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わかれ道

樋口一葉

『わかれ道』は青空文庫で公開されている樋口一葉の短編作品。7,021文字で、おおよそ30分以内で読むことができます。
文字数
30分以内
7,021文字
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書出

上お京さん居ますかと窓の戸の外に来て、ことことと羽目を敲(たた)く音のするに、誰れだえ、もう寐(ね)てしまつたから明日来ておくれと嘘(うそ)を言へば、寐たつて宜いやね、起きて明けておくんなさい、傘屋の吉だよ、己れだよと少し高く言へば、嫌な子だねこんな遅くに何を言ひに来たか、又御餅のおねだりか、と笑つて、今あけるよ少時辛棒おしと言ひながら、仕立かけの縫物に針どめして立つは年頃二十余りの意気な女、多い髪の毛を忙がしい折からとて結び髪にして、少し長めな八丈の前だれ、お召の台なしな半...

初出「国民之友 二百七十七号」1896(明治29)年1月4日
底本にごりえ・たけくらべ
表記
新字旧仮名
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