野村胡堂の全作品

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作品名著者読了時間文字数人気書き出し
銭形平次捕物控野村胡堂60分以内12,503

一 「親分、金の茶釜を拝んだことがありますかい」  ガラッ八の八五郎は、変なことを持込んで来ました。

一 「親分、金の茶釜を拝んだことがありますかい」  ガラッ八の八五郎は、変なことを持込んで来ました。

銭形平次捕物控野村胡堂30分以内11,348

一 「親分、こいつは変っているでしょう。とって十九の滅法綺麗な新造が仏様と心中したんだから、江戸開府以来の騒ぎだ」  ガラッ八の八五郎は、また変な噂を聴き込んで来ました。

一 「親分、こいつは変っているでしょう。とって十九の滅法綺麗な新造が仏様と心中したんだから、江戸開府以来の騒ぎだ」  ガラッ八の八五郎は、また変な噂を聴き込んで来ました。

銭形平次捕物控野村胡堂30分以内10,200

一 「親分、怖い話があるんだが――」  ガラツ八の八五郎が、息を切らして飛込みました。

一 「親分、怖い話があるんだが――」  ガラツ八の八五郎が、息を切らして飛込みました。

銭形平次捕物控野村胡堂1時間〜27,060

一 「日本一の面白い話があるんですが、親分」  ガラツ八の八五郎、こみ上げる笑ひを噛みしめながら、ニヤリニヤリと入つて來るのです。

一 「日本一の面白い話があるんですが、親分」  ガラツ八の八五郎、こみ上げる笑ひを噛みしめながら、ニヤリニヤリと入つて來るのです。

銭形平次捕物控野村胡堂30分以内11,259

一  兩國の川開きが濟んで間もなく、それは脂汗のにじむやうな、いやに、蒸し暑い晩でした。

一  兩國の川開きが濟んで間もなく、それは脂汗のにじむやうな、いやに、蒸し暑い晩でした。

奇談クラブ〔戦後版〕野村胡堂30分以内11,333

プロローグ 「さて皆様、私はここで、嘘のような話を聴いて頂きたいのであります。話の真実性については、皆様の御判断に任せるとして、兎も角も、これは決して嘘ではないということだけは、当夜の盛大な結婚式に列席した方々は、証明して下さることと思います」  話し手の小塚金太郎は、斯んな調子で始めました。

プロローグ 「さて皆様、私はここで、嘘のような話を聴いて頂きたいのであります。話の真実性については、皆様の御判断に任せるとして、兎も角も、これは決して嘘ではないということだけは、当夜の盛大な結婚式に列席した方々は、証明して下さることと思います」  話し手の小塚金太郎は、斯んな調子で始めました。

銭形平次捕物控野村胡堂60分以内20,742

一  江戸開府以來の捕物の名人と言はれた錢形の平次が、幽靈から手紙を貰つたといふ不思議な事件は、子分のガラツ八こと、八五郎の思ひも寄らぬ縮尻から始まりました。

一  江戸開府以來の捕物の名人と言はれた錢形の平次が、幽靈から手紙を貰つたといふ不思議な事件は、子分のガラツ八こと、八五郎の思ひも寄らぬ縮尻から始まりました。

奇談クラブ〔戦後版〕野村胡堂60分以内12,126

プロローグ  奇談クラブその夜の話し手は、彫刻家の和久井献作でした。

プロローグ  奇談クラブその夜の話し手は、彫刻家の和久井献作でした。

銭形平次捕物控野村胡堂60分以内13,041

一  神田祭は九月十五日、十四日の宵宮は、江戸半分煮えくり返るような騒ぎでした。

一  神田祭は九月十五日、十四日の宵宮は、江戸半分煮えくり返るような騒ぎでした。

奇談クラブ〔戦後版〕野村胡堂60分以内13,376

プロローグ  話し手の望月辛吉は、有名なジレッタントで、レコードの蒐集家の一人として知られた男でした。

プロローグ  話し手の望月辛吉は、有名なジレッタントで、レコードの蒐集家の一人として知られた男でした。

銭形平次捕物控野村胡堂1時間〜30,728

一  錢形の平次は、椽側の日向に座布團を持出して、その上に大胡坐をかくと、女房のお靜は後ろに廻つて、片襷をしたまゝ、月代を剃つて居りました。

一  錢形の平次は、椽側の日向に座布團を持出して、その上に大胡坐をかくと、女房のお靜は後ろに廻つて、片襷をしたまゝ、月代を剃つて居りました。

銭形平次捕物控野村胡堂60分以内14,849

一 「親分、大変なものを拾って来ましたぜ」  八五郎のガラッ八は、拇指を蝮にして、自分の肩越しに入口の方を指しながら、日本一の突き詰めた顔をするのでした。

一 「親分、大変なものを拾って来ましたぜ」  八五郎のガラッ八は、拇指を蝮にして、自分の肩越しに入口の方を指しながら、日本一の突き詰めた顔をするのでした。

禁断の死針野村胡堂10分以内3,566

「旦那様、これは又大した古疵で御座いますが、――さぞ、お若い時分の、勇ましい思い出でも御座いましょう」 「いや、そう言われると恥かしい、後ろ傷をと言うわけでは無いが、相手の刃物が伸びて、腰車を妙に背後へかけて斬られて居るから、人様の前でうっかり肌を脱ぐと、飛んだ変な目で見られることがある――」  本所割下水に住んで居る、浪人者の原口作左衛門、フト呼び入れた年若い按摩に、腰骨へ斜に残った古疵を見付け

「旦那様、これは又大した古疵で御座いますが、――さぞ、お若い時分の、勇ましい思い出でも御座いましょう」 「いや、そう言われると恥かしい、後ろ傷をと言うわけでは無いが、相手の刃物が伸びて、腰車を妙に背後へかけて斬られて居るから、人様の前でうっかり肌を脱ぐと、飛んだ変な目で見られることがある――」  本所割下水に住んで居る、浪人者の原口作左衛門、フト呼び入れた年若い按摩に、腰骨へ斜に残った古疵を見付け

銭形平次捕物控野村胡堂60分以内13,744

一 「親分、この頃妙なものが流行るさうですね」  八五郎がそんな話を持込んで來たのは、三月半ばの、丁度花もおしまひになりかけた頃、浮かれ氣分の江戸の町人達も、どうやら落着きを取戻して、仕事と商賣に精を出さうと言つた、殊勝な心掛になりかけた時分でした。

一 「親分、この頃妙なものが流行るさうですね」  八五郎がそんな話を持込んで來たのは、三月半ばの、丁度花もおしまひになりかけた頃、浮かれ氣分の江戸の町人達も、どうやら落着きを取戻して、仕事と商賣に精を出さうと言つた、殊勝な心掛になりかけた時分でした。

銭形平次捕物控野村胡堂60分以内18,321

一 「親分、お早やうございます。今日も暑くなりさうですね」  御馴染の八五郎、神妙に格子を開けて、見透しの六疊に所在なさの煙草にしてゐる錢形平次に聲を掛けました。

一 「親分、お早やうございます。今日も暑くなりさうですね」  御馴染の八五郎、神妙に格子を開けて、見透しの六疊に所在なさの煙草にしてゐる錢形平次に聲を掛けました。

銭形平次捕物控野村胡堂60分以内12,959

一  順風耳の八五郎は、相變らず毎日一つくらゐづつは、江戸中から新聞種を掻き集めて來るのでした。

一  順風耳の八五郎は、相變らず毎日一つくらゐづつは、江戸中から新聞種を掻き集めて來るのでした。

銭形平次捕物控野村胡堂60分以内14,467

一  江戸の閑人の好奇心は、途方もないところまで發展しました。

一  江戸の閑人の好奇心は、途方もないところまで發展しました。

銭形平次捕物控野村胡堂1時間〜53,281

附け文ごつこ 一 「あら、八五郎親分」  神田お臺所町、これから親分の錢形平次の家へ朝詣りに行かうといふところで、八五郎は馥郁たる年増に抱きつかれてしまひました。

附け文ごつこ 一 「あら、八五郎親分」  神田お臺所町、これから親分の錢形平次の家へ朝詣りに行かうといふところで、八五郎は馥郁たる年増に抱きつかれてしまひました。

銭形平次捕物控野村胡堂60分以内13,413

一 「親分、向島の藤屋の寮で、今日生き葬ひがあるさうですね」  ガラツ八の八五郎は、相變らず鼻をヒクヒクさせながらやつて來ました。

一 「親分、向島の藤屋の寮で、今日生き葬ひがあるさうですね」  ガラツ八の八五郎は、相變らず鼻をヒクヒクさせながらやつて來ました。

銭形平次捕物控野村胡堂60分以内13,887

本篇は、銭形平次がまだ独身で活躍している頃の話です。

本篇は、銭形平次がまだ独身で活躍している頃の話です。

銭形平次捕物控野村胡堂60分以内13,750

一 「親分はいらっしゃる?」 「まア、お品さん、しばらくねえ、さア、どうぞ――」  取次のお静は、手を取らぬばかりに、石原の利助の娘で、年増っぷりの美しいお品を招じ入れました。

一 「親分はいらっしゃる?」 「まア、お品さん、しばらくねえ、さア、どうぞ――」  取次のお静は、手を取らぬばかりに、石原の利助の娘で、年増っぷりの美しいお品を招じ入れました。

銭形平次捕物控野村胡堂30分以内10,962

一 「こいつは驚くぜ、親分」  ガラツ八の八五郎は、相變らず素頓狂な聲を出し乍ら飛込んで來ました。

一 「こいつは驚くぜ、親分」  ガラツ八の八五郎は、相變らず素頓狂な聲を出し乍ら飛込んで來ました。

銭形平次捕物控野村胡堂30分以内9,177

一 「八、その十手を見せびらかすのを止してくれないか」 「へエ、斯うやりや宜いんでせう。人に見せないやうに」  親分の平次に言はれて、ガラツ八の八五郎はあわてゝ後ろ腰に差した十手を引つこ拔くと、少々衣紋の崩れた旅疲れの懷中にねぢ込むのです。

一 「八、その十手を見せびらかすのを止してくれないか」 「へエ、斯うやりや宜いんでせう。人に見せないやうに」  親分の平次に言はれて、ガラツ八の八五郎はあわてゝ後ろ腰に差した十手を引つこ拔くと、少々衣紋の崩れた旅疲れの懷中にねぢ込むのです。

銭形平次捕物控野村胡堂60分以内12,468

一  本郷妻戀町の娘横丁、――この邊に良い娘が多いから土地の若い衆が斯んな名で呼びましたが、何時の間にやら痴漢が横行して、若い娘の御難が多く、娘受難横丁と言ふべきを省略して娘横丁と、其儘の名で呼び慣はしました。

一  本郷妻戀町の娘横丁、――この邊に良い娘が多いから土地の若い衆が斯んな名で呼びましたが、何時の間にやら痴漢が横行して、若い娘の御難が多く、娘受難横丁と言ふべきを省略して娘横丁と、其儘の名で呼び慣はしました。

銭形平次捕物控野村胡堂60分以内17,214

一 「親分、笑つちやいけませんよ」  ガラツ八の八五郎が、いきなりゲラゲラ笑ひながら親分の錢形平次の家へ入つて來たのでした。

一 「親分、笑つちやいけませんよ」  ガラツ八の八五郎が、いきなりゲラゲラ笑ひながら親分の錢形平次の家へ入つて來たのでした。

銭形平次捕物控野村胡堂30分以内10,697

一 「親分、四谷忍町の小松屋というのを御存じですか」 「聞いたことがあるようだな――山の手では分限のうちに数えられている地主かなんかだろう」  銭形平次が狭い庭に下りて、道楽の植木の世話を焼いていると、低い木戸の上に顎をのっけるように、ガラッ八の八五郎が声を掛けるのでした。

一 「親分、四谷忍町の小松屋というのを御存じですか」 「聞いたことがあるようだな――山の手では分限のうちに数えられている地主かなんかだろう」  銭形平次が狭い庭に下りて、道楽の植木の世話を焼いていると、低い木戸の上に顎をのっけるように、ガラッ八の八五郎が声を掛けるのでした。

銭形平次捕物控野村胡堂60分以内14,768

一 「親分、こいつは驚くぜ、――これで驚かなかった日にゃ、親分とは言わせねえ」  息せき切って駆けつけたガラッ八の八五郎、上がり框に両手を突いて、「物申し上ぐる型」に長い顔を振り仰ぐのでした。

一 「親分、こいつは驚くぜ、――これで驚かなかった日にゃ、親分とは言わせねえ」  息せき切って駆けつけたガラッ八の八五郎、上がり框に両手を突いて、「物申し上ぐる型」に長い顔を振り仰ぐのでした。

悪魔の顔野村胡堂60分以内14,991

物騒な話題 「そんな気味の悪いお話はお止しなさいませ、それより東京座のレヴィユーが大変面白いそうじゃ御座いませんか」  と話題の転換に骨を折って居るのは、主人石井馨之助氏の夫人濤子、若くて美しくて、客が好きで物惜みをしないというので、苟も此邸に出入する程の人達から、素晴らしい人気のある夫人でした。

物騒な話題 「そんな気味の悪いお話はお止しなさいませ、それより東京座のレヴィユーが大変面白いそうじゃ御座いませんか」  と話題の転換に骨を折って居るのは、主人石井馨之助氏の夫人濤子、若くて美しくて、客が好きで物惜みをしないというので、苟も此邸に出入する程の人達から、素晴らしい人気のある夫人でした。

銭形平次捕物控野村胡堂60分以内21,036

一 「變な噂がありますよ、親分」  子分の八五郎がまた何にか嗅ぎつけて來た樣子です。

一 「變な噂がありますよ、親分」  子分の八五郎がまた何にか嗅ぎつけて來た樣子です。

銭形平次捕物控野村胡堂60分以内15,514

一  小石川水道端に、質屋渡世で二万両の大身代を築き上げた田代屋又左衛門、年は取っているが、昔は二本差だったそうで恐ろしいきかん気。

一  小石川水道端に、質屋渡世で二万両の大身代を築き上げた田代屋又左衛門、年は取っているが、昔は二本差だったそうで恐ろしいきかん気。

銭形平次捕物控野村胡堂1時間〜30,822

一 「親分の前だが、江戸といふところは、面白いところですね」  松もまだ取れないのに、ガラツ八の八五郎はもう、江戸の新聞種を仕入れて來た樣子です。

一 「親分の前だが、江戸といふところは、面白いところですね」  松もまだ取れないのに、ガラツ八の八五郎はもう、江戸の新聞種を仕入れて來た樣子です。

銭形平次捕物控野村胡堂60分以内12,906

一 「八、大變なことがあるさうぢやないか」  江戸開府以來と言はれた、捕物の名人錢形平次は、粉煙草の煙りを輪に吹きながら、いとも寛々たる態度で、飛び込んで來た子分の八五郎に、かう浴びせるのでした。

一 「八、大變なことがあるさうぢやないか」  江戸開府以來と言はれた、捕物の名人錢形平次は、粉煙草の煙りを輪に吹きながら、いとも寛々たる態度で、飛び込んで來た子分の八五郎に、かう浴びせるのでした。

銭形平次捕物控野村胡堂60分以内14,692

一 「親分、良庵さんが来ましたぜ」 「ヘエ――、朝から変った人が来るものだね、丁寧に通すがいい」  銭形の平次は居ずまいを直して、客を迎えました。

一 「親分、良庵さんが来ましたぜ」 「ヘエ――、朝から変った人が来るものだね、丁寧に通すがいい」  銭形の平次は居ずまいを直して、客を迎えました。

銭形平次捕物控野村胡堂60分以内14,836

一 「世の中に、金持ほど馬鹿なものはありませんね」 「貧乏人は皆んな、そんな事を言ふよ、つまらねえ持句さ」  平次と八五郎は、相變らず空茶に馬糞煙草で、いつものやうな掛け合ひを始めて居ります。

一 「世の中に、金持ほど馬鹿なものはありませんね」 「貧乏人は皆んな、そんな事を言ふよ、つまらねえ持句さ」  平次と八五郎は、相變らず空茶に馬糞煙草で、いつものやうな掛け合ひを始めて居ります。

奇談クラブ〔戦後版〕野村胡堂30分以内11,188

プロローグ 「あらゆる偶然は可能だ、と笠森仙太郎は信じておりました。この広い宇宙の中で、大海の粟粒よりもはかない存在に過ぎない我々の地球が、他のもう一つの気紛れな粟粒なる彗星と衝突することだってあり得るだろうし、世界の人間が全部、一ぺんに気が違うことだって、あり得ないと断ずることはできない。プロバビリティの算出によれば、我々――いや私のような平凡人でも、随分運の廻り合せでは豊太閤ほどの出世ができ

プロローグ 「あらゆる偶然は可能だ、と笠森仙太郎は信じておりました。この広い宇宙の中で、大海の粟粒よりもはかない存在に過ぎない我々の地球が、他のもう一つの気紛れな粟粒なる彗星と衝突することだってあり得るだろうし、世界の人間が全部、一ぺんに気が違うことだって、あり得ないと断ずることはできない。プロバビリティの算出によれば、我々――いや私のような平凡人でも、随分運の廻り合せでは豊太閤ほどの出世ができ

銭形平次捕物控野村胡堂60分以内12,316

一 「親分、長生きをしたくはありませんか」  八五郎がまた、途方もないことを言ふのです。

一 「親分、長生きをしたくはありませんか」  八五郎がまた、途方もないことを言ふのです。

銭形平次捕物控野村胡堂60分以内14,028

一 「姐さん、谷中にお化けが出るんだが、こいつは初耳でせう」  松が取れたばかり、世界はまだ屠蘇臭いのに、空つ風に吹き寄せられたやうな恰好で、八五郎は庭木戸へ顎を載せるのでした。

一 「姐さん、谷中にお化けが出るんだが、こいつは初耳でせう」  松が取れたばかり、世界はまだ屠蘇臭いのに、空つ風に吹き寄せられたやうな恰好で、八五郎は庭木戸へ顎を載せるのでした。

銭形平次捕物控野村胡堂60分以内14,219

一 「親分、先刻から路地の中を、往つたり來たり、お百度を踏んでゐる女がありますが、ありや何でせう」  八五郎は自分の肩越しに、煙管の吸口で格子の外を指すのです。

一 「親分、先刻から路地の中を、往つたり來たり、お百度を踏んでゐる女がありますが、ありや何でせう」  八五郎は自分の肩越しに、煙管の吸口で格子の外を指すのです。

銭形平次捕物控野村胡堂30分以内4,338

明神下の銭形の平次の家へ通ると、八五郎は開き直って年始のあいさつを申述べるのです。

明神下の銭形の平次の家へ通ると、八五郎は開き直って年始のあいさつを申述べるのです。

銭形平次捕物控野村胡堂30分以内10,702

一 「ね、親分、こいつは珍しいでせう」  ガラツ八の八五郎は、旋風のやうに飛込んで來ると、いきなり自分の鼻を撫で上げるのでした。

一 「ね、親分、こいつは珍しいでせう」  ガラツ八の八五郎は、旋風のやうに飛込んで來ると、いきなり自分の鼻を撫で上げるのでした。

銭形平次捕物控野村胡堂60分以内13,294

一 「親分、世の中には變な野郎があるもんですね」  八五郎は彌造を二つ拵へたまゝ、フラリと庭へ入つて來ました。

一 「親分、世の中には變な野郎があるもんですね」  八五郎は彌造を二つ拵へたまゝ、フラリと庭へ入つて來ました。

銭形平次捕物控野村胡堂60分以内12,571

一 「親分、良い陽氣ぢやありませんか。少し出かけて見ちやどうです」  ガラツ八の八五郎が木戸の外から風の惡い古金買ひのやうな恰好で、斯う覗いてゐるのでした。

一 「親分、良い陽氣ぢやありませんか。少し出かけて見ちやどうです」  ガラツ八の八五郎が木戸の外から風の惡い古金買ひのやうな恰好で、斯う覗いてゐるのでした。

銭形平次捕物控野村胡堂60分以内20,388

一  すべて恋をするものの他愛なさ、――八五郎はそれをこう説明するのでした。

一  すべて恋をするものの他愛なさ、――八五郎はそれをこう説明するのでした。

銭形平次捕物控野村胡堂60分以内14,005

一 「親分、飯田町の上総屋が死んだそうですね」  ガラッ八の八五郎は、またニュースを一つ嗅ぎ出して来ました。

一 「親分、飯田町の上総屋が死んだそうですね」  ガラッ八の八五郎は、またニュースを一つ嗅ぎ出して来ました。

銭形平次捕物控野村胡堂60分以内14,355

一  早春のよく晴れた陽を浴びて、植木の世話をしてゐる平次の後ろから、 「親分、逢つてやつて下さいよ。枝からもぎ立ての桃のやうに、銀色のうぶ毛の生えた可愛らしい娘ですがね」  八五郎は拇指で、蝮を拵へて、肩越しに木戸を指すのです。

一  早春のよく晴れた陽を浴びて、植木の世話をしてゐる平次の後ろから、 「親分、逢つてやつて下さいよ。枝からもぎ立ての桃のやうに、銀色のうぶ毛の生えた可愛らしい娘ですがね」  八五郎は拇指で、蝮を拵へて、肩越しに木戸を指すのです。

銭形平次捕物控野村胡堂60分以内12,146

一 「親分は長い間に隨分多勢の惡者を手掛けたわけですが、その中で何んとしても勘辨ならねエといつた奴があるでせうね」  ガラツ八の八五郎は妙なことを訊ねました。

一 「親分は長い間に隨分多勢の惡者を手掛けたわけですが、その中で何んとしても勘辨ならねエといつた奴があるでせうね」  ガラツ八の八五郎は妙なことを訊ねました。

銭形平次捕物控野村胡堂30分以内10,976

一 「困つたことがあるんだがな、八」  よく/\の事でせう、錢形平次は額に煙草を吸はせて、初秋のケチな庭を眺めるでもなく、ひどく屈托して居るのです。

一 「困つたことがあるんだがな、八」  よく/\の事でせう、錢形平次は額に煙草を吸はせて、初秋のケチな庭を眺めるでもなく、ひどく屈托して居るのです。

銭形平次捕物控野村胡堂60分以内14,676

一 「お早やうございます」  花は散つたが、まだ申分なく春らしい薄靄のかゝつた或朝、ガラツ八の八五郎は、これも存分に機嫌の良い顏を、明神下の平次の家へ持込んで來ました。

一 「お早やうございます」  花は散つたが、まだ申分なく春らしい薄靄のかゝつた或朝、ガラツ八の八五郎は、これも存分に機嫌の良い顏を、明神下の平次の家へ持込んで來ました。

銭形平次捕物控野村胡堂60分以内14,233

一 「親分、笑っちゃいけませんよ」 「何だ、八」 「親分もあっしも同じ人間でしょう」  ガラッ八の八五郎はまた変なことを言い出しました。

一 「親分、笑っちゃいけませんよ」 「何だ、八」 「親分もあっしも同じ人間でしょう」  ガラッ八の八五郎はまた変なことを言い出しました。

奇談クラブ〔戦後版〕野村胡堂30分以内10,474

プロローグ  その夜の話し手遠藤盛近は、山羊※の萎びた中老人で、羊羹色になった背広の、カフスから飛出すシャツを気にし乍ら、老眼鏡の玉を五分間に一度位ずつの割りで拭き拭き、見掛けに依らぬ良いバリトンで、こう話し始めました。

プロローグ  その夜の話し手遠藤盛近は、山羊※の萎びた中老人で、羊羹色になった背広の、カフスから飛出すシャツを気にし乍ら、老眼鏡の玉を五分間に一度位ずつの割りで拭き拭き、見掛けに依らぬ良いバリトンで、こう話し始めました。