御用部屋へ出ていた。 | |||||
| 月の松山 | 山本周五郎 | 60分以内 | 20,798 | 一 宗城孝也は足袋をはきながら、促すように医者のほうを見た。 | |
一 宗城孝也は足袋をはきながら、促すように医者のほうを見た。 | |||||
| 四日のあやめ | 山本周五郎 | 60分以内 | 19,495 | 一 二月下旬の寒い朝であった。 | |
一 二月下旬の寒い朝であった。 | |||||
| 四年間 | 山本周五郎 | 60分以内 | 18,398 | 一 「ここはどうです、痛みますか」 医者はそう云いながら静かにゾンデを動かした、 「やっぱり痛まない、そう……ここはどうです」 信三は医者の顔を見ていた。 | |
一 「ここはどうです、痛みますか」 医者はそう云いながら静かにゾンデを動かした、 「やっぱり痛まない、そう……ここはどうです」 信三は医者の顔を見ていた。 | |||||
| 嫁取り二代記 | 山本周五郎 | 60分以内 | 12,061 | 一 「伯父上お早うござる」 自慢の盆栽の手入れをしていた牧屋勘兵衛はそう声をかけられて振返った。 | |
一 「伯父上お早うござる」 自慢の盆栽の手入れをしていた牧屋勘兵衛はそう声をかけられて振返った。 | |||||
| 日本婦道記 | 山本周五郎 | 60分以内 | 15,298 | 一 お石が鈴木家へひきとられたのは正保三年の霜月のことであった。 | |
一 お石が鈴木家へひきとられたのは正保三年の霜月のことであった。 | |||||
| 日本婦道記 | 山本周五郎 | 60分以内 | 12,977 | 一 「きょうここを出てゆけば、おまえにはもう安倍の家よりほかに家とよぶものはなくなるのだ、父も母もきょうだいも有ると思ってはならない」 父の図書にはそう云われた。 | |
一 「きょうここを出てゆけば、おまえにはもう安倍の家よりほかに家とよぶものはなくなるのだ、父も母もきょうだいも有ると思ってはならない」 父の図書にはそう云われた。 | |||||
| 骸骨島の大冒険 | 山本周五郎 | 60分以内 | 16,229 | 招待状来る! 春田博士邸では、朝食で賑っていた。 | |
招待状来る! 春田博士邸では、朝食で賑っていた。 | |||||
| 日本婦道記 | 山本周五郎 | 60分以内 | 14,027 | 一 「あたしの主人はこんど酒井さまのお馬脇に出世したそうですよ」 厚い大きな唇がすばらしく早く動いて、調子の狂った楽器のような、ひどく嗄れた声が止めどもなく迸しり出た。 | |
一 「あたしの主人はこんど酒井さまのお馬脇に出世したそうですよ」 厚い大きな唇がすばらしく早く動いて、調子の狂った楽器のような、ひどく嗄れた声が止めどもなく迸しり出た。 | |||||
| 日本婦道記 | 山本周五郎 | 60分以内 | 12,648 | ゆうべ酉の刻さがりに長橋のおばあさまが亡くなられた。 | |
ゆうべ酉の刻さがりに長橋のおばあさまが亡くなられた。 | |||||
| 黒襟飾組の魔手 | 山本周五郎 | 60分以内 | 13,014 | 黒い封筒の挑戦状 八月の午後の陽は府立第X×中学の野球グラウンドの上に照りつけていた。 | |
黒い封筒の挑戦状 八月の午後の陽は府立第X×中学の野球グラウンドの上に照りつけていた。 | |||||
| ばちあたり | 山本周五郎 | 60分以内 | 22,712 | 一 私をみつけるとすぐに、弟の啓三は例のとおり大きく手を振った。 | |
一 私をみつけるとすぐに、弟の啓三は例のとおり大きく手を振った。 | |||||
| 日本婦道記 | 山本周五郎 | 60分以内 | 13,822 | 一 妹たちが来たとき弥生はちょうど独りだった。 | |
一 妹たちが来たとき弥生はちょうど独りだった。 | |||||
| 梟谷物語 | 山本周五郎 | 60分以内 | 12,488 | 慶応四年二月(この年九月に明治となる)、勅命を捧じて奥羽征伐の軍を仙台に進めた九条道孝卿は、四月のはじめまず庄内藩酒井忠寛を討つため、副総督沢為量に命じて軍勢を進発させた。 | |
慶応四年二月(この年九月に明治となる)、勅命を捧じて奥羽征伐の軍を仙台に進めた九条道孝卿は、四月のはじめまず庄内藩酒井忠寛を討つため、副総督沢為量に命じて軍勢を進発させた。 | |||||
| 御馬印拝借 | 山本周五郎 | 60分以内 | 21,060 | 一 土田源七郎が来たという取次をきいて、三村勘兵衛はうんと頷きながら口をへの字なりにひき結んだ。 | |
一 土田源七郎が来たという取次をきいて、三村勘兵衛はうんと頷きながら口をへの字なりにひき結んだ。 | |||||
| 笠折半九郎 | 山本周五郎 | 60分以内 | 13,279 | 失火 一 喧嘩は理窟ではない、多くはその時のはずみである、理窟のあるものならどうにか納りもつくが、無条理にはじまるものは手がつけられない、笠折半九郎と畔田小次郎との喧嘩がその例であった。 | |
失火 一 喧嘩は理窟ではない、多くはその時のはずみである、理窟のあるものならどうにか納りもつくが、無条理にはじまるものは手がつけられない、笠折半九郎と畔田小次郎との喧嘩がその例であった。 | |||||
| 菊月夜 | 山本周五郎 | 60分以内 | 16,229 | 一 「珍しい到来物があったのでね。茶を淹れてきましたよ」 若いはしたに茶道具を持たせて、そういいながらはいって来た母親のようすを見たとき、信三郎はすぐになにかはなしが出るなと思った。 | |
一 「珍しい到来物があったのでね。茶を淹れてきましたよ」 若いはしたに茶道具を持たせて、そういいながらはいって来た母親のようすを見たとき、信三郎はすぐになにかはなしが出るなと思った。 | |||||
| 主計は忙しい | 山本周五郎 | 60分以内 | 18,603 | 一 持って生れた性分というやつは面白い。 | |
一 持って生れた性分というやつは面白い。 | |||||
| 紅梅月毛 | 山本周五郎 | 60分以内 | 15,981 | 一 慶長十年二月はじめの或る日、伊勢のくに桑名城のあるじ本多中務大輔忠勝の家中で、馬術に堪能といわれる者ばかり十六人が城へ呼ばれた。 | |
一 慶長十年二月はじめの或る日、伊勢のくに桑名城のあるじ本多中務大輔忠勝の家中で、馬術に堪能といわれる者ばかり十六人が城へ呼ばれた。 | |||||
| 三十二刻 | 山本周五郎 | 60分以内 | 15,585 | 一 「到頭はじめました」 「そうか」 「長門どのでも疋田でも互いに一族を集めております。大手の木戸を打ちましたし、両家の付近では町人共が立退きを始めています」 「ではわしはすぐ登城しよう」 「いやただ今お触令がございまして、何分の知らせをするまで家から出ぬようにとのことです。騒動が拡がってはならぬという思召でしょう。しかし用意だけはいたしておきます」 父と兄とが口早に話している隣の部屋から、娘 | |
一 「到頭はじめました」 「そうか」 「長門どのでも疋田でも互いに一族を集めております。大手の木戸を打ちましたし、両家の付近では町人共が立退きを始めています」 「ではわしはすぐ登城しよう」 「いやただ今お触令がございまして、何分の知らせをするまで家から出ぬようにとのことです。騒動が拡がってはならぬという思召でしょう。しかし用意だけはいたしておきます」 父と兄とが口早に話している隣の部屋から、娘 | |||||
| 秋風不帰 | 山本周五郎 | 60分以内 | 14,006 | 一 「ねえお侍さん、乗っておくれよ」 「しようのない奴だな」 狩谷夏雄は苦笑しながら振返って、 「何度も云う通り拙者は城下まで行くのだ、ここはもう柳繩手の町外れではないか、ここから馬に乗ってどうするのだ」 「それでも、……ねえ乗って下さいよ、……じゃなければ草鞋を一足買っておくんなさい、お侍さんのは、もう緒が切れそうだよ」 年は十六か七であろう、まっ黒に日焼けのした顔に似合わず、頬冠りの下か | |
一 「ねえお侍さん、乗っておくれよ」 「しようのない奴だな」 狩谷夏雄は苦笑しながら振返って、 「何度も云う通り拙者は城下まで行くのだ、ここはもう柳繩手の町外れではないか、ここから馬に乗ってどうするのだ」 「それでも、……ねえ乗って下さいよ、……じゃなければ草鞋を一足買っておくんなさい、お侍さんのは、もう緒が切れそうだよ」 年は十六か七であろう、まっ黒に日焼けのした顔に似合わず、頬冠りの下か | |||||
| 粗忽評判記 | 山本周五郎 | 60分以内 | 14,134 | 一 苅田久之進は粗忽者という評判である。 | |
一 苅田久之進は粗忽者という評判である。 | |||||
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