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禁断の死針

野村胡堂

『禁断の死針』は青空文庫で公開されている野村胡堂の短編作品。3,906文字で、おおよそ10分以内で読むことができます。
文字数
10分以内
3,906文字
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書出

「旦那様、これは又大した古疵で御座いますが、――さぞ、お若い時分の、勇ましい思い出でも御座いましょう」「いや、そう言われると恥かしい、後ろ傷をと言うわけでは無いが、相手の刃物が伸びて、腰車を妙に背後へかけて斬られて居るから、人様の前でうっかり肌を脱ぐと、飛んだ変な目で見られることがある――」本所割下水に住んで居る、浪人者の原口作左衛門、フト呼び入れた年若い按摩に、腰骨へ斜に残った古疵を見付けられて、思わず赤面いたしました。

初出「講談倶楽部」1929(昭和4)年9月
底本野村胡堂伝奇幻想小説集成
表記
新字新仮名
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