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30分以内で読める樋口一葉の短編作品

青空文庫で公開されている樋口一葉の作品の中で、おおよその読了目安時間が「30分以内」の短編作品を、おすすめ人気順で表示しています。

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作品名著者読了時間人気
闇桜樋口一葉
30分以内
(上)  隔ては中垣の建仁寺にゆづりて汲かはす庭井の水の交はりの底きよく深く軒端に咲く梅一木に両家の春を見せて薫りも分ち合ふ中村園田と呼ぶ宿あり園田の主人は一昨年なくなりて相続は良之助廿二の若者何某学校の通学生とかや中村のかたには娘只一人男子もありたれど早世しての一粒ものとて寵愛はいとゞ手のうちの玉かざしの花に吹かぬ風まづいとひて願ふはあし田鶴の齢ながゝれとにや千代となづけし親心にぞ見ゆらんもの
大つごもり樋口一葉
30分以内
上  井戸は車にて綱の長さ十二尋、勝手は北向きにて師走の空のから風ひゆうひゆうと吹ぬきの寒さ、おお堪えがたと竈の前に火なぶりの一分は一時にのびて、割木ほどの事も大台にして叱りとばさるる婢女の身つらや、はじめ受宿の老媼さまが言葉には御子様がたは男女六人、なれども常住家内にお出あそばすは御総領と末お二人、少し御新造は機嫌かいなれど、目色顔色を呑みこんでしまへば大した事もなく、結句おだてに乗る質なれば
この子樋口一葉
30分以内
口に出して私が我子が可愛いといふ事を申したら、嘸皆樣は大笑ひを遊ばしましやう、それは何方だからとて我子の憎いはありませぬもの、取たてゝ何も斯う自分ばかり美事な寶を持つて居るやうに誇り顏に申すことの可笑しいをお笑ひに成りましやう、だから私は口に出して其樣な仰山らしい事は言ひませぬけれど、心のうちではほんに/\可愛いの憎いのではありませぬ、掌を合せて拜まぬばかり辱ないと思ふて居りまする。
さをのしづく樋口一葉
30分以内
ある人のもとにて紫式部と清少納言のよしあしいかになどいふ事の侍りし 人は式部/\とたゞほめにほめぬ しかあらんそれさる事ながら清はらのおもとは世にあはれの人也 名家の末なれば世のおぼえもかろからざりしやしらず 万に女ははかなき物なればはか/″\しき後見などもなくてはふれけむほどうしつらしなどみにしみぬべき事ぞ多かりけらし やう/\宮づかへに出初ぬる後宮の御いつくしみにさる人ありとしられ初て香爐峯の
うつせみ樋口一葉
30分以内
一  家の間数は三畳敷の玄関までを入れて五間、手狭なれども北南吹とほしの風入りよく、庭は広々として植込の木立も茂ければ、夏の住居にうつてつけと見えて、場処も小石川の植物園にちかく物静なれば、少しの不便を疵にして他には申旨のなき貸家ありけり、門の柱に札をはりしより大凡三月ごしにも成けれど、いまだに住人のさだまらで、主なき門の柳のいと、空しくなびくも淋しかりき、家は何処までも奇麗にて見こみの好ければ
わかれ道樋口一葉
30分以内
上  お京さん居ますかと窓の戸の外に来て、ことことと羽目を敲く音のするに、誰れだえ、もう寐てしまつたから明日来ておくれと嘘を言へば、寐たつて宜いやね、起きて明けておくんなさい、傘屋の吉だよ、己れだよと少し高く言へば、嫌な子だねこんな遅くに何を言ひに来たか、又御餅のおねだりか、と笑つて、今あけるよ少時辛棒おしと言ひながら、仕立かけの縫物に針どめして立つは年頃二十余りの意気な女、多い髪の毛を忙がしい
五月雨樋口一葉
30分以内
(一) 池に咲く菖蒲かきつばたの鏡に映る花二本ゆかりの色の薄むらさきか濃むらさきならぬ白元結きつて放せし文金の高髷も好みは同じ丈長の櫻もやう淡泊として色を含む姿に高下なく心に隔てなく墻にせめぐ同胞はづかしきまで思へば思はるゝ水と魚の君さま無くは我れ何とせんイヤ汝こそは大事なれと頼みにしつ頼まれつ松の梢の藤の花房かゝる主從の中またと有りや梨本何某といふ富家の娘に優子と呼ばるゝ容貌よし色白の細おもて
ゆく雲樋口一葉
30分以内
上  酒折の宮、山梨の岡、塩山、裂石、さし手の名も都人の耳に聞きなれぬは、小仏ささ子の難処を越して猿橋のながれに眩めき、鶴瀬、駒飼見るほどの里もなきに、勝沼の町とても東京にての場末ぞかし、甲府はさすがに大厦高楼、躑躅が崎の城跡など見る処のありとは言へど、汽車の便りよき頃にならば知らず、こと更の馬車腕車に一昼夜をゆられて、いざ恵林寺の桜見にといふ人はあるまじ、故郷なればこそ年々の夏休みにも、人は箱
たま襻樋口一葉
30分以内
上の一 をかしかるべき世を空蝉のと捨て物にして今歳十九年、天のなせる麗質、をしや埋木の春またぬ身に、青柳いと子と名のみ聞ても姿しのばるゝ優しの人品、それも其筈昔しをくれば系圖の卷のこと長けれど、徳川の流れ末つかた波まだ立たぬ江戸時代に、御用お側お取次と長銘うつて、席を八萬騎の上坐に占めし青柳右京が三世の孫、流轉の世に生れ合はせては、姫と呼ばれしことも無けれど、面影みゆる長襦袢の縫もよう、母が形見か
経つくゑ樋口一葉
30分以内
※一※ 哀れ手向の花一枝に千年のちぎり萬年の情をつくして、誰れに操の身はひとり住、あたら美形を月花にそむけて、世は何時ぞとも知らず顏に、繰るや珠數の緒の引かれては御佛輪廻にまよひぬべし、ありしは何時の七夕の夜、なにと盟ひて比翼の鳥の片羽をうらみ、無常の風を連理の枝に憤りつ、此處閑窓のうち机上の香爐に絶えぬ烟りの主はと問へば、答へはぽろり襦袢の袖に露を置きて、言はぬ素性の聞きたきは無理か、かくすに
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